結城義晴のBlog[毎日更新宣言]
すべての知識商人にエブリデー・メッセージを発信します。

2015年07月31日(金曜日)

「セブン・ファストリ提携」の互いのメリットと「人生と生命と生活」

2015年7月最後の日、
日経新聞一面記事。
「セブン・ファストリ提携」
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例によって日経のスクープ。

しかし一面トップは、
「出光・昭シェル統合へ」
このニュースは昨日の夕方から、
日経オンラインで露出されていた。

石油元売りの出光興産と昭和シェル石油の統合。
出光は業界2位、昭和シェルは5位。
両社を単純合計すると約7兆6000億円。
トップのJXホールディングスは10兆8825億円。

FORTUNEのGlobal500では、
出光興産が世界第231位、日本26位、
昭和シェル石油は476位、日本53位。

一方、JXは世界で51位、日本で第4位の企業。

新会社は、今度、日本産業界で、
日立製作所に次ぐ8位あたりにランクされる。

新聞社の整理部は、
どっちをトップに持ってくるか、
悩んだのだろうが、
やはり石油メジャーの資本統合は、
大きなニュース。

しかもロイヤルダッチシェルが絡む。
同社はウォルマートに次ぐ世界第2位企業。

超巨大企業同士のM&Aは、
スピードアップして進む。

しかし我々にとって衝撃的なニュースは、
「セブンとファストリ」の方だ。

その内容は資本提携ではなく業務提携。
「商品企画から製造・販売、物流まで、
幅広い分野で業務 提携する方針」だとか。

まず、年内にも、
ユニクロのSPAのノウハウを活用して、
衣料品の新ブランドを立ち上げる。
何よりもイトーヨーカ堂のテコ入れとして、
この上ない朗報だ。

これはセブン側にとってのメリット。

さらにユニクロのネット通販商品を、
セブン-イレブンの店頭で引き渡しする。

るこれはユニクロのメリット。
日本で「オムニチャネル」といえば、
セブン-イレブン店頭活用が、
最も有力な販路だからだ。

三番目は両者がメリットを共有するが、
海外協力展開。

もっと深い読みは、
商人舎Magazineの、
Weekly特別企画で書き下ろす。

来週初めになるだろう。

さて、日経新聞『私の履歴書』
今月は浅丘ルリ子さん。

しかしちょっとつまらなかった。
浅丘さんがつまらないというのでなく、
書き方がつまらない。

たいてい、日経の担当記者が書くが、
遠慮の固まりのような表現で、
しかも浅い。

せっかくなのだから、
もっと浅丘ルリ子の、
人間の本質に迫ってほしかった。

今月2日に75歳。

連載の最後の言葉は「生涯現役――」。

「女優として人生を
最後まで全うできたら
これ以上の幸せはない」

厚生労働省調査。
「平成26年簡易生命表」
2014年の日本人の平均寿命は、
女性86.83歳、男性80.50歳。
ともに過去最高を更新。

女性は3年連続世界一、
男性は4位から3位に上昇。

浅丘さんもまだまだ、
10年以上は生きられる。

厚労省が分析する要因は、
「がんや心臓病、肺炎、脳卒中などによる
死亡率が改善したこと」

「今後も平均寿命は延びる余地がある」

2014年は前年比で、
女性が0.22歳、男性は0.29歳延びた。

昨年生まれの赤ん坊が将来、
がん、心臓病、脳卒中の
いずれかで死亡する確率は、
女性47.80%、男性52.20%。

しかしこれらが克服されれば、
さらに日本人の寿命は延びる。

「平均寿命」とは別に『健康寿命』がある。
「健康上の問題で日常生活が制限されない期間」
2013年は女性が74.21歳、男性が71.19歳。

個人としては、それぞれに、
この健康寿命を意識して生きていきたい。

『ほぼ日刊イトイ新聞』
糸井重里が今日、
「人生」を語っている。

「人生は一度しかないんだから、
やろうと思ったらやんなきゃだめだよ」
よく言われるし、よく言う。

「人生」は英語では「LIFE」。

そのLIFEは、「生活」の訳語もある。

そこで糸井は思う。
「『人生』と『生活』は、
同じことばで表されるんですね」

さらに最近、
LIFEのもうひとつの意味に気づく。
――「生命」。
「心臓をどくんどくんさせているようなイメージ。
全身に血液を循環させている生身(なまみ)」

「じぶんの身体に手で触れたら、
それはもう、
いのちという意味でのLIFEが
そこにあるわけです」

浅丘ルリ子の履歴書には、
この生身の「生命」が欠けていた。

「生きているいのちとしてのLIFEを重ね合わせて、
『人生は一度しかない』ということを、
『人生(いのち)は、ひとつしかない』と
読みとることもできるんですよね」

