結城義晴のBlog[毎日更新宣言]
すべての知識商人にエブリデー・メッセージを発信します。

2015年08月01日(土曜日)

「変化への対応」ができなければ4分の1に縮小する?

葉月ついたち。
英語でAugust。

もちろんローマ皇帝Augustusに由来する。
アウグストゥスはカエサルの養子で、
ローマ帝国初代皇帝。

暑い8月になりそうだ。

まず、流通のニュース。
「千葉パルコ、来年11月閉鎖」

開業は1976年。
千葉市内中心部の千葉銀座通りに立地。
売場面積は約4万㎡。
若者向けファッションを中心に、
テナント約110店舗が入居。

ピークは1991年度。
バブル崩壊直後。

その時点の年間売上高は約230億円。
直近の2015年2月期は約57億円。

4分の1。

理由の第一は、業態の陳腐化。
第二は、立地の衰退。
第三は、競争の激化。
第四は、商業集積としての増床のなさ。

日経新聞の記事には、
今年、増床開業した商業集積が列挙される。
三井アウトレットパーク幕張、
酒々井プレミアム・アウトレット。

どちらもアウトレットモール。

アメリカでも、
新しいショッピングセンターが次々に登場し、
古い商業集積を駆逐して、繁盛する。

パワーセンター、
ライフスタイルセンター、
アウトレットセンター、
そしてテーマ・フェスティバルセンター。

リージョナルショッピングセンターや、
スーパーリージョナルショッピングセンターは、
うんざりするほど古い。

コミュニティ型ショッピングセンターも、
パワーセンターやライフスタイルセンターに、
リニューアルしなければ、
やっていけない。

社会構造が変容し、
競争構造が変貌し、
商圏は縮小し、
何よりも消費者の生活が変化する。商業はその変化に対応せねばならない。
対応しなければ売上げが4分の1。そのあと閉鎖するか否かは自分の判断。

しかし、4分の1というところが、
象徴的で面白い。

さてTPP交渉は最後の詰め。

ハワイのラハイナで行われている。

環太平洋経済連携協定。
参加は12カ国。

医薬品に関する知的財産のルール、
乳製品の輸出入の枠で、
対立は表面化。

甘利明経済財政・再生相。
「知的財産で各国の利害がぶつかり
調整できなかった」

しかし、必ず交渉は成立し、
一歩も二歩も前進する。

「知的財産権」で論議されるのは、
極めて21世紀的だ。

新しい課題だからこそ、揉める。

古い課題は、だれが見てもわかりやすい。
それも揉めるには違いないが、
落ちるところに落ち着く。

新しい課題は、
従来と揉め方が異なる。

全体最適に向かって、
「神の手」が働く。
私はそう思っている。

その心積りで、
変化を見つめておきたい。

変化に対応できなければ、
4分の1に縮小してしまう。

日経新聞『大機小機』
コラムニストのカトー氏の見識には、
いつも感心している。

ローマ人のカトーにちなんだペンネーム。

タイトルは、
「やはり影響大きい消費増税」

「国内の消費が伸び悩んでいる。
総務省の消費水準指数によれば、
2013年の平均が100前後だったのに対し、
今年5月は96.5だった」

カトー氏は増税の影響が続く理由を考察する。
まず今回の増税は純粋な増税であるため、
家計の実質所得が減っている。

「加えて1997年の消費増税と比べて
日本経済に変化が生じている」

また、変化だ。

第1は、高齢者世帯の増加。
65歳以上人口の割合である高齢化率は、
97年が16%弱、14年は26%。

第2は非正規労働者の比率上昇。

高齢者や非正規労働者の平均所得は、
一般に低い。

消費は停滞する。

第3に、家計の貯蓄率の低下。
国民経済計算ベースの家計貯蓄率は、
1997年は9%、
2013年は何とマイナス1%。

要するに我が国の家計は、
貧しくなった。

だから消費増税による実質所得の変動に、
家計が対応できなくなっている。

ここでも変化への対応が出てくる。

消費は「現在の可処分所得に
敏感に反応する」

「ケインズ経済学的な状況が、
最もあてはまりやすいのが、
現在の日本経済である」

変化への対応ができなければ、
4分の1に縮小する。

千葉パルコの教訓は、
日本経済にも当てはまるか。

暑い8月になりそうだ。

〈結城義晴〉

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