結城義晴のBlog[毎日更新宣言]
すべての知識商人にエブリデー・メッセージを発信します。

2016年01月14日(木曜日)

AJS新年トップ経営研修会パネルディスカッションの「個性」

日経平均株価は、
瞬間的だが700円超の下げ。

東証1部上場企業の9割超が、
株価を下げる「全面安」。

今年に入ってから、
総下げ幅は約2000円。

東証1部企業の時価総額は、
60兆円近くが吹き飛んだ。

ニューヨーク株式市場でも、
ダウ工業株30種平均が大幅ダウン。
終値は前日比364ドル81セント安。
前日比マイナス2.2%。

今日は中国の上海株式相場も続落。
上海総合指数はこれも一時だが、
終値ベースの昨年来安値を下回った。

世界経済の混沌。

アベノミクスは、
世界の先進国同様に、
中央銀行たる日銀の金融緩和によって、
まず円安を生み出し、その後に、
日経平均株価2万円の株高をもたらした。

しかし、今年に入って、
2000円の下げ。

冷静に見ると、
国内総生産はこの3年間、
わずか実質2.3%の増加。

3で割って1年平均を出すと、
たった0.76%のプラスに過ぎない。

同じこの3年間のアメリカのGDPは、
6.7%の増加で、日本の3倍。

重要なことだが、
株価やGDPの数値は、
消費マインドにダイレクトに影響を与える。

気を引き締めて、
日々の仕事に臨みたい。

さて、今日は横浜みなとみらいへ。
オール日本スーパーマーケット協会(AJS)の、
2016年新年トップ経営研修会。

会員企業55社、総店舗数1975店、
賛助会員企業385社。

横浜ベイホテル東急は、
クイーンズ グランド  ボールルーム。

第1部は記念講演会。
大和総研の熊谷亮丸さん。
執行役員調査本部副本部長チーフエコノミスト。DSCN9003-1

テーマは「2016年、
日本経済の展望とアベノミクスの行方」
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世界経済の中の日本経済の現状、
そしてアベノミクスの成果と課題を、
エコノミストの視点で解説。

しかし、冒頭での発言は、
「来年4月の消費増税は心配ない」

あれっ?!

そのあとで展開したアベノミクスの評価も、
楽観的過ぎると感じた。

しかし我々は気を引き締めて、
仕事にかからねばならない。

講演の後のコーヒータイム。
セブンスター社長の玉置泰さんと懇談。DSCN9007-1

そして第2部。
AJS初のパネルディスカッション。
5人の会長・副会長が今日のパネラー。
私はコーディネーター役。

壇の横で、登壇を待つ面々。DSCN9009-1

松本光雄専務理事の紹介で
いよいよ第2部のスタート。DSCN9011-1

まずは田尻一会長のあいさつ。
サミット社長。
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50歳でサミット社長に就任した田尻さんも、
今年還暦。

昨年6月に第4代AJS会長に就任以来、
会員企業を精力的に訪問している。

パネルディスカッションは、
私の司会でスタート。

まず各社の2016年度の方針を語ってもらった。DSCN9019-1

関西スーパーマーケットの福谷耕治さん。
今年は「作業改善元年」を宣言。
福谷さんも今年、還暦を迎える。
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作業の仕組みの改善で人時生産性を高める。
その削減された時間を、
従業員教育や顧客とのコミュニケーションに充てる。

自動発注システム、惣菜センターの新設、
10億円のクラウドシステム投資をする一方、
社会活動の一環で、
伊丹市との協業で買物難民支援を実施する。

コノミヤ社長の芋縄隆史さん。
「リストラクチャリングの年」
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昨年、岐阜県を地盤とするトミダヤを傘下に入れ、
2015年は1000億円企業の仲間入りした。
2000億円、3000億円を視野に
強いコノミヤを実践していく。

