月刊『商人舎』4月号、
昨日発刊。
Website商人舎magazineの、
monthly商人舎4月号も、
昨日、公開。
特集タイトルは、
ネットスーパー! 移動スーパー!!
ポスト・モダンのノンストアリテイリングはどっちだ!?
月刊『商人舎』は表紙にメッセージを載せる。
Cover Messageと呼ぶ。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
ノンストアリテイリングが隆盛の兆しを見せている。
店舗を持たない無店舗販売。
アマ ゾン・ドットコム、楽天、アスクル、
ジャパネットたかた、千趣会などなど。
店舗というハードウェアの投資がいらない。
顧客はパソコンやスマホで注文し、 待っていればいい。
便利で軽い商売。
インターネットの発達は想像を超えている。
それが食品スーパーマーケットの世界にも及んできた。
いわゆる「ネットスーパー」。
21世紀の花形ビジネスに見える。
しかし一方で、「移動スーパー」にも
画期的な革命が起こっている。
「とくし丸」。
こちらはローカルチェーンと個人事業主が結びついて、
買物難民を救済する。
商業の近代化は規模拡大と生産性向上一辺倒だった。
しかしその近代化に行き詰ま りが見える。
そんなときに商業の現代化が現れる。
ポスト・モダンである。
ネットスーパーと移動スーパー。
いったいどちらが現代化のイノベーションを果たす のか。
ケーススタディで核心に迫る。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
店舗を持って商いすることが、
有店舗販売だ。
その店舗を持たずに商売すると、
無店舗販売となる。
英語ではノンストアリテイリング。
その中間総括的な特集。
中身は紙の雑誌、
または網のWeb Magazineで
どうぞ。
昨日は横浜商人舎オフィスを、
宮﨑謙三さんが訪ねてくれた。
立教大学大学院ビジネスデザイン研究科。
私が昨年3月まで特任教授を務めていた。
宮﨑さんは、この春、
博士課程前期を修了。
博士課程前期を修士課程と言うが、
いわゆる社会人MBA。
この課程を終わらせ、
マスターを修得。
おめでとう。
立教のMBAは2年間の課程で、
1年次は様々な講義を履修する。
宮﨑さんは私のマーケティング講座を取って、
実に優秀な成績だった。
その縁もあって、
私が退任したあとも交流は続いた。
宮﨑さんの書いた修士論文も、
昨年末から今年始に、
ちょっとだけ目を通した。
これも実に上出来の論文だった。
宮﨑さんは、生え抜きのオリックス㈱社員。
ハートフォード生命保険に出向して、
チーフマーケティングオフィサーを経験し、
現在は、オリックス生命保険の監査役。
コンプライアンス問題を研究中で、
これも論文にしようと構想している。
実務家として仕事を極め、
研究者として考察し、調査を加え、
その成果を論文にする。
産学を両サイドから、
体験し、探求する。
実務家としても、
研究者としても、
楽しみな人材だ。
さて週末。
糸井重里の考察。
『ほぼ日刊イトイ新聞』の巻頭コラム。
「たとえば、エレベーターというものが、
どういうしくみで動いているのか、
だいたいわかります。
蒸気機関車だとか、
自動車なんかも、わかります。
飛行機でもロケットでも、
わかるといえばわかってた。
テープレコーダーとか、
レコード盤もわかってたと思う」
こういう言い回しが糸井の真骨頂。
たとえ話を入れる。
「ある時代まで、
世の中にあるいろんな便利なものが、
およそどんなしくみで動いているのか、
たいていの人は、
ざっとでもわかっていましたよね」
「だけど、いまは、
しくみのわかるものが少なくなってて、
『わからなくてもいい』けど
動かせるものになってます」
中年以上の世代の感慨。
「その最たる者が
コンピューター関係のことです。
なにがどうして、どこがどうなって、こうなの?
なんにもわかりゃしないわけです」
ここでまた暗い例。
「コンピューターを使ったゲームでも、
コンピューターを使った買い物でも、
コンピューターを使った調べものでも」
「Googleさんに、
どんなことばでも入れてみたら、
ものすごい速度で、
『これかな?』と答えてくれます」
これも最初は違和感があったけれど、
だんだん慣れっこになってきた。
「なにかを入れたら、
中がどうなってるか見えないけど
とにかくなにかが出てくる。
そういう箱のことを
ブラックボックスっていいます」
そう「ブラックボックス」。
会社の中にも増えてきた?
「昔はあんまり多くなかった『黒い箱』が、
いつのまにやら、増えたこと増えたこと」
専門化だとかスペシャリストだとか、
そういった機能が「黒い箱」に入って、
外部を遮断したら「ブラックボックス」。
「人間の生き方だとか、
はたらき方についてだって、
ずいぶんわかりにくくなっています」
「こんなむつかしい世の中に
弱音を吐くようですが、
金づちと釘みたいに
わかりやすい時代がなつかしいです」
糸井重里は弱音を吐いて、
わかりやすさを懐かしむ。
しかし、弱音など吐いてはいられない。
仕事だもの。
まずは一度でいいから、
ブラックボックスの中に入り込んで、
理解する努力をしよう。
一度でいいから。
そうすれば、次からは、
頭の中の思考回路が働いて、
ブラックボックスを
強い味方にすることができる。
将棋電王戦。
プロ棋士とコンピューターソフトが、
5対5で戦う。
今年は「FINAL」と銘打たれたが、
人間の棋士側が3勝2敗で、
初めて団体戦で勝利。
最終局は阿久津主税八段が、
わずか49分、21手で勝利。
今回はプロ棋士が、
勝負師としての本領を発揮。
コンピューターソフトの攻略法を駆使して、
勝利をもぎ取った。
阿久津八段は、
A級から陥落したばかりの精神的ショックを払拭して、
ブラックボックスの中に入り込んだ。
人間にはそれができる。
勝負師はそれを成し遂げる。
知識商人もブラックボックスを、
使い切らねばならない。
〈結城義晴〉