結城義晴のBlog[毎日更新宣言]
すべての知識商人にエブリデー・メッセージを発信します。

2016年04月30日(土曜日)

ポッポおじさんからの手紙と二階俊博「ノコギリ関係」

2016年4月最後の日。

さよなら、三月、
よろしく、四月。

こう始まって、もう、
仕舞いの四月。

うれしいお便りと商品が届いた。
川邉哲也さん。
㈱大分からあげ代表取締役社長。

会社案内のパンフレットと、
「とりかわサクサク揚げ」が、
段ボールに入っていた。
とりかわ

開けてみると名刺と手紙。

「会社を立ち上げて
13年が終えようとしています。
現在、大分県と福岡県で
26店舗のテイクアウト専門の
からあげのチェーンストアを
展開しております」

熊本地震、お見舞いします。

「実は、15年ほど前、
事業立ち上げの際、
戦略の中心にしていた思想が
『小さく狭く濃く深く』という
結城さんの言葉でした。
確か商業界の記事の中にあったと
記憶しております」

こころから、ありがとう。

「この事業を始める前は、
親がやっておりました『パパママストア』を
後継しておりました。
しかし御多分にもれず、
時代の激流にのまれ、
いわば川の流れに
逆らい泳ぐような商売を
10年くらい経験しました」

月刊商業界では、
「パパママストアの特集」を、
繰り返していた。

「これからどうやって生きていけばよいのか?」

「そんな暗中模索の時、
巡り合った言葉こそが
『小さく狭く濃く深く』でした」

私は『販売革新』にも、『食品商業』にも、
これを書いた。

単行本『Message』にも、
「安澤英雄の生と死」の冒頭で使った。

㈱商業界社長時代には、
2月ゼミナールで、
総合テーマにも使った。

㈱ヨネザワ社長の米澤房朝さんも、
「小さく狭く濃く深く」を信条としてくれている。
メガネのヨネザワは、
九州と山口で167店を展開する。

米澤さんにも、あらためて、
地震のお見舞いを申し上げたい。

川邉さんの手紙は続く。
「おおげさに言えば、当時の私にとって、
鎌倉の世の庶民が感じたであろう
『南無阿弥陀仏』のような救いの言葉でした」

救いの言葉だなんて、
おこがましい。

「以後、運よく、また多くの方の力添えを得て、
今日まで少しずつ成長しながら
無事に商売を続けることができました。
ここにきて、社員も育ちはじめ、
社風も根付きはじめ、
業績も創業時に思い描いた領域に到達し、
来期(6月~)は、第2章のスタートであると
取り巻く状況が我々に
語りかけてきております」

「中小企業という言葉がありますが、
まさに小規模会社(小学生)から
中堅企業(中学生)の世界に入っていく感覚です」

「たとえば近所の子どもに
挨拶して返事がなかった。
小学生なら許されるが、
中学生ならそうはいきません。
お客様が我々を見る目、
社員との関係性、
地域社会からの期待感・・・。
すべてが我々を
中学生として見はじめました。
責務は急に重くなりました」

「イオンの聖母マリア様(と私は感じております)
小嶋千鶴子さんの『あしあとⅡ』に
こんな一説があるのを思い出しました。

情報というものも相対のものですから、
受信一方では入って来ません。
発信者のところへ
情報が戻ってくるのだと思います。

これまで小学校の間は、
会議所なども一切入らず、
当然交流も発信も控え、
ただひたすらお客様と
向かい合ってきました。
しかし中学に入ったら
そういうわけにもいかない」

「この1年、結城さんの文章を読む機会が増え、
弊社を発信して頂くなら
この方だと確信しました」

喜んで。

「小嶋さんの文面は次のように続きます。

情報と情報を結合すると
アイデアが沸きます。

一度ぜひお会いしたく思います。
我々大分からあげの第2章も
成長による『飛躍』です。
それも『自然な』成長です」

あんまり文章がうまいので、
全文を紹介してしまった。
小嶋千鶴子さんの言葉を引用しているが、
実はイトーヨーカ堂出身。
勉強家だ。

ありがとう。

川邉さんはブログを書いている。
いわば私とはブログ同志。
だから文章も見事。

ブログのタイトルは、
「ポッポおじさんのブログ」
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よろこんで、お会いしましょう。
よろしく。