芋縄さんは30代で社長になった。
若いリーダーシップで、
AJS企業の中では、
M&Aに積極的な施策をとる。

北関東の激戦区の中で頑張るとりせん。
前原宏之さんも30代で社長になった一人。DSCN9027-1
社長就任7年目。
5年前に中期3カ年計画を立て、
利益を回復させた。

とりせんでは毎年、
年間重点テーマを決めている。
今年はマーケティング、オペレーション、
そして店づくりなど、
7つの重点政策を実行する。

ヤマナカ社長の中野義久さん。
なんと、中野さんも今年60歳。
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5人の中で3人が還暦を迎える。

中京圏にドミナントを構築するヤマナカは、
自分たちの強み、スーパーマーケットの強みは、
生鮮食品であるとする。
その生鮮をPB化することで、
さらに強化する。

そのうえで生産性を向上させ、
働きがいのある職場をつくる。

昨年、スーパーマーケットの成績はよかったが、
価格改定、相場高が後押ししているだけ。
1店舗当りの客数は減っている。

その改善をテーマに、
現在60万人の会員データを分析し、
優良顧客の開拓を行う。

「昨年でほぼ店舗の改修・改装を終えた。
それを武器に攻めて売上げをとる」
意欲的に語ったのはサミットの田尻さん。DSCN9017-1
今年の3月までに改装がほぼ終わる。
昨年改装した東中野店は好調。
生鮮3品、ベーカリー、惣菜で、
売上げの53%を占める。
その構成比を55%まで引き上げる。

今年度の方針を語ってもらったあと、
競争環境のとらえ方とその対策を質問した。

皆さん、実に丁寧に、真摯に語ってくれた。DSCN9028-1

AJSとして初のパネルディスカッション。

まだまだ語り合いたいことがあったが、
どんどん時間が進んでいく。
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用意していたテーマを割愛させてもらい、
最後は、2015年の良い話、
感動したエピソードを、
それぞれに紹介してもらった。

昨年9月に鬼怒川洪水が発生した。
前原さんはその時の、
店長たちの頑張りを語ってくれた。
災害時のインフラとしての役割は大きい。
改めてそれを実感させてくれる話だった。
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田尻さんは店舗の、
「案内係」スタッフの活躍を紹介。
サミットで初めて設けられた案内係だが、
スタッフには1日150件の
要望やクレームが寄せられる。
一方で、たくさんの
お褒めの言葉がかけられる。
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この写真は沖縄を疾走する田尻さん本人。
直接、関係はないけれど。

第1回のパネルディスカッションは大好評。

パネラーにも、もう少し、
突っ込んで聞きたかった。

私自身も、昨年末から今年始にかけて、
5社の最新店を視察して、
語りたいことばかりだったが、
それは抑制して、
コーディネートに徹した。

来年もぜひ続けてほしいという声が、
たくさん寄せられて、
コーディネーター役としては満足。

パネラーの皆さん、
事務局の皆さん、
ご清聴いただいた皆さんに、
心から感謝したい。

その後は、着席の懇親会。
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再び三度、田尻会長のあいさつ。
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乾杯の発声は、池田隆之さん。
東芝テック社長。
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全員でグラスを掲げて
カンパ~イ。
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AJSと印字され、
干支の申の絵が描かれた和紙の下には、
先付料理というおもてなし。
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40分間の食事タイムが終わると、
名刺交換会と懇親。

荒井伸也AJS名誉会長と久しぶりに写真。
北野祐次さんの凄さについて、
改めて語ってくださった。DSCN9063-1

日本アクセス社長の田中茂治さん。
田中さんとは月刊『商人舎』12月号で
林周二著『流通革命』について対談した。
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三菱食品取締役専務の今村忠如さん。
私と同い年の同志。
今度、ゆっくり話すことを約束。DSCN9065-1

