今、何度でも、
ブレーズ・パスカル『パンセ』から。
「人間はすべて幸福になろうとしている。
これには例外がない」
「幸福になろうとする方法に違いはあっても、
全員がこの目標を目指している。
戦争に行く者もいれば、
行かない者もいるが、
どちらもこの幸福になりたいという
同じ願望から発している」
「願いは両者とも同一であり、
違った見方が付随しているだけだ」
現代社会にもこれは多い。
というか現代社会そのものが、
この指摘で出来上がっている。
違った見方が付随しているだけ。
「意志というものは、
この目標に向かう以外には
いかなる小さな行動も起こしえない」
「これこそ、ありとあらゆる人間の
ありとあらゆる行動の動機であり、
首を吊ろうとする人もまた例外ではない」
〈断章425〉
安全保障関連法案、
参議院本会議で可決。
「もし、わたしたち人間の条件というものが、
本当に幸福だとするなら、
わたしたちはそのことを
考えようとする必要もなく、
幸福になることができるはずなのだ」
〈断章165〉
「人間はすべて幸福になろうとしている。
これには例外がない」
さて、日経新聞一面に、
「セブン&アイ、ヨーカ堂2割閉店」の記事。
そのあとも総合面で、
きょうのことば「総合スーパー」。
企業面で、
「ヨーカ堂 消費多様化への対応遅れ」。
三本立て。
Daily商人舎も、
「イトーヨーカ堂不採算店2割40店舗閉鎖」
商人舎の記事は、
チェーンストア理論の、
近代化と現代化を結論にした。
日経の記事で重要なのは、
この表。
3社の総合スーパー。
イオンリテールが344店、
2兆1172億円の売上げで、
25億円の営業利益。
イトーヨーカ堂は181店で、
1兆2859億円、利益は18億円。
ユニーは226店で年商7456億円、
営業利益104億円。
なんだ、ユニーが、
一番利益を出してるじゃん。
そう、思ってしまう。
イオンは旧マイカルやダイエーなど、
多くの企業を併合して、
総合スーパー群を形成。
イトーヨーカ堂はほとんど、
自前の出店物件。
ユニーはかつての自社スーパーマーケット、
「ユーマート」を併合した結果。
だから店数も一番多いが、
他社に比べると店舗規模が小さい。
そして1店当たり売上高を計算すると、
イオンリテール61億5465万円、
イトーヨーカ堂71億0442億円、
ユニーは32億9912万円。
これでユニーには、
スーパーマーケット級の「総合スーパー」が、
多いことが分かるが、
同時に総合スーパーよりも、
食品スーパーが、
利益率が高いことも判明する。
だからイトーヨーカ堂も、
立地の悪い総合スーパーを閉鎖して、新規には、
「食品館」と称するスーパーマーケットを開発する。
日経新聞の「きょうのことば」では、
こう定義されている。
「食料品から衣料品、日用品、住居関連まで
衣食住に関わる商品を総合的に扱う大型小売店」
この定義は間違っていない。
欧米分類では、
「ハイパーマーケット」という。
米国ウォルマート「スーパーセンター」は、
ハイパーマーケット業態分類に入るが、
自社のこの業態のバナーを、
「スーパーセンター」と称する。
それを業態用語ととらえてしまうという錯覚は、
滑稽にも蔓延している。
日経定義は続く。
「ゼネラル・マーチャンダイジング・ストアの
頭文字をとり、GMSと呼ばれることもある」
これに関しては、ややこしい。
私はアメリカ商業センサスの分類を使って、
本来のGMSは、
ディスカウントデパートメントストア
であることを解明している。
だから日本の総合スーパーは、
ハイパーマーケットを目指すのか、
ディスカウントデパートメントストアを
志向するのか。
判断を迫ってきた。
イトーヨーカ堂も、
ユニーグループも、
2割から3割は閉鎖と判断し、
残りは検討中。
イトーヨーカ堂は後者を選択し、
ユニーは前者を選ぶだろう。
イオンはもう決断を下して、
中身の充実に向かっている。
日経企業欄の見出しは、
「ヨーカ堂 消費多様化への対応遅れ」とあるが、
これは当たっていない。
1997年に総合スーパーはピークを迎えている。
私の見解は、
多様化への対応ではなく、
業態と立地と、
そしてチェーンストア方式の問題である。
記事には、
「ヨーカ堂が首都圏に経営資源を集中」とあるし、
ユニーも「地盤の中部エリア」に経営資源を集める。
これはセブン&アイが否定する
チェーンストア理論の中の、
リージョナルチェーン構想だ。
私はこれも言い続けているが、
イトーヨーカ堂もユニーも、
ナショナルチェーンをやめて、
リージョナルチェーンに徹するべきだ。
「総合スーパーのなかでも
地方には業績が堅調なチェーンもある」
イズミや平和堂、サンエーだ。
しかしこれらの企業はみな、ニチリウ。
そしてリージョナルチェーン。
「地域密着の品ぞろえや
販売戦略が支持されている。
単身や共働き世帯の増加、
地方と都市の所得の差などにより
消費者の需要は多様化。
全国一律の大型店で
幅広い需要を満たすことは難しくなっている」
この発想は完全に、
レース型競争の中にあるし、
米国ウォルマートスーパーセンターも、
実は3407店の個店ごとに品揃え対応している。
「全国一律の大型店で、
幅広い需要を満たす」など、
高度成長時代以外には成り立たない。
高度成長中の中国は、
だからハイパーマーケット全盛である。
チェーンオペレーションのメリットを享受しつつ、
地域対応する。
「N個の独立した政策目標を
同時に達成するためには
N個の独立した政策手段が必要である」
「全国一律の大型店で、
幅広い需要を満たす」
これは一石三丁くらいの、
虫のいい考え方だ。
さて、今日は午後から、
東京・新小平。
第一屋製パン㈱本社。
取締役会に出て、質問をし、意見を言う。
そのあと、2時間ほど、
全国の営業マンと本社幹部が集まって、
私の講義第2回目。
そして懇親会。
営業本部広域グループの面々。
営業ウーマンが多いのが、
営業本部量販グループ。
そしてキャラクター商品グループ。
みんな、パンを通じて「幸福」を売ろうと、
頑張っている。
そして二次会懇親会。
役員幹部のみなさんと交流した。
「人間はすべて幸福になろうとしている。
これには例外がない」
〈結城義晴〉