さて今日はもうひとつ、
届いた。

明治マーケティングレビュー。IMG_8149-6
連載タイトルは、
「小売業のスーパーマーケティング」

1年に4回発行の季刊誌で、
もう連載は33回目。
9年目に入った。

今回からまた、
「米国スーパーマーケティング」を書く。

私はこの原稿を書きながら、
毎日のブログや月刊商人舎になかった、
新しい発見をした。

ありがたいことです。
さまざまなメディアに、
書きつつ、考える。
考えつつ、書く。

それが新しい知見を生み出す。

明治のお取引先向けの小冊子。
手に入れて読んでください。

最後に日経新聞の記事から。
自民党総務会長・二階俊博さんの言葉。

北京を訪問中。

何度か直接会っているが、
二階さん、こんな気の利いたことを言うか。

中国の李金早・国家観光局長と会談。
李さんの発言。
「本年は訪日中国人が600万人を超える」
昨年は約500万人だった。

二階さん。
「我々もそれなりの決意と覚悟をして、
お迎えの準備をしないと
いけないと思っている」

いつも日本国内で旅行関係者に言う。
「観光はノコギリのように
やらないといけない」

鋸のたとえ。
「ノコギリをひくのを
想像してもらえばわかるが、
押すばかりでは駄目。
ひくばかりでも駄目だ。
押したりひいたりしないといけない」

中国人にも鋸のたとえは通じるのだろう。
「日本の旅行関係のみなさんは
『来てください』という呼びかけが
ほとんどでしょ。
だけど、『来てください』というなら、
行かなきゃ駄目ですよ」

店とお客様との間にも、
ノコギリ関係がある。

安いよ、安いよ。
いいよ、いいよ。
うまいよ、うまいよ。
だから来てください。

これだけではいけない。
行かなきゃ駄目ですよ。

では、お客のもとに行くとは?

かつて、テレビCMは、
「お茶の間」に飛び込んだ。

チラシも新聞とともに、
家庭のなかに運び込まれた。

今、Eコマースは、
いつも顧客のスマホやパソコンに、
飛んで行く。

セブン-イレブンは、
鈴木敏文さんが退任しても、
顧客の一番近くに、
「行っている小売業」だ。

顧客とのノコギリ関係。
あなたは、どう築くか。

仕舞いの四月。
明日から、
ご機嫌よう五月だ。

よろしく。

〈結城義晴〉

2016年04月29日(金曜日)

昭和の日の「世界一貧しい大統領」の幸福論

2016年ゴールデンウィーク。
今日から5月8日の日曜日まで、
10日間。

その間の平日は、
5月2日と6日。

普通の勤め人が、
この2日に休暇をとれば、10連休。

私の古巣の㈱商業界には、
伝統的にそんな社員も結構いたが、
ごく普通の会社では2日か6日の、
どちらも出勤するか、
あるいはどちらかを休むか。

2日に休暇をとれば7連休。
一般に、このパターンが多いのだろう。

もちろん小売りサービス業は、
書き入れ時。

店は開けておかねばならないし、
だから休みは取れない。

しかしそれがあなたの仕事です。
それがあなたの役目です。

今日も大分で震度5強の地震。
平成28年熊本地震は、
異例の長期化と広域化を記録する。

被災地の人々は、
今も闘っている。

それを支えるのも、
私たちの仕事であり、役目だ。

その連休初日の今日は、
昭和の日。

1988年までは、
昭和天皇の誕生日だった。
1989年1月7日、昭和天皇崩御の後、
一旦、みどりの日となったが、
2007年から「昭和の日」の祭日。

趣旨は、「激動の日々を経て、
復興を遂げた昭和の時代を顧み、
国の将来に思いをいたす」
私は、このネーミングがぴったりだし、
この趣旨が今日にふさわしいと思う。

日経新聞巻頭の『春秋』
作家の関川夏央さんを持ち出す。
「昭和で数えるといまは……と
よく年号を置き換えてみる」

著書『家族の昭和』でいわく
「二〇〇八年は平成二十年ではない。
昭和八十三年だ。
あえてそういいたい昭和人である」

そうすると今年は昭和91年。

2025年が昭和100年。
その年、私は73歳。

まだ、毎日更新宣言ブログを、
書き続けていると思う。

『春秋』は書く。
終戦直後、昭和天皇が、
現平成天皇の皇太子に手紙を書いて、
敗因を率直に語った。
「精神に重きをおきすぎて
科学を忘れたことである」

ここでいう「科学」とは、
「論理」のことであり、
「論理性」のことである。

平成も28年になる現在、
この昭和の失敗の教訓が
忘れられ、薄れているかもしれない。

またまた精神に重きをおきすぎて、
論理の重要性を忘れてはいないか。

 

さて朝日新聞digitalに、
「世界一貧しい大統領と呼ばれた男」
聞き手は萩一晶さん。
ちょっと長いけれど、
抜き出しつつ引用。

南米ウルグアイ東方共和国の
ホセ・ムヒカ前大統領。
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Jose Mujica。1935年生まれの80歳。
左翼ゲリラから農牧水産大臣を経て、
2010~15年に大統領。
80歳を超えた現在も、上院議員として、
国民から「ぺぺ」の愛称で、
熱い支持を受ける。

住まいは首都モンテビデオから車で30分。
畑のわきの小さな平屋。
同じく上院議員の妻と二人暮らし。

愛車は1987年製のフォルクスワーゲン。
いわゆるビートル。

自ら家事をし、畑も耕す。

「いいところだろう。
この国は自然豊かで、とても美しい。
特にこんな小さな村は
年寄りが暮らすには、
もってこいなんだ」

「私はもともと農民の心を持って生まれた。
自然が大好きなんだ。
4階建ての豪邸で
30人からの使用人に囲まれて暮らすなんて、
まっぴらだ」
だから大統領任期中も、
公邸には住まなかった。

