月刊商人舎8月号を責了して、改めて、
暑中、お見舞い申し上げます。
こう、あいさつできるのも、
明後日まで。
今度の日曜日はもう立秋。
その立秋の直前に、
ダッタンそば茶。
日穀製粉㈱から送られてきた。
飲んでみると、なかなかいける。
ルチン30㎎を含んで、
ノンカロリー・ノンカフェイン。
緑内障、境界型糖尿病の私には、
ちょうど良い。
昨夜というか今朝というか、
3時ごろまで商人舎オフィスで、
月刊商人舎8月号の責了業務をしていた。
疲れ切ったが、
なにかをつくり上げる瞬間は、
どんなときにもいいもんだ。
その疲れを和らげてくれた。
さて安倍晋三首相が組閣。
今回は第3次安倍第二次改造内閣。
NHKの表現だが、ややこしい。
第1次安倍内閣は、
安倍自民党総裁が、
第90代の内閣総理大臣となって、
2006年9月26日から2007年8月27日まで。
2007年7月29日、
第21回参議院議員通常選挙が実施され、
自由民主党・公明党は歴史的惨敗。
そこで第1次安倍改造内閣を発足させたが、
この年の8月27日から9月26日までの
短命政権となった。
9月10日召集の第168回国会会期中に、
突然の辞任表明。
第2次安倍内閣は、
再起した安倍総裁が、
第96代内閣総理大臣に任命され、
2012年12月26日から2014年9月3日まで。
首相および全閣僚が変わらない内閣として、
617日の戦後最長記録を更新。
そして第2次安倍改造内閣は、
すぐさま2014年9月3日に発足して、
2014年12月24日まで。
11月21日に衆議院解散、
そして12月14日、
第47回衆議院議員総選挙ののち、
第3次安倍内閣が発足。
このとき安倍総裁は、
第97代内閣総理大臣に就任。
2014年12月24日から、
2015年10月7日まで続く政権。
そして第3次安倍改造内閣は、
昨2015年10月に発足し、
さらに昨日の2016年8月3日に、
二度目の改造内閣としてスタートした。
だから第3次安倍第二次改造内閣。
戦後の総理大臣で、
第3次内閣まで続いたのが、
吉田茂、鳩山一郎、池田勇人、佐藤栄作、
そして中曽根康弘、小泉純一郎。
安倍晋三総理は、
第3次内閣まで続けたという点では、
この名首相たちの仲間に入る。
首相になってから一度退任し、
再起した首相は戦後、
吉田茂と安倍晋三しかいない。
それほどの名総理かと問われれば、
すんなりとは頷けないが、
それでも長期政権の強みを生かして、
まっとうな政治をしてもらいたい。
朝日新聞デジタル。
村山富市第81代首相(92歳)の発言。
「いろんな総理大臣がおりましたけども、
この安倍さんというのは
最悪の総理大臣です」
「本音を隠して都合のいいことばかり言い、
国民をだまし て選挙に勝とうと。
こんな魂胆を持っている総理は初めてです」
「私はもうあまり
先が長くないかもしれませんけどね、
今のような政権が続く限りは
死んでも死にきれない気持ちなんですよ」
元首相のこんな発言があることは、
書いておこう。
丸谷才一のエッセイ集
『腹を抱へる』(文春文庫)
そのなかの「男の運勢」
大庭みな子さんとの会話。
1968年『三匹の蟹』で芥川賞受賞の女流作家。
丸谷さんも同じ1968年に、
『年の残り』で第59回芥川賞を受賞している。
「彼女によると、
アメリカの大統領選挙で選ばれるのは
大統領ではないのださうである」
丸谷さんは旧仮名遣いだ。
「あれは実は大統領夫人が
選ばれるのだと言ふ」
丸谷さん、
「このときばかりはキョトンとした」
「アメリカ人は大統領選挙の時期になると、
勤めさきでも、パーティでも、家庭でも、
寄るとさはると大統領夫人の品さだめをする」
考えてみると当然のこと。
「アメリカ中の女は
候補夫人に注目してゐるし、
アメリカ中の男もまた
候補夫人に関心がある。
そこでかういふことになるのだ」
「そしてこの、全国民的討議の結果、
大統領夫人としては
誰がいいかといふことが決められる。
その結果、付随的に、あるいは自動的に、
彼女の亭主が大統領といふことになる」
ケネディが大統領になれたのは、
ジャクリーンのおかげ。
エリノア・ルーズベルトが
大統領夫人に当選したから、
その結果としてルーズベルトが大統領…。
現在のアメリカ大統領も、
ミッシェル・オバマ夫人が、
当選したと考えていい。
私はそれに賛成。
丸谷さん、つぎに、
日本の首相を例に出す。
三木睦子さんが、
三木武夫を総理大臣にした。
佐藤寛子さんが、
首相夫人たるべき人だったから、
佐藤栄作が首相になった。
なるほど。
とすると、安倍昭恵さんが、
こんな第3次安倍改造長期政権を、
誕生させたことになる。
うなづけるものはある。
例外はある。
小泉純一郎元首相。
だからだろうか、
小泉さんは、なぜか、
すごいと感じさせる。
それなら現在のアメリカ大統領選は、
どう考えたらいいのか。
民主党候補のヒラリー・クリントンは、
1992年と1996年に、
二度、ビル・クリントンを大統領にした。
今回の2016年は、
今度はビル・クリントンが、
国民から選ばれることになるのか。
それともヒラリーが選ばれるのか。
一方の、共和党候補ドナルド・トランプの、
メラニア・トランプ夫人。
ユーゴスラビア出身の元モデル。
ミシェル・オバマのスピーチを盗用したり、
学歴詐称との疑いをもたれたり。
女性の国家元首は、
イギリスのテリーザ・メイ首相、
ドイツのアンゲラ・メルケル首相。
ブラジルのジルマ・ルセフ大統領は、
現在、職務停止中で、
リオ五輪が開催されてしまう。
丸谷才一さんのエッセイ、
初出は1977年だから、
やはり、ちと古い。
鉄の女マーガレット・サッチャー英国首相は、
1979年にその地位に就いているのだから。
大庭さんはアメリカ生活が長くて、
デビュー作の『三匹の蟹』も、
アメリカ市民の生活を主題としている。
1970年代のアメリカ合衆国の、
男性中心社会の良さであり、
ファーストレディ物語の中の、
アメリカンジョークでもある。
しかしこの時代、一方でアメリカは、
ベトナム戦争の泥沼の中にあった。
政治も経営も、
文学も仕事も、
二つのサイドから、
見るのがいい。
第3次安倍第二次改造内閣と村山発言。
大統領選挙と夫人選挙。
そして70年代アメリカの繁栄とベトナム戦争。
そうして、考える。
そんな季節でもある。
では、最後に、ふたたび、
暑中、お見舞い申し上げます。
〈結城義晴〉