結城義晴のBlog[毎日更新宣言]
すべての知識商人にエブリデー・メッセージを発信します。

2015年06月20日(土曜日)

スペインのカルフール、ハイパーマーケットの混迷

昨日は「桜桃忌」。
太宰治の忌日。

1948年6月13日、
太宰は愛人の山崎富栄と、
玉川上水に入水自殺した。
38歳。

遺体が上がったのは6日後、
つまり6月19日。

この日は、太宰の誕生日だった。

そこでこの日を「桜桃忌」とした。

太宰は新戯作派・無頼派の作家。
私も20代までは無頼派を気取った。
今は見る影もないけれど。

多分、この桜桃忌に合わせたのだろうが、
谷崎潤一郎の新しい書簡が見つかった。
友人の佐藤春夫宛の2通。
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文学の巨匠となると、
手紙まで価値が出る。

原稿用紙に筆で手紙を書く。
大谷崎らしい。

1933年、『春琴抄』執筆中のもので、
谷崎は当時、46歳。

「物の哀れを感ずることも更に深し、
これ青年時代の恋愛と異なる処也」
これは『春琴抄』のモデルで、
後に三番目の妻となる松子に対するもの。

松子は当時、大阪・船場の商人の妻。

その船場の商家の
「崩壊を手伝ふ結果となる也、
これ実に心苦しき事」

しかしそれをバネにして、
創作に取り組む。
「喜ぶべき事ハ(中略)創作熱は
頗る旺盛なること(中略)
殆んど無限に書きたき事あり」

凄い。

さてバルセロナ報告。
スペインのカルフール。
DSCN3525-5
スペインではシェア第2の小売業。

バルセロナ郊外のショッピングセンターに入居。DSCN3528-5

カルフールの世界年商は747億ユーロ。
140円換算で10兆4580億円。
店舗数は1万0860。

しかしここ数年は売上げ減らし続けている。
その理由は海外店舗の閉鎖、撤退。

しかしスペインでは、
メルカドーナ、エルコルテ・イングレスに続いて、
第3位。

カルフールは1999年に、
フランスのプロモデスと合併して、
世界第2、ヨーロッパ第1の小売業となった。

そのプロモデスが1976年に、
スペインに進出していた。

スペイン国内では、4つのフォーマットを展開。
ハイパーマーケットのCarrefour174店、
スーパーマーケットのCarrefour Market、
エクスプレスストアのCarrefour Express、
合わせて123店。
そして都市型小型店のCarrefour City285店。

この店は一番得意なハイパーマーケット。

1階が食品売り場で、
いきなり青果部門から始まる。DSCN3479-5

プレゼンテーションも現代的で、
通常のハイパーとは異なる。DSCN3480ー4

鮮魚は氷敷のモダンなセンス。DSCN3483-5

精肉も対面売り場方式で、
フランスのエスプリを感じさせる。
DSCN3485-5

カルフールは最近、
アップスケールを試みている。
リーチインケースは最新式。DSCN3487-5

しかし逆に、ハイパーのパワーが失せた。DSCN3492-5

ワイン売り場もオーシャンとは対照的。DSCN3496-5

しかしコカ・コーラ売り場は、
圧巻に陳列。
DSCN3500-5
まるで大陳コンテストに参加しているようだ。

しかし2個買えば、
70%引きのバンドルセール。
DSCN3497-5

そして食品の脇に化粧品売り場がある。DSCN3494-5
メルカドーナはスーパーマーケットだが、
必ず化粧品売り場を併設する。

それと同じ考え方。

スロープを上がって2階。
DSCN3507ー5

すぐに家電売り場で、
天井を低くしてやや暗めの照明。
DSCN3504-5

家電以外のノンフーズは、
ハイパーマーケットらしい天井の高さ、
ボリューム陳列。
DSCN3506-5

衣料品はオーシャンよりも、
ちょっとグレード感がある。DSCN3510-5

プレゼンテーションにも工夫が凝らされている。
DSCN3518-5

フルライン構成の品揃えで、
ベッドまで売られている。DSCN3520-5

しかし顧客の顔は見当たらず、
2階売り場も2ユニット70%引きのパネル。DSCN3513-5

スペインでアップスケールを目指したカルフール。
アップスケールが単なる高価格化にしかなっていない。DSCN3474-5
それが、残念ながらまだ、
バルセロナの顧客に受け入れられてはいない。

日本の総合スーパーにも、
同じ現象が見られる。

オーシャンのように、
割り切ってハイパーの広さを強調し、
総合品揃えの便利さと、
大量販売低価格に徹するのが、
不況の中に喘ぐスペインにふさわしいのか。

それともカルフールのように、
アップスケールを志向するのか。

悩みは深い。

カルフールタイプを目指すならば、
思い切ってノーマル百貨店まで、
グレードを上げる。
それをギリギリまで安く売って、
ディスカウントデパートメントストアを試みる。

スパインのカルフールに関しては、
よく見えてくるから不思議。

日本の総合スーパーを見ていると、
なかなか割り切った判断はできない。

これもスペイン視察のご利益かも知れない。

〈結城義晴〉

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