当時、給料の9割を慈善事業に寄付。
外遊はエコノミークラス。
どこかの東京都知事とは違う。

「世界で一番貧しい大統領」という称号。
「みんな誤解しているね。
私が思う『貧しい人』とは、
限りない欲を持ち、
いくらあっても満足しない人のことだ」

「私は少しのモノで満足して生きている。
質素なだけで、貧しくはない」

正しい、素晴らしい。
私もそう、ありたい。

「モ ノを買うとき、
人はカネで買っているように思うだろう。
でも違うんだ。
そのカネを稼ぐために働いた、
人生という時間で
買っているんだよ」

人生という時間で買物をする顧客。
私たち商人は、
その人生に応えねばならない。

「生きていくには働かないといけない。
でも働くだけの人生でもいけない。
ちゃんと生きることが大切なんだ。
たくさん買物をした引き換えに、
人生の残り時間がなくなってし まっては
元も子もないだろう」

そして、言う。
「簡素に生きていれば
人は自由なんだよ」

幸せだと感じるとき。
「自分の人生の時間を使って、
自分が好きなこと、
やりたいことをしているときさ。
いまは冬に向けて、ビニールハウスに
トマトの植え替え作業をしているときかな」

「それに幸せとは、
隣の人のことをよく知り、
地元の人々とよく話し合うこと。
会話に時間をかけることだとも思う」

「人間が犯した間違いの一つが、
巨大都市をつくりあげてしまったことだ。
人間的な暮らしには、
まったく向いていない。
人が生きるうえでは、
都市は小さいほうがいいんだよ」

日本についてもコメント。
「効率や成長一辺倒の西洋文明とは
違った別の文化、別の暮らしが
日本にはあったはずだろう。
それを突然、全部忘れてしまったような印象が
私にはある」

「簡素な生き方は、
日本人にも響くんだと思う。
子どものころ、近所に
日本からの農業移民がたくさんいてね。
みんな勤勉で、わずかな持ち物でも
満ち足りて暮らしていた」

1960~70年代、
都市ゲリラ「トゥパマロス」のメンバーとなり、
武装闘争に携わった。
投獄4回、脱獄2回。
銃撃戦で6発撃たれ、
重傷を負った。

「平等な社会を夢見て、
私はゲリラになった。
でも捕まって、14年近く収監されたんだ。
うち10年ほどは軍の独房だった。
長く本も読ませてもらえなかった。
厳しく、つらい歳月だったよ」

「独房で眠る夜、
マット1枚があるだけで私は満ち足りた。
質素に生きていけるようになったのは、
あの経験からだ」

「孤独で、何もないなかで
抵抗し、生き延びた」

「『人はより良い世界をつくることができる』
という希望がなかったら、
いまの私はないね」

「人は苦しみや敗北からこそ多くを学ぶ。
以前は見えなかったことが見えるようになるから。
人生のあらゆる場面で言えることだが、
大事なのは失敗に学び再び歩み始めることだ」

独房で見えたもの。
「生きることの奇跡だ。
人は独りでは生きていけない。
恋人や家族、友人と過ごす時間こそが、
生きるということなんだ。
人生で最大の懲罰が、孤独なんだよ」

「ファナチシズムは危ないということだ。
左であれ右であれ宗教であれ、
狂信は必ず、異質なものへの憎しみを生む。
憎しみのうえに、善きものは決して築けない。
異なるものにも寛容であって初めて、
人は幸せに生きることができるんだ」

ファナチシズムとは盲信的熱狂。
異質なものへ闘争心丸出しで挑む。
それでいて「正義」を振りかざす。
それは憎悪を生むだけだ。

ウルグアイは軍事政権から民政復帰。
85年に釈放され、
ゲリラ仲間と政治団体を創設。
89年に現与党・左派連合「拡大戦線」に参加。
日本では昭和が終わった時だった。

その後、下院・上院議員を経て、
昨年までの5年間、大統領。

「貴族社会や封建社会に抗議し、
生まれによる違いをなくした制度が
民主主義だった。その原点は、
私たち人間は基本的に平等だ、
という理念だったはずだ」

「私たち政治家は、
世の中の大半の国民と
同じ程度の暮らしを送るべきなんだ。
一部特権層のような暮らしをし、
自らの利益のために政治を動かし始めたら、
人々は政治への信頼を失ってしまう」

