結城義晴のBlog[毎日更新宣言]
すべての知識商人にエブリデー・メッセージを発信します。

2015年09月15日(火曜日)

伊藤ハム・米久、日本生命&三井生命、横浜銀行のM&A

箱根山が噴火警戒レベル2に戻った。
と思ったら、今度は熊本の阿蘇山。
噴火警戒レベルが入山規制の3に引き上げられた。

阿蘇山は巨大なカルデラだが、
そのカルデラ内側の中岳第一火口から、
高さ1000メートル以上の噴煙が上がっている。

私の立教大学院教授時代の同期が、
沖本美幸先生。

横浜のみなとみらいのマンション在住だが、
阿蘇に別荘を持っていて、
そちらに生活の主軸を移して、
悠悠自適。

その阿蘇がレベル3。

心配していたら、
ご本人は今、甲府にいて、
これまた悠々たるもの。

しかしそれでもお見舞い申し上げます。

一部の火山学者によると、
日本列島はどうやら、
100年に一度の、
マグマの活動期に入っているらしい。

ジタバタしても始まらない。

万全の態勢を敷いて、
その上で心静かに暮らしていくしかない。

今日は、イオンから来客。DSCN8987-5
イオンリテール㈱の小河原好弘さんと、
イオンコンパス㈱の高柳優子さん。
小河原さんは、
人事部人材育成グループマネジャー。

すっかり秋らしくなって、
横浜市立宮谷小学校横の
公園の銀杏も元気がいい。
DSCN8990-5

その宮谷小学校は私の母校。
壁面に子供たちの絵が展示されている。
DSCN8988-5

100周年記念の壁画。
DSCN8989-5
心が和む。

さて今朝の日経新聞。
一面トップから総合欄まで、
企業統合の話ばかり。

自然界の大変動とともに、
人間界・実業界にも、
大きな変動が起こっている。

まず一面トップ記事は、
「伊藤ハム・米久、
来年4月経営統合」

伊藤ハムは食肉加工品業界2位、
米久は同7位。

伊藤ハムの2015年3月期決算、
売上高は4811億円、経常利益65億円。

米久は2月期決算だが、
売上高1550億円、経常利益58億円。

合わせると6361億円。

食肉業界トップは、
日本ハムの1兆2128億円、
2位が伊藤ハム4811億円。
3位、プリマハムの3411億円、
4位、スターゼン2825億円、
5位、丸大食品2223億円、
6位、エスフーズ2141億円、
そして7位が米久で1550億円。

来2016年4月に、
新会社のホールディングカンパニーが設立され、
2社は事業会社として傘下に置かれる。

年商は日本ハムの半分ほどだが、
ハム・ソーセージ事業の国内シェアはトップ。

両社の筆頭株主はいずれも三菱商事。
2009年に3社は包括業務提携をしているが、
それをさらに強化し、商品調達力を高め、
さらに日本ハムが得意な海外市場も見定める。

持ち株会社の社長には、
三菱商事出身の伊藤ハム・堀尾守社長が就く。

堀尾さんは、三菱商事時代、
飼料畜産部長、
食糧本部長などを歴任。
2009年に伊藤ハム副社長、
2010年に代表取締役社長に就任。

この案件にうってつけの経営者だ。

日経記事は総括する。
「両社の統合で、
これまで無風だった食肉業界でも
再編が進む可能性がある」

私もそう思う。

一方、日経新聞の総合欄『迫真』。
「生保サバイバル」
連載の第1回。

2014年4~6月期に、
日本の生命保険業界で異変が起きた。
100年以上、日本生命が、
首位の座を占め続けてきた。
それを第一生命保険が躍進、逆転。

そこで日本生命は、
約10分の1の三井生命を、
「三顧の礼 で迎える」ことで、
買収交渉が決着。

三井生命との統合を噂された住友生命は8月、
米中堅生保シメトラ・ファイナンシャルを、
5000億円弱で買収。

その直前の7月、
保守的な社風の明治安田生命保険まで、
米スタンコープ・ファイナンシャル・グループを
6000億円強で、買収。

2月には第一生命が、
米プロテクティブ生命を買収。

「海外M&Aラッシュの次には、
国内再編というのが業界の共通認識だ」。

その通りになった。

国内には約40社の生保がひしめく。

日経の結論。
「日生の三井生命買収で
大再編時代の号砲が鳴った」

さらに日経『旬の人時の人』は、
寺沢辰麿さん。
財務省理財局長や国税庁長官など要職を歴任、
2011年、横浜銀行の頭取に就任。

今年9月、
東日本銀行との経営統合で最終合意。
来年4月、日本最大の地方銀行グループ、
「コンコルディア・フィナンシャルグループ」が、
誕生し、そのトップに就く。

多くの地銀は、
地域経済の停滞に頭を悩ませる。
日本の流通業もその地銀を、
メインバンクにしている企業が多い。

他人ごとではない。

「きちっとした経営基盤を持っていてこそ
地元に貢献できる」
寺沢さんの統合の理由。

地銀にも「かつてない再編の嵐」

その地銀の2014年度預金額ランキング。
1位 横浜銀行〈神奈川県〉11兆8,683億円
2位 千葉銀行〈千葉県〉10兆1,219億円
3位 福岡銀行〈福岡県〉8兆4,245億円
4位 静岡銀行〈 静岡県〉8兆2,343億円
5位 常陽銀行〈茨城県〉7兆4,909億円
6位 七十七銀行〈宮城県〉7兆1,329億円
7位 西日本シティ銀行〈福岡県〉6兆5,166億円
8位 京都銀行〈京都府〉6兆2,992億円
9位 広島銀行〈広島県〉6兆1,881億円
10位 八十二銀行〈長野県〉6兆0,013億円

ちなみに同じ決算期の2行。
イオン銀行は1兆7158億円、
セブン銀行は4376億円。

先日、親しくなったのが、
広島銀行頭取の池田晃治さん

中四国第一の地方銀行にして、
福山市に本拠を置くエブリイのメインバンク。
その池田さんは、「地域密着型金融」を標榜する。
素晴らしい。

都市銀行はすでにあらかたの再編が終り、
「三占」のメガバンク状態。

そして地方銀行も、生命保険も。
金融の再編が進めば、
他の業種業態にそれが伝播する。

かくて小売業ローカルチェーンでもM&Aが促進される。

食品産業、
生命保険業、
地方銀行。

期せずして並んだ今日の日経新聞。

寺沢辰麿さんの言葉が印象的だ。
「きちっとした経営基盤を持っていてこそ
地元に貢献できる」

それはこう言い換えることができる。
「きちっとした経営基盤を持っていてこそ、
顧客に貢献できる」

企業統合が、
経営基盤の安定に、
直結しているかどうかは、
一様ではないけれど。

〈結城義晴〉

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