緒方知行さんの「お別れの会」
昨日、ホテルニューオータニで開催された。
代表世話人は、
清水信次さんと鈴木敏文さん。
世話人は川野幸夫さん、
椎名誠さん、島田陽介さん、
広瀬勝貞さん、そして柳井正さん。
ありがとうございました。
私には、バリュークリエイター社から、
10月8日付でお知らせが来た。
残念ながらアメリカに出張中だった。
当日も、帰国してすぐに、
大阪出張が入っていて、
献花にも行けなかった。
代わりに松井康彦さんに出席してもらった。
商人舎エグゼクティブプロデューサー。
私にとっては、
社会人になって最初の上司が、
緒方さんだった。
1977年当時の㈱商業界、
流通革命の一翼を担ったメディアが、
月刊『販売革新』。
その編集部はまさに強者揃い。
編集長が緒方知行さん。
高橋栄松さん、五十嵐宅雄さん、
伊東清さん、高濱則行さん。
広告営業担当は松井康彦さん。
そして新入社員の結城義晴。
高橋さんは緒方さんの後を継いで、
『販売革新』編集長となり、
五十嵐さんは緒方さんの次の『商業界』編集長。
伊東さんも、
『商業界』『販売革新』編集長を歴任、
高濱さんは緒方さんと前後して退社してから、
その主宰する『2020AIM』の編集長になった。
松井さんは営業担当取締役から、
取締役営業本部長になった。
私は『食品商業』『販売革新』編集長を務め、
取締役編集統括から、
代表取締役社長となった。
松井さんとふたり、
最後に残った「緒方組」となって、
商業界経営を担った。
編集長時代も、編集統括時代も、
社長になってからもずっと、
私は「編集者は自分で書く」を実践し、
部下を、そう教育してきた。
自分で書けない者が、
他者の書いたものを評価はできないし、
編集はできない。
緒方さんの持論だった。
私もそう考えた。
そしてそれは今でも、
絶対に正しいと思っている。
書くことはすなわち、
考えることだ。
考え抜くことだ。
自分の目で見て、
自分の耳で見て、
自分の頭で考え抜くからこそ、
時代が見えてくる。
ピーター・ドラッカーと同じ。
私たちは、
書くことから離れると、
考えられなくなる。
考えられなくなると、
真実が見えなくなる。
だから私は毎日更新宣言して、
毎日、書いている。
帰国して、日経MJを開くと、
10月5日の『斜光線』に、
編集委員の田中陽さんが、
「緒方知行氏の慧眼」と題して、
評伝を書いてくれていた。
「現代流通史の語り部だけでなく、
セブン-イレブンが革新を続けて
流通革命に進むのを
同社の創業時から洞察し、
ダイエーの未完の流通革命と
その行く末まで言い当てていた
慧眼には脱帽する」
田中さん、ありがとう。
緒方さんは最後まで、
書き続けた。
考え続けた。
私も同じように最後まで、
書き続ける。
考え抜く。
一日でも、
緒方さんより長く、
と、実は思っている。
2010年6月18日に開催されたのが、
月刊『2020 Value Creator』
創刊25周年&300号記念パーティ。
当時、㈱菱食相談役だった廣田正さんが、
儒学者の佐藤一斎の言葉を、
緒方さんに贈った。
少にして学べば、
すなわち壮にして為すあり。
壮にして学べば、
すなわち老いて衰えず。
老にして学べば、
すなわち死して朽ちず。
緒方さんは、
最後まで書き続け、
最後まで考え抜いた。
すなわち、死して朽ちず。
心からご冥福を祈りたい。
合掌。
さて、㈱ファミリーマートと、
㈱ユニーグループホールディング。
両社は経営統合に向けて基本合意した。
ユニーは創業者・西川俊男さんとともに、
「流通革命」を志した。
そしてチェーンストア第3位として残った。
日経新聞では両社の株式交換比率を、
1対0.138と報道。
ファミリーマート1株を100とすると、
ユニーグループのそれは13.8。
1000対138。
ユニーもずいぶんと軽い会社となった。
一方、イオンリテール㈱は、
新潟県の清水商事㈱を買収して、
県内のマックスバリュ東北の店舗と統合。
マーケットシェアを高める作戦に出た。
清水商事は、戦後、
中島清さんが会社を創業し、
1957年にスーパーマーケット化、
「清水フードセンター」の名称で、
先駆的な役割を果たした。
そして1978年には、中島さんが、
日本セルフ・サービス協会会長に就任。
現新日本スーパーマーケット協会。
私も中島さんには、
何度かインタビューをした。
詳細はDaily商人舎に掲載。
「清水商事買収によるイオンリテールの
マルチフォーマット・マルチバナー戦略」
しかし、これから年末に向けて、
M&Aは頻発してくるだろう。
その時に、いつも私は言う。
「商人には本籍地と現住所がある」
特に、買収されたり、
合併されたりする側の
会社の社員のみなさん。
商人としての本籍地を忘れずに、
誇りをもって仕事してほしい。
もちろん現住所は、
たいていの場合、
ちょっと慣れると住みやすくなる。
住めば都。
本籍地に誇りを持ちつつ、
現住所をより良いものにする。
それが商人の本籍地と現住所。
このことを忘れないでほしい。
さて今日は、朝から、東京・清水橋。
㈱伊藤園本社。
1階ロビーには、
紅葉のプレゼンテーションがあった。
業界第一の大陳コンテスト。
その審査会。
審査委員が、選抜された優秀作品に、
それぞれに付箋を貼っていく。
そしてコースごとに大賞、優秀賞を選考。
同票の場合、議論して決める。
すんなり決まりました。
店舗賞を決め、企業賞を決定。
その後、今回の総評。
最後に恒例の雑誌用写真撮影。
右から伊藤園副社長の本庄周介さん、
副会長の江島祥仁さん、
社長の本庄大介さん。
そして私の隣が松井康彦さん、
竹下浩一郎さん。
松井さんは私の同志で、
商人舎エグゼクティブディレクター、
竹下さんは現『食品商業』編集長。
つまり私の後輩。
その後、関係者全員揃って、
このブログのための写真撮影。
お疲れ様、いい審査でした。
そしてこれも恒例。
江島さんの部屋で情報交換。
アメリカの最新情報や、
国内チェーンストアの動向など、
互いに知見を交換しつつ、
私はその見方を語る。
ありがとうございました。
壮にして学べば、
すなわち老いて衰えず。
老にして学べば、
すなわち死して朽ちず。
緒方さんも、松井さんも、私も、
本籍地は商業界。
私の現住所は㈱商人舎。
緒方さんの現住所は、
天国だろうか、
極楽だろうか。
ふたたび合掌。
〈結城義晴〉