「それに最近の政治家は退屈な人間が多くて、
いつも経済のことばかり話している。
これでは信頼を失うはずだ」

「人生には、もっとほかに大切なことが
いろいろあるんだから。
たとえば、街角で1人の女性に
恋してしまうことに
経済が何の関係がある?」

「いまは文明の移行期なんだ。
昔の仕組みはうまく回らず、
来たるべきものはまだ熟していない。
だから不満が生まれる」

「ただ、批判ができるのも
そこに自由があるからだろう。
民主主義は欠陥だらけだが、
これまで人が考えたなかでは
いい仕組みだよ」

「それに時がたてば、
きっと新しい仕組みが生まれると思う。
デジタル技術が新しい政治参加への
扉を開くかもしれないし」

「ドイツやスイスでも
政治に不満を持つ多くの若者に出会った。
市場主義に流される人生は嫌だという、
たっぷり教育を受けた世代だった」

「米国でも、大学にはトラ ンプ氏とは正反対の
開放的で寛容な多くの学生がいる。
いま希望を感じるのは彼らだね」

「貧乏人の意地ではなく、
知性で世界を変えていこう
という若者たちだ」

素晴らしい。
私たちの世界で言えば、
世界を変えるのは知識商人だ。

「怖いのは、グローバル化が進み、
世界に残酷な競争が広がっていることだ。
すべてを市場とビジネスが決めて、
政治の知恵が及ばない。
まるで頭脳のない怪物のようなものだ。
これは、まずい」

ムカヒさん自身の政治的な立場。
「できる限り平等な社会を求めてきたから
左派だろう。
ただ、心の底では
アナキスト(無政府主義者)でもある。
実は私は、
国家をあまり信用していないんだ」

「も ちろん国家は必要だよ。
だけど、危ない。
あらゆるところに官僚が手を突っ込んでくるから。
彼らは失うものが何もない。リスクも冒さない。
なのに、いつも決定権を握っている。
だから国民は、国家というパパに
何でも指図されていてはいけない。
自治の力を身につけていかないと」

4月5日に来日。
「日本のいまを、よく知りたいんだ。
世界がこの先どうなるのか、
いま日本で起きていることのなかに
未来を知る手がかりがあるように思う。
経済も技術も大きな発展をとげた働き者の国だ。
結局、皆さんは
幸せになれたのですか、

と問うてみたいな」

ムカヒさん、ありがとう。

昭和を経て、平成28年の昭和の日。
「日本人は幸せになれたか」

それを問いながら、
ゴールデンウィークを過ごしたい。

〈結城義晴〉

2016年04月28日(木曜日)

過去に例のない「熊本地震」と全商業の自治体連携協定

明日からいよいよ、
2016Golden Week。

しかし今日は、
東京・横浜をはじめ、
全国的に雨模様。

九州も熊本も、雨なんだろう。

その平成28年熊本地震。
14日の震度7の前震以来2週間。

この間、今日正午現在まで、
震度1以上の地震は、
なんと1006回。

1日あたりの地震回数のピークは、
16日の本震の日の202回。

だんだん減ってはいるが、
先週末23日から26日までは1日30回以下。
しかし昨日の27日は49回。

今日は未明と昼過ぎに、
また熊本市周辺で震度4。

お見舞い申し上げたい。

2004年の新潟県中越地震は、
余震活動が活発で、難儀した。
しかし1000回を超えたのは、
1年以上経過した後だった。

直下型地震で最大なのは、
1995年の阪神淡路大震災だった。
マグニチュード3.5以上の地震発生も、
今回はそれ以降、最多ペース。

気象庁の見解は、
「広域で活発な活動が続く、
過去に例のない地震」

政府は今日の午前中に、
「熊本地震を特定非常災害に指定する」と、
政令を閣議決定した。

再び、心から、
お見舞い申し上げたい。

一方、今日の東京株式市場。
日経平均株価が急落。
終値は前日比3.61%安。
624円44銭のマイナスで終わった。

さらに今日のDaily商人舎で伝えたが、
3月の家計調査は食品まで減少。

このまま、黄金週間に突入すると、
とても黄金の消費環境とは言い難い。

明日からの三連休は前哨戦。
来週の3・4・5日の三連休が、
山場商戦となるだろう。

つまり、こどもの日から母の日まで、
温かくて、やや質素・倹約の、
例年にない飛び石連休だと心得たい。

それでも、成果はその中で、
最大化したい。

さて、一昨日の日経新聞に載ったが、
イオンの自治体との災害時連携は、
16年度中に100カ所に拡大される。

日本第一の小売流通業として、
とてもいいことだ。

東日本大震災は2011年3月11に発生したが、
以降、地域との包括協定は広がっている。

イオンの地域貢献協定は、
11 年2月末に13件だったが、
今2016年3月までに87件に増加。
これまで年間10カ所強の地方自治体と、
新規に協定を締結しているが、
16年度中に100カ所に達する。

もちろん、熊本県とは、
2013年に災害時支援と地域振興などで、
包括協定を結んでいる。

今回、イオンは県の要請に基づいて、
いち早く支援物資を供給した。

さらに、連携している日本航空と組み、
閉鎖中だった熊本空港に物資を空輸。

協定により輸送の手続きがスムーズに進むほか、
避難所の情報が共有できることから
被災者に物資が届きやすくなる。

日経記事には、
セブン-イレブン、ローソン、ファミリーマート、
さらに全国の生協の地域協定の内容が、
簡単に報告されている。

こういったナショナルチェーンだけでなく、
リージョナルチェーンやローカルチェーンも、
それぞれの地方自治体と、
より強い絆を結び、連携を図ってほしい。

ナショナルチェーンができること、
リージョナルチェーンがなすべきこと、
ローカルチェーンがやれること。
そして、できうればそれらの連携。

私は2011年3月11日のブログに書いた。
「例えば、セブン&アイとイオンとが、
勝手に動いて先陣争いしたり、
ましてや反目したりではなく、
がっちりと手を握って補完し合い、
全面共闘態勢を敷くくらいの、
商業人としての心意気を見せたい」

