5月に入って、1日です。
それにしてもいい季節。
そのいい季節に、
朝、届き物。
伊藤園の江島祥仁副会長から、
今年の新茶。
伊藤園の決算は4月末日で、
今日から新年度。
その日に、看板商品の新茶が、
届けられる。
これ以上ない気分。
ありがたい。
さてゴールデンウィーク期間真っ只中。
今日は、メーデーの日。
労働者の日。
そして明日から5連休。
先々週が準備期間のホップ、
先週がステップ、
そして来週にかけての5連休がジャンプ。
最後のジャンプの瞬間という、
緊張したタイミングの時か。
その緊張感がたまらない。
5月に入ったので、
商人舎標語。
月刊『商人舎』5月号の巻頭メッセージと、
連動している。
経営品質を現場から高めよう!
長い目で見れば必ず、
消費は高度化していく。
高度化とは、まず高級化、そして個性化、
多様化、無形財化などなど。
最近のアベノミクスによる経済復活。
その恩恵に浴するからだけでなく、
人間の営みの法則として、
消費は高度化、高級化していく。
しかし消費は高度化するにも関わらず、
「高級スーパー」と呼ばれる企業群は、
その経営数値を見ても店頭を訪れても、
旗色がよろしくない。
ただしどんな世界にも例外はある。
首都圏と関西圏の2社。
西の阪急オアシス、
東の成城石井。
なぜ、彼らは好調なのか。
なぜ、ここにイノベーションが起こっているのか。
そして、なぜ、他の高級スーパーは、
芳しい成果を上げることができないのか。
ひとつには信用とブランド。
ひとつには商品。
ひとつには出店と店づくり。
そしてひとつには人材と教育。
しかしこれは、考えてみると、
小売業経営の本質そのものだ。
スーパーマーケットのマネジメント原則であり、
チェーンストアのシステム原理である。
阪食会長・千野和利は確信を述べる。
「企業を高質化していく」
成城石井社長・原昭彦は熱い。
「お客さまを信頼し続けないといけない」
高質スーパーマーケットとは、
実は「経営の高質化」なのである。
その証拠に「経営の高級化」は、
誰も口にはしない。
企業風土や企業文化が醸成され、
次々に知識商人が養成されていく。
その結果として経営の質が高められていく。
ここに高質スーパーマーケットの本質があるのだ。
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そう、5月号は、
阪食と成城石井を、
徹底的に取材し、
その共通項を探し出した。
そして極めて興味深い事実に遭遇して、
あるセオリーを発見した。
私の巻頭論文は、
ちょっと自信があります。
2011年の2月末から3月初旬。
そう、あの東日本大震災が起こる直前、
私はアメリカを訪れた。
これは先日も書いたけれど、
クォリティ&サービス型スーパーマーケットの、
研究のための研修会。
ご一緒したのは、
㈱阪食の千野和利さん、
㈱ハローデイ社長の加治敬通さん、
㈱サンシャインチェーン本部の川崎博道さん、
㈱エブリイの岡崎雅廣さん。
そうそうたるメンバー。
各社の幹部の皆さんも交えて30人弱の、
とても印象深い旅だった。
その後、東日本大震災が来て、
日本中が落ち込んでしまったけれど。
それから4年。
阪食はデフレ基調の中でも、
ずっと増収増益を果たした。
さらにこの4社の中では、
後発だったエブリイが、
追いつけ追い越せと躍進を遂げた。
もちろんハローデイも、
サンシャインチェーンも、
実力のある企業だから、
黙々と進化を遂げつつ、
この4社は連携して、
果実を手にしてきた。
その実りつつある果肉を、
月刊『商人舎』5月号は、
阪食の側面から整理した。
同時に成城石井からは、
原昭彦社長と服部吉宏商品本部長に、
たっぷり3時間も話してもらって、
こちらもすごい内容になった。
発行は5月11日。
楽しみにしていただきたい。
さて今日のDaily商人舎は、
消費増税反動減1年後の4月、
絶好調と絶不調の明暗
面白いと言っては、
絶不調組に申し訳ないが。
最後に面白い話。
『ほぼ日刊イトイ新聞』の巻頭コラム。
糸井重里さんが書く。
その昨日のメッセージ。
「ふたつにひとつ」
「サイコロを振ったときに、
特定の目が出る確率は
6分の1だということは知っている。
だから、いくら念じて振っても
例えば3の目が出る確率は
6分の1なのだ」
しかしいかにも糸井さんらしく、
発想の転換を図る。
「5の目が出るのか、出ないのか」
と、考えてみる。
「正しい確率としては、
出るが0.167で、
出ないが0.833だ」
しかししかし、
「出るか、出ないか」で考えたら、
「5の目がでることと、
5以外の目が出ることは、
『ふたつにひとつ』ということなのだ」
「その目が出るか、出ないか‥‥」
糸井さんはこれまで、
強気に言い張っていたらしい。
「ふたつにひとつの
どちらかが出るんだから、
確率2分の1だよ」
もちろんジョーク半分。
「打率3割の打者が
チャンスに打席に入ったとき、
見るのは、打つか打たないか」
「ふたつにひとつ」
「3割打者とは、
7割は凡打で退く選手のことなのに、
選手たちも、観客も、試合に関わるものは、
みんな『ふたつにひとつ』を見ている」
これは仕事についても当てはまる。
「かなり厳しい条件のなかで
スタートさせることがある。
確率をどれだけ上げて
慎重に準備したつもりでも、
冒険的に意気込みで
走り出したという場合でも、
成功するかしないかは、
『ふたつにひとつ』なのだ」
昨日までの日経新聞『私の履歴書』
まだ余韻が残っている。
似鳥昭雄さん。
ニトリホールディングス社長。
いつもいつも、
「ふたつにひとつ」で、
意思決定してきた。
大いに失敗した。
しかし最後は大きな成果を上げた。
いや、まだもっと大きな成果を、
似鳥さんは志す。
それが痛快だった。
糸井重里も言う。
「ほんとうの数字的な
確率ばかりを追っていると、
『まだやれない』とか
『リスクがある』とか判断して、
『行く』のが怖くなってしまう」
そして決めの言葉。
「『判断』をいくつしても
『決断』にはならない」
似鳥さんに捧げたんでしょうかね。
糸井さんは。
季節はいい。
新茶の季節の5月も、
決断し続けよう。
現場から経営品質を高めつつ。
〈結城義晴〉