11月のアメリカ大統領選挙。
その民主党候補指名選挙が展開されている。
第3戦はここ、西部ネバダ州。
CNNテレビが、
民主党党員集会の世論調査をした。
ヒラリー・クリントン女史が、
支持率48％、
(Hillary Rodham Clinton)
バーニー・サンダース氏は47％。
(Bernie Sanders)
拮抗。
昨年10月の同調査では、
クリントン女史は46％、
サンダース氏は34％だった。
予備選挙初戦は2月1日のアイオワ州。
民主党はクリントン女史、
共和党は、
エドワード・クルーズ上院議員だった。
(Rafael Edward Ted Cruz)
第2戦は9日のニューハンプシャー州。
こちらは民主党サンダース氏、
共和党はドナルド・トランプ氏。
(Donald John Trump)
さて第3戦はどうなるか。
ラスベガスは熱く燃えている。
私たちマルト研修団も、
熱く燃えている。
昨日はスーパーマーケットの、
コンテスト型競争を学んだ。
今日は新しいショッピングセンターを、
実感しつつ学ぶ。
古典的なショッピングセンターは、
4つに分類されている。
小型のネイバーフッドSC、
中型のコミュニティSC、
大型のリージョナルSC、
そして超大型のスーパーリージョナルSC。
もちろん今でも、
この4つの分類は生きている。
しかしこの店舗面積や商圏の、
大中小という規模の基準が、
コンセプトの基準へと変わってきた。
新しい集積は、
ライフスタイルセンター、
パワーセンター、
そしてアウトレットセンター。
｢ショッピング｣という言葉が除外されて、
｢センター」だけ。
古典的なSCが、
モノを売っていたのに対して、
新しいSCはコトを売る。
ナンテ、単純な話ではない。
商売や仕事は、
そんなに単純なものではない。
モノを売るといっても、
ディスカウントで売るフォーマットだけ、
集めたのがパワーセンター。
こちらは売りに徹する。
それも限りなく安く。
だからウォルマートやコストコが、
核店舗になる。
サブテナントもディスカウントタイプばかり。
しかしパワーセンターが躍進すると、
こんどこそ、コトを売る集積が必要になる。
それがライフスタイルセンター。
ラスベガスのライフスタイルセンターの、
代表格がタウン・スクエア。
その核になっているのが、
ホールフーズマーケット。
ラスベガス地区の旗艦店で、
リニューアルしたばかり。
最新機能を盛りこんだうえに、
ディスカウントに目覚めた。
赤くて丸いPOPがその安さを強調する。
青果部門とバルク部門を一体化した。
それはおそらく、
スプラウツファーマーズマーケットを、
意識したから。
それでも青果部門は素晴らしい。
奥の主通路沿いも、
商品構成を絞り込んだ。
店舗中央の冷凍食品リーチインケースの、
中通路には島陳列でディスカウント商品。
サービスデリやセルフデリは、
ホールフーズが切り拓いた。
だからメニューを進化させている。
チーズは対面販売方式で、
コンサルティングセールスをする。
レジ前の島陳列も、
｢エブリデーロープライス」を訴える。
そして店舗の左サイドに、
バーとレストラン。
さらに人員を少し削減したので、
オペレーションが間に合わないことがある。
それも想定内。
さて、今後、成果を上げることができるか。
このタウン・スクエアでは、
コンテナストアが、
もう一つの核店舗。
この店は品揃え大変更中。
そしてステープルズ。
オフィスサプライチェーン1位の企業
ライフスタイルセンターの雰囲気を、
研修団に味わってもらおうと考えたが、
驚くほどの強風でその気分も半減。
しかしこれからの集積のモデルである。
次にヘンダーソン地区のパワーセンター。
核店はウォルマート・スーパーセンター。
食品側の入り口にトラックが止まって、
パンが運び下された。
そして店舗入り口に積み上げる。
｢ブレッド・フリー」と声をかけつつ、
無料で配り始めた。