全商業を挙げた取り組みが、
今、熊本や九州にも必要だ。

無私と利他の考え方で。

その面でも心して、
Golden Weekに臨みたい。

最後に今日、
AJSネットワーク5月号が届いた。
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連載は第101回。
スーパーマーケット応援団長の辛口時評。

タイトルは、
「セブン&アイ鈴木敏文退任に思う」

私の結論が最後に書かれている。
「真のコーポレートガバナンスは、
人の心の安らかさをベースに
構築されていなければなりません」

ご愛読をお願いしておきます。

明日からのゴールデンウィーク商戦。
心して取り組もう。

〈結城義晴〉

2016年04月27日(水曜日)

「鈴木の後に鈴木無し」と三菱自動車の「処事光明」

月刊商人舎5月号の編集・入稿、
真っただ中。

横浜商人舎オフィスの裏の遊歩道。DSCN8494-6

新緑が気持ちいい。
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葉書が二通、届いた。
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平和堂の東海事業部部長・冨岡勇夫さんと、
アルプラザ茨木支配人の三田村勝彦さん。

先週、帰国した視察団の団長・副団長。

熱の入ったメッセージ。
ありがとう。

成果を出そうよ。
応援します。

しかし先週、木曜日に帰ってきたんだ。
まだ、1週間経っていない。

ああ。

月刊コンビニ5月号が届いた。DSCN8496-6
1998年8月に㈱商業界『食品商業』誌から、
臨時増刊号の季刊誌として創刊。
私は取締役編集統括兼食品商業編集長で、
鈴木由紀夫さんに編集長になってもらって、
二人で創刊した。

その後、2002年8月、
商業界6番目のメディアとして月刊化。
私がちょうど専務取締役に就任した時だ。

しかし昨年、
㈱アール・アイ・シーに売却され、
その社長の毛利英昭さんが、
オーナー兼編集長。

実質的な編集業務は、
元商業界取締役編集担当の梅澤聡さんが、
編集委員として担当している。

そして毛利・梅澤コンビによって、
このメディアは、
現経営陣の時代の内容よりも、
ずっと良くなった。

毛利編集長が、
巻頭の「今月の視点」を書いている。

タイトルは「経営史に残る瞬間」
そう、鈴木敏文さん退任のこと。

「合理化というと、大抵は
自分の会社のことばかりを考える。
私たちはお客様の便利を優先してきた」
毛利編集長は引用する。

「お客様の生活の合理化を優先すれば、
自分たちの会社の仕事は増え非効率になる。
それを、業務改革やシステム化によって、
自分たちの合理化を果たす。
そんなことを発想し実践できる会社は
そうはない」
毛利編集長は感銘する。

まったく同感だ。

鈴木敏文退陣するも、
鈴木の前に鈴木無し、
鈴木の後に鈴木無し。

セブン-イレブンに関して、
鈴木敏文のこの点は、
なんぴとも否定できない。

そしてこれからのセブン&アイは、
それを前提に革新されねばならない。

さて、三菱自動車のデータ改ざん問題。
軽自動車4車種で燃費試験のデータを、
不正に操作していた。
対象台数は62万5000台。

2013年発売の「eKワゴン」の開発では、
11年2月から13年2月までの2年間に、
燃費目標を5回、上方修正。

日経新聞の記事では、
「同時期に競合他社から
燃費性能を高めた車両が発売されたため、
これを意識して目標を上げていたとみられる」

相川哲郎社長の発言。
「自浄作用がはたらかなかった」

今日の『私の履歴書』で、
三菱地所の福澤武さんは書いている。

こちらも1997年の「海の家事件」で、
総会屋への利益供与を摘発され、
その直後に、企業行動倫理憲章をつくる。

その基礎になったのが、
三菱第4代社長岩崎小弥太の『三綱領』
1.所期奉公
2.処事光明
3.立業貿易

福澤さんは、それを英語に読み替える。
①パブリック
②フェア
③グローバル

「この憲章は今も社内の事務室や
会議室、応接室に掲げてある。
何より、我々一人一人が肝に銘じている」

残念ながら、三菱自動車という会社には、
小弥太の「三綱領」が生きてはいないようだ。

相川社長は「生え抜きエース」で、
「技術屋魂」を持った経営者と言われた。

皮肉にも「eKワゴン」の新車開発は、
相川氏の手によるものだった。

ただし父親の相川賢太郎氏は、
三菱重工の社長、会長を歴任。
三菱グループの重鎮だった。

「自浄作用」などと、
無責任な言葉を漏らす前に、
「処事光明」である。

三菱グループのホームページにある。
「処事光明」=「フェアープレイに徹する」

「公明正大で品格のある行動を旨とし、
活動の公開性、透明性を堅持する」

さらに丁寧に書かれている。

「競争に熱中し、数字を上げるために、
手段や方法を選ばないというようなことが
…あってはならない」
(1920年、小弥太のスピーチ)

