結城義晴のBlog[毎日更新宣言]
すべての知識商人にエブリデー・メッセージを発信します。

2016年05月27日(金曜日)

清水信次、外山滋比古、バラク・オバマの覚悟・英知・決断

目的から外れようとする力が実は
目的にもっともよくかなうものである
〈外山滋比古〉

朝日新聞一面の『折々のことば』

外山滋比古さんは、
私のブログにもよく出てくる。
『知的創造のヒント』『思考の整理学』の著者。

「しるこに砂糖とともに
少量の塩を加えて味を締めるように、
相反する原理を交錯させることで
効果を高めることが、
人の営みにはよく見られる」

「破調や不調和を
あえて導き入れることで、
より高い統合を得る」

昨日の夜、
㈱万代社長就任披露パーティが、
全部終わってから、壇上で、
全役員とともに写真を撮った。IMG_1816
このゲマインシャフトの組織にも、
「しるこの塩」は必須だ。

「目的から外れようとする力」を、
押しとどめてはいけない。

それが実は、
「目的にもっともよくかなうもの」であることが、
往々にしてあるからだ。

さて伊勢志摩サミットが終了して、
バラク・オバマ米国大統領が、
広島を訪れた。

その姿は美しかった。

日本全体が、
歴史的瞬間に立ち会った。
日本人も、それにふさわしい態度だった。

バラク・フセイン・オバマのスピーチ。
朝日新聞digitalから、ちょっと手直しをして、
全文を紹介しよう。
DSCN3891-2

71年前の朝。
明るく、雲一つない、晴れ渡った空から、
死が降りてきて、
世界が変わってしまいました。

閃光と炎の壁が都市を破壊し、
人類が自らを破滅させる手段を
手にしたことを示したのです。

なぜ私たちはここ、広島を訪れるのか。
私たちはそう遠くない過去に解き放たれた
恐ろしい力に思いをはせるために
訪れるのです。

10万人を超す日本人の男女、
そして子どもたち、

何千人もの朝鮮人、
十数人の米国人捕虜を含む
死者を悼むために訪れるのです。

彼らの魂が私たちに語りかけます。
私たちに内省し、私たちが何者なのか、
これからどのような存在になりえるのかを
よく考えるように求めているのです。

広島を際立たせるのは
戦争の事実ではありません。

暴力を伴う紛争は太古の昔からあったことが
古代の遺物からわかります。
火打ち石から刃を作り、
木から槍をつくることを学んだ私たちの祖先は
これらの道具を狩猟だけでなく、
人間に対しても使ったのです。
食糧不足、富への渇望、
国家主義的な熱烈な思いや
宗教的熱情に突き動かされ、
世界のどの大陸でも
文明の歴史は戦争にあふれています。
いくつもの帝国の興亡があり、
人々は服従を強いられたり、
解放されたりしました。
それぞれの時期に罪なき人たちが犠牲になり、
その名は時がたつにつれて
忘れられていきました。

広島と長崎で
残酷な終結を迎えることになった世界大戦は、
最も豊かで、最も力の強い
国々の間で戦われました。

それらの国の文明は世界に
偉大な都市や素晴らしい芸術を
もたらしました。

思想家たちは正義や調和、
真実に関する考えを生み出してきました。

しかし戦争は、
最も単純な部族間の紛争の原因となった、
支配や征服をしたいという本能と
同じ本能から生まれてきたのです。
新たな能力によって
その古いパターンが増幅され、
ついには新たな制約が
なくなってしまったのです。

数年の間に、
6000万人もの人たちが亡くなりまし た。

男性、女性、子ども、
私たちと何ら変わりのない人たちが、
撃たれ、殴られ、行進させられ、
爆撃され、投獄され、
飢えやガス室で死んだのです。
この戦争を記録する場所が
世界に数多くあります。
勇気や英雄主義の物語を語る記念碑、
筆舌に尽くしがたい悪行を思い起こさせる
墓地や無人の収容所です。

しかし、この空に立ち上った
キノコ雲のイメージのなかで最も、
私たちは人間性の中にある
根本的な矛盾を突きつけられます。

私たちを人類たらしめているもの、
私たちの考えや想像力、
言語、道具をつくる能力、
自然を自らと区別して
自らの意思のために
変化させる能力といったものこそが、
とてつもない破壊能力を
私たち自身にもたらすのです。

