日本の憲法記念日。
1947年5月3日、日本国憲法施行。
それを記念した祭日。
69年間、私たちは、
この日本国憲法のもとで生きてきた。
アメリカ合衆国の憲法は、
1787年9月17日に作成され、
1788年に発行した。
起草者はジェームズ・マディソン、
第4代大統領。
そしてちょっと意外に感じられるだろうが、
世界最古の成文憲法だ。
憲法記念日は9月17日。
そのアメリカ合衆国憲法の有名な前文。
We the People of the United States,
in Order to form a more perfect Union,
establish Justice, insure domestic Tranquility,
provide for the common defense,
promote the general Welfare,
and secure the Blessings of Liberty
to ourselves and our Posterity,
do ordain and establish this Constitution
for the United States of America.
「われら合衆国の人民は、
より完全な連邦を形成し、
正義を樹立し、国内の平穏を保障し、
共同の防衛に備え、人民の福祉を増進し、
われらとわれらの子孫のうえに
自由のもたらす恵沢を確保する目的をもって、
アメリカ合衆国のために、
この憲法を制定する」
安全な連邦、正義の樹立、
国内の平穏、共同の防衛、
人民の福祉、そして自由の恵沢。
ワシントンDCのリンカーン記念堂。
ワシントン記念塔と、
リフレクティング・プール。
そしてまた有名な言葉。
and that government of the people,
by the people, for the people,
shall not perish from the earth.
「そして人民の、
人民による、
人民のための統治を、
この地上から消え去さらせてはならない」
記念堂の石段には、
マーティン・ルーサー・キング牧師の言葉も、
刻まれている。
アメリカ合衆国憲法は、
連邦の堅持を強く謳っているが、
その精神はリンカーンのフレーズにあるし、
その未来はキング牧師の言葉にある。
一方、イギリスには成文憲法がない。
だから憲法記念日もない。
しかしこの国が、
1215年のマグナ・カルタ(大憲章)以来、
世界の法や立法の骨組みを築いてきた。
また、フランスは第五共和国憲法。
基本のひとつになっているのは、
1789年のフランス人権宣言。
その第三条は、
「いかなる主権の原理も
本質的に国民に存する。
どの団体も、どの個人も
そこから明確に発しないような権威を
行使することはできない」
フランス人権宣言は、
アメリカ合衆国憲法の翌年に、
発せられている。
これも意外な気がするが、
人間の権利を憲法の骨組みにしている。
ドイツの憲法は、
ドイツ連邦共和国基本法。
1949年に制定され、
5月23日が憲法記念日。
一番最初に謳われているのが、
「第1条・人間の尊厳の不可侵」
ドイツが人間の尊厳を、
第一としていることは意義深い。
さて日本国憲法。
私は毎年、憲法記念日には、
日本の憲法のことを書く。
昨年の憲法記念日は日曜だった。
だからブログは『ジジの気分』だった。
一昨年の今日のブログは、
日本国憲法前文と第9条の短文と
「集団的自衛権の行使」
これは読んでみてほしい。
このブログでも何度か書いているが、
私は自分の著書の「はじめに」の冒頭に、
日本国憲法を使った。
『小売業界大研究』。
2010年、産学社刊。
こう、はじまる。
「私たちの日本国憲法は、
『主権が国民に存することを宣言』しています。
国の基本原理・基本原則を定める日本国憲法は、
まず、国民主権を掲げるのです」
「そのうえで、
基本的人権の尊重、
平和主義の、
三つの考え方が謳われています」
「一方、すべての小売業もまた、
この三つの考え方を基盤としています」
「国の主権者である国民に、
一人ひとりの人権を尊重して、
商品とサービスを提供する。
そして、平和の中で、
小売業は繁栄する――」
「あらゆる産業は、
国民生活に貢献するために
営まれています。
しかし、とりわけ小売業は、
国民の毎日の暮らしを
維持・向上させるために、
最も国民に近いところで
日々、活動します。
小売業はそのことに、
最大の存在意義をもつのです」
私の基本的な考え方だ。
今日の日経新聞一面に世論調査。
日本経済新聞社&テレビ東京が実施。
読売新聞は改憲論を主張している。
一方、朝日新聞・毎日新聞は護憲派。
現時点では、
立憲主義と非立憲主義という枠組みで、
改憲論を攻撃している。
日経新聞は立場を鮮明にしていない。
経済、ビジネス優先で、
その意味ではノンポリ。
だから世論調査に客観性が出てくる。
おもしろい。
その調査は日経リサーチが、
4月29日~5月1日に、
全国の18歳以上の男女を対象に、
乱数番号(RDD)方式によって電話で実施。
固定電話と携帯電話を合わせて、
2210件を対象に991件の回答を得た。
回答率は44.8%。
調査の方式も、
今回は18歳以上となったし、
固定電話と携帯電話を組み合わせた。
変化が面白い。
その調査結果、
日本国憲法に関して、
「現在のままでよい」の回答が50%。
2004年以降、同じ質問で調査して、
初めて5割に達した。
反対に「改正すべきだ」は40%。
「現在のままでよい」と答えた人の理由。
「平和主義が変質する恐れがある」が51%。
「よほどのことがない限り、
憲法改正すべきでない」が38%。
昨15年4月の1年前の調査。
「現在のままでよい」(44%)
「改正すべきだ」(42%)
護憲派がこの調査では伸びた。
年代別にみると、
改憲支持が護憲を上回ったのは、
30代、40代、50代。
逆に護憲が上回ったのは60代と70代。
18~29歳の若い世代も、
護憲が55%、改憲が39%。
さらに支持政党別の結果。
自民支持層は当然ながら改憲支持が多い。
無党派層は52%が護憲、改憲は36%。
民進支持層では77%が護憲、改憲は2割。
この論議は、安倍晋三政権のときだけでなく、
将来も続けられていくに違いない。
しかし、リンカーンとキング牧師の精神は、
世界の憲法の精神に、
通底しているものである。
なによりも、大事なものだ。
〈結城義晴〉