結城義晴のBlog[毎日更新宣言]
すべての知識商人にエブリデー・メッセージを発信します。

2016年09月30日(金曜日)

「なぜ生きているのか」と「55歳からが勝負だぞ」

9月も最後の日。

朝日新聞『折々のことば534』
生きている理由を……
問わずにいられないのは、
「問う自分」と
「問われる自分」の歩調が
どこか合ってないからだ。
(野矢茂樹編『子どもの難問』中央公論新社から)
神崎繁さんのことば。

神崎さんは専修大学教授の哲学者。
専門は古代ギリシア哲学。

このコラムの編著者の鷲田清一さんも、
『子どもの難問』に登場する。

「なぜ」という問いには
二つの型がある。
①「何が原因で」
②「どんな理由で」

「『なぜ生きているのか』
という問いは、自分の中に
ずれや乱れが生まれつつあるときに
立ってくる」

順風満帆のときには、
「なぜ、生きているのか」
なんて考えない。

忙しすぎるときには、
「なぜ、生きているのか」
なんて思う暇はない。

ずれや乱れが生まれるとき。

「そうだとすれば、
この問いは人生への疑いというより、
生きようとする自分への励ましと
考えたほうがいい」

いつも書くけれど、
マーク・トウェイン。
“The two most important days
in your life
are the day you are born
and the day you find out why.”

「人生で一番大事な日が
二日ある。

生まれた日と、
なぜ生まれたかが
わかった日である」

これも生きようとする自分への、
励ましの言葉である。

なるほど。

今日は月刊商人舎最終締め切り。
目いっぱい仕事して、
ランチはここ。
DSCN9846-6

オーガニックキッチンの、
ルーズ・カフェ。
DSCN9842-6

なんでもおいしいけれど、
今日はミートソースのパスタ。DSCN9843-6

編集部の鈴木綾子さんと写真。DSCN9845-6
さあ、午後も頑張ろう。
夜中まで、いや、夜明けまで?

さて、日経新聞『私の履歴書』
今月は安部修仁さんだった。
もちろん吉野家ホールディングス会長。
わが商人舎発足の会のとき、
発起人になっていただいた。

その最終回で人生を振り返る。

吉野家創業者の松田瑞穂さん。
安部さんは今も故人を「親父」と呼ぶ。

そのオヤジの訓話。
「55歳からが勝負だぞ。
そのために20代、30代、
40代なりの生き方がある」

「社会人として影響が小さいうちに
多くの挑戦と失敗を重ね、
能力と信頼を蓄積し、
55歳から花を咲かせればいい」

安部さんは20代で吉野家に入り、
30代で倒産を経験、
40代で社長就任。

55歳でBSE禍に遭遇し、
その逆境を乗り越えた。

それが描かれた1カ月だった。

偶然にも私も、
55歳で㈱商業界社長を辞し、
㈱商人舎を設立した。

「55歳から花を咲かせればいい」
これも励ましの言葉だ。

佐藤一斉の言葉が浮かぶ。
「少にして学べば、
すなわち壮にして為すあり。
壮にして学べば、
すなわち老いて衰えず。
老にして学べば、
すなわち死して朽ちず」

もうひとつ、松田瑞穂の言葉。
「あった方が良い程度のものならない方が良い」

厳しい言葉だ。

なくてはならないものをつくれ!

「変えることを考える前に
何を変えてはいけないかを考えろ」

安部さんはこれを、
「吉野家が吉野家たるゆえん」とする。

変えてはならないこと、
変えなくてはならないこと。

前者は例えば、
損得より先に善悪を考えよ。
Integrity。

後者はもちろん、
創意を尊びつつ良いことは真似ろ。
Innovation。

松田瑞穂。
今一度、
脚光を浴びるべき経営者だ。

そして名経営者は必ず、
人々に励ましの言葉を残している。

「君はなぜ、生きるのか」

〈結城義晴〉

2016年09月29日(木曜日)