伊藤ハム社長の堀尾守さんと植本浩一郎さん。
植本さんはCS関西営業部部長。DSCN9062-1

そして伊藤園の皆さんが勢ぞろい。
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私の隣から小林義雄専務、
本庄周介副社長、
江島祥仁副会長。
そして食品商業編集長の竹下浩一郎君、
私の相棒の松井康彦さん。
商人舎エグゼクティブプロデューサー。

ブルーチップ社長の宮本洋一さん。
月刊『商人舎』2016年1月最新号では、
電子マネーについて大いに語ってもらった。DSCN9055-1

ヤマナカの中野義久さん。
パネラー役お疲れさまでした。
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昨年、社長に就任したサンプラザの山口力さん。DSCN9069-1

玉置泰さんと松本光男専務理事。
松本さんが、パネルディスカッションの発案者。
ぜひ、来年も続けましょう。
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いちやまマート社長の三科雅嗣さん。
私と同年の昭和27年組。
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さらに国分の皆さんが加わって二次会。DSCN9075-1
右から国分首都圏社長の内藤悟さん、
私の隣は山崎佳介さん。
国分フードクリエイト東京社長で、
コーネル・ジャパンの弟子。
それからヤマサ醤油常務・東京支社長の山内吉徳さん、
国分首都圏の第二営業部長・第一支社長の前原康宏さん。

最後はやはり、田尻さん。
何度も挨拶し、パネラー役もこなし、
本当にお疲れさまでした。

まずはおひとりでポーズ。DSCN9070-1

二人でグー。
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最後は、お茶目な、これ。
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そして最後の最後は、
事務局の皆さんと一緒にポーズ。
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お疲れさまでした。

私はこのAJS新年トップ経営研修会に、
20代のころから参加している。

もう35年くらいになるだろうか。

北野佑次さんが始め、
荒井伸也さんが引き継ぎ、
いま、田尻一さんが推進する。

時代は変わっても、
「知恵の共同仕入れ」のコンセプトは、
まったく変わらない。

スーパーマーケットの社会的役割も、
依然として、重要性を増すばかりだ。

しかし、それでも、
戦略・政策は会員企業一律とはならない。

個性があってよろしい。
個性がなければいけない。
その振幅が大きいほど、
協会組織の懐が深くなる。

それがポジショニングというものだ。

パネルディスカッションでは、
5人のリーダーが、
それぞれの個性を発揮してくれた。

これがストラテジック・マネジメントである。

パネルディスカッションの最後に、
メッセージを読み上げようと考えていたが、
時間がなくて、かなわなかった。

そこで、この場を借りて、
書いておこう。

「人をつくる。人を残す」

会社は人が集うところ。
店は人が群がるところ。
売場も人が寄ってくるところ。

2016年をとおして、
会社も店も売場も、
人々が好んで集まるところとなりたい。

  金を残すは下なり、
  事業を残すは中なり、
  そして人を残すは上なり。(後藤新平)

そのために人を集め、
人を育み、
人を残す。

もちろん金がないと人を雇えない。
事業がないと人に仕事を与えられない。
それらがないと人を育てられない。

だから金も儲ける。
事業も栄えさせる。
そして人を伸ばす。

2016年をとおして、
社長は社員を愛でる。
店長は店員を育てる。

リーダーは仲間を励まし、
会社はパートタイマーを大切にする。
それらすべてが顧客を喜ばせる。

2016年は人で決まる。
人が好んで集まるか否かで決まる。
2020年まで人で決まる。

人の強みを生かすこと。
一人ひとりの個性を花開かせること。
それがマネジメントの本質である。

  金を残すは下なり、
  事業を残すは中なり、
  そして人を残すは上なり。

そのために人を集め、
人をつくる。
人を残す。

2016年をとおして、
会社も店も売場も、
人々が喜び勇んで集まるところとなりたい
〈結城義晴〉

「知恵の共同仕入れ」の協会も、
人々が喜んで集まるところにしたい。

〈結城義晴〉

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