その通り。

「やれるときに、やろうよ。
いのちはひとつしかない」

「ものの見え方や、時間との関わり方が
ずいぶんちがってくるような気もします」

「人生=生活(暮らし)=生命(いのち)」

「人生(つまり、生活、つまり、いのち)は、
生き生きした実体そのものとして、
ここにあるんだぞ」

世界最長寿を誇っても、
生き生きとしたいのちと暮らしが、
貫かれていなければ、
意味はない。

女優の仕事も映画も演劇も、
そして記事や文章も、
人間の人生と生命を表現しなければ、
意味はない。

オムニチャネルも巨大石油メジャーも、
この人間の生命と生活に貢献できなければ、
なんの意味もない。

〈結城義晴〉

2015年07月30日(木曜日)

月刊「宝島」廃刊とセブン-イレブン、マツキヨの東南アジア進出

「第二院は第一院と
意見が一致するなら無用だし、
相反するなら有害だ――」
朝日新聞『天声人語』が、
有名な警句を引いて、
「参院不要論」を紹介し、
その有用論を展開する。

しかし相反することは、
必ずしも有害ではない。

企業組織の意思決定においても、
「対立軸」は必須である。

ピーター・ドラッカーは語る。
「マネジメントの意思決定は
全会一致でなされるようなものではない」

そして強調する。
「意見の対立を見ない時には
決定を行ってはならない」

意見の対立を見ないままの意思決定を、
「集団思考」と呼ぶ。

東芝の粉飾は、
集団思考の挙句に行われた。

組織にとって、
最も危険な兆候である。

だから意見の対立を促すことは有用だ。
そのうえで十二分に、
かみ合った議論を尽くしたい。

さて今日のニュースから、
まず「宝島社の月刊誌休刊」
評論家の植草甚一が創刊した月刊『宝島』と、
ファッション誌『CUTiE』を休刊。

「休刊」とは見栄を張っているだけで、
「廃刊」と同義。
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最新の2015年9月号。
こんな雑誌では発刊を続ける価値もないが。

「近年は部数が伸び悩み、
今後も大きな成長は見込めないと判断」。

今後の生き方。
「ブランドやコンテンツを生かして、
ムック本を発行」
紙のメディアを廃刊するのは、まあ分かる。
網のメディアに転換できない経営こそが問題だ。

MookはMagazineとbookの中間メディア。
つまりは紙に変わりない。
紙媒体の中でコストが低くて、
比較的リスクが少ないメディア。

そこに移行するだけの話。
悪いけれど、情けない。

植草も草葉の陰で泣いている。

小売業でいえば、
オムニチャネル。
リアルとバーチャル。
有店舗と無店舗。

そのコラボレーション。

出版業も同じ視点を持たねば、
生き残りはできない。

それでも次の最終廃刊号。
買ってあげよう。

次は「セブン-イレブン、ベトナム進出」

現地のアイエフビーホールディングスと、
米国セブン-イレブン・インクが契約。

アイエフビーは「サブウェイ」をFC展開。
マルチ・フランチャイズ企業。

1号店を2017年にホーチミン市内に出店。
3年で100店、10年で1000店体制をめざす。

日経の記事には「日本流で」とあるが、
契約は米国子会社。

日本からは4人の社員が派遣され、
独自企画商品の開発手法、
出店用地の確保、
オペレーションなどを指導する。

セブン-イレブンは海外で約3万8000店を展開。
東南アジアではタイ、マレーシア、フィリピン、
さらにシンガポール、インドネシアに、
強力な店舗網を持つ。

しかしこれは旧サウスランド社が、
エリアフランチャイズで展開したもので、
日本流コンビニの経営は浸透しにくかった。

私もタイやマレーシアで、
セブン-イレブンの店舗を訪れたが、
最新の実験店を除いて、
まだまだの観はぬぐえない。

しか日本国内は時々刻々と飽和が近づく。
もちろんそれは肯定しないだろうが、
10年後を見ると、
海外進出しか成長の道はない。

その布石がベトナム進出だ。

それでも米国子会社に契約させるところが、
セブン&アイ方式ではある。

一方、「マツキヨ、タイに出店」の記事。
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こちらは現地大手セントラル・グループと組む。
その中核会社セントラル・フード・リテールと、
8月に合弁会社を設立。

