結城義晴のBlog[毎日更新宣言]
すべての知識商人にエブリデー・メッセージを発信します。

2015年06月23日(火曜日)

サンチョ・パンサの「雄蜂」と車内販売の「非定番非必需品」

太平洋戦争沖縄戦から、
今日で70年。

草引いて煩悩消ゆることのなく
〈日経俳壇 いわき市・中田昇〉
「草引く」は雑草を刈り取ること。

大新聞揃って巻頭コラムで、
このテーマを取り上げた。

中で毎日新聞『余録』がいい。
外間守善(ほかま・しゅぜん)さん。
3年前に亡くなった沖縄学の第一人者。
その琉歌。

「国守らと思て 
散り果てしあはれ 
鎮魂の願い 
肝に染めら」
「国まぶらとおもいて 

ちりはてしあはれ 
しずたまのにがい 
ちむにすめら」

森の気のしんとしづまり水芭蕉
〈日経俳壇 八戸・星野佑美〉

日経オンラインの経営者ブログ。
IIJ会長の鈴木幸一さん。
日本のインターネットサービスの草分け。
タイトルは、
「コロッケパンとドン・キホーテと」

ディスカウンターのドンキで、
コロッケパンを買って食べたのかと思ったら、
違った。

しかし溜池の小さなパン屋で、
好物のコロッケパンを購入。
それを食べて、満足気。

折しも国会議事堂の前には、
「戦争法ハンターイ」を、
マイクで叫ぶデモ隊の声。

その声を聞きながら、
しばし、思う。

「安全保障関連法案については、
憲法違反だといういつもの根拠に始まり、
世論調査などでも反対の数が多い」

鈴木さんの意見。
「憲法の精神とは別に、
莫大な費用のかかる軍事力の傘を、
だれかが、自国のための国家戦略としてであれ、
提供し続けたがゆえに、
日本の平和があったといってもいい」

もちろん沖縄の人々の献身や犠牲もあった。

「戦争と平和というのは裏表の関係にあり、
『戦争ハンターイ』とだけ叫ぶ声には、
虚しい響きだけが残る」

それからドン・キホーテ。

「わしの考えは、この島から
きたねえものを残らず掃き出してちまおう、
浮浪者、怠け者、やくざ者といったやつらを
掃きだしちまおうちゅうものでがす」

キホーテの従者サンチョ・パンサの言葉。

「なぜかっていや。
わしの友達のお前さんたちに、
この社会でぶらぶらして何もしねえ、
怠け者の連中は、
蜜蜂の巣の中の雄蜂とおんなじだちゅうことを、
知ってもらいてえからでがす。
なにしろ雄蜂ってやつらは、
働き蜂のこしらえる蜜をただ食うだけでな」
(「ドン・キホーテ後編49章」)

鈴木さんはブログで、
サンチョ・パンサの素朴な言葉に、
「真実の響き」を認める。

今日は午後から、
東京・浜松町。

貿易センタービル38階。
ベイエリア一望。
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真下に旧芝離宮恩賜庭園。DSCN4161-5

