日経新聞の『私の履歴書』
今月は小椋佳。
もう16回まで連載が進んできたが、
なぜか、おもしろくない。
文体というか、
文章のタッチというか。
視線というか。
作詞家でもあるので、
自分で書いているのだろうが、
どこかもったいぶっていて、
鼻につく。
文章を書くのは、難しい。
今月の連載は面白くはないが、
経済面では今日、スクープ。
「ファミマ、コープさっぽろと提携」
ファミリーマートはコンビニ第3位。
生活協同組合コープさっぽろは生協第2位。
両者が「業務提携する方針」を固めた。
北海道の競争状況。
コンビニの店舗数を、
二つの側面から整理しておこう。
まず、スーパーマーケットの側面。
ここには総合スーパーも含めて考えてよい。
総合スーパーが限りなく、
食品スーパーに近づいているからでもある。
コープさっぽろは、
北海道の28市、18町に、
スーパーマーケットを108店舗。
年商は2015年3月期で2583億2390万円。
もともと生協にしては、
店舗事業が強くて1767億1764万円。
宅配事業は32万世帯に752億3175万円。
こちらはネットスーパーや移動スーパーが、
おおいに可能性を見せる昨今、
将来性のあるビジネスモデルである。
しかし北海道では、
イオングループとアークスが、
しのぎを削る。
前者はイオン北海道とマックスバリュ北海道。
昨年9月にダイエーの店舗を、
それぞれに事業継承して、
規模を拡大するとともに効率化を図る。
後者はラルズを中心に、
福原、道南ラルズ、道東ラルズ、
ふじ、東光ストアなどが統合。
この2社にコープさっぽろが絡んで、
三占状態。
消費生活協同組合法の第5条では
「組合は、都道府県の区域を越えて、
これを設立することができない」とある。
この5条には但し書きがある。
「職域による消費生活協同組合であつて
やむを得ない事情のあるもの
及び消費生活協同組合連合会は、
この限りでない」
つまりコープさっぽろは、
北海道以外のエリアに、
成長を求めることができない。
そのなかで店舗事業は赤字が続く。
この状況打開のために、
コープさっぽろは、
ファミリーマートと組んだ。
もう一方の側面は、
コンビニの競争。
第1位が地元資本のセイコーマート。
最多の約1100店を展開する。
第2位はセブン-イレブン・ジャパンの937店。
第3位はローソンの619店。
そのあとは、サークルKサンクスの188店。
ファミリーマートは、ぐっと下がって46店。
㈱北海道ファミリーマートが担当している。
この㈱北海道ファミリーマートは
2006年2月に設立された。
ファミリーマートと当時の㈱丸ヨ西尾との、
合弁会社という形式だった。
これでファミリーマートは、
全国47都道府県への進出を果たした。
丸ヨ西尾はセイコーマートの親会社の問屋。
ところが昨年3月、
北海道内に75店舗を展開していた同社は、
合弁を解消して、
46店が北海道ファミリーマートに残り、
27店がセイコーマートに移った。
その理由の一つが、
今年9月のファミリーマートと、
ユニーグループの経営統合。
この統合が完結すると、
ファミリーマートには、
サークルKサンクスが傘下に入る。
仮に両者を合わせると、
北海道で234店となる。
それでも、北海道ファミリーマートは、
セイコーマートやセブンの4分の1以下で、
ローソンにもはるかに及ばない。
つまり北海道において、
ファミリーマートはコンビニとして、
大きく後れをとっている。
コープさっぽろは成長に限界を抱える。
両者のニーズが一致して、
今回の提携となった。
まずは「商品開発、物流」で協力が始められる。
つまりマーチャンダイジングのコラボレーションだ。
やがて「店舗開拓」や「フォーマット開発」で、
共闘戦線が展開される。
具体的には、「北海道の地元食材」を使って、
加工食品や惣菜の開発をするところから開始。
なにしろ、コンビニとスーパーマーケット。
業態が異なるから、すぐには、
店舗間の連携や統合はできない。
それはファミリーマートとユニーも同じ。
ただし、コープさっぽろとは、
生協法によって、資本提携には進めない。
かくてファミリーマートは、
ユニーグループとコープさっぽろの、
両睨みの連携を組むことになる。
もちろん、ファミリーマートは、
Aコープやドラッグストア、
スーパーマーケットなどと連携して、
様々なコンビニ併設型フォーマットを、
開発している。
それがうまく運んだかどうかは、
まだ結論が出ていないのだろうが、
セイコーマートとの合弁解消の一件を見ると、
あっちこっち食い荒らしの観は否めない。
セブン-イレブンが独自路線を崩さないから、
余計にそれが目立つ。
「成長と膨張とは異なる」
故田島義博先生の言葉が、
思い出される。
業務提携は規模の膨張ではないけれど、
手つなぎ鬼のように連携を広げても、
それが深まらねば意味はない。
〈結城義晴〉