小弥太は100年近くも前に、
今回のようなことを、
予見し、警告を与えていた。

「…われわれは常に
社会正義とは何かということを
念頭において行動しなければならない」

「不正には正義を、
権謀には正直をもって、
われわれは行動すべきである…」

いま、三菱自動車、
いや、三菱グループがなすべきことは、
「正義と正直」の貫徹である。

それしかない。
自浄作用ではない。

〈結城義晴〉

2016年04月26日(火曜日)

福澤武「バブル崩壊」とラリー・ボシディ「実行の企業文化」

ゴールデンウィークを控えた4月下旬。
さわやかな季節。

「今月」の東京タワー。
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愛宕ヒルズのツインビル。
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そしてお地蔵様。
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木の枝もトリミング。
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そしてTRUE DATA。
Customer Communications㈱。
略称CCL。
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ウレコンを発信している。

今朝は恒例の取締役会。
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3月末で決算を終え、
今期のスローガンは「飛躍」

私は、膨張ではなく、
成長による「飛躍」を祈念する、と発言した。

昼までの会議が終わり、
ランチミーティングをしてから、
芝公園を歩く。
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「滔々たる荒川のほとり、
万緑の河畔あくまで緑。
その緑の中に一点紅を点ずる者あり。
その名をお袖といふ」

『人生劇場』二番の前口上を思い出した。
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地下鉄都営三田線から都営浅草線、
さらに京浜急行に乗り継いで横浜。

西口の新田間川沿いをぶらぶら。
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あんなに見事に咲いていた桜が散って、
ああ、新緑の河畔あくまで緑。
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さて日経新聞『私の履歴書』
今月は福澤武さん。
三菱地所名誉顧問で、
あの福澤諭吉のひ孫。

誕生から幼少期、青年期、
そして結核を患って養生。
その後、三菱地所に就職して、
遅ればせながら社会に出る。

このあたり、はっきり言って、
あんまりおもしろくない。

しかし第23回はリアリティがあるし、
不動産業の意外さが面白い。

タイトルは「バブル崩壊」

営業部長として、
競争の最前線に立ったときは、
バブル経済の真っただ中。

「戦後、日本の地価はずっと
右肩上がりを続けてきた」

「多少の高値で取引しても、
将来は上がるはずだ――」

「そんな土地神話を信じ切っていたし、
ライバルの存在が拍車をかけた」

バブルに浮かれた不動産業。

しかし1990年春、政府は、
「総量規制」をスタートさせた。

「バブルはあっけなくしぼんだ。
甘かった」

93年完成の「横浜ランドマークタワー」
「テナント集めに困り果てた」

そして、「とうとう減収減益に陥った」
役職は営業統括専務で、
ビル営業の陣頭指揮をとっていた。

福澤さんは部下に収益予測を調べさせた。
そのときの部下の返答に絶句。

「ウチの情報システムは
値上げしか想定しません。
値下げのときは計算できません。
手作業になります」

これには私も、
思わず笑った。

福澤さんも、
「苦笑いしか浮かべられなかった」

「それまでの常識が
バブル崩壊とともに
崩れ去った」

翌94年5月の連休明けに、
社長に昇格。
年齢は60歳を超えていた。

「不適材不適所。
あるいは、経営者として
特筆すべきことなし。
そう思われたのか、
次期社長の人となりを紹介する記事は
『福澤諭吉のひ孫』という話に
焦点が当たっていた」

この辺りは、実におもしろい。

しかし福澤さんはこのとき、
経営者として、試練をくぐる。

この後はお決まりの成功談だろう。
それもあまりおもしろくはないはず。

ふと、今、試練の中にいる、
井阪隆一さんを思い浮かべた。
現セブン-イレブン・ジャパン社長で、
セブン&アイ・ホールディングス社長に、
就任することが決まっている。

試練こそが経営者を育てる。

ラリー・ボシディ/ラム・チャラン著、
『経営は「実行」』を思い出した。

2002年の米国ベストセラーにランクイン。
日本語訳は2003年に、
日経新聞から発刊された。

私は㈱商業界の社長に就任した時に読んで、
感銘を受けた。

ラリー・ボシディは、
元ゼネラルエレクトリックの副社長兼COO。
あのジャック・ウェルチの右腕と言われた。

そのボシディは「Execusion(実行)」のために、
経営者の七つの行動要件を挙げている。
①自社の人材や事業を知る。
②常に現実を直視するよう求める。
③明確な目標を設定し、
優先順位をはっきりさせる。
④最後までフォローする。
⑤成果を上げた者に報いる。
⑥社員の能力を伸ばす。
⑦己を知る。