都心は高層ビル群。
DSCN0001-5

カスタマー・コミュニケーションズ㈱、
第15期定時株主総会。DSCN4159-5
粛々と進行して、
15期の事業報告、決議事項は、
全て賛成・承認された。

その後の取締役会で、
引き続き、米倉裕之さんが、
代表取締役社長に選任された。
常勤取締役の石井賢治さんとの、
二人三脚は変わらない。

私も引き続き、非常勤取締役。

この会社には、
FSPとCRMの最先端企業として、
日本の流通消費産業を牽引する責任がある。

第16期は飛躍の年、
そして実行の年。

大いに期待したい。

さて、日経新聞「トレンドリサーチ」。
タイトルは、
「車内販売、あえて非必需品」

「新幹線や特急列車に欠かせない車内販売」。
少しずつ変容している。

かつては「軽食や飲料が中心」。
いまは、「ハンカチや化粧水など」。
あえて「必要でないもの」を売る。
なかには数千円の商品も登場。

どう考えるか。

山陽新幹線さくら551号。
折り畳むとフグの形になる、
「ふくハンカチ」
1300円也。
山口県萩市の大漁旗メーカーが、
車内販売のために製造。

この日から「ハシル日本市ワゴン」が始まった。
JR西日本フードサービスネットなどが手がける。

重要なポイント。
「3カ月ごとに様々な地域の商品を販売」。
もっと高頻度で良い。

スタートして8月下旬までは山口県。

例えば柳井市の伝統織物
「柳井縞 名刺入れ」7000円也。

山陽新幹線の車内販売用のワゴンは、
全部で約200台。
その中にワゴン自体を、
カラフルな大漁旗でラッピングしたもの、
20台限定。

「フロートナツミカネード」
350円也。
乗客の目の前で、
山口県名産の夏ミカンのシロップに氷を入れ、
炭酸水で割って提供する。
ライブ販売とフレッシュさ。

小田急ロマンスカー。
スイーツ店「パレタス」のアイスキャンディ。
500円也。
「1日100本以上は売れる」

JR西日本は、
駅ナカの販売力充実で、
社内では通常の商品が、
売れなくなったと分析。

だから、非必需品のライブ販売。

しかしこれは、
アメリカでは定石。

定番はステープル、
非定番はシーゾナル。

ステープルはどこの店でも売る。
競争も激しいし、
従ってコモディティ化しやすい。

それに変化をつけるのが、
シーゾナル。

これは渥美俊一先生の定義だが、
シーゾナルは「非定番の必需品」。

私はもう少し広げて、
非定番の必需品を基本にしつつ、
非定番の非必需品も、
組み入れていいと考える。

もちろん「期間限定売り切れ御免」。
JR西日本の3カ月と同じ考え方。

ステープルとシーゾナル。

消費社会のいたるところで、
新しい現象が起こっている。

それをサンチョ・パンサのごとく、
「真実の響き」と捉えて、
見定めていきたい。

〈結城義晴〉

[追伸]
昨日のブログでも告知したけれど、
㈱商人舎の社員募集!
月刊『商人舎』の編集スタッフ、
若干名、公募中。

小売りサービス業にロマンを感じ、
商人舎の活動に賛同してくれる人、
老若男女を問わず。

チームで仕事ができる人、
知識商人の資質を備え、明朗な人、
結城義晴と一緒に仕事してみたい人、
かつ編集経験があればなお、ありがたい。

ご希望の方は、
ゼネラルマネジャー亀谷しづえまで、
ご連絡いただきたい。
●連絡先
TEL: 045-350-6651
E-mail: info@shoninsha.co.jp

2015年06月22日(月曜日)

夏至の日の「私の好きな人」と㈱商人舎、初の編集スタッフ募集!!

Everybody! Good Monday!
[2015vol25]

2015年も第26週。
1年間が52週だから、
今週末で半分が過ぎる。

この半年間は、あなたにとって、
充実した日々だっただろうか。

私は懸案事項が随分残っているが、
それでも充実していた。

昨年3月末で、
立教大学大学院教授職を辞して、
この1年ほどはさらに忙しくなった。

まだまだこの忙しさには、
耐えられる。

頑張ります。

と、気張ってみたが、
今日は夏至。

1年で昼間が一番長い日。
ということは今週が、
1年で一番昼が長い週となる。

なんとなく、ワクワクする。
銀杏の木も、
太陽を浴びて元気そう。
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商人舎magazineの、
日替わり連載は、
月曜朝一・2週間販促企画。

2週間ごとに、
重ね合わせるように発想する。
それが大事だ。

今日のDaily商人舎のニュース。
5月の百貨店売上高は
訪日客246%増で前年比6.3%増

韓国のMERSコロナウィルスは、
やや沈静化気味だろうか。
しかしその分、中国人が日本を訪れる。
アジアからも顧客が増える。

一種の日本ブーム。

それが衰退業態・百貨店の商圏を、
飛躍的に拡大した。

これは日本の消費を牽引してくれる。

それから今週は、
3月期決算の上場企業で、
一番株主総会が多い週。

私の今週のスケジュール。
今日は、午後から、
ワンアジア財団の評議員会・理事会。
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一般財団法人の株主総会のようなもの。

アジアを中心に欧米やアフリカまで、
21の国・地域の195の大学に、
アジア共同体論の講座が開設された。
関わる教授・講師陣は約3000人、
講座に参加した学生数は約2万7000人。
奨学金を受けた奨学生は3600名。

