突然の日経新聞一面トップ記事。
「三菱商事、ローソンを子会社化」
NHKまで追随報道し、
他紙も追いかけるように記事にした。
もう、既成事実になったかのようだ。
Daily商人舎でも、
この顛末を整理した。
私の見解。
「商社出身の優秀な経営者が
小売業を経営することは、
商社マンの小売業化である」
これには多くの事例がある。
住友商事の荒井伸也さんに始まって、
ライフコーポレーション岩崎高治さんまで。
新浪剛史さんも、
まさにローソンで小売業化した経済人だ。
サントリーホールディングス社長。
しかし、
「小売業が商社の完全子会社になるのは、
小売業の商社化である」
それはうまくはいかない。
絶対に。
例外的にうまくいくとすれば、
コンビニという業態そのものが、
すでに商社化していて、
それがコンビニ業態の
真価を意味する場合。
しかしこれはない。
コンビニの代表セブン-イレブンは、
あくまで、小売業だ。
徹底して、小売業だ。
鈴木敏文さんが退任したとしても、
世界に冠たる小売業だ。
ローソンはそのセブンに、
小売業という面で、
遠く及ばない。
だからローソンのコンビニそのものが、
商社化を志向して、
そちらに活路を見出そうとする。
今回は、三菱商事側から見た、それだ。
ファミリーマートは、
サークルK サンクスと統合して、
膨張的成長を志向した。
そこでローソンは商社化する。
机上で考えればそんなところか。
しかしフランチャイズのコンビニは、
加盟店が1店1店、小売店である。
それを無視して商社化する発想は、
論理的な矛盾をきたしている。
三菱商事の総売上げや総資産に、
ローソンの売上げや利益を加えても、
微々たるものだ。
一方、ローソンの社員や加盟店は、
大三菱の一員になったと、
喜ぶかもしれない。
しかし小売業が、
小売業の精神をなくしたら、
小売業の使命を果たせない。
今日も朝から大忙し。
今日は終日、
アメリカ視察事前勉強会・報告会。
2011年から始まったアメリカ研修は、
この10月で12回目になる。
参加した平和堂幹部・社員は、
474名にものぼる。
アメリカに学ぶべき、
根本的な問題を整理し、
事前の宿題を課す。
午後は4月に実施された、
第11回視察メンバーが集まって、
研修報告会。
アメリカで学びとったことを、
日本の自分たちの店舗に活かす。
この報告会はその成果を発表する場だ。
はじめに第11回の副団長を務めた、
島津克さんが代表して、
感謝と決意のあいさつ。
アルプラザ香里園支配人。
6人1チームで6班に分かれて、
それぞれがスライドで発表する。
聞いているのは、
夏原平和社長をはじめ、
経営幹部、商品部課長や、
エリアマネジャーなどと、
12回目の視察メンバー。
取り組んだ実践内容や成功事例を発表し、
それらを共有することで、
会社全体の取り組みにつなげる。
それが午後の報告会の狙いになる。
前回の視察成果を聞いた、
次回メンバーの意識は、
ますます高まる。
私はすべてを聞いて、
その成果を評価しつつ、
課題を投げかける。
そして全体総括。
ここではドラッカーの、
イノベーションの原理を語った。
第1は、機会を徹底して分析する。
第2は、自分の目と耳で確認する。
第3は、焦点を絞り、単純なものにする。
第4は、小さくスタートする。
第5は、最初からトップの座を狙う。
つまり、
小さなイノベーションを繰り返しつつ、
大きなイノベーションの志を持つこと。
報告会の最後のまとめは、
冨岡勇夫さん。
東海営業部部長で、
第11回視察団の団長を務めてくれた。
「1日で終わらせず、
1店舗で終わらせず、
皆を巻き込んで、
イノベーションをつないでいこう」
そう、力強く、まとめてくれた。
最後は全報告に対する、
夏原平和社長からの総評。
「今日の資料の写真を見て、
うちの店かと驚いた」
笑顔で語る。
つまり、成長と進化を、
少しだけほめてくれた。
「アメリカの現物を見て感激したら、
自分でどう実現するか。
皆さんの判断、実践力です。
スピードを上げて、また変わった、
と言われる平和堂になろう」
「そして、もっともっと
広い視野を持って学ぼう」
夏原さんの言葉にあるように、
アメリカ視察を通じ、
価値観を共有し、
平和堂は今、
好循環企業になりつつある。
それは、私もうれしい限りだ。
報告会は終了したが、
12回視察団はそのまま残り、
今回のアメリカ研修の課題を、
班ごとに丁寧に議論し合う。
そしてその課題を、
これも班ごとに発表する。
それを私が講評する。
「観察せよ。考察せよ、
そして議論せよ。
コンフリクト(対立軸)からの
議論も必要だ」
一方、いつものように、
報告会を終えた前回の第11団は、
本社食堂を借り切って懇親会。
開会のあいさつは三田村勝彦さん。
副団長でアルプラザ茨木支配人。
「利他と無私」について語ってくれた。
宴も半分ほど終わったころ、
サプライズ。
電気が消え、
ハッピーバースデーの歌声とともに、
花束の贈呈。
今日9月15日は、
夏原社長の72回目の誕生日。
夏原さんのローソクは7本、
私は6本。
夏原さんが突然、
どちらが早く吹き消せるか、
競おうと言い出す。
私からもささやかながら、
お酒好きの夏原さんに、
壺入りの焼酎をプレゼント。
夏原さんは心遣い、気遣いの人だ。
社長のその気質が、
社員にも受け継がれたのだろう。
皆が社長の誕生日を心から祝っている。
充実した一日だった。
ありがとうございました。
小売業は、
小売業の精神と技術を、
失ってはいけない。
それがなければ、
小売業の使命を果たすことは、
絶対にできない。
〈結城義晴〉