株価暴落とまでは言わないが、
1000円近くの下落。
日本中の株所有者が、
今日一日で大損。
日経新聞によると、
その日経平均株価は、瞬間的だが、
昨日比978円安、これは6%のダウン。
結局、日経平均は918円安の5%安で、
1万6085円となった。
東証1部企業の9割超が値下がりした。
私自身は一切、株を持たないが、
一日、一緒だった二人の友人は、
いずれも渋い顔で、
この話題を語り合った。
理由の第1は、
ヨーロッパ相場と金融機関の信用不安。
ドイツ、フランス、イタリアの株式相場は、
3~5%下がった。
ギリシャは8%の下落。
ドイツ銀行までが一時11%安。
第2は、その欧州の影響を受けて、
昨日8日の米国株式市場で、
ダウ工業株30種平均が、
前週末比177ドル92セント安。
シェールガスのチェサピーク・エナジーは、
債務の再編策検討に入り、株価は33%安。
ヨーロッパとアメリカのダブルパンチで、
日本の株価も急落。
さらに外国為替市場では円高が進み、
1ドル114円台まで上昇。
さらにさらに債券市場では、
日本の長期金利が初めてマイナスとなった。
長期金利の指標となるのは、
新発十年物国債だが、
その利回りがマイナス0.025%となった。
新発十年物国債とは、
新規に発行される償還年限が10年の国債のこと。
国債はその価格が上がるほどに、
利回りは下がる。
今、国債の人気が高まって、
利回りがマイナスとなってしまった。
日銀のマイナス金利政策は、
黒田東彦総裁によって、
「2月16日から」と発表されている。
しかしこの決定を発表したことで、
日銀に預けていた一般銀行が、
企業に融資して経済を回すという回路ではなく、
国債を手放さない、あるいは新規に購買するという行為に走って、
その国債金利に低下圧力がかかる環境が生まれた。
金融緩和政策によって、
ドイツの長期金利は0.2%台にダウン、
アメリカでも1.7%台へと低下した。
「黒田バズーカ」のマイナス金利政策は、
ヨーロッパが先行したが、
昨年4月8日にスイスで、
やはり10年物国債の利回りが、
マイナス0.055%となった。
そのスイスのケースに次いで、
「二番目のマイナス金利」と日経新聞。
1月30日のブログでも書いたが、
日銀のマイナス金利は、
金の貸し手が手数料を払い、
金の借り手が利息をもらうという「異常事態」。
それが回りまわって、
長期国債のマイナス金利につながった。
そしてこれによって、
銀行の一般預金金利が下がり、
企業の貸出金利が下がり、
住宅ローン金利なども低下させる可能性がでてくる。
月刊『商人舎』の新年号では、
「New Year’s Impression 2016」で指摘した。
「先進諸国は、例外なく、
金融緩和を進めてきた。
アメリカを含めてどの国も、
本格的な成長戦略を打ち出せない。
経済の壊滅は防ぐことができたものの、
決定的な回復は望めない。
したがって2016年も、
金融緩和に頼った経済運営の流れは、
相変わらず」
と、今日一日、
株安からマイナス金利まで、
慌ただしい動きがあったが、
我々にとっての問題は、
これらの情報が、
新聞・テレビを通じて、
消費者全体に知らしめられ、
消費マインドが混迷することだ。
そして混迷は停滞を招く。
そんなマインドが蔓延すると、
消費者は臆病になる。結果は、
ベーシックで必需の商品しか売れない。
節約志向で低価格品しか動かない。
厳しいようだが、
このことは強く、
意識されねばならない。
金融経済が実体経済に、
影響を与えてしまうのだ。
だから実体経済を担う者は、
自分の顧客に正対する。
他のことは考えるな。
それが2月期・3月期の決算を控えた現在の、
すべての商人のあり方だと思う。
アメリカでは、
ドラッグストア第2位のウォルグリーンが、
第3位のライトエイドを買収する。
そして15.5兆円の巨大な企業が生まれる。
Daily商人舎Worldニュースで報告。
一方のCVSヘルスは13兆円の年商を誇る。
私の言葉で言えば、
完全なる「複占」状態。
それは他の業態にも、
如実に現れている現象だ。
自分の顧客に正対せよ。
他のことは考えるな。
さて今日は、USP研究所のお二人が来社。
代表の當仲寛哲さんと、
サイクリング仲間の寺岡さん(右)。
當仲さんは相変わらずポジティブで、
昨年、ヨーロッパのポルトガルに、
現地企業とのIT合弁会社を設立。
その際、ポルトガルの実業家Nabeiro氏と、
妙な縁ができた。
そのNabeiro氏は、
ヨーロッパで手広く、
「Delta Cafés」を展開する。
日本ではなじみが薄いが、
Deltaコーヒーは、
ネスレと並ぶ有名ブランド。
日本市場に参入したいNabeiro氏が、
當仲さんに相談。
當仲さんは私に相談。
そしてまずは、
試飲してほしいという要望で、
今日はデルタコーヒーとそのマシンを、
商人舎オフィスに持参してくれた。
これがエスプレッソマシン。
指でつまんでいるのが、
コーヒー・ポーション。
セットして、ふたを閉じる。
ボタンを押せば
本格ヨーロピアン・エスプレッソの出来上がり。
左の水色のボタンがエスプレッソ、
真ん中がやや薄めのアメリカンタイプ。
右のボタンはハーブティ。
私も帰社してから、
香高いおいしいエスプレッソをいただいて、
至極満足。
この世界経済の停滞や、
マイナス金利には、
濃い目のエスプレッソがよく似合う。
商人は自分の顧客に正対せよ。
他のことは考えるな。
いま、これしかない。
〈結城義晴〉