準備中の大学も凄い。

イギリスではケンブリッジ大学、
イタリアではローマ大学サピエンツァ校、
米国では南カリフォルニア大学、
ポーランドはワルシャワ大学。

私ももうちょっと時間があれば、
財団の活動に参加してみたいところだ。

明日は、株主総会。
カスタマー・コミュニケーションズ㈱。
私はいま流行りの社外取締役。
もう7年もこの役を務めている。
そしてこのベンチャー企業、
成長に次ぐ成長。
楽しみです。

そして水曜日は大阪に飛んで、
万代ドライデイリー会の総会。
ヨーロッパの帰国報告講演をする。

そして木曜日は、静岡。
ロック・フィールド静岡ファクトリーを訪問。

そして金曜日からは、
月刊『商人舎』7月号の入稿仕事。

もうひとり結城義晴が欲しいところ。

さて報告ばかりで恐縮だが、
今日はお知らせとお願いを3つ。

第1は、商人舎「ミドルマネジメント研修会」。
7月14日(火)~16日(木)
2泊3日での缶詰セミナー。
場所は湯河原の温泉研修ホテル

ドラッカーマネジメントをベースに、
中堅幹部を育成する。

今回もすでに申込者80名を超えたが、
まだまだ枠は十分ある。

常連企業が多くて、
しかもその常連企業の業績は上々。
嬉しい限り。

初参加の企業はまず、
人事部や教育担当が自ら参加して、
研修会の中身を確認して欲しいところだ。

もちろんメーカー、卸売業からの参加も多い。

ぜひともお申込みを。
詳細はコチラ

第2は秋の海外研修ツアーの第一弾、
「ハワイ・ビギナーズコース」開催の予告。
9月3日(木)~7日(月)3泊5日の集中ツアー。

初めて海外視察をする人も安心のハワイ。
ウォルマート、ターゲット、セーフウェイ、
そしてホールフーズなどなど見所は満載。

アメリカ小売業のベスト10で、
クローガーだけがハワイにない。
あとの企業は全て、
ハワイで学ぶことが出来る。

残念ながらトレーダー・ジョーはない。
ウェグマンズもないし、
HEBもない。

しかしホールフーズはある。

そのうえ、テーマは、
ドキドキ・ワクワク・ニコニコ!

JTBからはカリスマ添乗員の佐藤公彦さんが、
特別添乗&特別講義。

パートタイマー・若手社員の報奨ツアー、
新入社員やその候補者の入門研修としても、
最適。

日程は9月3日(木)~7日(月)。
詳細はコチラ!

最後に第3は、
㈱商人舎の社員募集!
月刊『商人舎』の編集スタッフを、
初めてのことだが、
若干名、公募採用する。

小売りサービス業にロマンを感じ、
商人舎の活動に賛同してくれる人、
老若男女を問わず。

チームで仕事ができる人、
知識商人の資質を備え、明朗な人、
結城義晴と一緒に仕事してみたい人、
かつ編集経験があればなお、よろしい。

ご希望の方は、
ゼネラルマネジャー亀谷しづえまで、
ご連絡いただきたい。
●連絡先
TEL: 045-350-6651
E-mail: info@shoninsha.co.jp

そして今日の最後の最後に、
私の好きな人
〈結城義晴著『message』より〉

笑顔の人。
はっきりとした人。
晴れやかな人。

機敏な人。
元気な人。
清潔な人。

素直な人。
明るい人。
意欲ある人。

勇気ある人。
正義の人。
まっ正直な人。

優しい人。
耐える人。
辛抱強い人。

   太っていても、やせていても。
   大きくても、小さくても。
   若くても、老いていても。

   男でも、女でも。
   日本人でも、外国人でも。
   豊かでも、貧しくても。

心の力を持つ人。
頭の力のある人。
言葉の力を有する人。

私の好きな人。
ほんものの商人。
素晴らしい人間。

では、みなさん、
今週も、
Good Monday!

〈結城義晴〉

2015年06月21日(日曜日)

ジジと雨の父の日[日曜版2015vol25]

ジジです。
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空をみあげる。
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きょうは雨らしい。
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だから、いちにち、
ねてます。
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おとうさんも、
どこにもでかけないし。
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でも、ボクは、雨のにおい、
すきなんです。
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だから外のにおいをかぐ。    IMG_2753-5

ベランダの雨と草花。
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なかなか、いい。
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ねえ、おとうさん。
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影もきれいです。
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ほらね。
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でも、きょうは、
父の日でもあります。
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ボクには、おとうさんと、
とうさんがいます。
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とうさんは、ジンジャー。
090622-父と3兄妹
とうさんのおなかのところ、
ボクがいます。