ベッキーの「背中ヌード」とAJSチェッカーフェスの最優秀賞

今朝の日経新聞の束の真ん中、
22面23面。at09290004
ベッキー。

宝島社の企業広告ページ。
この「背中ヌード」写真が、
見開きいっぱいで掲載された。

髪をばっさり切って、
やせぎすの上半身。

魅力的だ。

コピーは、
「あたらしい服を、さがそう。」
アサツーディ・ケイ三井明子作。
ディレクションは、
三井とADKアーツ能丸裕幸。

スキャンダルで落ち込んだ、
女性タレント。

そんなときこそ、
神奈川県人の肝っ玉を見せろ。
ふたたびトップをめざせ。

それにしても、
昨夜のプロ野球パ・リーグ。
埼玉・西武プリンスドームで、
ファイターズの優勝が決まった。

大谷翔平の1安打完封。snapshot

最後の1球は、レフトフライ。2snapshot

チームもシーズン序盤は不振だった。
6月下旬、首位ソフトバンクに、
最大11.5ゲームの差。

それを7月中旬の15連勝などで、
猛追し、最終盤で逆転。

栗山英樹監督、55歳。
就任初年度の2012年以来、
4年ぶり2度目のペナントレース制覇。

大谷様様のレース展開ともいえるが、
その大谷の「二刀流」という異端は、
栗山によって後押しされ、
王、長嶋やイチローにもなかったし、
メジャーリーグにも見られない、
特異のポジショニングを築いた。

すばらしい。

本物のヒーローは、
こういった土壇場の晴れ舞台でこそ、
淡々と力を発揮するものだ。

さて商人舎magazine。
Daily商人舎は、
昨日、今日と充実。

昨日は国内ニュース。
ドン・キホーテ、
保育施設「ドンキッズ」開設
働き方改革を志向して、最近は、
「保育施設併設型店舗」が多い。

ドンキは何でも速い。
そしてこの会社、
ネーミングが、うまい。

そして今日のニュースはアメリカから。
全米小売業2016年
ハロウィン市場は84億$

ここで、クイズ。
アメリカ人が、
ハロウィン商品を購入するとき、

ダントツ47%がある業態。
さてその業態は何か?

まず、考えてほしい。

答は、Daily商人舎に。

さてさて今日は朝から、
東横線で多摩川を渡る。
この川が神奈川と東京を隔てている。IMG_9480-6

目黒線、三田線と乗り換えて、
御成門駅へ。

雨模様だが、
東京タワー&はとバス。IMG_9482-6

それを地蔵が見ていた。IMG_9484-6

芝大門センタービル4階。
IMG_9485
カスタマー・コミュニケーションズ㈱。

今日は臨時株主総会。
そのあと毎月の取締役会。

もう、この会社では、
私が一番古い取締役となった。

現在の社長・米倉裕之さんに、
私は全幅の信頼を寄せている。

もちろん、ときどきだが、
手厳しいことも言うけれど。

この会社の社会貢献度は、
弥益(いやま)すばかり。

その意味からも、
全役職員でミッションを共有して、
ビッグデータの活用に、
イノベーションを起こしていきたい。

今日はほんとうに、
そう思った。

ランチミーティングをしてから、
横浜商人舎オフィスに戻る。

月刊商人舎の原稿作成と、
入稿業務の真っ最中。

遅ればせながらそれに加わって、
あとはいつになることやら。

AJSネットワーク10月号が到着。

私の連載は第106回となった。
タイトルは「辛口時評」
「スーパーマーケット応援団長」の、
という注釈が前に入る。DSCN9840-6
今月の特集は、
第12回チェッカーフェスティバル。