資本金は約1億7750万円。
セントラル・フードが51%、
マツキヨHDが49%出資。

来2016年3月期に3店舗を開業し、
都市部中心に顧客を開拓。

マツキヨは2013年から、
セントラル・フードと商品供給で提携。

日本同様、
高品質の化粧品や日用品販売が好調。
タイの国民1人当たりGDPは、
2015年段階で5612ドル。

十二分に勝算がある。
そこで共同での店舗展開をスタート。

マツキヨも将来を見据えて、
初の海外進出先を、
東南アジアに設定した。

セブン-イレブンとマツキヨ。
東南アジア進出は、
新しい世界への挑戦。

ネットビジネスの四次元世界と、
ワールドワイドな三次元世界。

新しい領域へのチャレンジなくして、
どんな企業にもサバイバルはない。

〈結城義晴〉

2015年07月29日(水曜日)

AJS会長・田尻一の「変化」と大丸アウトレットストアの「既未来」

ちょっと疲れ気味。
しかし少し体が疲労しているときの方が、
頭は断然、活性化する。

AJSネットワークが届いた。DSCN6812-5
オール日本スーパーマーケット協会の機関誌。
毎月1日発行、通巻298号。

私は連載を92回、書いている。
『スーパーマーケット応援団長の
辛口時評』

いろいろなメディアに書いてきたし、
今も書いているが、
これがいちばん長い。

ご愛読、お願いします。

今回はこの機関誌の巻頭で、
新会長の田尻一さんが語っている。
サミット㈱社長。

とても、いい。

「お客様の求める商品は日々変わります。
それがちゃんと売場にある状態をつくる、
スーパーマーケットはかくあるべき」
田尻さんは持論を展開する。

強調するのは、
「変化にすかさず対応すること」

そのために「知恵の共同仕入れ」に、
斬新な変革を提案する。

惣菜に関する考え方は、
私の連載と一致していて、
両方を読んでいただくと、
よくわかると思う。

詳細は機関誌を読んでください。

加盟企業以外の人たちは、
残念ながら、ここまでだけれど、
言いっ放しにしない活字の強さを、
AJSネットワークはもっている。

それは前会長の荒井伸也さんの功績だ。

荒井さんも巻末で、
新連載『知行合一』を書き始めた。

これも必読の連載となるだろう。

今日は夕方、商人舎オフィスに、
来訪者あり。
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奥はブヤンジャルガル・シルネンさん。
手前は當仲寛哲さん。

ブヤンさんは31歳のモンゴル人。
シン・モンゴル・アカデミーの、
工科技術大学学長。

當仲さんは、USP研究代表取締役所長。
ユニバーサル・シェル・プログラミング研究所。

商人舎MagazineのMonthly連載
「リテール・インフォメーション・システム論」を、
29回も書いてくれている。

情報システムのイノベーターで、
引く手数多。

それなのに、
モンゴルの商業活性化に、
ずっと力を注いでいる。

私も及ばずながら、
手助けをしたいと考えている。

ブヤンさん、頑張って。

さて、日経新聞に興味ある記事。
「大丸松坂屋、アウトレットに
常設の店舗開業」

大丸松坂屋百貨店が7月31日、
三井アウトレットパーク滋賀竜王に、
常設の店舗を開店する。

バナーは「大丸アウトレットストア」
売り場面積は約110㎡で、
婦人服や紳士服の
プライベートブランド中心の店。

本来はアメリカの百貨店の
オフプライスストアのように、
シーズンの売れ残り品を、
3割~7割引きで販売したいところだが、
それができないからPBとなる。

それでも今年1月、期間限定で、
神戸市のアウトレットに出店した店が、
好調だった。

そこで常設店にして、
各地の主要なアウトレットモールに
出店していく。

アメリカでは、もう、常識。
ノードストローム・ラック。
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ニーマンマーカス・ラストコール、
サックス·フィフス·オフ・フィフス、
そしてブルーミングデールズ・アウトレット。

