朝、目覚めると、堺港。
昨日の講演は、うまくできたし、
満足感に浸った。
さて、ワタミの「過労自殺」訴訟。
東京地裁で和解が成立。
経緯はまず、2008年4月、
森美菜さんがワタミフードサービス入社。
神奈川県内の店舗に配属。
休日もほとんど取れず、
連日、午後から深夜、あるいは早朝にかけて、
長時間勤務を強いられて、
6月に自殺。
残業は月140時間以上、
過重労働が原因。
適応障害を発病したとして、
2012年2月に労災認定された。
森さんの遺族は12年9月に、
ワタミに対して協議を申し入れる。
13年、遺族は提訴。
ワタミ側は当初、
「法的責任はない」として争っていた。
2013年5月、ワタミ創業者の渡辺美樹氏、
自民党から参院選への立候補表明。
2014年3月、渡辺氏は東京地裁で、
「法的責任は見解に相違」と陳述。
しかしこの2015年12月、
ワタミ側が法的責任を認め、和解。
ワタミ側は約1億3000円を支払い、謝罪。
社員らの長時間労働防止策も盛り込んだ。
至極、当たり前のことだが、
研修会などを労働時間と認定する。
これは意外に重要なことで、
内部、外部の研修会への参加も、
労働時間である。
渡辺美樹氏の著書の言葉。
「365日24時間、死ぬまで働け」
朝日新聞によると、
裁判で明らかになった、
ワタミの実態はすさまじい。
店の営業は深夜に及ぶ。
終電以降もタクシーは使えないため、
始発まで店内で待機した。
仕事を終えて深夜帰宅した同じ日に、
東京の本社で早朝研修があった。
研修では、渡辺氏の理念集を丸暗記する。
満点をとるまでテストが繰り返された。
休日にはボランティア名目の研修。
渡辺氏の著作を読んで感想を書く課題もあった。
これも勤務時間外にこなさないといけない。
ワタミの労働環境の詳細も、
裁判で明らかになった。
「就業規則を労基署に届けていない」
「法定の休憩時間を与えていない」
「残業代を支払っていない」
「1日8時間を超えて働かせるときに
必要な協定が結ばれていない」
「始業・終業時刻を書面で示していない」
「健康診断を受けさせていない」
これらは労務管理の基本ばかり。
裁判で当初、渡辺氏は争う姿勢を見せた。
「道義的責任はあるが、法的責任はない」
しかし和解に際して、渡辺氏は認めた。
「自らの経営理念が過重労働を強いた」
「最も重大な損害賠償責任がある」
遺族代理人の玉木一成弁護士、
「広範な過重労働対策を認めさせた。
判決を得る以上の成果があった」
つまり、今後、こういった過重労働は、
判例に基づいて取り締まられるということだ。
ワタミや外食産業のこと、
他人事だととらえてはならない。
ただし、働く人たちが、
自分の意思で勉強することまで、
規制するわけにはいかない。
これが大事なところだ。
さて、朝一番で、
万代熊取店へ。
泉南郡熊取町に位置する。
昨日8日にオープンした、
万代2015年の集大成の店。
1階が万代、2階にセリア、しまむら3業態が揃う。
案内してくれたのは
第5運営部長の塩崎芳弘さんと、
店長の竹中天志さん(右)。
売場面積580坪で、
レジの外側には、
インストアベーカリーと不二家ショップ。
どちらも万代の直営部門だ。
ペコちゃんがお客を迎える。
精肉売場では、
牛肉はもちろんのこと、
豚肉の品揃えが圧巻。
昨日のオープン初日は、
3100万円を売り上げた。
熊取店の不二家は、
直営で運営していることもあって、
店舗外装にペコちゃんのイラスト。
万代の600坪クラスの威力を見せつけた店だ。
次に向かったのは門真市、
万代大和田店。
熊取店の3日前、12月5日のオープン。
大和田商店街の中の、こちらは293坪。
この300坪型が万代の「強み」。
300坪20億円が目標だが、
それも達成しそうな勢いだ。
万代では今、立ち売りを強化している。
売場にスタッフが出て、
お客に試食をすすめ、声掛けし、
商品を推奨販売する。
この日、鮮魚部門では、
マグロの解体ショーと立ち売り。
マグロのカブトを持って、
大きな声でお客に呼びかけるスタッフたち。
私の隣から、
第2運営部エリアマネジャーの楠誠司さん、
大和田店店長の田村将吾さん、
そして取締役の黒田久徳さん。
楠さんは10月に、
サンフランシスコ社員研修の団長を務めてくれた。
黒田さんはコーネル大学ジャパン実行の三期生。
黒田さんも10月にアメリカ視察をご一緒。
皆さん、丁寧に説明してくれて感謝。
黒田さんには、忙しい中、
急きょ、朝からずっと、
付き合ってもらった。
そして話題のもう1店。
阪急オアシス 箕面船場店。
11月18日にグランドオープン。
1階が阪急オアシス、2階、3階がエディオン。
阪食が2年がかりで仕上げた渾身の店舗。
突然の訪問だったが、
志水孝行さんとバッタリ。
取締役執行役員店舗統括部長
兼店舗企画部長。
キッチンスタジオでは、
チーズ、オリーブ、ハムソーを対面販売。
育成商品は、人手をかけて販売する。
これが阪食のポリシーだ。
志水さんが店にいた理由。
それは青森からやって来た、
紅屋商事のお二人を案内していたから。
その紅屋社長の秦勝重さんと竹谷尚敏さん(右)。
竹谷さんは私のFacebook友達で、
SM事業部営業企画部兼新規事業部マネージャー。
この店は阪食らしいオリジナル商品満載の
そして店づくりに趣向を凝らした意欲作。
万代、阪急オアシスの新店は、
『Weekly商人舎』で詳細を報告しよう。
しかし、万代も阪急オアシスも、
それぞれにしっかりと、
ポジショニングを確立している。
「業態の確立」の時代は、
とうの昔に終わった。
「業態確立」ができていない企業は、
生き残ってはいけない。
これは「労務管理の基本」と同じこと。
当たり前のことだ。
そのうえで、独自のポジショニングを築く。
それは同時に独自の教育体系と、
社員・従業員の「ハイコンシャス」に、
基づいていなければならない。
〈結城義晴〉