「眠りの新常識」
1年前の私のメモ。
2014年8月の「ナショナルジオグラフィック日本版」
医学博士の三島和夫さんが書いている。
国立精神・神経医療研究センターの
精神保健研究所精神生理研究部部長。
睡眠薬の臨床試験ガイドライン、
同適正使用と休薬ガイドライン、
睡眠障害の病態研究などに関する
厚生労働省研究班の主任研究者を歴任。
つまり「眠り」の専門家。
アルトゥル・ショーペンハウアーを引用。
「永久の眠りを借金、
睡眠を“当座の”返済」
三島さんも名言という。
「ぐっすり眠ることで
利息を多めに支払えば
元金返済を求められるのが遅くなる、
つまり長生きできる」
三島さんの「適正睡眠時間」の説明。
三つの要因で決まる。
第1は体質で決定されている必要睡眠量
第2は睡眠ニーズに関わる生活習慣
第3は睡眠不足に耐える力
これに季節変動や加齢の影響が加わり、
その時、その人にとっての適正睡眠時間が決まる。
第1の要因、必要睡眠量。
一般人の必要睡眠時間には、
せいぜい2時間程度の個人差しかない。
「我々の睡眠時間は思いのほか
公平にセッティングされている」
だから第2の要因「生活習慣」が
重要になる。
アスリートが現役を引退すると、
いきなり睡眠時間が短くなる。
「消費エネルギー量と睡眠時間との間に
関連がある」
「睡眠の最大の役割は休養である」
ショーペンハウアーの名言を思い出す。
第3の要因は、
眠気に打ち勝つ力の大きな個人差。
「メカニズムはいまだ不明だが、
夜型の人は睡眠不足に強い」
一方、朝型の人は、
睡眠リズムは規則正しいものの
睡眠不足には弱く、
夜勤は苦手。
「ちなみに、メディア関係者で
『朝型です!』と力強く答えた人に、
私は2、3人しか出会ったことはない。
圧倒的多数は『夜行性』という印象。
夜型にクリエイティブな人が多いのか、
単なる生き残り効果か、
これもまた理由は不明である」
私の場合を考える。
第1の「必要睡眠量」は個人差は少ない。
公平である。
第2の「生活習慣」は、
消費エネルギー量が多ければ、
睡眠時間は長くなる。
つまり仕事して、眠る。
ゴルフして、眠る。
これがいい。
第3に「眠気に打ち勝つ力」は、
完全な「夜型」のメディア関係者だから、
持ち合わせている。
結論は、仕事はいい。
ゴルフもいい。
そして眠りたいときに眠れ。
昨日から、今日にかけて、
たっぷり眠った。
時差ぼけもあるだろうから、
本当にたっぷり眠った。
さて、アメリカ報告が中断していた。
ニューヨーク2日目は、
10月10日土曜日。
朝からニュージャージーへ。
ウェグマンズを訪問。
ウェグマンズは、
ライフコーポレーションと重ねて、
その政策を語った。
その後、マンハッタンに戻って、
イーストリバープラザ。
マンハッタンに出現したパワーセンター。
これが地下1階から地上4階までの5層だが、
大大大繁盛。
地下1階にはペッツマート、
3階はオールドネイビー。
4 階はマーシャルズ。
2階にはターゲットとアルディ。
つまりディスカウント業態が集積された、
強力なショッピングセンター。
しかしかつては、固定観念があった。
ディスカウント業態は、
ローコストでなければならない。
だから地価の高い、家賃の高い、
そしてテナント料の高いところには、
出店できないし、してはならない。
マンハッタンはその最悪の出店立地だ。
しかしその考えは完全にひっくり替えされた。
このイーストリバープラザによって。
ディスカウントとは、
経費を上回る売上げと利益をつくること。
しかしそれは、経営として当たり前のこと。
ディスカウント戦略は実は、
当たり前の営業行為なのです。
だからただの安売りでは、
ディスカウントといっても、
特長がなくなる。
ウォルマートやターゲット、
アルディやウィンコは、
ただのディスカウントではない。
ポジショニングを持ったディスカウンター、
なのです。
だから私は必ず、ニューヨークで訪れる。
そしてこの繁盛ぶりを見て、いつも、
固定観念から脱することの重要性を思う。
その核となっている店が、コストコ。
1階に天井を高くして、デンと座る。
この陳列量。
シーゾナル商品の衣料品も、
山と積まれ、どんどん売れていく。
一番奥の主通路沿いの生鮮食品売り場も、
顧客でごった返している。
青果部門と乳製品部門は、
