ダラスの暑い日。
こちらはラスベガスより暑い。
摂氏29度、華氏89度。
一人、ホテルの部屋で、
新聞に目を通したり、
本を読んだり、
原稿を書いたり、
ブログをまとめたり。
ときどき、ゴルフ・スィングしたり。
日本では、
「大阪都構想」賛否を問う住民投票。
結果は橋下徹・大阪市長と維新の会の惜敗。
惜敗ではあっても
負けは負け。
大新聞が揃って、
巻頭コラムで取り上げた。
朝日新聞の『天声人語』
いきなり、「びっくりした」。
橋下徹の発言に。
「民主主義は素晴らしい」
「口にした言葉そのものには賛意」
しかし「民主主義は確かに
優れた仕組みだが、
やりようによっては大いに危なっかしい」
「民主主義の取り扱いには注意が要る。
そのことを橋下氏の政治手法は
如実に示した」
「氏にアクセルはあっても、
ブレーキを 欠いていたというべきか。
スピード感も大切だろうが、
時に減速して時間をかける知恵も
政治には必要だ」
結論はつまらない。
日経新聞の『春秋』
「引退を即決した姿勢は潔い。
戦ってきた経歴への誇りも保てよう」
こちらも、但し書き付き。
「『政治は僕の人生からは終了』との
笑顔での物言いは、
賛否を考え抜き投票した人たちに
寄り添ってはいない」
笑顔での物言いは、
橋下特有の悔しさの表現だと、
私は見ている。
「残る半年余の任期、
市民と市政の現状に関し
対話を重ねてはどうか。
住民投票で培われた土壌に
きっと何かが芽生える」
それはないだろう。
私の予測。
毎日新聞『余録』
「劇場国家ならぬ選挙劇場というべきか」
「主役兼エキストラ兼観客だった大阪市民は
結局のところこの興行に見切りをつけた。
市民に残されたのは大阪再生という
当初から変わらない課題である」
これがつまらないけれど、
妥当な見方だろう。
糸井重里の『ほぼ日』巻頭言。
ある村に一人の旅人がやってきた。
○「やぁやぁ、初めまして。
わたしはあっちの村から
やってきたんですけどね、
この村は暮らしやすい村だと聞きまして‥‥」
△「あっちの村は暮らしやすかったかね?」
○「はい。とても。
みんなやさしかったですし」
△「そうかそうか。
だったら、この村も暮らしやすいよ。
しかも、村人はみんなやさしいと思うよ」
しばらくして別の旅人がやってきた。
●「あっちの村からきたんだが、
この村は暮らしやすい村だろうかね?」
△「あっちの村は暮らしやすかったかね?」
●「最悪でしたよ。
みんなツンケンして不親切で、
ろくなことがないから
逃げてきたようなもんだ」
△「ああ、そうかね。
だったら、この村も最悪だよ」
民主主義とは、
こんな共同体と人々との、
あり方をベースにしている。
独裁者や多数派の専横は、
長く続けるものではない。
ダラスの暑い日。
夕方、ちょっと涼しくなってから、
出かけた。
ホールフーズ。
1500坪ほどの中型店で、
ローコストオペレーション志向。
すこぶる面白い。
トレーダー・ジョー。
こちらも新店。
進化している。
素晴らしい。
そしてザ・フレッシュ・マーケット。
ホールフーズ、トレーダー・ジョーと比較。
それはちょっと可哀想だが、
ユニークな店づくり。
それは素晴らしい。
アウトドア商品の専門店チェーン。
FORTUNE「働きがいのある企業順位」で、
2015年度58位、2014年度69位。
店員の応対やホスピタリティだけでなく、
そのストアコンセプトとアソートメントが、
働きがいに直結している。
それが素晴らしい。
ダラスの小売業に感動しつつ、
ダラス・フォートワース国際空港へ。
夕方、平和堂2015米国研修団到着。
今回も総勢42名。
私と五十嵐ゆう子さんを入れて、
44名でダラスからサンフランシスコを巡る。
到着後、すぐにリムジンバスで、
ホテルに向かうが、
その途中、セブン-イレブンに立ち寄った。
水、ビール、スナックなど、
買物のため。
44名がどっと押し寄せると、
店員が大喜び。
写真も「いくらでもどうぞ」と言ってくれた。
そこでみんな、また大量購入。
水はプライベートブランド24個入り。
2パックで9ドル、1パック4ドル99セント。
アイスクリームや冷凍食品。
入口のエンドには、
新アイテムのスナック。
レジ前には、ピザ、フライドチキンなど。
そしてグリルメニュー。
レジの対面には、
日本でもスタートしたドーナツ。
これらはみな、
ファストフードとして大チェーンがある。
その売れ筋をラインロビングして、
セブン-イレブンなりの美味しさ、
便利さを提供する。
生鮮食品・デリも随分、充実してきた。
楕円形のレジの裏側には、
コーヒー売場。
品揃えも多彩。
日本のコンビニのコーヒーは1アイテム。
こちらはマルチ・アソートメント。
日本でもコンビニのコーヒーは、
やがてこの方向に行くだろう。
そしてセブン銀行はないけれど、
シティバンクのATM。
団員は喜んで買物した。
アメリカに到着したばかりの時点で、
日本でも馴染みのセブン-イレブンでの買物。
わかりやすくて、便利。
値頃を知り、税金を知り、
店員とのやりとり・交流。
到着直後は、セブン-イレブンがおすすめ。
店員も、ご覧のように、
異常値販売に大満足。
かつてアメリカのコンビニは、
ビールとコーラとタバコの店に、
成り下がってしまった。
そこでセブン-イレブンも、
ローソン、サークルKも、
実質的な倒産状態に陥った。
セブン-イレブンのサウスランド社は、
日本のイトーヨーカ堂に救済され、
それでも長い年月がかかって、
ここまでイノベーションが進んだ。
日本の経営技術の優位性を、
アメリカに、そして世界に知らしめた。
そんな功績がある。
そして宿舎へ。
ハイアット・ハウス。
キッチン付きホテル。
これから2015平和堂アメリカ研修が、
始まる。
ダラスのセブン-イレブンのイノベーションに、
負けてはいられない。
(つづきます)
〈結城義晴〉