日経新聞のグローバルBiz。
米Yahoo ネット先駆者「退場」
シリコンバレーから兼松雄一郎記者が報告。
1994年、スタンフォード大学院生が創業。
ジェリー・ヤンとデビッド・ファイロ。
ウェブサイトのリスト化が、
サービスの始まり。
90年代後半、ポータルサイトとして先駆した。
検索、E メール、通販、ニュース閲覧など、
幅広いサービスを普及させて、
覇権を握った。
検索エンジンの世界シェア、
最盛期は4割を超えた。
2000年のITバブル時には、
時価総額13兆円超。
そのヤフーが中核事業を、
ベライゾン・コミュニケーションズに売却。
ネット事業からの撤退が決定づけられた。
売却後は投資会社のような存在となる。
理由は、グーグルやフェイスブックなど、
競合の台頭。
それに対する経営改革の遅れ。
一言でいえば、
イノベーションの欠如。
時価総額でピークを迎えた2000年、
ヤフーは後発のグーグル検索エンジンを採用。
これが致命傷となった。
広告がグーグルに流れたのだ。
そこで何度かグーグルの買収を試みた。
それがかなわないとなると、
2004年に自社開発の検索エンジンに戻した。
しかしその時点では、
すでに埋められない技術差がついていた。
さらにここに、
SNSのフェイスブックなどが登場。
「利用者が情報を得る流れが変わった」
さらにさらに、
パソコンからスマホへの移行に、
ヤフーは乗り遅れた。
後付けで見ると、
わかることだが、
その時点ではわからない。
2012年にマリッサ・メイヤーCEOを、
グーグルからスカウト。
様々な手を打ったが、
主力の広告事業は立ち直らなかった。
2015年決算。
売上高は49億ドル(4900億円)で、
前年同期比7%増。
しかし最終損益は43億ドルの赤字。
ITの世界は製品サイクルが極度に短い。
クレイトン・クリステンセンは、
ディスクドライブの世界を研究して、
「イノベーションのジレンマ」を見出した。
それはディスクドライブの製品サイクルが、
ひどく短かったからだ。
ヤフーの盛衰は、それに似ている。
早い段階で新興勢を買収するか。
さもなくば自ら果敢に、素早く、
競合サービスに乗り出すか。
それがなければ、
支配的な立場も脅かされる。
ヤフーはポータルサイトを通じて
あらゆるネットサービスを提供した。
つまり総合ネットサービスで巨大化した。
その総合性がかえって、
新興勢への危機意識の薄さを招いた。
これは、百貨店・総合スーパーの、
盛衰の教訓と酷似している。
一方、日経電子版。
楽天客離れ・アマゾンに軍配
「楽天がもがいている」
楽天市場は1億人以上の会員を抱えた。
成長率も年2割だったが、数%にまで失速。
楽天の2015年12月期の国内EC流通総額、
前期比10%増の2兆7000億円。
16年1~3月期も前年同期比12.5%増。
一見、順調。
しかし楽天トラベルなど、
複数の事業の合算数字。
昨年から楽天市場の単独業績は、
開示されなくなったが、
日経の取材では、
「横ばいに近い数%成長」
さらに日経MJ消費者調査では、
アマゾンと比べた項目別の支持率で、
3勝7敗の惨敗。
アマゾン・ジャパンの2015年度売上高は、
前年比2割増の約1兆円。
5月の利用者数は楽天を逆転。
楽天は仮想モール型。
つまりテナント企業が出店料を支払って、
自社サイトを設けるスタイル。
一方、アマゾンの主流は、
企業から商品を買い取って販売する形式。
消費者調査では、
楽天が、ポイントばらまき、特典で勝った。
しかしアマゾンは、
検索機能、価格のわかりやすさ、
配送、送料などで支持を得た。
品ぞろえは互角。
Eコマースの基本機能で、
楽天はことごとく劣った。
記事の結論。
「巨大に成長したネット通販モールは、
その業態ゆえの難題に直面している」
米国ヤフーの凋落と、
これまたよく似ている。
ああ。
名女優で名随筆家の高峰秀子さん。
2010年12 月28日に逝去、享年86。
しかしツイッターの高峰秀子は、
いまだ健在で、1日何度も投稿される。
@HidekoTakamine。
昨夜、午後11時ごろのつぶやき。
「信用だけでしょ、
しょせん人間の宝は」
そうです。
ヤフーもグーグルやフェイスブックも、
楽天もアマゾン・ドット・コムも。
突き詰めれば、
「信用だけでしょ」
もう一言、高峰秀子のつぶやき。
昨夜7時ごろ。
「俳優の条件は、
まず強靭な体力と、
仕事への情熱である」
まったくそのとおり。
商人の条件も、
経営者の条件も。
ジャーナリストの条件も。
そして政治家や都知事の条件も。
高峰秀子さん、
すばらしい。
今日は、一日中、
横浜商人舎オフィス。
月刊商人舎8月号の入稿。
巨匠・鈴木哲男さんの原稿を、
デザインに回した。
そしてランチは和フレンチ。
シェ・フルール横濱(chai fleurs)
商人舎から歩いて1分。
ちなみに鰻の野田岩は歩いて10秒。
店内デコレーション。
ワインボトルに着物の着付け。
まさに和フレンチ。
厨房もしっかりしている。
まず野菜サラダ。
シャキシャキとして、うまい。
それからメインディッシュは、
ワタリガニのクリームパスタ。
これが絶品。
これにパンとコーヒーがついて、
ビジネスランチは1000円也。
和風フレンチも、
「信用だけでしょ、しょせん」
〈結城義晴〉