二月二六日。
80年前の1936年2月 26日早朝、
大日本帝国陸軍の青年将校たちが、
部隊を率いてクーデターを試みた。
この年も、今年と同じ閏年だった。
彼らは「昭和維新」と称していたが、
27日、東京に戒厳令が敷かれ、
28日には反乱部隊に奉勅命令が出て、
29日には鎮圧された。
クーデターは未遂に終わったが、
高橋是清大蔵大臣(第20代内閣総理大臣)、
斎藤實内大臣(第30代内閣総理大臣)ら、
4人の元老重臣が暗殺され、
岡田啓介内閣は総辞職。
この後、軍部の発言権が強くなり、
日本は日中戦争から対米英戦争へ進んでいく。
ちなみに1932年の五一五事件も、
閏年のクーデターで、
こちらも「昭和維新」を唱えていた。
五一五は海軍青年将校たちが、
第29代内閣総理大臣犬養毅を殺害。
4年後に二二六事件が、
今度は陸軍青年将校によって起こされた。
平成の「維新」は分裂し、
閏年に民主党と合流する。
毎日新聞『余禄』は二二六を表現する。
「クーデターの失敗が
逆クーデターを成功させた」
日経新聞『交遊抄』
京都パープルサンガ社長の山中大輔さん。
京セラ㈱会長の久芳徹夫さんから教授され、
リーダーのあり方を説く。
「瓜田に履を納れず、
李下に冠を正さず」
瓜田は「かでん」、履は「くつ」、
納れずは「いれず」と読む。
李下は「りか」、冠は「かんむり」。
ウリの畑の中で靴を履き直すな。
瓜を盗むのかと疑われる。
スモモの木の下で冠を被り直すな。
これも李を盗むと疑われる。
長たる者は常に見られている存在、
自分を律しなければ、組織は崩れる。
そしてもうひとつ。
「功ある者には禄を、
徳ある者には地位を」
仕事に情を持ち込むな。
ちなみに久芳徹夫さんは、
創業者・稲盛和夫さん以来、
第6代目社長にして、
1954年、福岡生まれの経営者。
私と同郷の2歳下。
京セラはすごい人物を輩出する。
さて、今日は学習院大学、
その正門。
学習院マネジメントスクール
(略称GMS)。
その2015年DSCM基礎コースの最終講座。
岩崎高治さんが登場。
㈱ライフコーポレーション社長兼COO。
岩崎さんは、めったに講演しない。
故田島義博学習院院長がつくったGMSだから、
本当に特別の出講。
場所は学習院創立百周年記念会館小講堂。
小講堂のホワイエ。
伝統の院旗。
勅額。
様々な展示。
昭和32年の学生募集ポスター、
面白い。
◉学習院は誰でも入学できます。
身分など全然考慮しません。
◉学習院はそう費用のかかる学校では
ありません。
涙ぐましい、かわいい。
講演の前に控えの教室で、
湯沢威先生、上田隆穂先生と一緒に、
岩崎さんと懇談。
湯沢先生は学習院大学名誉教授、
このスクールの顧問。
上田先生は学習院大学経済学部教授、
この学校の田島先生の後継代表。
ちなみに結城義晴も現在、
学習院マネジメントスクール顧問。
岩崎さんは、1989年三菱商事入社、
5年ごとに転機が訪れて、
1994年、イギリスのプリンセスに赴任、
1999年、ライフコーポレーション出向、
そして商事在籍のまま2006年、
39歳にして社長に就任。
2年前にはライフに転籍し、
若き専門経営者として会社の改革を続ける。
もちろんスーパーマーケット産業、
チェーンストア・インダストリーのリーダー。
岩崎さんの講義テーマは、
「小売業の未来
――ライフコーポレーションの経営戦略」
これが実に素晴らしかった。
社内でもいつもこんなレクチャーをして、
全軍を引っ張っているのだろう。
それが実に実に、よくわかった。
だから最近のライフ、
現場もマネジメントも、
素晴らしい。
2016年2月期の決算で、
ライフは6200億円、256店を達成する。
単体企業としての業容は、
スーパーマーケット日本一。
しかし、
「お客様からも社会からも
従業員からも信頼される
日本一のスーパーマーケット」を目指す。
その会社を作り上げるために、
第五次中期3カ年計画が立てられ、
新「15の改革」が進められている。
「三つの風土改革」と「12の戦略」。
この改革の進捗のさせ方が、
いちいち納得させられる。
とくにID-POSデータを活用した、
クラスタ分析は、
「小売業の未来」の一端を見せてくれた。
新15の改革では、
「お客様の立場で考え行動する会社」に、
すべての基本が置かれ、
幹部・従業員のベクトルが一致してくる。
岩崎さんは何度も語った。
「日本のスーパーマーケットは、
まだまだ決着がついていない業界」
我々はリージョナルチェーンとして、
その決着をつける!
その決意がみなぎっていた。
もちろん「瓜田に履を納れず、
李下に冠を正さず」によって。
この日の講義は、
GMSのOB会「桜実会」の講演会を兼ねていた。
だから会場には130名あまりが参集。
その受講生からの質問。
最後に上田先生の閉会挨拶。
この後、林純子事務局長がまとめてくれた。
「8年前にもこの場で、
岩崎社長がご講演くださって、
その時、結城先生の総括がありました。
『日本人ほどよく学ぶ民族はいない。
けれど、日本人ほどそれを
実践しない民族もいない』」
私、すっかり忘れていた。
その時にも付け加えたと思うけれど、
今回も言っておこう。
「日本人はそうだろうけれど、
岩崎高治は違う」
林さん、ありがとう。
会場には、勉強家の実務家の方々が、
聴講に訪れていた。
㈱オギノの手塚帰一さん、
営業企画室総括マネジャー。
㈱ロピアの村上篤三郎さんと、
井上裕一さん(左)。
村上さんには、たいらや社長時代の2012年に、
GMSで最終講義をしてもらった。
現在はロピア取締役。
井上さんは人事総務担当マネジャー。
講義のあとは場所を移して、
桜実会主催の懇親会。
「第11回 GMS修了生の集い」
乾杯のご発声は、
内藤政武学習院院長。
その後懇親に次ぐ懇親。
私も多くの若手リーダーたちと懇談。
左は上柿景吾さん。
ライフコーポレーション首都圏販売促進部長。
隣は㈱飯田ストアー店長の飯田智成さん。
そして王子ネピア㈱の岡部正樹さん、
マーケティング本部商品企画部主幹。
ちなみに岡部さんは立教大学大学院の、
ビジネスデザイン研究科院生。
中締めはDSCM講師を務める原正浩さん。
三菱食品㈱執行役員。
最後は、扮装した山中寛子さんを、
両サイドから挟んで写真。
山中さんはGMS事務局研究員。
二二六事件から80年の今日、
学習院マネジメントスクールで、
岩崎高治の「小売業の未来」を聞く。
この実務の世界でも、
「失敗が逆に成功を導く」ことが、
起こるのだろう。
最後の最後に、特に、
岩崎さんに感謝しておきたい。
ありがとうございました。
〈結城義晴〉