昨日のブログ。
故スティーブ・ジョブズの言葉。
今日は高原豪久さん。
「やりたいこと=できること」にする方法。
ユニ・チャーム社長。
日経電子版の経営者ブログがいい。
〈写真は同社ホームページより〉
「中長期の経営計画において大切なこと」
高原さんの考えの論旨を、
ちょっと丁寧におさらいしてみよう。
まず初めに「戦略の3つの落とし穴」
第1は、「目標を掲げただけなのに、
それで戦略を作ったと錯覚する」
これは実に多い。
「気づき」と称したりする。
第2は「変革のシナリオやあるべき姿が無いのに
それで戦略を作ったと勘違いする」
これも実に実に多い。
これは自社、自店によって、
決定的に異なる。
第3は「戦略作成を現場、最前線に
任せきりにする」
現場や最前線にだけでなく、
無責任な他人任せにすることも、
おどろくほど、多い。
「始めは『到底達成できない』
と思われるような高い目標を、
メンバー一人ひとりが
自分で具体的な目標に変換し、
しかも、その目標を節目、節目で
確認できる大きさで設定する」
これは、ピーター・ドラッカーの
「目標管理」のエッセンスだ。
高原さんは、マラソンにたとえる。
「次の交差点まで、次の信号まで、
どんな走りのペースで、
どのくらいの時間で、と
自分の目で確認できる目標を
明示しておくこと」
「この場合、数字や程度は
基準合わせのため」
むしろ、重要なのは、
「戦略実行するための組織能力、
個人能力のラップ」の意味合い。
組織能力のラップ、
個人能力のラップ。
「いくらやるべきことといっても、
能力以上の結果は出ないし、
考えていないことは実行できません」
「従ってまずは全員が、
自部門の計画の内容を理解すること」
これこそ「目標管理」である。
そのうえで、
「もっと自己能力を高めたい!」
こういった意識を刺激する。
「やるべきこと=やりたいこと」
この状態に自分、幹部、社員をもっていく。
ここが肝。
結果として、
個人能力の集合である組織能力が高められ、
全体戦略が遂行される状況が実現される。
「能力ギャップを全員で埋める仕組み」
それをつくるためには、
戦略の「意志決定」の精度を高めること。
戦略決定だけではない。
意志決定の精度の高さは、
戦術の場合、戦闘の場合も、
同じように重要だ。
そのためには3つの条件を、
テーマによって、
その時々の状況に合わせて、
最適にしていくこと。
3つの条件とは、
①情報の精度
②スピードとタイミング
③メンバー
高原さんは第3のメンバーを重視する。
「メンバー」とは、
誰がこの意志決定に関わるかを
突き詰めて吟味すること。
このときのメンバーの選定――。
役職や年功によってではなく、
その案件ごとに、
見識と判断能力を有するメンバーを選ぶ。
『ミッション・インポッシブル』で、
はじめにトム・クルーズがメンバーを選ぶ。
その案件によって、
メンバーは変わってくる。
あれです。
その際、ディシジョンマンとコンタクトする。
鍵を握る人間。
「私はトップとして
この3つの要素が
一つでも欠けている提案では
正しい意志決定ができないと
常に自戒しています」
ユニ・チャームの「業務執行会議」
短期業績の予実一致を目的に開催される。
「その時の議題にそって、
意志決定に付加価値をつけられる人を
都度招集しています」
「出席メンバーの選定を、
従来の権限基準から付加価値基準へと変更し、
現場の知恵を意志決定に活かす」
それが高原さんの「共振の経営」
この「共振の経営」では、
「タイムベース競争力の強化」が強調される。
「タイムベースマネジメント」が、
高原ユニ・チャームの特長である。
時間競争力のある製造業。
「時間競争」は、1980年代後半に、
ボストンコンサルティングが提唱した。
「時間」に焦点を当て、
その部分で競争すること。
「時間競争力は
組織能力が高くならないと実現しません」
第1に、何をすべきか(WHAT)を突き詰める。
あるべき姿、競争上の優位性を
外部競争環境との比較で示す。
第2に内部要因として、
「HOW」にフォーカスする。
その戦略を、
どのように進めていくのかに注力して、
革新のシナリオを実行し、
組織能力の優位性を構築する。
そしてメーカーとして、
「時間競争力」をつける。
最後に高原さんは言う。
「共振の経営」は、
「組織能力向上によって、
あるべき姿の実現を目指すものであり、
人間尊重、達成感重視の経営です」
2001年に39歳で社長に就任した高原さん。
いま、54歳。
2015年12月期決算。
売上高7387億0700万円、
営業利益799億3400万円、
経常利益713億8000万円。
売上高成長率15%、
営業利益率15%、
総資本経常利益率(ROE)15%。
凄い経営を続けるユニ・チャーム。
このブログは、
自分自身に確認するように、
正直に丁寧に語り掛ける。
つまり他人に任せきりにせずに、
自分自身で切り開いていこうとする。
それを幹部・社員にも「共振」しようとする。
達成感重視の経営である。
スティーブ・ジョブズは、
ビジョンを語った。
「見つかるまで探し続けよう。
止まっ てはいけない」
そして「Stay hungry, Stay foolish.」
「ハングリーであれ、愚かであれ」
高原豪久は、
「やりたいこと=できること」
二人はつながっている。
そこに「夢」の「実現」の接点がある
〈結城義晴〉