読売ジャイアンツ。
プロ野球の巨人軍。
福田聡志投手が野球賭博に関与していた。
しかしそれだけでは終わらなかった。
笠原将生、松本竜也両投手も、
野球賭博を行っていた。
まだまだ蔓延していた可能性もあるだろう。
なにしろ彼らの賭博の中に、
「ジャイアンツ・ルール」まで、
あるらしいのだから。
もちろん野球賭博をやった選手は悪い。
しかしこれは巨人軍の組織が、
ひどく悪化していることを示している。
原辰徳監督の辞任もこのためだろうし、
マネジメントの実力は全く未知数だが、
イメージがよさそうな高橋由伸への監督打診も、
組織風土の低落と関係している。
ジャイアンツはさらに低迷する。
そしてそれは、しばらく続きそうだ。
はっきり言えば、
「老害」が第一原因の組織病だからだ。
こんな時に、この球団は必ず、
「ミスター」を持ち出して解決しようとする。
長嶋茂雄だ。
これもこの球団と親会社の卑怯なところ。
それがまたチーム内に、
変な影響を与える。
長嶋茂雄自身は極めて純真で、
彼には全く罪はないのだけれど。
それがこの球団の不幸でもある。
明日はプロ野球の未来を担う、
若い人材を選択するドラフト会議だ。
さて、商人舎ミドルマネジメント研修会、
略して商人舎MMS。
今回は第8回で、その2日目を迎えた。
朝7時45分にはもう全員が会場に集合。
8時15分からの理解度テストに備え、
最後の復習。
理解度テストが開始されると、
鉛筆の音がシャリシャリと会場に響く。
設問は○×式ではない。
いずれも記述式で、しかも
自分が理解したことを、
自分の言葉で書く。
学校を卒業してから、社会人になって、
抽象的な概念をこんなに勉強し、
考察することはないだろう。
それが、商人舎ミドルマネジメント研修会の、
最大の特徴のひとつだ。
研修会2日目の第1講座は、
私の講義。
はじめに理解度テストの回答を、
すぐに解説する。
カスタマーサティスファクション(CS)と
エンプロイーサティスファクション(ES)。
企業の成長に必須の考え方を、
日米の事例を挙げながら講義。
第2講義は白部和孝さん。
いまや日本の計数管理の第一人者で、
実務に即した指導は秀逸。
白部さんは『商人舎magazine』に
毎月連載してくれているが、
その記事も大好評。
講義で理論を教え、
電卓で計算させながら、
演習形式の講座は進められていく。
現場の仕事に即した売場改善の計数を、
在庫コントロールから人時管理まで。
朝9時からスタートした2日目は、
夜8時まで8講義。
白部さんの後は、
残り4講義を私が担当。
この研修会の肝となる、
アンリ・ファヨールから、
ドラッカー、ミンツバーグまでの、
マネジメント理論の変遷について講義。
日本のチェーンストア産業には、
古いマネジメント論の弊害がうずもれている。
日本のスーパーマーケットも、
官僚化や大企業病のDNAを持っている。
商人舎ミドルマネジメント研修会は、
ドラッカーのマネジメントをベースにしている。
だから4時間の講義の後半は、
ドラッカーのマネジメント一色。
それが官僚化、大企業病化といった、
悪い兆候を払しょくする理論と手段だからだ。
最後は「責任の組織化」や「目標管理」、
そして「コミュニケーション」の詳細を講義。
コミュニケーションは、
受け手の知覚の範囲内でなければならない。
だから、一人一人の顔を見て、
受け手がどれだけ理解できているか。
私自身、言葉を選び、
言葉を繰り返し、
コミュニケートする。
長い長い、
ミドルマネジメント研修会の2日目。
お疲れさま。
でも、受講者たちの夜は長い。
明日の朝も2回目の理解度テスト。
自室で、自習室で、
それぞれが今日、学んだことを復習する。
昨夜は3時まで学習し、
2時間の仮眠で、早朝、
再び復習したという強者もいた。
それでいて日中は、
真剣に受講し、聴講する。
3日間、ハードに学ぶことは、
決して無駄にはならない。
本物の知識商人への第一歩を、
一人一人が踏み出す。
知識商人がいる組織は、
官僚化や大企業病と闘う。
「ジャイアンツ・ルール」のような、
不気味で汚れた風土は生まれない。
(つづきます)
〈結城義晴〉