結城義晴のBlog[毎日更新宣言]
すべての知識商人にエブリデー・メッセージを発信します。

2015年07月18日(土曜日)

GEジェフ・イメルト「本業は新製造業」と小売業「オムニチャネル」

今日から三連休。
私も本当に久しぶりに休暇。

まだ時差ボケが治らないので、
朝、4時ごろまで起きていて、
そのあと、ゆっくり、
正午くらいまで寝た。

そうすると、あっという間に、
夕方がやってくる。
DSCN6575ー5

夕焼けが美しい。
DSCN6577-5

さて、GEのジェフリー・イメルト。
ゼネラル・エレクトリックCEO。
日経新聞のインタビューに答えて、
『真相深層』に登場。

2014Fortune500では、
世界で27番目の規模の会社。
年商1462億3100万ドル。
1ドル120円換算で17兆5477億円。
ただし前年比マイナス0.4%。
純利益は130億5700万ドル。
1兆5668億円で、マイナス4.3%。

日経新聞もインタビューを載せるとき、
このくらいのデータは加えてほしいところ。

ちなみに今や世界最大の家電製造業は
韓国のサムソン電子。
世界13位の企業で年商2089億3800万ドル。
純利益は272億4500万ドル。
年商は17.0%、利益は32.4%の伸び。
ただしこの後の2015年度決算で、
サムソンは大打撃を受けている。

日本最大の家電を中心にした企業は、
日立製作所。
世界ランクでは78位、日本企業ランクで7位。
年商は959億8800万ドルで、
前年比マイナス11.8%。
純利益26億4500万ドル。
利益は25.3%の伸びだが、
その額はサムソンの10分の1。

日本第2位の家電企業はソニーで、
世界105位、日本8位。
年商775億3200万ドルで、マイナス5.3%、
純利益は赤字12億8100万ドルで、
前年比なんとマイナス347.3%。

その次の第3位の家電企業は、
世界106位、日本9位のパナソニック。
年商772億2600万ドルでマイナス12.2%、
純利益12億0200万ドルで前年と変わらず。

そして日本第4位が、東芝。
世界145位で日本企業として15位。
年商649億0800万ドル、マイナス7.1%、
純利益5億0700万ドルで、マイナス45.7%。
東芝は再生できるかも疑わしい。

日立がかすかに利益を確保しているが、
他は揃って国際競争力を喪失している。

ジェフ・イメルトは、
中興の祖ジャック・ウェルチの後継CEOで、
2001年9月、同社9代目トップとなった。
ちなみに初代はトーマス・エジソン。
21世紀に入ったばかりのころに、
45歳で就任して話題になった。
しかし現在、イメルトは59歳。

「コモディティ・ヘル」(コモディティ地獄)
イメルトの有名な言葉だが、
コモディティ化した家電事業を売却決定。
ピーター・ドラッカー教授に指導された、
「ドキドキ・ワクワク」できなくなった事業を止め、
ウェルチ以来の伝統「選択と集中」に邁進する。

世界の家電産業を見ると、
それは納得できる。

そのうえ今年4月には、
利益頭の金融ビジネスから撤退。
中核ビジネスの製造業分野で、
一大改革に取り組む。

金融分野からの撤退の理由は、
やはりリーマンショックや金融危機にある。
「金融事業を取り巻く環境が劇的に変化し、
適切なROIを上げる能力が急速に衰えた」

「一方、GEが強みを持つ産業分野で
投資機会が際限なく広がってきた。
金融から引き揚げ、
航空機エンジンや発電機など
産業分野に再配分すれば
GEの競争力を強化できると考えた」

ROIはReturn On Investment、

投下資本利益率。

やはり事業分野を、
「選択し集中する」のがGEの基本。

しかし過去にない大改革。
GEの金融事業の総資産は約3500億ドル。
そのうちの約2500億ドルが売却予定。
約30兆円となる。

「心情的にはつらい決断だった。
従業員にとって厳しかったと思う。
しかし、世界は変わった」

この世界観が重要だ。

「アメリカの金融当局は、
我々に銀行になってほしかったが、
我々は銀行になるつもりはない」
選択と集中の真ん中に、
自分は「何屋か」がある。

GEはエジソン以来、「製造業」なのだ。
しかし新しい製造業にならねばならない。
「過去20年間、デジタル革命は主に、
消費者向けインターネットの分野が
牽引してきた」
アマゾン・ドット・コムやグーグル、
facebook、ツイッターなどなど。

しかし今後10~20年は違う。
「産業の世界に
デジタル化による変革の波が
本格的に訪れる」

だからイメルトが目指すのは、
「デジタル化によって、
強みを発揮する産業分野の、
『能力の拡張』と『生産性の向上』」

それをGEでは、
「インダストリアル・インターネット」と呼ぶ。

つまり、
「産業機器をネットワークで結ぶことで、
資産効率を高めることができる」

同じ考え方を、
ドイツでは「インダストリー4.0」、
中国では「インターネット・プラス」と称する。

GE「インダストリアル・インターネット」は、
「スタート時点でリーダーだが、
成功は保証されていない。
スピードが重要だ」

最後に新しい製造業たるGEを定義する。
それは「接続産業企業」。
Connected Industrial Company。

「リアルとデジタルの交差点に立って
デジタル化と同時に
製造業をさらに進化させ、
新たな時代で勝利する」

そしてそれは、
「モノのインターネット化」を促進させる。
Internet of Thingsで「IoT」と略される。

日本版ハーバード・ビジネス・レビューが、
今年4月号で特集した。
「IoTの衝撃」

これまでインターネットは、
主にIT関連機器に接続されていた。
パソコン、スマホ、タブレット、
さらにサーバー、プリンターなどなど。

しかしそれ以外の様々な「モノ」を接続する。
まず、デジタル情報家電を、
イ ンターネットに接続する流れが始まった。
テレビ、デジタルカメラ、デジタルビデオカメラ、
デジタルオーディオプレーヤーなどなど。

さらに映像、音楽、音声、写真、文字情報なども、
デジタル化されインターネットを介して、
伝達されている。

その延長線上。
あらゆる「Things」が、
インターネットに接続されて、
コミュニケーションの情報伝送路に変化する。

「世界は変わった」

「産業の世界に
デジタル化による変革の波が
本格的に訪れる」

その中でGEは、
「新しい製造業」となる。
そして「接続産業企業」となる。

このジェフ・イメルトの時代観は、
小売業の「オムニチャネル化」と、
同期している。

〈結城義晴〉

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