この6月には、
オフアイル・バイ・コールズ。
今秋には、メイシーズ・バックステージ。

私はこの現象こそ、
非食品分野最大のインパクトを持つと考えて、
商人舎Magazineでも特筆大書している。

Daily商人舎では、
5月26日付け記事で報告した。
コールズの「Off-Aisle by Kohl’s」

昨年9月号の月刊『商人舎』では、
アメリカ小売業特集を編んで、
Department Store編
で、
百貨店のオフプライスストア戦略を強調した。

それが大丸アウトレットストアとして、
日本でもお目見えする。

ネーミングでいえば、
ブルーミングデール方式。

そしてたった110㎡の小型店。
まだおっかなびっくりの実験段階。

本来のコンセプトならば、
売れ残り品のディスカウント。
これが実現できれば、
不思議なことに、
ノーマル百貨店の売価も下がってくる。

よく、考えればわかる。

ただしそれには、
日本の百貨店の在り方そのものに、
破壊的イノベーションが求められる。

しかしそれがなくとも、今後、
百貨店はこのフォーマットに、
続々と、参入するだろう。

これは「すでに起こった未来」である。

〈結城義晴〉

2015年07月28日(火曜日)

中軽井沢CCでのベストスコアからイオン記者懇談会まで

軽井沢で目覚めたら、雨。

朝、6時。
涼しい。

すぐに中軽井沢カントリークラブへ。
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木立に囲まれたシックなゴルフコース。

ここでトリマス会。
毎年、夏に、軽井沢で開催される。
㈱とりせん会長の前原章宏さんの主催。

ゆっくりとラウンドして、
私は記念すべき、
ベストスコアを出した。

ファサードで、写真。

とりせん社長の前原宏之さん(左)と、
フジッコ㈱社長の福井正一さんIMG_6245-5
心から満足。

夕方、東京に戻って、
ホームに降り立つと、
体をむっとした空気が包んだ。

そのまま、パレスホテル東京へ。

イオン記者懇談会。

ちょうど商人舎magazineのDaily商人舎は、
イオン6月はSMとドラッグストアが牽引し
営業収益6548億円、119.6%」

冒頭、社長の岡田元也さんが、
あいさつのスピーチ。

ドラッグストアとスーパーマーケットを、
中核とした小売業グループとなること。

そのためにイオンは、
「ヘルス・ウェルネス」を標榜する。

Healthは文字通り、「健康」。
Wellnessは1980年代後半に生まれた新語だが、
「人々が病気をしないで過ごせるように、
積極的なライフスタイルを追求すること」

岡田さんは、語った。
「ヘルス・ウェルネスを追求して、
顧客をハッピネスにしたい」

Health & Wellnessはいま、
世界中の先進消費産業の合い言葉。

ザ・コンシューマー・グッズ・フォーラムは、
2011年6月にパリで、
「ヘルス&ウェルネス決義」を発表した。
略して「CGF」。

この決議は、
消費者、従業員とその家族、
そしてコミュニティの、
ヘルス&ウェルネスの向上に、
小売業やメーカーが重要な役割を担うことを、
宣言している。

2009年に発足したCGFには、
世界の消費産業約400社が加盟、
その総売上高は合計約345兆円。
ウォルマート、テスコ、カルフール、
もちろんイオンも加盟している。

岡田さんは、
ダイエーのことにも触れた。
「ダイエーが、
食品スーパーマーケットとして、
企業を再建させ、イオンの中枢を担う」

私は懇親の会場で、
カスミ会長の小濵裕正さんと話した。

小濵さんはダイエー出身で、
いま、ユナイテッド・スーパーマーケット・ホールディングス会長。
今年の3月2日、
マルエツ、カスミ、マックスバリュ関東が経営統合、
それぞれを事業会社とする共同持株会社として、
東京証券取引所市場第一部に上場。

略称はU.S.M.H.。

結城「名前が長いし、略称は分かりにくい」
小濵「僕は『ユースマホ』と言っている」(笑)

