結城義晴のBlog[毎日更新宣言]
すべての知識商人にエブリデー・メッセージを発信します。

2015年12月21日(月曜日)

塩野七生のリーダーの条件「貧相」でなく「明るい顔」

Everybody! Good Monday!
[2015vol51]

2015年第52週。
今年1月1日が水曜日で、
その第1週から勘定すると、
第52週になる。

つまり1年365日は、
まるまる52週と1日であるから、
どうしても53週になるわけ。

あと1週間と4日で、
今年が終わる。

無呼吸泳法で頑張ろう。

Weekly商人舎の日替わり連載。
月曜朝一・2週間販促企画。
年末までの一気呵成を示す。

火の玉のごとき落日暮れ早し
〈朝日俳壇より 堺市・吉田敦子〉

明日は冬至。

明後日が天皇誕生日、
明々後日がクリスマスイブ、
金曜日がクリスマス。

そしてクリスマスの夕方から、
もう年末商戦に入って、
日本固有の年末風景が訪れる。

ああ、日本に生まれて良かった。
そして2015年が終わる。

しかしこれから2週間は「際の勝負」

サッカーやラグビーで言えば、
タイムアップ前の最後の5分間や、
インジュリータイム(Injury Time)。

サッカーでは、
アディショナルタイムが正式名称、
ロスタイムは和製英語。

マラソンで言えば、40キロ地点を過ぎて、
残りの2.195キロ。
正念場。

しかしこの時点で実は、
たいてい勝負は決まっている。

ただし本当に時たま、
逆転することがある。

優勢に進める企業や店は、
その逆転が起こらないよう際の勝負を丁寧に。

劣勢の企業や店は、
歴史的逆転のための際の勝負を。

極月や仕事が仕事連れて来る
〈朝日俳壇より 今治市・横田晴天子〉

「極月」は12月のことで、
「ごくげつ」あるいは「ごくづき」と読む。

商売は別に、
勝った負けたではないけれど、
そう考えた方が、おもしろいし、
私などやる気が出る。

ただし、正々堂々、
公明正大な勝負であること。

明日来るを信じて眠る冬紅葉
〈同 尼崎市・橋本絹子〉

「冬紅葉」は、
散り遅れて少しだけ残っているもみじ。

今日は一日、
横浜商人舎オフィス。
午後、来客。
DSCN8250-5
右が、㈱万代長岡京店店長の津田睦さん、
真ん中は、東尾理恵さん、
人事部教育チームマネジャー。

来年度の相談。

忙しくなりそうだ。

さて、日経新聞のコラムニスト平田育夫さん、
「核心」で「アベノミクス、隠せぬ現実」を指摘。

安倍晋三政権が発足してから、
この12月26日で丸3年が経過する。

「金融緩和中心のアベノミクスは、
円安、株高をもたらし、
一見、華々しい」

しかし、その実、国内総生産は、
「この3年間でわずか実質2.3%の増加」。
これは1年平均で0.76%のプラス。

同期間の米国は6.7%増。
つまりアメリカの3分の1。

コラムニストが指摘するのは、
「働き手の減少や低い生産性」。

例えば米国販売が好調な自動車業界は、
期間従業員の争奪が激しく、厚待遇を競う。
「月収32万円超」
「光熱費と水道代含め寮費無料」
「35カ月皆勤なら慰労金306万円」など。

しかし「完全雇用に近い今、容易には集まらない」

小売業、サービス業となると、
もっと集まらない。

日銀の企業短期経済観測調査。
いわゆる日銀短観。
「人員不足感はバブル崩壊直後以来、
23年ぶりの強さ」

現役世代である15~64歳の人口は
この1年で99万人のマイナス。
団塊の世代の退職も理由の一つ。

コラムニストは「潜在成長率」を問題にする。
「労働力や生産設備、技術など
供給面から推計する成長の実力」

内閣府試算では日本の実質は0.5%、
アメリカは2%弱。
アメリカの4分の1。

そうすると、需要が増えても、
「0.5%以上の成長は長続きしない」

安倍首相が目指す実質2%成長は、
はるかかなた。

「だが政府の取り組みは腰が引けている」

例えば、「3000億円以上の予算を使い、
低所得の高齢者らに3万円の給付金を配る」

コラムニストは斬って捨てる。
「選挙にらみのばらまきは
供給力強化にはつながらない」

私も賛成。

成長力向上のため
本当に必要な政策は何か?

第1は「労働市場の改革」。
第2は「規制改革」。

しかしこれらもままならず、結論は、
「生産性や競争力の向上を
地道にやるしかない」

そして「2%より低い成長でも財政が改善し、
社会保障も回るよう改革を急ぐしかない」

この「しかない」の言い回しが出ると、
「できない」を意味することになる。

作家の塩野七生さんが来日している。
『ローマ人の物語』の著者で、
『ギリシア人の物語』第一巻を発刊したばかり。

日経新聞が塩野さんに、
安倍晋三を評論させる。

おもしろい。

「2度も首相としてチャンスをもらい、
それで何もしなかったら
政治家でないだけではなく、男でもない」
2013年秋に塩野さんはそう言った。

そして発奮して、アベノミクス。
だから「むしろ安倍さんには
やりたいだけやらせたらいい」

しかし小泉純一郎との比較。

「小泉さんはいつも
起承転結の起しか言わない人だった。
安倍さんは長々と話していると、
聞いているほうもわからなくなるけど
自分もわからなくなるところがある」

「でもヨーロッパでは安倍さんは
なかなか評判がいいですよ」

さらに「指導者の条件」

「安倍晋三という男は
決して貧相ではない。
これはやはり大切な点です。
言うことはなんだかわからないところがあるけど、
かわいいところがある。
一生懸命やろうとしているのは確かです」

「政治のリーダーは
美男である必要はないのです。
でも明るい顔である必要はある」

女性リーダーについても一言。

「女の人は、男社会だと言って文句を言う。
しかし抗議するのにもエネルギーがいる。
人間にはだいたい一定のエネルギーしかないから、
抗議するのにエネルギーを使ってしまうと、
創造するエネルギーがなくなってしまう」

「これが日本の多くの
有識の女たちのありさまです」

日本のリーダーについて。
「やっぱり辛気くさいのはダメです。
だって世の中、全部
辛気くさい話ばかりなのに、
リーダーまでも辛気くさい顔をしていたら
やる気が起きますか」

貧相ではいけない。
辛気臭いのもまずい。
美男でなくてもいい。
明るい顔であること。

年末商戦も同じだ。

とにかく、リーダーは明るい顔で。
みなさんも、明るい顔で、
Good Monday!

〈結城義晴〉

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