メーカーのプロモーション。
このスーパーセンターは、
ウォルマートの中でも
成績優秀店舗。
バナナもすぐに補充される。
この平台3連は、
サルサメニューに使う3品。
カラーコントロールも見事。
価格設定も上手い。
左から1ポンド98セントが二つ、
1個88セントが右。
価格の安さを表現し、
なおかつ白⇒赤⇒緑の、
カラーコントロールで顧客の目を引き、
さらに料理メニューが提案されている。
店舗右サイド壁面も、
実によく整理されている。
店舗入り口には特売商品がずらり並ぶ。
その真ん中に「オレオ」
2ドル98セント。
これはよく売れる。
そしてこの考え方はゴンドラエンドでも展開。
入り口とゴンドラエンドの2カ所陳列によって、
顧客は忘れずに買っていく。
アパレル売場では、かわいい幼児服。
自転車売場はウォルマートの独壇場。
49ドルの激安のマウンテンバイク。
布売場はウォルマートにしかない。
細かいところに手が届く。
それもウォルマートの戦略である。
レジ前に広いプロモーションスペース。
このスペースの横通路には、
イースター向け商品が配されている。
島陳列のアクションアレーは、
イースターで3連発。
｢早仕掛け・早仕舞い・際の勝負」
まさにそれだ。
それからエンドでの菓子のバルク販売。
ウォルマートの、
小さなイノベーションへの取り組みは、
随所に見られる。
このパワーセンターにはコストコも。
どの店を訪れても、
空いているときがない。
ワインは買って帰りたいほど。
コストコでも、
中央のプロモーションスペースで、
｢早仕掛け」のイースター商品。
ウサギがカギを握るプロモーション。
さまざまな仕掛けを企図して、
他の追随を許さない。
そしてこれだけの客数。
コストコのフードコートは大人気。
ホットドッグセットが1ドル50セント。
コストコの反対側の位置にあるのが、
スポーツ・オーソリティ。
スポーツ用品の店だが、
売場の全面と中央はアパレル一色。
アメリカのカテゴリーキラーは、
総合業態にかなわない。
最後にアウトレットセンター。
ラスベガス・ノース
アウトレットセンター。
もう日本でもおなじみだ。
フードコートはダイナミックで美しい。
基本的にはメーカーの売れ残り品を、
どっさり集めて、
宝探し的な商業集積を作り上げる。
しかしこのライフスタイルセンターには、
サックス・フィフス・オブ・フィフスが出店。
サックスフィフスのディスカウント商品の店。
つまりは売れ残り品を集めた店。
それからこちらも、
ニーマンマーカス・ラストコール・ステージ。
アメリカ第一の高級百貨店も、
アウトレット・フォーマットを開発。
しかし、陳列は美しい。
ライフスタイルセンター、
パワーセンター、
アウトレットセンター、
一気に回って一日が終わった。
そしてディナーは、
ローリーズ。
ビールで乾杯、
パンをいただき、まずサラダ。
そしてレアのローストビーフ。
すぐに飲んじゃったけれど、
ローリーズのハウスワイン。
高級レストランは、
ハウスワインがおいしい。
ディナーを切り上げて、
ホテル「ベラージオ」へ。
そのホテル敷地内の池。
15分おきに噴水ショーが開催される。
息をのむ美しさ。
噴水ショーを堪能したら、
次はOショー。
シルク・ド・ソレイユの、
絶品エンターテインメント。
劇場の天井はパリオペラ座のよう。
初めに二人のピエロ、
狂言回しの役を演じ、
最後まで楽しませてくれる。
中身は美しくて、見事で、
これまた息をのむばかりのショー。
そしてフィナーレ。
心から満足した。
マルトの団員も、
同じ気持ちだったに違いない。
小売業もサービス業も同じだ。
単なるモノを売るのではない。
シルク・ド・ソレイユも、
単なるサーカス芸を売るものではない。
そのサーカス芸の基礎が、
物語性を持って、
芸術の域に到達する。
店もシルク・ド・ソレイユでなければならない。
(つづきます)
〈結城義晴〉