ボクはとうさんから、
なまえをもらいました。

ジンジャーのむすこだから、
ジジ。

でも、ちいさいときに、
おわかれした。

とうさん、ありがとう。
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それからニンゲンのおとうさん。
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ユウキヨシハルさん。
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そのおとうさんに、
プレゼント。
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ありがとう。
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そして、だっこ。
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でも、おとうさんがうちにいる日も、
すぐに、おわり。
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また、あしたから、
おしごと。

おとうさん、
からだにきをつけて。
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いつまでも、
元気でいてください。

〈『ジジの気分』(未刊)より〉

2015年06月20日(土曜日)

スペインのカルフール、ハイパーマーケットの混迷

昨日は「桜桃忌」。
太宰治の忌日。

1948年6月13日、
太宰は愛人の山崎富栄と、
玉川上水に入水自殺した。
38歳。

遺体が上がったのは6日後、
つまり6月19日。

この日は、太宰の誕生日だった。

そこでこの日を「桜桃忌」とした。

太宰は新戯作派・無頼派の作家。
私も20代までは無頼派を気取った。
今は見る影もないけれど。

多分、この桜桃忌に合わせたのだろうが、
谷崎潤一郎の新しい書簡が見つかった。
友人の佐藤春夫宛の2通。
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文学の巨匠となると、
手紙まで価値が出る。

原稿用紙に筆で手紙を書く。
大谷崎らしい。

1933年、『春琴抄』執筆中のもので、
谷崎は当時、46歳。

「物の哀れを感ずることも更に深し、
これ青年時代の恋愛と異なる処也」
これは『春琴抄』のモデルで、
後に三番目の妻となる松子に対するもの。

松子は当時、大阪・船場の商人の妻。

その船場の商家の
「崩壊を手伝ふ結果となる也、
これ実に心苦しき事」

しかしそれをバネにして、
創作に取り組む。
「喜ぶべき事ハ(中略)創作熱は
頗る旺盛なること(中略)
殆んど無限に書きたき事あり」

凄い。

さてバルセロナ報告。
スペインのカルフール。
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スペインではシェア第2の小売業。

バルセロナ郊外のショッピングセンターに入居。DSCN3528-5

カルフールの世界年商は747億ユーロ。
140円換算で10兆4580億円。
店舗数は1万0860。

しかしここ数年は売上げ減らし続けている。
その理由は海外店舗の閉鎖、撤退。

しかしスペインでは、
メルカドーナ、エルコルテ・イングレスに続いて、
第3位。

カルフールは1999年に、
フランスのプロモデスと合併して、
世界第2、ヨーロッパ第1の小売業となった。

そのプロモデスが1976年に、
スペインに進出していた。

スペイン国内では、4つのフォーマットを展開。
ハイパーマーケットのCarrefour174店、
スーパーマーケットのCarrefour Market、
エクスプレスストアのCarrefour Express、
合わせて123店。
そして都市型小型店のCarrefour City285店。

この店は一番得意なハイパーマーケット。

1階が食品売り場で、
いきなり青果部門から始まる。DSCN3479-5

プレゼンテーションも現代的で、
通常のハイパーとは異なる。DSCN3480ー4

鮮魚は氷敷のモダンなセンス。DSCN3483-5

精肉も対面売り場方式で、
フランスのエスプリを感じさせる。
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カルフールは最近、
アップスケールを試みている。
リーチインケースは最新式。DSCN3487-5

しかし逆に、ハイパーのパワーが失せた。DSCN3492-5

ワイン売り場もオーシャンとは対照的。DSCN3496-5

しかしコカ・コーラ売り場は、
圧巻に陳列。
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まるで大陳コンテストに参加しているようだ。

しかし2個買えば、
70%引きのバンドルセール。
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そして食品の脇に化粧品売り場がある。DSCN3494-5
メルカドーナはスーパーマーケットだが、
必ず化粧品売り場を併設する。

それと同じ考え方。

スロープを上がって2階。
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すぐに家電売り場で、
天井を低くしてやや暗めの照明。
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家電以外のノンフーズは、
ハイパーマーケットらしい天井の高さ、
ボリューム陳列。
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衣料品はオーシャンよりも、
ちょっとグレード感がある。DSCN3510-5

プレゼンテーションにも工夫が凝らされている。
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フルライン構成の品揃えで、
ベッドまで売られている。DSCN3520-5

