結城義晴のBlog[毎日更新宣言]
すべての知識商人にエブリデー・メッセージを発信します。

2015年10月31日(土曜日)

SC大型化トレンドと『私の履歴書』葛西敬之の国鉄改革

15年10月最後の日。
サタデー・ハロウィン。

仮装を楽しむ祭り。

商人はどんなことにも反応して、
顧客とともに楽しむべし。

私は身支度をして、
横浜商人舎オフィス。

月刊『商人舎』最後の入稿。
今年も11冊目が出来上がりつつあります。
ご愛読に心から感謝。

オフィスに着くと、
AJSネットワーク11月号が届いていた。
DSCN7279-5

第95回目の連載。
「スーパーマーケット応援団長の辛口時評」

こちらもご愛読、ありがとうございます。

いいものです。
刷りたての新しいインクの匂い。

私の駆け出しのころの凸版印刷では、
活字が盛り上がっていた。
誌面を指で触ると、ザラッとした。

あれもよかった。

もうそろそろ40年になる
日本の小売流通業を観察し、
取材し、考察し、意見を言う。

それが私の仕事。

近年は日本に限らないけれど。

さて、日経新聞の記事。
「ショッピングセンター、大型化の波再び」
今年の10月までに開業したのが41施設。

その今年の平均店舗面積は2万1242㎡。

2008年秋のリーマン・ショック後に比べて、
3割近くの拡大。

さらに年末にかけても、
8万㎡級のショッピングセンターが登場。

12月開業の「イオンモール常滑」。
総リース面積8万2800㎡。

そのうち3割強の2万6000㎡が、
屋外レジャー設備。

全長600メートルのカートサーキット、
アスレチック、温浴施設を備える。

常滑のモールは、
物販と非物販が半々。

アメリカでも新しいモールは、
4つに分類されている。

第1がパワーセンター、
第2がライフスタイルセンター、
第3がアウトレットセンター、
そして第4にレジャー・フェスティバルセンター。

常滑は第4の要件を強化した。

イオンモールはもはや、
国内に約140カ所のSCを運営。

古典的なショッピングセンター分類は、
古典的なチェーンストア理論や、
古典的な業態理論同様に、
「基本や原則を補助線にせよ」
ピーター・ドラッカーのポストモダンの七つの作法。

一方、三井不動産「ららぽーとEXPOCITY」。
大阪府吹田市に11月開設の約17万㎡の敷地。

水族館の「海遊館」の施設、
実用的な英語の体験学習施設など、
順次8つのサービス施設をそろえる計画。

Daily商人でも報告したが、
日本ショッピングセンター協会の既存店数値。
4~9月の売上高は前期比2.1%増。

総合スーパー、食品スーパー、コンビニなどと、
そう変わるものではないけれど、
訪日外国人客を呼び寄せ、
ガソリン安で週末のレジャー消費の受け皿になる。

その代り、地方施設、老朽化施設は、
淘汰される。

2016年1月末、「ラフォーレ原宿・新潟」は閉鎖、
「千葉パルコ」も16年11月に閉鎖。

ラフォーレやパルコは、厳密な意味では、
ショッピングセンターとは呼べないけれど、
古いもの、弱いもの、個性のないものから順に、
マーケットから「No」を突きつけられる。

そんな現象はアメリカの方が早い。
つまり「すでに起こった未来」
これもドラッカー先生。

私は明日、そのアメリカに旅立つ。

さて今日の最後は、『私の履歴書』
どうしても10月中に触れておかねばならない。
JR東海名誉会長の葛西敬之さん。

松田昌士、井手正敬とともに、
国鉄改革3人組と呼ばれた。

東大法学部出の超エリートで、
旧国鉄に就職。

キャリア組として順調に昇進して、
国鉄の分割民営化に粉骨砕身。

この『私の履歴書』の例にもれず、
壮大なる自慢話なのだが、
その凄さに胸打たれる。

第12回は「静岡で総務部長」
1977年、静岡鉄道管理局の総務部長に就任。

当時、国鉄には三つの主要な労働組合があった。
国鉄労働組合(国労)、
国鉄動力車労働組合(動労)、
鉄道労働組合(鉄労)。

最大の組織は組合員25万人国労。
私自身、付き合いがあったし、
人間は皆、よかった。

動労は新左翼で戦闘的、
保守派で穏健な鉄労。

ここで葛西さんは、
静岡鉄道管理局の総務部長として、
一切の妥協をせず、
労働組合と向き合った。

続いて第13回は「激戦地の仙台」

「現場にはびこる悪慣行をやめさせ、
国鉄労働組合に
徹底した信賞必罰で臨んだ」

組織の方針や価値観にとらわれずに
実態を見極め、自分が正しいと思うことをやる。
この姿勢を貫くことで、葛西さんは自立した。

その後本社に戻り、
国鉄を分割民営化し、
本州3社(東日本、東海、西日本)と、
島3社(北海道、九州、四国)、
さらに貨物の1社を発足させる。

1987年4月のことだ。

「タスクフォース(特別チーム)方式で行こう」
それが葛西さんの発想転換。

国鉄改革3人組のタスクフォース。

私は商人舎ミドルマネジメント研修会で、
チームマネジメントを語る。

その基本的な考え方は、
タスクフォースやプロジェクト。

「特別チームは総裁の手足である。
少人数が随時総裁室に集まって検討し、
次々実行に移す。
組織規程上どこにも存在せず、
何の権限もない2つのチームが、
分割民営化という最重要課題を
一手に引き受け、総裁に提案し、
決めていった」

改革ののろしを上げ、
それを遂行するのは、
ミドルマネジメントだ。

そのあたりの経緯が、
国鉄分割民営化のストーリーの中で、
克明に描かれる。

葛西敬之の『履歴書』は、
この若き職員課長時代こそ、
輝いている。

第21回は「合理化提案」
1985年10月、過去に例を見ない
「10万人合理化計画」が各労組に提案された。

葛西さんは語る。
「合理化施策を推進する際の鍵は、
大義名分と不動の意志である」

「あのやり方しかなかったと思っている」
葛西敬之の述懐。

さらに第22回は「国鉄改革法成立」

「改めて思うのは、
信頼して任せきることができる
『僚友』の存在である。
私は何人もの良き僚友に助けられて
ここまで来た」

「分割民営化は
『まさにこの時しかない』という
絶妙なタイミングだったからこそ
可能だった」

そしてまたしても述懐。
「『もう一度やってみろ』と言われても
二度とはできない。
時の運、人の縁、
そして僚友たちがいて、
JRは誕生した」

葛西敬之46歳のときの仕事。
すごい物語だ。

二度とできない仕事、
あのやり方しかない仕事。
それは葛西の40台の仕事だった。

〈結城義晴〉

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