物質的な進歩または社会的革新によって、
私たちは何度、
この真実が見えなくなるのでしょうか。

どれだけたやすく、私たちは、
何かより高い大義の名の下に、
暴力を正当化してきたでしょうか。
あらゆる偉大な宗教が、
愛、平和、公正への道を約束しています。
しかし、いかなる宗教も、
信仰が殺戮の許可証だと主張する信者から
免れていません。

国家は人々を
犠牲と協力で結びつける物語を伝え、

顕著な業績を可能にしながら台頭します。
しかし、それらの同じ物語は、
幾度となく異なる人々を抑圧し、
その人間性を奪うために使われてきました。

科学によって、私たちは、
海を越えて通信を行い、
雲の上を飛び、病を治し、
宇宙を理解することが
できるようになりました。

しかし、これらの同じ発見は、
これまで以上に、
効率的な
殺戮の道具に、
転用することができるのです。

現代の戦争は私たちに、
この真実を教えてくれます。
広島が、この真実を教えてくれます。

科学技術の進歩は、
人間社会に同等の進歩が伴わなければ、
人類を破滅させる可能性があります。
原子の分裂を可能にした科学の革命には、
道徳上の革命も求めら れます。
だからこそ、私たちは、
この場所を訪れるのです。

私たちはここに、この街の中心に立ち、
原子爆弾が投下された瞬間を
想像しようと努めます。
目にしたものに、
混乱した子どもたちの恐怖を
感じようとします。

私たちは、声なき叫びに耳を傾けます。
私たちは、あの恐ろしい戦争で、
それ以前に起きた戦争で、
それ以後に起きた戦争で
殺されたすべての罪なき人々を、
思い起こします。

単なる言葉だけでは、
こうした苦しみに
声を与えることはできません。

しかし私たちは、
歴史を直視する責任を
分かち合っています。
そして、こうした苦しみの再発を防ぐために
どうやり方を変えるべきなのかを
問わねばなりません。

いつか、証言する被爆者の声が
聞けなくなる日がくるでしょう。
しかし、1945年8月6日の朝の
記憶を薄れさせてはなりません。
その記憶は、私たちが、
自己満足と戦うことを可能にします。
それは私たちの道徳的な想像力を刺激し、
変化を可能にします。

あの運命の日以来、
私たちは希望をもたらす選択をしてきました。
米国と日本は同盟だけでなく、
私たちの市民に戦争を通じて得られるよりも、
はるかに多くのものを
もたらす友情を築きました。

欧州諸国は、戦場を
通商と民主主義の絆に
置き換える連合を築きました。

抑圧された人々と国々は
解放を勝ち取りました。

国際社会は戦争を回避し、
核兵器の存在を制限し、縮小し、
最終的には廃絶するために
機能する組織と条約をつくりました。

それでもなお、世界で目の当たりにする
国家間のあらゆる攻撃的行動、
あらゆるテロ、腐敗、残虐性、抑圧は、
私たちの仕事に
終わりがないことを物語っています。

私たちは、人間の悪をなす能力を
なくすことはできないかもしれません。
だからこそ、
国家や私たちがつくり上げた同盟は、

自衛の手段を持たなければなりません。
しかし、私の国のように核を保有する国々は、
恐怖の論理にとらわれず、
核兵器なき世界を追求する勇気を
持たなければなりません。

私の生きている間に、
この目標は実現できないかもしれません。
しかし、たゆまぬ努力によって、
悲劇が起きる可能性は減らすことができます。
私たちは核の根絶につながる道筋を
示すことができます。
私たちは、ほかの国への核拡散を止め、
狂信者たちから、死をもたらす物質を
遠ざけることができます。

しかし、それでもまだ十分ではありません。
なぜなら、粗製のライフルや樽爆弾でさえ、
どれだけ恐ろしい規模の暴力を起こせるのか、
私たちは世界で
目の当たりにしているからです。