しかし顧客の顔は見当たらず、
2階売り場も2ユニット70%引きのパネル。DSCN3513-5

スペインでアップスケールを目指したカルフール。
アップスケールが単なる高価格化にしかなっていない。DSCN3474-5
それが、残念ながらまだ、
バルセロナの顧客に受け入れられてはいない。

日本の総合スーパーにも、
同じ現象が見られる。

オーシャンのように、
割り切ってハイパーの広さを強調し、
総合品揃えの便利さと、
大量販売低価格に徹するのが、
不況の中に喘ぐスペインにふさわしいのか。

それともカルフールのように、
アップスケールを志向するのか。

悩みは深い。

カルフールタイプを目指すならば、
思い切ってノーマル百貨店まで、
グレードを上げる。
それをギリギリまで安く売って、
ディスカウントデパートメントストアを試みる。

スパインのカルフールに関しては、
よく見えてくるから不思議。

日本の総合スーパーを見ていると、
なかなか割り切った判断はできない。

これもスペイン視察のご利益かも知れない。

〈結城義晴〉

2015年06月19日(金曜日)

十人一色・十人十色・一人十色と「とんがり★こだわり」

梅雨の合間の金曜日。

朝から商人舎magazineのWeb会議。DSCN4098-5

毎回、詳細な分析、
活発な論議と有益な提案。DSCN4100-5
右からWebデザイナーの田中翔太君、
Webコンサルタント猪股信悟さん、
商人舎編集スタッフ鈴木綾子、
そしてプラージュのSE谷ツ田一成君。

その後、東京・池尻大橋へ。
東邦大学付属大橋病院。
富田剛司教授が私の主治医。
眼圧は右が15、左が16。
右目が悪いから、
ちょっと異変。

それでも悪くはない。
次は11月の検査と診察。
頑張ります。

会社に戻って、
商人舎magazineのデイリー商人舎執筆。
ターゲットの店内薬局1660店が
CVSヘルスに売却され両者の協業進む
アメリカで話題の戦略同盟。
私はウォルマートとウォルグリーンをWW、
CVSヘルスとターゲットをCTと命名。

CTが一太刀ウォルグリーンに斬りつけ、
返す刀でウォルマートを斬る。

Fortune500では、
ウォルマートは世界第一の企業、
当然、小売業第一。

CVSヘルスは世界大2位の小売業。
世界35位企業。

ターゲットは世界第9位小売業、
世界116位企業。

そしてウォルグリーンは世界第10位小売業、
世界第117位企業。
そのうえ、アライアンスブーツを傘下に収めて、
年商1000億ドルを超える。

凄い協業が進んでいる。

さて今週の日経新聞が『企業欄』で、
先読みビジネス天気を連載している。
第1回が工作機械。
タイトルは「内需堅調で受注高水準」
第2回が住宅。
「マンション需要、都心集中」
第3回が石油。
「原油安一服、苦境脱す」

