マスコミへの発表はなされていないから、
たぶん、日経のスクープなんだろう。
だから一面トップに持ってきた。
来週火曜日から3月に入るが、
その3月からイオンリテールは、
南関東カンパニーの64店中42店が、
営業時間を短縮する。
トップにもってくる記事か?!
しかし私としては、
小売業が注目されることは、
どこの企業であっても、うれしいことだ。
イオンリテール南関東とは、
東京、千葉、神奈川の1都2県。
その総合ス―パーの7割が、
現在の午前7時の食品売場の開業を、
1時間遅くして8時にする。
もちろん24時間営業の店は残る。
しかし7時開業の店はほとんどなくなる。
イオンは2012年に夏季限定で、
開業を午前7時へ繰り上げた。
理由は、2011年の東日本大震災後、
企業や自治体などが「サマータイム」を導入し、
早朝から活動する人が増えそうだったから。
労働組合の反対がなかったわけでもないが、
社会的な意義が大きいと決行され、
やはり一定の効果があったため、
通年に切り替えられた。
その効用が特に、
南関東カンパニーの地域では薄れた。
しかも何よりも人手の確保が厳しくなった。
「15年平均の有効求人倍率は1.20倍と
24年ぶりの高水準になった。
小売り各社は人件費増にとどまらず、
早朝や夜間の店舗運営に必要な
人員の確保も難しくなっている」
これが理由だろう。
記事では、コンビニ、ミニスーパー、
そしてネット販売という好調組に、
総合スーパーが顧客をとられているとの指摘。
イオンリテールは昨年から、
地域ごとのカンパニー制に、
運営体制を切り替えた。
南関東カンパニーは、
そのイオンリテールの先陣を切って、
イノベーションを志向する。
営業時間に関しても、率直に、
訂正すべきところは訂正する。
すでにイオン九州などで、
午前8時開業に遅らせる動きがある。
それに倣った形。
かつて大規模小売店舗法が、
「君臨」していたころ。
開店は10時が「相場」だった。
顧客たちは本当に不便だった。
その後、大店法が変更されてからも、
なぜか10時開店が業界の常識だった。
イオンはそれに対して反抗するがごとく、
開店時間を早め、東日本大震災後には、
7時営業を敢行した。
それを8時に戻すのは、
人手が集りにくい現在、
致し方ないし、むしろ妥当だろう。
記事には、こうある。
「営業時間を短縮する半面、
従業員教育を拡充し販売力を高め、
店舗改装で売場の魅力向上に注力する」
アメリカ・ラスベガスのコストコ。
月曜~金曜午前10:00~午後8:30、
土曜日午前9:30~午後6:00、
日曜午前10:00~午後6:00。
コストコはディスティネーションストア。
強い目的意識を持った客に支えられている。
だからこの時間帯の営業でも全く問題ない。
年間の休業の日も、こんなにある。
コストコは働く人々にとっても、
ハッピーな営業日、営業時間の企業である。
イオンリテールの総合スーパーに今、
コストコ並みのディスティネーションはない。
しかしやがて、イオンスタイルは,
その提供するライフスタイルと営業時間とを、
地域ごと、店ごとに確立していくのだろう。
働く人々にとっても、
働きやすい時間帯は、
追究されるべきだ。
この動きは他の業態にも、
波及していくに違いない。
やはり大原則は、
「店は客のためにあり、
店員とともに栄える」である。
ただし営業時間の変更は、
店頭でも、ネット上でも、
はっきりと、大きく、
告知しなければならない。
今日のDaily商人舎ニュースは、
「1月は総合スーパー2.3%増、
スーパーマーケットは2.2%増と好調」
小売業態別の1月の成績では、
総合スーパーがプラス2.3%、
スーパーマーケットがプラス2.2%、
コンビニがプラス1.0%。
そして百貨店がマイナス1.9%。
総合スーパーが一番良かった。
業態ごとに、フォーマットごとに、
役割があり、それに応じた営業時間がある。
さて今日の結城義晴。
朝から東京タワー。
恒例のカスタマーコミュニケーションズ㈱の、
取締役会。
昼過ぎに横浜に戻る。
桜も少しずつ芽吹いてきた。
夕方、宮崎文隆君、来社。
現在、㈱ニュー・フォーマット研究所副社長。
月刊マーチャンダイジング編集人。
この正月まで、
このメディアの編集長だったが、
副社長となって新規事業開拓をする。
㈱商業界社長時代の私が、
最後に編集長に昇格させた人材が宮崎君。
つまり元『販売革新』編集長。
その後、6年前に、
月刊マーチャンダイジング編集長に転身し、
このメディアを飛躍させた。
昔の仲間や後輩たちが活躍するのは、
うれしいものだ。
商業界出身なのだから、
これは忘れないでほしい。
「店は客のためにあり、
店員とともに栄える」
それから、
「損得より先に善悪を考えよう」
〈結城義晴〉