クーラールームを設置している。
駐車場も地上5階までの多層構造。
しかし地下鉄や徒歩で来店して、
大量に購買し、タクシーで帰る顧客も多い。
イーストリバープラザを後に、
5番街のイータリーへ。
もう、ニューヨークに来たら、
絶対に訪れねばならない。
目の前のマジソンスクエア公園には、
ハンバーガーのシェイクシャックもある。
イータリーは、
内食、中食、外食の融合。
まさに未来店舗。
そしてこの繁盛ぶり。
シカゴのイータリーもいい。
私がはじめて紹介して、
いろいろなツアーがそこへ向かう。
しかしニューヨーク・イータリーは、
2010年にオープンして5年。
実にオペレーションがいい。
そしてこのイータリー・コンセプトは、
マンハッタンで他分野に広がっている。
燎原の火のごとく。
チェルシーマーケットがそれを示す。
しかしフランス食品のイータリー版がある。
それは商人舎magazineの
weekly商人舎で紹介する。
これはいい。
イータリーの次には、
フェアウェイマーケットの新店。
ニューヨークのローカルチェーン。
資本グループに買収され、
株式公開して、急速出店。
フェアウェイマーケットの良さを、
新店に最大限盛り込もうとしたが、失敗。
これは日本のローカルチェーンに、
大いなる教訓だ。
次に、バスを乗り捨て、ブロードウェイを歩く。
これも、ニューヨークの楽しみ方。
まずゼイバーズ。
コーヒーは素晴らしい。
いつも買って帰る。
魚の燻製売り場も伝統の強さ。
もちろんチーズ売り場は圧巻。
そして2階のキッチン用品売り場。
楽しくて、帰る気がしないくらい。
歩いていくと、
ウェストサイドマーケット。
店頭に青果を陳列して、
フェアウェイマーケットと同じ。
ナマズの寝床のように奥が深い店舗構造。
しかししっかり顧客をつかんでいる。
さらに歩くと、シタレラ。
ニューヨークデリの店だが、
2層で生鮮食品もグロサリーも、
高級品がそろう。
店舗の奥の鮮魚売り場は、
氷が敷き詰められ、鮮度感で圧倒。
隣にフェアウェイマーケットの本店。
こちらは大繁盛。
なぜ、新店がダメで、
本店はいいのか。
私は考えた。
これもできればweekly商人舎で、
披露したい。
ブロードウェイを歩いていると、
日が暮れてきた。
最後にトレーダー・ジョー。
地下1階と地下2階の2層。
地下2階のグロサリー売り場。
もう商品は売り切れ続出。
冷凍食品の平ケースも、
山と積まれていたが、底が見え始めた。
こちらも、同様。
トレーダー・ジョーには必ず、
ニュー・アイテムエンドがある。
新商品もドンドン売れる。
エスカレーターで、
地下2階から地下1階に上がる。
カートも隣のレーンで上がる。
この設備がないと、
2フロアのスーパーマーケットは、
成り立たない。
そして地下1階。
バナナはいくら補充しても、
すぐにこんな状態になる。
レジは長い長い行列で、
地下1階の全フロア200坪を、
大おろちのように、うねっている。
そしてとうとう入場制限。
土曜日の夕方だからではない。
ウィークデーでも、混んでくると、
夕方には入場制限。
ブロードウェイにトレーダー・ジョーが出店すると、
こんな状態になる。
地価の高いところで商売が、
できないことはない。
古典的なチェーンストア理論に毒されていると、
この繁盛の理由が見えない。
トレーダー・ジョーの店の1階2階には、
デュアンリードが入居。
ウォルグリーンに買収された、
マンハッタンのドラッグストア。
そのウォルグリーンは、
ヨーロッパのアライアンスブーツと統合。
だから必ずブーツのコーナーがある。
ブロードウェイは、
碁盤の目のように道路が走るニューヨークで、
斜めに走る大動脈だ。
そのブロードウェイを、
スーパーマーケット漫歩。
試してください。
帰りは全員で、地下鉄。
地上は車が大渋滞。
だから地下鉄が一番。
ニューヨークの地下鉄は、サブウェイ。
ロンドンの地下鉄はアンダーグランド。
そしてパリのそれはメトロ。
早いし、安全だし、安い。
あっという間に、
コロンバスサークル駅。
地上に上がると、
コロンブスの像。
ホテルはすぐそこ。
お疲れ様。
といった、10月10日のニューヨーク。
思い出したら、元気が出てきた。
また、11月に行きます。
では、みなさん、
よい週末を。
〈結城義晴〉