そして今日の第4回が食品スーパー。
タイトルは「節約志向の受け皿に」

タイトルの流れを見ているだけで、
好況が続いていることが分かる。

そして食品スーパーマーケットが、
コンビニや総合スーパー、百貨店に代わって、
経済の天気予報に抜擢される。

やっと日の目を見る存在になってきた。

その記事内容は、
「食品スーパーの販売が好調だ」

「業界3団体によると」と始まるが、
これは日本スーパーマーケット協会、
新日本スーパーマーケット協会、
オール日本スーパーマーケット協会。

ひとつになったらいいのに。

その4月の既存店売上高は、
前年同月比6.3%増。

この1年で落ち込んだのは3月だけ。
昨年3月は消費増税駆け込み特需の月。

牽引役は総菜と生鮮食品。

しかし一方で、「消費者の節約志向」も、
この業態の好調の理由としてあげられている。

アクシアルリテイリング原和彦社長。
「消費者の財布のひもは緩んでおらず、
相対的に値段が高い外食やコンビニから
顧客が流れ込んでいる」

西友の上垣内猛最高経営責任者。
「増税後の節約意識はまだ根強い」

これ、私も賛成。

ライフコーポレーションの岩崎高治社長。
「賃金改善の効果がみえてきた」

しかし地方企業の声は、
「まだ効果を実感できていない」

人件費や物流費といった経営コストの上昇、
円安や原材料費の高騰、加工食品の値上げ。

いわゆる六重苦。

だから平和堂の夏原平和社長。
「無駄な安売りはしない」

その値上げに対して、サミット。
常務の服部哲也さんだろうか、
広報マネジャー中村聖さんだろうか、
「今のところ、値上げ後の売れ行きに
大きな変化はない」

ニュース一言では、
いなげやの成瀬直人社長。
「消費増税の影響は今のところ実感がない」

「単価は高くても手間をかけた商品が
受け入れられるようになってきた」

「せっかく作るなら新しい料理を楽しもう」

「多くの主婦がレシピサイトを参考に
料理をするようになった」

スマートフォンを見ながら、
買物する顧客が増えた。
だから「初めての食材や少し高い商品」にも、
手を伸ばしている。

節約志向の顧客。
情報感度を高めた消費者。

どちらも正しい観察。

どちらの顧客もいる。
さらに一人の顧客が、
場合によって両方の性向をもつ。

ヤオコー会長の川野幸夫さん。
「十人一色から十人十色、
そして一人十色へ」

まさにそれだ。

だからアクシアル、西友、
ライフコーポレーション、平和堂、
サミット、いなげや、
そしてヤオコー。

それぞれの見方。
それぞれの政策。
それぞれの成果。

これがコンテスト型競争時代の、
ポジショニング戦略。

今年初めの〈Message of January〉
そしてこれが今年の商人舎標語。
とんがり★こだわり

レッド・オーシャンの血みどろ闘争から、
ブルー・オーシャンのしなやかな生き方へ、
思考回路を変えるとき。

レース型競争から、
コンテスト型競争へ、
モノの考え方を転換するとき。

それが、
新しい年だ。
2015年だ。

小売業の六重苦は、
さらに企業経営を逼迫させる。
店舗運営を追い詰める。

市場縮小。
競争激化。
人手不足。

原料費高騰。
建設費上昇。
電気代まで跳ね上がる。

売上げ要因とコスト要因の深刻化。
どちらも特別のイノベーションによってしか、
切り抜けることはできない。

そしてそのイノベーションの方向は、
アウトスタンディングな
ポジショニングの確立しかない。

際立つ存在意義。
抜きん出たレゾンデートル。
稀少性と模倣困難性。

「アウトスタンディング」は、
わかりやすく言えば、
「とんがり」。

「ポジショニング」は、
ごく有り体に言えば、
「こだわり」。

だから、
アウトスタンディングなポジショニングは、
とんがり★こだわり。

とんがれ、
こだわれ。
自分らしくあれ。

それがコンテスト型競争により良く生き残り、
ブルー・オーシャンを切り開く、
2015年の志のあり方である。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
半年が経過して、
あらためて今年初めのmessageが、
意味を持ってくる。

〈結城義晴〉

2015年06月18日(木曜日)

Hard Day’s Nightsと星野佳路「社員第一・顧客第二」

横浜の梅雨。

晴れ間が見えたり、
突然、スコールのような雨が降ったり。

例年とは異なる。
DSCN4093-5

しかし私はこのところ、
Hard Day’s Nights。

It’s been a hard day’s night
And I’ve been working like a dog
It’s been a hard day’s night
And I should be sleeping like a logDSCN4096-5
曲のタイトルは「A Hard Day’s Night」

もちろん、Beatles。DSCN4094-5

「A Hard Day’s Night」
変な言い回し。

リンゴ・スターが、
忙しい一日の終わりにつぶやいた。
「It’s been a hard day」
言い終わろうとして外を見たら、
もう暗くなっていた。
そこで「…’s night」と付け加えた。