表紙はこのイベントに出演した、
33社33人のチェーカーズの笑顔。

そのうち優秀賞は4人。

㈱とりせんの根岸美咲さん、
㈱田子重の青嶋美和さん、
㈱ヤマナカの大竹千晴さん、
そして㈱スーパーナショナル、
岩崎めぐみさん。

おめでとう。こころから。

このチェッカーフェススティバル、
毎年毎年、企画や運営に改革が図られ、
進化がみられる。

今回のコンセプトは、
「普段の自然な接客・応対」
とても、よい。

コンテスト用に、
非日常の接客技術を競っても、
実務上はあまり意味がない。

「自然さ」を実現させるために、
審査員をトレーナーの人たちに代え、
投票方式を採点方式に代えた。

二日目の講演会も、
グループディスカッションに代えて、
その成果発表会も実施した。

このスーパーマーケット協会らしい、
ロマンとリアリティが両立した、
チェッカーフェスティバルだ。

7月14日、15日。
私は大阪出張で、
出席できなかったが、
機関誌の誌面からも、
それがよくわかった。

ただし、一つだけ、
惜しいなぁと思うこと。

優秀賞4人はおめでたいが、
最優秀賞をやはり、
決めてあげてほしい。

モティベーションが違う。

かつては優勝、準優勝を選考していた。
しかし、賞をとることが目的化してくる。
レース型競争の弊害が、
目に余るほどに出てくる。

そこでチェッカーコンテストを、
チェッカーフェスティバルに改めて、
金・銀・銅を廃止した。

それはよくわかるし、
その時点では正しかったと思う。

この協会らしい論理性があった。

しかし、あらためて、
「自然な接客」をコンセプトにして、
それを競うのだから、
最優秀くらいは、
決めてあげるのがいいだろう。

論理性というよりも、
人間心理や感情の問題だ。

私なら、やはり、
最優秀を目指すほうが、
やりがいがある。

レース型競争から、
コンテスト型競争へ。
時代は変化する。

常々、私はそう言っている。

しかし、レース型競争は、
絶対になくならないし、
なくなってはいけない。

レース型競争一辺倒の状況に、
コンテスト型競争が加わって、
それが豊かさや多様性を生み出す。

ノンコモディティ商品の、
専門性・独自性も必要だが、
コモディティ商品の経済性、低価格性も、
生活者にとって必須のものだ。

ブルーオーシャン戦略を唱えた、
チャン・キムとレネ・モボリュニュも、
レッドオーシャンは必要な市場だと、
釘を刺している。

だからチェッカーズのやりがいを、
もっともっと高めるためにも、
最優秀賞を設けてあげてほしい。

まったくの個人的な見解だが、
あえてそう言っておこう。

トップをめざすから、
美しい。

〈結城義晴〉

2016年09月28日(水曜日)

ヒラリー&トランプと安倍&蓮舫の「ガラスの天井と地下室」

昨日は大統領選テレビ討論会。

初の女性大統領を目指す
民主党候補ヒラリー・クリントン。
異端の不動産王、
共和党候補ドナルド・トランプ。

日経新聞夕刊、
ウォール街ラウンドアップ。

「米株の先物が買われ、
メキシコペソも反発。
クリントン氏が(討論で)
負けなかったことを示唆する」

そのうえで、
アメリカ産業界の、
支持層の「ねじれ」を指摘。

「大企業がクリントン氏を支持し、
民主党の支持層だった中小への
支援をトランプ氏が持ちかける」

これが異例の大統領選を、
さらに予測不能にしている。

毎日新聞が二人の専門家に、
コメントを求めた。

ジョナサン・ミラーさん。
米国外交問題評議会国際問題フェロー。

「討論はクリントン氏の圧勝だった。
トランプ氏の外交政策は、
アジア専門の米国人の一人として
聞くに堪えないものだった。
クリントン氏は、
日本を含めた同盟国への関与の
重要性を明確にして安心させた」

一方、
渡部恒雄さん。
東京財団上席研究員で、
讀賣新聞のあの方ではない。

「反主流のポピュリストと、
正統なリアリストとの戦いだ」
前者は大衆迎合主義者のトランプ、
後者が現実主義者のヒラリー。

「第1ラウンドは総合的には
クリントン氏が優位な結果を残した」

そして先を読む。
「クリントン氏が大統領なら
政策は予測可能性が高く、
日本にとってはやりやすい」

「トランプ氏が大統領でも、
外交を専門家に丸投げして
既存の共和党路線に
戻る可能性も十分にある。
自流にこだわれば
陣容が整うのに時間がかかり、
外交が停滞するリスクがあるが、
そのときはむしろ日本が
アジア外交を積極的に
主導するチャンスともいえる」

渡部さんは楽観的で、よろしい。

一方、日本では一昨日から、
第192回の臨時国会。
安倍晋三首相の所信表明演説に対して、
今日は参議院本会議で、
民進党の蓮舫代表が質問。

アメリカでも日本でも、
男女対決。

その主張の中身は別にして、
「ガラスの天井」はずいぶん低くなった。

逆に、
「ガラスの地下室」
などという言葉が生まれるくらい。

ワレン・ファレル著『男性権力の神話』
1993年の出版だが、
このなかに「地下室」が出てくる。

「ガラスの天井」は、
女性の一定以上の昇進を阻む壁。

「ガラスの地下室」は、
男性が使い捨てられる現実を表現。
収入と引き換えの
危険な職種や長時間勤務、
自殺、病気や事故による高い死亡率、
徴兵、死刑といった過酷な状況。