私たちは戦争そのものへの考え方を
変えなければいけません。
それによって、外交を通じて紛争を防ぎ、
すでに始まった紛争を、
終わらせる努力をしなければなりません。
相互依存の高まりが、
暴力的な競争の原因になるのではなく、
平和的な協力を生むものだと考えるのです。
そして、私たちの国家を、
破壊能力によってではなく、
何を築き上げるかで定義づけるのです。

おそらく何にもまして、
私たちは一つの人類の仲間とし て、
互いの関係をつくり直さなければいけません。
なぜなら、そのことも、
人類を
比類なき種にしているものだからです。

私たちは遺伝情報によって、
過去の間違いを繰り返す運命を
定められているわけではありません。

私たちは学び、選ぶことができます。
人類が共通の存在であることを描き、
戦争をより遠いものにし、
残虐な行為は受け入れられがたいような、
異なる物語を私たちは
子どもたちに伝えることができます。

私たちはこうした物語を、
被爆者の中にみることができます。

原爆を投下した爆撃機のパイロットを
許した女性がいます。
なぜなら、彼女は、
本当に憎いのは
戦争そのものだと
分かっていたからです。

ここで殺された米国人たちの家族を
捜し出した男性がいました。
なぜなら、彼は、彼らの喪失は
自分たちの喪失と等しいと
信じていたからです。

私の国の物語は、
シンプルな言葉から始まりました。

「すべての人は等しくつくられ、
生命、自由、幸福追求を含む、
奪われることのない権利を
創造者から授けられた」。

そうした理想を実現するのは、
たとえ私たちの国内であっても、
国民同士であっても、決して
簡単なことではありませんでした。
しかし、その物語へ忠実であり続けることは、
努力に値することです。
大陸を越え、海を越えて
追い求められるべき理想なのです。

すべての人の減らすことのできない価値。
すべての命は尊いという主張。
私たちはたった一つの人類の一員なのだ
という根本的で欠かせない考え。
これらが、私たち全員が
伝えていかなければならない物語なので す。

それが、私たちが広島を訪れる理由です。
私たちが愛する人のことを考えるためです。
朝起きて最初に見る
私たちの子どもたちの笑顔や、

食卓越しの伴侶からの優しい触れあい、
親からの心安らぐ抱擁のことを考えるためです。

私たちはそうしたことを思い浮かべ、
71年前、同じ大切な時間が
ここにあったということを
知ることができるのです。

亡くなった人たちは、
私たちと変わらないのです。

普通の人たちは、
このことを分かっていると私は思います。
普通の人はもう戦争を望んでいません。

科学の驚異は人の生活を奪うのでなく、
向上させることを目的にしてもらいたい。
国家や指導者が選択をするにあたり、
このシンプルな良識を反映させる時、
広島の教訓は生かされるのです。

世界はここ広島で、
永遠に変わってしまいまし た。
しかし今日、この街の子どもたちは、
平和に暮らしています。
なんて尊いことでしょうか。
それは守りつづけ、すべての子どもたちに
与えられる価値のあるものです。

それは私たちが選ぶことのできる未来です。

広島と長崎が「核戦争の夜明け」ではなく、
私たちが道徳的に
目覚めることの始まりとして、

知られるような未来なので す。
〈バラク・オバマ〉

抜き取って紹介するつもりが、
読み進めつつ、
全文を引用してしまった。

すばらしい。

さて、商人舎magazineの、
週刊特別企画には、
清水信次さんが登場。
日本チェーンストア協会会長、
日本小売業協会会長、
そして㈱ライフコーポレーション会長。
DSCN3796

「消費税増税とパート社員年金適用拡大」
に反論する!!

伊勢志摩サミットを経て、
消費増税は延期がはっきりしてきた。
しかしもうひとつ、
「短時間労働者厚生年金適用拡大」の問題。

10月に施行される法律で、
厚生年金の適用が拡大されると、
主婦パートタイマーにとって、
健康保険をめて、
ひと月1万数千円の負担になる。

清水さんは、指摘する。
「格差拡大になる」

まだまだ日本の政治家や行政には、
士農工商の序列意識が残っている。

それが今回の法律に現れてきた。

清水信次90歳。
その覚悟。

外山滋比古92歳。
その英知。

バラク・オバマ54歳。
その決断。

そして私たち。
その決意。

私たちが選ぶことのできる未来がある。

〈結城義晴〉

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