それを聞いていたジョン・レノンと、
ポール・マッカートニー。

「おもしろい!」

そこで曲のモチーフにした。

チームでしか出来ない仕事。
それが初期のビートルズだった。

私はこのエピソード、
大好きだ。

そしてこの歌詞も。
dog〈犬〉のように働いた。
log〈丸太〉のように眠ろう。

さて、アメリカ食品医薬品局が、
2018年6月から、
トランス・ファットを原則禁止にする。

アメリカ視察研修では、
もう10年も言い続けてきたが、
やがて日本でもその方向に進む。

現在、アメリカでは含有量の表示義務が有り、
日本ではその使用規制も表示義務などもない。

日本の目処は2020年。

メーカーもリテールも、
そのつもりで改革を進めるべきだろう。

国が禁止するから取り組むのではなく、
この面では進んで、
マーケット・リーダーになって欲しい。

国民や消費者は、
それを評価するだろうし、
私がまっさきに、
それに拍手を贈ろう。

自動車業界が、
排ガス規制に取り組んだように、
食品業界は、
トランス・ファット規制に取り組みたい。

さてデイリー商人舎は、
無印良品が現地小売企業と
合弁会社設立しインド進出
MUJIはUNIQLOよりも、
グローバルブランドだ。

さてさて日経オンライン、
星野リゾート星野佳路の経営者ブログ。
今日を限りに休載するらしい。

惜しい。

今日のタイトルは、
「地方企業が優秀な人材を呼び込む方法」

小売業もサービス業も、
好況になり、人材採用が活発化し、
売り手市場になると、
人材不足に陥る。

星野リゾートととても、
同じ環境にあった。

「地方企業にとって成長の足かせは
様々なものがあります」

「最後に立ちはだかるのが『人材の壁』」

「創業の地である軽井沢の温泉旅館で
働いてもらっていたのですが、
当時の温泉旅館の上客といえば宴会客。
酔っ払ったお客さんに絡まれたり、
失礼な扱いをされたりしたことに嫌気がさし、
1年もたたないうちに次々に
辞めてしまったのです」

考え抜いた末、発想を切り替えた。
「うちの社員に失礼なことをするお客さんには
来てもらわなくていい」

宴会客を断り、その代わりに、
「親子で楽しめる温泉旅館」を打ち出した。

セグメンテーション、ターゲティング、
ポジショニングの考え方。
そしてロイヤルカスタマー化の思想。

「すると接客する社員の顔が
見る見る明るくなり、
社員の満足度があがっていく」

「観光産業の場合、
社員が生き生きと働ける職場となって
社員の満足度があがると、
顧客満足度にも反映します」

ドキドキ・ワクワク・ニコニコ。

「この好循環が星野リゾートの
成長原動力となってきました」

これはアメリカのウェグマンズや、
ホールフーズ、トレーダー・ジョーと同じ。

ドロシー・レーンCEOのノーマン・メーン。
「経営者が従業員を大切にすることによって、
その心はお客さまに還元されます」

ウォルマートの故サム・ウォルトンも言った。
「Take Care of Customers and Associates.」

星野さんはさらに提案する。
「地方企業は思い切って、
『社員第一』を掲げてみるのが
ひとつの手かもしれません」

これは「社員第一・顧客第二」を、
示唆している。

だから「ひとつの手」と表現する。
しかし地方中小企業には、
「唯一絶対」の考え方だと思う。

「実際に地方企業で働いてもらうと、
暮らしと仕事の両方に満足してくれる社員は
実に多いのです」

「これは自信を持って言えます」

「特に学生時代に
地方に暮らした経験があると愛着が湧き、
Iターン就職につながるケースが多いようです」

理想は「Conscious Retailing」
月刊『商人舎』今年の1月号。

ホールフーズ創業者のジョン・マッケイは、
3つの定義を上げる。
第一が、ステークホルダーの利益に奉仕する志。
第二が、高い意識を持ったコンシャス・リーダー。
第三が、働く喜びと達成感のある組織文化。

しかし地方中小企業、中堅企業は、
星野佳路の提案のように、
「社員第一・顧客第二」

口で言うだけではダメだ。
実践躬行。

犬のように働き、
丸太のように休みつつ、
そんなことを考えた。

〈結城義晴〉

2015年06月17日(水曜日)

