2015年7月最後の日、
日経新聞一面記事。
「セブン・ファストリ提携」
例によって日経のスクープ。
しかし一面トップは、
「出光・昭シェル統合へ」
このニュースは昨日の夕方から、
日経オンラインで露出されていた。
石油元売りの出光興産と昭和シェル石油の統合。
出光は業界2位、昭和シェルは5位。
両社を単純合計すると約7兆6000億円。
トップのJXホールディングスは10兆8825億円。
FORTUNEのGlobal500では、
出光興産が世界第231位、日本26位、
昭和シェル石油は476位、日本53位。
一方、JXは世界で51位、日本で第4位の企業。
新会社は、今度、日本産業界で、
日立製作所に次ぐ8位あたりにランクされる。
新聞社の整理部は、
どっちをトップに持ってくるか、
悩んだのだろうが、
やはり石油メジャーの資本統合は、
大きなニュース。
しかもロイヤルダッチシェルが絡む。
同社はウォルマートに次ぐ世界第2位企業。
超巨大企業同士のM&Aは、
スピードアップして進む。
しかし我々にとって衝撃的なニュースは、
「セブンとファストリ」の方だ。
その内容は資本提携ではなく業務提携。
「商品企画から製造・販売、物流まで、
幅広い分野で業務 提携する方針」だとか。
まず、年内にも、
ユニクロのSPAのノウハウを活用して、
衣料品の新ブランドを立ち上げる。
何よりもイトーヨーカ堂のテコ入れとして、
この上ない朗報だ。
これはセブン側にとってのメリット。
さらにユニクロのネット通販商品を、
セブン-イレブンの店頭で引き渡しする。
るこれはユニクロのメリット。
日本で「オムニチャネル」といえば、
セブン-イレブン店頭活用が、
最も有力な販路だからだ。
三番目は両者がメリットを共有するが、
海外協力展開。
もっと深い読みは、
商人舎Magazineの、
Weekly特別企画で書き下ろす。
来週初めになるだろう。
さて、日経新聞『私の履歴書』
今月は浅丘ルリ子さん。
しかしちょっとつまらなかった。
浅丘さんがつまらないというのでなく、
書き方がつまらない。
たいてい、日経の担当記者が書くが、
遠慮の固まりのような表現で、
しかも浅い。
せっかくなのだから、
もっと浅丘ルリ子の、
人間の本質に迫ってほしかった。
今月2日に75歳。
連載の最後の言葉は「生涯現役――」。
「女優として人生を
最後まで全うできたら
これ以上の幸せはない」
厚生労働省調査。
「平成26年簡易生命表」
2014年の日本人の平均寿命は、
女性86.83歳、男性80.50歳。
ともに過去最高を更新。
女性は3年連続世界一、
男性は4位から3位に上昇。
浅丘さんもまだまだ、
10年以上は生きられる。
厚労省が分析する要因は、
「がんや心臓病、肺炎、脳卒中などによる
死亡率が改善したこと」
「今後も平均寿命は延びる余地がある」
2014年は前年比で、
女性が0.22歳、男性は0.29歳延びた。
昨年生まれの赤ん坊が将来、
がん、心臓病、脳卒中の
いずれかで死亡する確率は、
女性47.80%、男性52.20%。
しかしこれらが克服されれば、
さらに日本人の寿命は延びる。
「平均寿命」とは別に『健康寿命』がある。
「健康上の問題で日常生活が制限されない期間」
2013年は女性が74.21歳、男性が71.19歳。
個人としては、それぞれに、
この健康寿命を意識して生きていきたい。
『ほぼ日刊イトイ新聞』
糸井重里が今日、
「人生」を語っている。
「人生は一度しかないんだから、
やろうと思ったらやんなきゃだめだよ」
よく言われるし、よく言う。
「人生」は英語では「LIFE」。
そのLIFEは、「生活」の訳語もある。
そこで糸井は思う。
「『人生』と『生活』は、
同じことばで表されるんですね」
さらに最近、
LIFEのもうひとつの意味に気づく。
――「生命」。
「心臓をどくんどくんさせているようなイメージ。
全身に血液を循環させている生身(なまみ)」
「じぶんの身体に手で触れたら、
それはもう、
いのちという意味でのLIFEが
そこにあるわけです」
浅丘ルリ子の履歴書には、
この生身の「生命」が欠けていた。
「生きているいのちとしてのLIFEを重ね合わせて、
『人生は一度しかない』ということを、
『人生(いのち)は、ひとつしかない』と
読みとることもできるんですよね」
その通り。
「やれるときに、やろうよ。
いのちはひとつしかない」
「ものの見え方や、時間との関わり方が
ずいぶんちがってくるような気もします」
「人生=生活(暮らし)=生命(いのち)」
「人生(つまり、生活、つまり、いのち)は、
生き生きした実体そのものとして、
ここにあるんだぞ」
世界最長寿を誇っても、
生き生きとしたいのちと暮らしが、
貫かれていなければ、
意味はない。
女優の仕事も映画も演劇も、
そして記事や文章も、
人間の人生と生命を表現しなければ、
意味はない。
オムニチャネルも巨大石油メジャーも、
この人間の生命と生活に貢献できなければ、
なんの意味もない。
〈結城義晴〉