結城義晴のBlog[毎日更新宣言]
すべての知識商人にエブリデー・メッセージを発信します。

2015年04月30日(木曜日)

安倍首相米議会演説と似鳥昭雄「私の履歴書」最終回のremorse

2015年4月最後の日。
しかし今年も3分の1が終わった。

4月の商人舎標語は、
「世間良し、天も良し」だった。

近江商人の「三方良し」のごとく、
仕事を続けられただろうか。
「三方良し」で、
ゴールデンウィークの準備を、
整えることができただろうか。

出来たとしても、
できなかったとしても、
まだまだ、遅くはない。

ホップ・ステップ、そして、
最後のジャンプが残っている。

訪米中の安倍晋三首相。
アメリカ合衆国議会に出席。
その上下両院合同会議で、
日本の首相として初めて演説。

英語で約45分。
その中のキーワードは、
“deep remorse over the war”

戦後70年を経た今、
「あの戦争への深い反省」とでも訳す。

日経新聞ワシントン特派員の芦塚智子さん。
安倍首相の英語表現を整理した。
「remorse」と「repentance」を、
使い分けた、と。

「remorse」は「反省」、
「repentance」は「悔悟」、
と、外務省は訳す。

どちらも、「regret(後悔、遺憾)」よりも、
謝罪のニュアンスが強いが、
「remorse」よりも、
「repentance」が強い。

regret<remorse<repentanceか。

問題の1995年当時の「村山談話」にも、
実は「deep remorse」が使われた。

しかし今回、真珠湾攻撃などには、
「deep repentance」が選ばれた。

アジアには「remorse」、
アメリカには「repentance」。
そして村山談話と同じ。

ほどよいさじ加減で、
英語通だった故宮沢喜一元総理も、
納得してくれるだろう。

一方、バラク・オバマ大統領。
ホワイトハウスの夕食会で一句。
春緑 日米友好 和やかに
Spring,green and friendship
United States and Japan
Nagoyaka ni.

昨日のブログの昭和天皇の短歌には、
比べようもないけれど、
それでもこのセンス、実にいい。

さて、日経新聞の巻頭コラム『春秋』
酒の安売り規制法案。
自民党の議員立法について、チクリ。
「買うのは町の酒販店より
安いスーパーや量販店、
あるいはネット通販という時代」

これは業種店の「酒販店」と、
業種発想の「量販店」の構図の中から、
ものを考え、ものを決めている。

かつての町の酒販店の値段で、
ビールやワインや清酒を買わされたのでは、
消費者はたまったものではない。

「安売りをやめさせるために
新たな基準をつくり、
守らない業者の名を公表したり
罰金を科したり、
最後には免許取り消しに――」
なんだか「スーパーや量販店」が、
いじめに遭っているようだ。

安倍首相が演説でremorseした戦時中の、
「統制経済」の言葉を思い出す。

そして、
「消費者利益は二の次の業界対策」

「こうまでして酒販店を保護しても、
客足が戻るのかどうか」

戻りはしない。

さてさて、4月の終わりに、
日経新聞『私の履歴書』
似鳥昭雄の巻も最終回。
ニトリホールディングス社長の、
大反響連載だった。

最終回は故渥美俊一先生への感謝に終始した。

その中で渥美先生の指導。
1989年、バブル崩壊前に、
「株式の扱いについて相談」した。

「必ずもめるから、株式公開前に
新しい会社を作れ」
これは会社が成長した段階での、
親族との相続問題の話。

事実、似鳥さんも、
札幌地裁の第二審までもつれて、
それでもなんとか和解。

渥美先生の指導を聞かなかったことを、
「一生の不覚だ」とremorse。

そして述懐する。

「渥美先生なしでは
私の成功はなかった」
IMG_5664

15年2月期連結売上高は4172億円、
経常利益680億円、
時価総額は1兆円超。

しかし似鳥さん自身が、
連載の中で語ったように、
渥美先生の指導は、
「成功するか失敗するか、
二つに一つだった」

そして似鳥さんは、
見事に成功の側に回った。

その秘訣は、どうやら、
何度も「一生の不覚」を負ってしまっても、
そこから立ち直る反骨精神にあるようだ。

そしてその原動力は、
この連載でも異彩を放っていた、
似鳥昭雄の子供時代にあった。

最後の決意表明は、
「前例のないことをやってみたい。
人生は冒険であり、
アドベンチャーだ」

連載の終わり方が、
これも似鳥さんらしくて、いい。
「品のない過去の行為に
批判があったことも承知している。
それもひっくるめて
私の半生にお付き合いいただき、
感謝するばかりだ」

私も、似鳥さんに感謝。

これまでにない、
素晴らしい『私の履歴書』だった。

日本の商業、小売業、
そしてチェーンストアの代表として、
私たちはずっと、誇りにしたい。

〈結城義晴〉

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