考えてください。

岡田さんが触れたダイエーの件。
小濵さんもずっと証言している。
「中内功さんは、
スーパーマーケットを
やりたかったはずだ」

「あの人はダイエーの店を回っても、
1時間半は食品売場にいて、
30分くらいあとの部門を
ぐるっと見て帰った」

その意味でダイエーは、
原点回帰して再建を目指す。

これもよし。

上田真さんとは、
ローカルチェーンと惣菜の話をした。
マルエツ社長でU.S.M.H.社長。

それからイオン取締役会議長の横尾博さん、
イオン執行役SM改革担当の村井正平さん、
イオンリテール社長の岡崎双一さん。
もちろんイオンリテール副社長の久木邦彦さん。

みんな、顔色が明るい。

㈱ジーフット社長に就任した堀江泰文さんも、
「靴屋は面白いし、若い企業です」と元気そう。

最後に、いつもお土産は、
イオンのプライベートブランド。
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この姿勢は実にいい。

マスコミの人間は意外に、
商品音痴が多い。

彼らに勉強してもらう。
この姿勢は全小売業が、
貫いてほしいものだ。

そのポジショニング確立のために。

パーティが終って、
松井康彦さんと銀座7丁目へ。
商人舎エグゼクティブプロデューサー。
アド・パイン代表。

すると、まったく偶然にも、
㈱伊藤園社長の本庄大介さんと遭遇。
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第50回定時株主総会を終えて、
たった一人、銀座のバーで、
1日の最後のバーボン。

伊藤園の株主総会は、
原案どおり承認可決された。
期末配当金は普通株式1株につき20円、
第1種優先株式1株につき25円と決定。

ご苦労様。

上場企業の代表取締役にとって、
「一年で一番長い日」かもしれない。

このバーは、
バーテンダーだけの粋な店。

私は沼田一成店長に、一言。
「絶対に女性をおいてはいけない。
それがこの店のポジショニングです」

軽井沢から銀座までの、
長い長い一日。

おつかれさま。

〈結城義晴〉

2015年07月27日(月曜日)

ニトリ・ホームロジの競合家具まで運ぶ「商業の現代化」

Everybody! Good Monday!
[2015vol30]