まあ、当たり前のことばかりだが、
ボシディが指摘するから説得力がある。

この七つの行動要件のもと、
二つの行動提起がなされる。

第1に、実行を可能にする企業文化が必須だ。
その変革のための枠組みをつくる。

第2に適材を適所に充てる。

福澤武さんは、
『私の履歴書』に登場するくらいだから、
「Execusion」を成し遂げたのだろう。

井阪さんの本当の試練は、これからだ。

そういえば、
CCL社長の米倉裕之さんは、
ゼネラルエレクトリック出身だった。

「実行」することは別の言葉で言えば、
「徹底」である。

私は、徹底を、こう定義している。
「細かく、厳しく、続けること」
詳細に、厳密に、継続する。

ボシディは「実行の企業文化」をつくれ、
組織風土を変革せよ、と説く。

私も最近は、
大和言葉でこう表現する。
こまかく、きびしく、
しつこく、なかよく。

「なかよく競争する」企業文化が、
私のイメージだ。

井阪さんも、米倉さんも、
その他の経営者やリーダーたちも、
それぞれに試練を受け止めて、
実行の企業文化をつくってほしいものだ。

〈結城義晴〉

2016年04月25日(月曜日)

トーマス-セドラチェクの「自由」と「売上げは全てを癒す」

Everybody! Good Monday!
[2016vol17]

2016年第17週。
4月第5週で、今週金曜日から、
ゴールデンウィーク。

こんな連休間近の時こそ、
月曜朝一・2週間販促企画。
Daily商人舎日替わり連載。

丁寧にこの2週間を見通しています。

花粉症はないし、
じめじめしてもいないし、
ゴールデンウィーク前の、
一番いい季節です。

久しぶりに日経俳壇にいい句があった。
それつきり雲になりたる揚雲雀
〈 うきは市・江藤哲男〉
「揚雲雀(あげひばり)」は、
空高く舞い上がってさえずるヒバリ。
声を限りに鳴きながら登ってゆくヒバリ。
雲の中に消えていって、
雲になってしまったのではないか。

春は空に昇っていくイメージが強い季節。

我先に浮力の中へ石鹼玉
〈朝日俳壇 東村山市・盥日央鶴〉
シャボン玉が浮き上がってゆく様が、
春らしい。

アカペラで唄ひ出したる蛙かな  

〈朝日俳壇 南足柄市・海野優〉

「筑波山麓合唱団」は、
アカペラだったか。
永六輔作詞、いずみたく作曲、
歌ったのはデューク・エイセス。
ダークダックスやボニージャックスではない。
ちょいと話は古すぎるか。

今日は松井康彦さんが、
ランチミーティングに登場。
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商人舎エグゼクティブプロデューサー。

さて昨日のうれしいニュース。
フジサンケイレディースクラシック。
女子プロゴルフトーナメント。
あの川奈ホテルゴルフクラブで開催。

宮崎県出身の大山志保プロが、
通算11アンダー、205で逆転優勝。

大山は熊本中央女子高校時代から7年間、
熊本でゴルフ修業した。

だから今トーナメントでも、
「メンタル面が良かった」
その理由は、「熊本です」

そして優勝賞金1440万円全額を、
熊本地震被災地に寄付する。

素晴らしい。

第2位タイに終わった笠りつ子は、
熊本出身でこちらも健闘。

スポーツウーマンたちも、
自分の仕事を全うして、
被災地を激励する。

私たちも。

さて日経新聞の『グローバルオピニオン』
トーマス・セドラチェクが、
「成長至上主義と決別」と説く。
東欧チェコ共和国の経済学者。

これがいい。

「経済学者たちは常に
不況に目を向けて治療を促してきた」

コモディティ化現象をとらえて、
脱コモディティの処方箋をのみ探るごとし。

「金融緩和政策や財政支出など
経済を覚醒させる即効薬を投入すれば、
一時的には経済成長のスピードを
速められるかもしれない。
しかし、もはや限界だ」

主流派経済学に、
真っ向から異議を唱える。

「現在の主流派経済学は、
成長至上主義が前提だ」

「日本でも、安倍政権は
財政・金融政策を通じて
需要を人工的に作り出そうとしている」

それも、なかなかうまくはいかないけれど。

「需要創出を目指す政策を否定はしないが、
仮に経済が不況から脱出して
好況になったとき、
ブレーキをかける手段がない。
そんな危うい財政・金融政策に
頼り続けるべきではない」