イオンビジネススクール開講式講演・米国研修事前講義二本立て

日本の選挙権年齢、
18歳以上に引き下げられる。
公職選挙法の改正案が、
参院本会議で全会一致で、
可決、成立した。

6月中に素早く公布され、
1年後に施行。

来夏の参議院選挙から、
18歳以上が投票できる。

実にいい改正だ。

世界を見渡すと、
選挙権年齢は18歳が普通。

主要国首脳会議参加国G8の中で、
日本だけが20歳以上の選挙権国。

経済協力開発機構(OECD)34カ国では、
日本の20歳と韓国の19歳だけだった。

日本の選挙権年齢は戦後の1945年に、
それまでの25歳以上の男子から、
20歳以上の男女へと変更された。

今月の『商人舎』は、
ダイバーシティの問題を取り上げたが、
選挙権ひとつとっても、
こんな歴史がある。

それ以来70年ぶりの改正。
感慨深い。

今回の改正で選挙権を獲得するのは、
18~19歳で、その人口は約240万人、
有権者の約2%。

現在の20代は、
選挙権が与えられるのは当たり前と捉えている。
そして各種選挙で際立った低投票率を示している。

18歳~19歳の新しい有権者の目覚めで、
20代が刺激されるといい。

日本の将来に期待が持てる。

会社でも店でも、入社1・2年生に、
「選挙に行こう! 投票しよう!!」
大いに奨励して欲しいものだ。

さてDaily商人舎。
ワールドニュースは、
ホールフーズの新フォーマットは
「365by Whole Foods Market™」
実に期待が大きい。

これはトレーダー・ジョー対策だと、
私は考える。

早く見たいものだ。

ジャパン・ニュースは、
セブン-イレブンの6月販促は
nanacoカードとセブンプレミアム

ちょっとした皮肉と問題提起。

この動きには、
注目しておいたほうがいいだろう。

さて今日は昼一で、海浜幕張イオンタワーへ。DSCN4041-1

イオンビジネススクールの2015年開講式。DSCN4042-1

イオンビジネススクールの略称はABS。
そのABSには11コースが設けられている。
その共同開講式。

3階にある多目的ホールに、
イオングループ各社から
選抜された392名の受講者が集まった。DSCN4043-1

私は昨年に引き続き、
開校式の基調講演を担当。
DSCN4047-1

タイトルはこれ。
「商業基幹産業化と知識商人の役割」DSCN4048-1

90分の時間の中で、
イオンピープルとして、
何を、どう学び、
何をなすべきかをじっくりと語った。

強調したことのひとつは、
「すぐ役立つものは
すぐ役立たなくなる」(橋本武)

その上で、小売業近代化の歴史と成果、
ポストモダンの知識商人の役割、
イオンが果たす社会的機能など、
一気に語った。
DSCN4059
ご清聴を感謝。

最後は全員が立ち上がり、
礼儀正しい礼と、
拍手で送り出してくれた。
DSCN4063-1

その後は16階の会議室に移動。
今度は、アメリカ視察ツアー事前講義。
7月5日に出発する。
DSCN4064-1
全国のカンパニーから、
30名ほどがこのセミナーに派遣される。

細田昌幸人事部長が、
最初にこの研修の意義を説明。
DSCN4065-1

目的地は、
ダラス・フォートワースと、
ニューヨーク。
DSCN4068-1

私は自分の足で歩き、
自分の目と耳で確かめて、
いま、イオンリテールにとって、
ダラス&ニューヨークが、
一番いいと判断した。
DSCN4082-1
ニューヨークはロンドンと並んで、
世界で最も小売りイノベーションが、
激しく展開されているエリア。

この刺激を自ら体で感じなければ、
アメリカを訪れる意味は薄い。

ダラスには、
トヨタが巨大工場を移転し、
ネブラスカファーニチャーマートが進出。
アメリカ小売業の競争の構図が、
くっきりと描き出されてもいる。

事前講義は90分。
米国チェーンストアの現在を整理し、
イオンリテールとして、
ダラスとニューヨークで何を見て、
何を学ぶべきかをレクチャー。
DSCN4084-1

チェーンストアランキングや商業統計をもとに、
主要企業の動向、業態別の動態を整理、
とくにゼネラルマーチャンダイズストア分類と、
デパートメントストア業態の、
競争プロセスモデルを丁寧に語った。DSCN4078-1

イオンビジネススクール開講基調講演から、
アメリカ視察研修の事前講義まで、
半日語ると、声も枯れてくる。

それでも充実の半日だった。

イオンタワー16階からの景色。
DSCN4086-1

西の空は夕景。
DSCN4087-1

海岸線を望めば、
イオン幕張新都心。
DSCN4089-1

最後にイオンタワーをバックに、
細田さんと握手。
DSCN4091-1
細田さんも半日、一緒だった。

お疲れ様。

しかし、つくづく思う。
「すぐ役立つことは
すぐ役立たなくなる」

さらに思う。

「ストラテジー」は、
その道のプロフェッショナルから、
丁寧な解説や説明を受け、
それを目の当たりにしなければ、
理解することはできないし、
そのうえで、自分の頭で考察しなければ、
簡単に構想し、実行することもできない。

〈結城義晴〉

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