2015年第31週。
今週末から8月。

強風にみごとなうねり夏木立
〈朝日俳壇 宝塚市・松井由紀子〉

台風12号は熱帯低気圧となって、
10号ほどの大事にいたらなかった。

夏やすみ、真っ只中。
いいひやけちゃいろとくろのいいひやけ
〈同 東京都・福元泉〉

扇風機兄弟喧嘩に首をふり
〈同 松戸市・をがはまなぶ〉

私も昨日から軽井沢で、
一足先に夏やすみ。

浅間山がくっきり。
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いつも頂きには雲。
それが浅間山。

しかし今日は、山際が鮮明。DSCN6785ー5
中央あたりから、
かすかに噴煙が上がる。

その噴煙を拝んで、
なんだか得をした気がする。

さて今週土曜日から8月。
するともうお盆商戦はすぐにやって来る。

商人舎magazineの、
weekly商人舎日替わり連載。
月曜朝一・2週間販促企画。
そのあたりのことをチェックしている。

来週の水曜日5日は、
土用二の丑。

この暑さ。
品枯れしようとなんだろうと、
ウナギを売りまくる。
ウナギを食べてもらう。

今月の商人舎標語は、
「惣菜に、とんがれ、こだわれ」

ウナギも惣菜。
刺身も惣菜。

もちろんサラダも惣菜。
トリ唐揚げも惣菜。

そして来週金曜日の7日は、
夏の節分。
夏の恵方巻き。
これも惣菜。

[Message of July]を再掲しよう。
「惣菜に、とんがれ、こだわれ」

すごくおいしいものは、
そうそう簡便に食べられないし、
総じて体によろしくない。

すごく便利なものは、
これはあまりおいしくはないし、
ときに体によくはない。

体にいいものは、
たいていそれほどおいしくはないし、
そんなに便利にはできていない。

そして、おいしくて、便利で、
そのうえ健康的なものは、
きまって高い。

「三律背反」とでもいうか、
「四律背反」となるのか。
オクシモロンの課題が降りかかる。

それが今日のニッポンの惣菜だ。
アメリカのサービス・デリだし、
ヨーロッパのデリカテッセンだ。

トレーダー・ジョーは、
おいしくて健康的で安価だが、
品揃えの便利さを思い切り犠牲にしている。

ホールフーズは、
完璧なマーチャンダイジングを構築し、
マインドシェアを高めて高価格帯に胸を張る。

ロック・フィールドも、
「少し高い」ことを勲章にして、
この難題のソリューションを図る。

つまり、「四律背反」には、
どれかを捨てるしかないということだ。
そしてそれが惣菜のソリューション戦略となる。

いずれかの要素を切り捨てる。
それはその要素にこだわる顧客を捨象して、
客層を絞り込むことになる。

まさにセグメンテーション、
ターゲティング、
そしてポジショニングの戦略。

惣菜のソリューションは、
このポジショニング戦略を、
象徴する営業行為だ。

だから惣菜に、
とんがれ、こだわれ。
いずれかを丁寧に捨てよ。
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さて日経新聞『企業』欄。
「ニトリ、競合の家具配送」

ニトリホールディングスが、
自社の家具配送網を活用して、
物流サービスを始める。

事業の主体は、
ニトリ傘下の物流会社ホームロジスティクス。
略して「ホームロジ」。

この会社は、
全国の約150社の中小運送会社と、
委託契約を結んで、
トラックを確保している。
宅配で1000台程度、
幹線輸送では約400台。

それら契約運送会社は、
ニトリでの研修によって、
家具の運搬や組み立ての技術を持っている。

この配送&組み立てのノウハウを、
競合他社のサービスに使う。

サービスの対象は、
インターネット通販企業、
それから家具メーカー。

競合他社から、
家具の輸送や宅配を請け負って、
荷物を混載し、
自社の配送効率も高める。

すでに、ネット通販企業など数社と組んで、
実験配送は始まっている。

例えば過疎地は人口密度が低く、
単独企業では毎日配送ができない。
しかし複数企業の商品をまとめると、
配送可能となる。

物流機能を確保するための連携は進む。

ファーストリテイリングは昨年、
大和ハウス工業と提携した。
同社は物流事業を手がけるが、
ユニクロのネット通販を即日配送する。

ローソンは佐川急便と、
楽天は日本郵便と、
提携して配送する。

しかしニトリは、
自社の物流網を使う。
だから自社配送効率が高まる。
そのために家具などに絞って、
競合他社商品も配送する。

ヤマダ電機とコスモス・ベリーズ、
とくし丸とローカルスーパーマーケット。
ニトリのホームロジは、
新しいアライアンスという意味で、
「商業の現代化」を体現するものだ。

これまでは配送能力で、
競合他社に差をつけた。
これが近代化。

しかしこれからは、
その配送能力を競合相手にもサービスして、
自社の配送効率を高める。
これは現代化。

新しいことに取り組む。
そこには新しい連携がある。

では、みなさん。
8月も新しいことに取り組もう。
今週も、Good Monday!

〈結城義晴〉

2015年07月26日(日曜日)

ジジと軽井沢[日曜版2015vol30]

ジジです。
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あついですねぇ。
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梅雨はあけて、
学校は夏やすみ。
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朝、ボクは、
顔をあらいます。
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これは、日課。

おとうさんも、
顔をあらって、歯をみがいて、
でかけていきました。
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どこにいったのでしょうか。
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きっと、すずしいところ。
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なんだか、うれしそうだった。
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新幹線はくたかにのって、
荒川をこえた。
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高崎はあついところ。
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緑のたんぼ。
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1時間でつきました。
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やっぱり、緑がいっぱい。
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すずしい。
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いいところ。
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軽井沢。
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木々がいきいきしている。
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ボクも氷をもらった。
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あついときには、
こたえられない。
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いただきます。
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石づくり。
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浅間山、みえますか?
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窓のそとは、
緑いっぱい。
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森林浴?
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池もある。DSCN6732-5

いいですね。
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おとうさん、
ゆっくりしてきてください。
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7月ももう、
おわります。

〈『ジジの気分』(未刊)より〉

2015年07月25日(土曜日)

