ラスベガスの気温は30度以上。
それでも朝方は涼しい。
窓の外に広がる空と雲。
夜が明ける。
ラスベガス5日目は、
総仕上げの日。
朝8時から全員集合で、
調査分析チーム・プレゼンテーション。
ラスベガスに着いて、2日目、3日目は、
店を訪れるたびに、
商品と価格の調査をする。
5人1チーム。
それをプライス・フェーシング・グラフに描く。
そしてその内容を分析し、発表する。
これが、よくできたPFグラフ。
まずAチームは、
グロサリー部門でケチャップを調査。
よくできた調査とグラフ、
日本の競争に照らした分析。
優れた発表だった。
最後に、私が前に出て、
補足したり、解説したり、
総括したり。
Bチームは、日用雑貨班。
トイレットペーパーにチャレンジ。
新しい商品開発の芽が出ている。
それが判明した。
プレゼンが終わると、
質疑応答。
鋭い質問に的確に答える。
これも研修の重要な内容。
CチームはHBC班。
日焼け止めを調査して発表した。
Dチームは、青果部門。
オレンジを調査したが、
その品種分析も試みて、
なかなか良かった。
青果部門は経験者が多くて、
その経験に基づいた質問が出て、
活発な議論が展開された。
Eチームは、精肉部門。
ひき肉を調べた。
アメリカのひき肉は、
日本に比べて意外にシンプルな品揃えだ。
ハンバーガー用がほとんどだからだろう。
これにも質問が出る。
だんだん盛り上がってきた。
Fチームは、デリ部門。
サンドイッチを調査し、
面白い結論を見つけ出した。
Gチームは、ベイクドグッズ。
ハンバーガーバンズを調べた。
アメリカ人は驚くほど、
ハンバーガーバンズを購入する。
そして家庭でも、ハンバーガーを作る。
ここにはチェーンごとの典型的な、
品揃えコンセプトが現れた。
Hチームはデアリー(乳製品)部門。
オーガニックミルクを調査して、
ノンコモディティグッズが、
コモディティ化し始めた事実を突き止めた。
Iチームは、 冷凍食品班。
三つの冷凍野菜を調べて、
それぞれを分析。
ウォルマートやスミス(クローガー)、
さらにウィンコやコストコ、トレーダー・ジョーは、
三つの品種のグラフの形が同じで、
価格政策の統一感が出ていた。
私が前に出て、
そのことを指摘した。
最後に、Jチームは菓子部門で、
ポップコーンを調べた。
グラフからは鮮明に出なかった企業に、
おもしろい取り組みが見られ、
それを読み取って解説。
いいプレゼンテーションだった。
今年はレベルが高かった。
調査のやり方も内容も、
そして分析も素晴らしかった。
優劣つけがたいプレゼンテーションだった。
その後、休憩時間に、
事務局で優勝、準優勝、三位を決定。
議論百出、なかなか決まらず。
白熱したプレゼンテーションであったことが、
判明した。
それでも、三賞を決定。
休憩後は、表彰式。
まず一昨日の大試食会の表彰から。
敢闘賞はグループ3、
通称じいさんチーム。
代表のヨシズヤ坂東洋一さんに賞品を授与。
料理大会の優勝は、グループ1。
何よりもうまい料理を提供。
代表はなとりの田中則之さん。
次に、昨日の朝の理解度テスト表彰。
SABCDの成績をつけるが、
そのS獲得者を表彰。
盛大な拍手をもらって、
10人の名前が呼び上げられた。
今年のS獲得者は全体の2割。
例年に比べて2倍くらいだった。
毎年、絶対評価をする。
その2割10人のS級は、
凄い結果だった。
名前を列挙して、表彰しよう。
高橋功さん、
アイディック㈱商品部日配グロサリー課。
笠原あすかさん、
㈱イシダ商品企画課。
瀧原康夫さん、
㈱関西スーパーマーケット経営企画室
広報秘書チームチームリーダー。
八田茂徳さん、
㈱マツモト店舗運営部マネージャー。
小嶋大晶さん、同店舗運営部店長。
松本純さん、同開発総務部マネージャー。
灰野弘一さん、同商品部バイヤー。
小山孝史さん、
㈱ユニバース堅田店副店長。
伊藤嘉信さん、㈱ヨシヅヤ人事総務部係長。
上小路聖さん、同青果部スーパーバイザー。
おめでとう。
マツモトから4人も出たし、
ヨシズヤも頑張って2人が表彰された。
Aの成績も23人が獲得。
今回は驚くべき成果だった。
ラスベガスに到着する途中、
シアトルでトラブルに巻き込まれた。
しかしその試練を乗り越えて、
今年のbasicチームは、
大きな収穫を得た。
私もうれしかった。
そのことを話して、
全員を祝福した。
みんな神妙な顔つきで聞いてくれたが、
うれしそうだった。
続いて、調査研究表彰。
まず3位に2チームが選ばれた。
Dチームの青果部門オレンジ、
Gチームのベイクドグッズ・ハンバーガーバンズ。
おめでとう。
そして準優勝は、Jチーム。
菓子部門でポップコーンを調査分析。
トレーダー・ジョーのPBは、
ユーモアにあふれたムービー・シアター調。
つまり「映画を見ながら食べてください」と、
パッケージに表現されている。
価格と味や品質だけでなく、
楽しい提案がある。
それがTJ社のポジショニングとなる。
鋭い観察と分析。
当然の準優勝だった。
そして第1位は、
みんなから盛大な拍手をもらった。
Aチーム、加工食品部門トマトケチャップ。
一番最初のプレゼンテーションで、
しかも映像が消えるという事故が起こった。
それにもかかわらず、
プレゼン大会全体のレベルを高める、
素晴らしい研究発表だった。
ポジショニング戦略の有無を、
企業ごとに鮮明にして、
この研修の目的を体現したような内容だった。
そして結城義晴の最後の講義。
メンバー二人から、
4つの質問が寄せられた。
それに答えつつ、
商品問題ではオーガニック分野の総括をし、
チェーンストア理論の整理をし、
最後にロイヤルカスタマー論と、
サービスのマネジメント。
400ページのテキストを、
ほとんど語りきった。
全員が真剣に聞いてくれた。
私も満足した。
試練を乗り越えて、
成果を挙げた。
それが何よりうれしかったし、
誇らしかった。
ありがとう。
(つづきます)
〈結城義晴〉