アベノミクスの根本に切り込む。

「日本経済は過去30年にわたって
政府や中央銀行から
薬を飲まされてきた」

安倍政権に限らない。

「その結果が、国内総生産の
200%を超える政府債務である」

「マイナス金利政策はこうした政策が
底をついたことを象徴している」
黒田日銀総裁の政策も批判。

「経済は良くなるときも悪くなるときもあり、
長い目でみれば不況と好況が
繰り返されるのだから、
不況にだけ注目するのをやめよう」

悲観ばかりしていても始まらない。

「薬の投入を控えれば、
経済は全体として安定するだろう」

やや楽観主義かというと、
そうではない。

「日本の社会は、
私たちの地球の中で
最も豊かに見える。
さらに経済成長しなければならない理由は
見当たらない」

元共産圏の国の住人から見るから、
日本は「豊かな国」なのだろうか。

「黄金の天井に頭が届いてしまったのだ、
資本主義は私たちにすべてを与えきった、
もらえるものはもうない、
と考えたらどうか」

「これからは、
安定した社会の富を分け合えばよい」

そして日本を評価してくれる。

「日本で問題となっている少子高齢化は
おそらくこれから他の国でも進む。
日本は先駆的に多くの対策を打ち出しており、
よい前例になるのではないか」

このあとのコメントがいい。

「資本主義と民主主義の価値は
『自由』であり、『成長』ではない。
成長は私たちを喜ばせる特典だが、
必然ではない」

成長か、自由か。
二大政党制の二大コンセプトたりうる分析だ。

小売業界の言葉。
「売上げはすべてを癒す」
これは典型的な成長至上主義。

では、小売サービス業における
「自由」とは何か。

「成長だけがすべて」の価値観から、
完全に自由になることだ。

そして政治に目を向ける。
「政治のパフォーマンスを
経済成長率で評価するのではなく、
国の予算をどう使ったかを測定し、
財政を安定させたかどうかを
評価の対象とすべきだ」

さらに主流派経済学者にも。
「天気が毎日良ければと願い、
成長に魅入られている経済学者たちの
ポケットの中は空っぽだ」

強烈。

「そこから処方箋は出てこない」

Tomas Sedlacec、39歳。
大学在学中の24歳のとき、
ヴァーツラフ・ハヴェル初代大統領の下で、
経済アドバイザーを務める。
著書『善と悪の経済学』はおすすめ。

主流派経済学が切り捨てたもの。
「倫理と道徳」そして「物語」

それを解き明かしつつ経済を論じる。
倉本長治を彷彿させてくれる。

平成28年熊本地震は続く。
東日本大震災後の福島原発問題も、
いまだ片付いていない。

成長至上主義もあってよい。
しかし、それだけが、
唯一の価値観ではない。

それつきり雲になりたる揚雲雀

では、みなさん、
今週も、元気を出して、
Good Monday!

〈結城義晴〉

2016年04月24日(日曜日)

【日曜版・猫の目博物誌 その1】カモメ 

猫の目は、
暗いところでも、ものを見る。
全体視野は280度で、
斜め後ろも見える。
両眼視野は130度で、
距離感を正確につかむ。

そんな目で見る博物誌――。
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アメリカ合衆国カリフォルニア州。
サンフランシスコ市の観光地が、
フィッシャーマンズワーフ。DSCN8295-6

サンフランシスコ湾に浮かぶアルカトラズ島。DSCN8296-6
面積7万6000㎡の小島。
初めは灯台、それから軍事要塞、軍事監獄。
1963年まで連邦刑務所。

「ザ・ロック」あるいは「監獄島」と呼ばれた。

海鳥の生息地に夕焼けが映える。
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岸壁にカモメが一羽。
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カモメが二羽。
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「Danger」だよ。

飛ぶか?

かもめのジョナサンよ!
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学名はLarus canus。
動物界脊索動物門鳥綱、
そしてチドリ目カモメ科カモメ属。
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漢字で「鴎」、
英語でgull
ロシア語でчайка

英語のgullという言葉、
名詞は「だまされやすい人、まぬけ」、
動詞は「だます」の意味がある。

カモメはCommon gull、Mew gull、
あるいはSea gullともいう。

リチャード・バック『かもめのジョナサン』は
Jonathan Livingston Seagull。
つまり三番目のSea gull。
DSCN8297-6
「カモメのみなさん」は、
食うために飛んだ。

しかし「かもめのジョナサン」は、
飛ぶことそのものに価値を見つける。
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そして仲間から外れていく。

一方、ロシア語のЧайка「チャイカ」
アントン・チェーホフの戯曲『かもめ』
シェークスピアと並ぶ世界の劇作家、
その代表作。

第四幕で、若き女優ニーナが、
劇作家トレープレフに語る。

どうして、わたしの歩いた地面に
口づけをした、なんてことを言うの?
わたしなんか、殺されても仕方ないのよ。
(テーブルにもたれかかる)
疲れた! 休みたい…
休めたらいいのに!
(頭を上げる) 
わたしはカモメ…。
そうじゃない、わたしは女優、
そういうこと!
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1963年、人類史上、
初めて宇宙を飛んだ女性は、
ソ連のヴァレンチナ・テレシコワさん。

宇宙船ヴォストーク6号から、
第一声を発した。
「Я Чайка
「わたしはカモメ。」

~なんてことを、
この観光地のカモメは考えない。

メキシコ人観光客の差し出すアイスクリームを
口ばしで素早く掠め取って、
飛び去って行った。
DSCN8301-6
ああ、こいつも、
ジョナサンではなかった。

カモメの食性は雑食。
主に魚類、動物の死骸などを食べる。
観光客のアイスクリームも。

ゴールデンゲートブリッジに夕日が沈む。
DSCN8311-6
飛ぶこと、生きること、
それらに意義を見出すこと。

猫の目は、それを見ている。
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〈『猫の目博物誌』(未刊)より by yuuki〉

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結城義晴・著


コロナは時間を早める

結城義晴・著


流通RE戦略―EC時代の店舗と売場を科学する

鈴木哲男・著

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