A&Pとセーフウェイの「すぐに役立つことはすぐに役立たなくなる」

昨日の商人舎magazine。
Daily商人舎は、
米国A&P二度目の倒産話。

1970年代まで、A&Pは、
アメリカ食品産業の王者だった。

その後、1980年代になると、
セーフウェイがとって代わった。
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そして1999年、クローガーが、
フレッドメイヤーを1億3000万ドルで買収して、
全米トップのスーパーマーケットとなる。
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それから21世紀に入ってからは、
クローガーがマーケットリーダー。

しかしA&Pが、
三番手で居続けることはなかった。

2010年に一度、
連邦破産法11章を適用申請し、
今また、二度目の倒産。

一方、セーフウェイも、
クローガーに抜かれてからはぱっとせず、
今年初めに投資会社サーベラスに、
94億ドル(1兆1280億円)で買収され、
アルバートソンと統合させられる。

結果として、年商575億ドル、
1ドル120円換算で6兆9000億円。
社名はアルバートソンになるかもしれないが、
2014年決算は3億8500万ドルの損失。

一方、クローガーは絶好調で、
46四半期連続既存店が増収。

アメリカを解説するには、
このA&Pからセーフウェイ、
そしてアルバートソン、
クローガーまでの歴史的経緯を、
自分の目で見て、自分の耳で聞いて、
経験していなくてはならない。

それが「魚の目」である。

賢者は歴史に学ぶ。
愚者は経験にのみ学びたがる。

レース型競争から、
コンテスト型競争へ。
そのプロセスのなかから、
ポジショニング戦略が生まれてくる。

解説者はそれを、
実感していなければならない。

例えば日本の平和堂。11058381_930786816981664_5847917352244593615_n
最近の新店や改装店は、すばらしい。

青果部門は驚くべき進化を見せる。
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鮮魚部門もこのとおり。
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一方、大阪の万代も、
平和堂やライフ、ヤオコーとは、
異なる進化を見せる。
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鮮魚の鮮度、品揃えは、
他を圧する。
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オープンセールの鰻売り場は、
土用丑の日と重なって、
これも超お買い得。
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オープニングセールの精肉は、
これまた圧倒的。
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ここで、関西地区で、平和堂と万代が、
同じような売り場傾向ではないことが重要だ。

それこそがポジショニングの差異を示す。

同じ売り場や商品の傾向ならば、
大きいほうが勝つ。

A&Pはこのポジショニングが、
全く理解できない会社となった。

だから二度目の倒産状態の現在も、
年商は58億3100万ドル(6976億円)、
店舗数は301店。

その規模を日本に持ってくると、
ライフコーポレーションよりも、
ユナイテッド・スーパーマーケットよりも、
アークスよりも大きい。

もちろん平和堂や万代よりも、
スケールは大きい。

セーフウェイ+アルバートソンは、
セブン&アイ・ホールディングスよりも、
巨大だ。

そしてこちらは、
ポジショニング戦略を、
競争の中から身をもって理解していても、
それを店や売り場に実現することができない。

なぜなら強烈な個性の企業が、
アメリカでは目白押しだからだ。

カット・スロート・コンペティション。
喉を斯き切る競争。

かつては圧倒的なボリューム競争と、
激しい価格競争だった。

しかしいま、
ウォルマートのポジショニングは、
圧倒的だ。

クローガーも、
揺るぎのないポジショニング。

さらにホールフーズ、
トレーダー・ジョーなど、
模倣困難性と希少性を備えた、
絶対的な個性的チェーンストアがある。

そこにウェグマンズ、スプラウツ、
さらにアルディ、ウィンコフーズ。

ニューヨークに行けば、
フェアウェイマーケット、ゼイバーズ、
それにイータリーやチェルシーマーケット。

とんがりとこだわり。

半面、A&Pもセーフウェイも、
相対的にまったく特徴のない企業となった。

際立った個性を主張できなくなった。
アウトスタンディングなポジショニングを、
確立できなくなった。

だからこの程度の規模では、
太刀打ちできない。

ここで最も重要なこと。
「すぐ役立つことは、
すぐに役立たなくなる」

すぐに役立つ模倣を繰り返していると、
そこにはイノベーションが育たなくなる。

それがセーフウェイ+アルバートソン、
そしてA&Pだった。

〈結城義晴〉

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