トランプ支持層には、
「ガラスの地下室のメロディ」が、
流れているかもしれない。

アメリカ人の平均寿命は、
男性が女性より6.9歳短い。
1920年には差は1歳だった。

日本も2015年現在、
女性が87.06歳、
男性が80.79歳。
男女差6.27歳。
1920年頃はアメリカ同様に、
約1歳の差だった。

差は、日米ともに、
開き続けている。

そんな中で、かの国では、
大統領の「ガラスの天井」は、
どうやら破られそうだ。

まだまだ予断は許さないけれど。

さて、今日も一日、
横浜商人舎オフィス。

朝から染谷剛史さんが来訪。
㈱リンクアンドモチベーション、
MEカンパニー執行役。DSCN9838-6
Mはモチベーションで、
Eはエンジニアリング。

小売業・サービス業に絞って、
エントリー・マネジメントと、
モチベーション・マネジメントに関する、
ソリューションを展開する。

MEカンパニーに協力して、
12月6日にセミナーを、
開催することになった。

基調講演を担当する。
詳細は追ってお知らせする。

一方、
とりせん下館店。とりせん2-6
昨日、商人舎編集スタッフ廣川裕が、
Weekly商人舎の取材で訪問。

店長の片野和久さん。
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とりせん本部からも、
重鎮がずらりと顔をそろえて、
インタビューに応じてくれた。とりせん-6
左から成田和弥さん、赤井淳一さん、
秋山謙二さん、田中幸雄さん。
成田さんは営業サポート本部開発部部長、
赤井さんは常務取締役営業副本部長、
秋山さんが取締役第一商品部長、
田中さんが取締役第二商品部長。

長編の取材記事は、
2週間ほど先に公開予定。

さて最後に昨日の、
糸井重里の『ほぼ日』
巻頭エッセイは「今日のダーリン」

「たのしいことを
見つけるというのは、
とても大切なことだ」

これ、糸井の得意技。

「いま、どこかの店で
お茶をのんだりしながら、
通り過ぎる人たちを
見ているとする。
ただ眺めていて、
それがたのしいなら、
それでいい」

「眺めているだけでは
たのしくなくなったら、
じぶんなりに、
歩いてくる人たちの
表情やら服装やらで、
仮説を立ててみたり、
妄想をしてみたりする。
それがたのしいなら、それでいい」

「『いろんな人がいるなぁ』という、
そのいろいろを、そのまま
『いろいろだなぁ』と
感じているのも、いい」

いかにも糸井だ。

「たのしくもなんともない場に、
たのしいことを見つけたり、
生み出したりするのは、
よくそれをしている人には、
むつかしいことではない。
じぶんがたのしければいいのだから、
人に迷惑をかけることもないし、
批判されることもない」

そして現代を風刺する。

「人間がたのしいことを見つけるより前に、
『これはたのしいですよ』ということが、
ひっきりなしに流れてくるのが、
現代というものだ」

テレビ、ゲーム、スマートフォン…。

糸井はそのことを、
否定や批判するのではなく、
提案する。

「たのしみというものを、
だれかに与えてもらうものなんだと
思いこんでるそのクセが、
もったいないと思うのだ」

「たのしいことというのは、
だれかがくれるものではない」

「だれかだとか、
なにかだとかと
いっしょに
じぶんで
生み出すものだ」

そう、それが、
アミューズメントの本質だ。

「『たのしい』が雨のように
降り注いできたとしても、
あなたがたのしくなるとはかぎらない」

「『たのしい』は、
もともとあなたが
持っているもので、

あなたの『なかに(!)』
あるものなのだ」

だから「たのしい」を、
ビジネスモデルにするとしたら、
顧客がもともともっているものを、
引き出す仕事をつくることだ。

「たのしくしてくれる人が好き
‥‥そうなんだけどね、
その人は、あなたが
たのしんでいるのを見て、
じぶんもたのしいと
思う人だろうか」

人が楽しんでいるのを、
自分の楽しみにできる人。

だからトランプとヒラリーや、
安倍晋三と蓮舫も、
楽しむのがいい。

楽しみを見つけつつ、
学ぶのがいい。

「ガラスの天井と地下室」
これらは「苦しい」を前提にしている。

そういったことが、
いろいろなねじれの、
原因にもなっているんだと思う。

〈結城義晴〉

2016年09月27日(火曜日)

齋藤充弘VC協会会長就任と大統領選討論会の「heelとmother」

日本ボランタリーチェーン協会。
1966年設立の一般社団法人。

齋藤充弘さんが、
会長にご就任。
全日本食品㈱会長。DSCN9835-6
大役、ご苦労様です。

これまでの会長は井上毅さん。
元通商産業省大臣官房調査統計部長、
そして流通システム開発センター元会長。

その前の会長の小川修司さんも、
旧通産相の官僚出身だった。

だから実務家の齋藤さんが、
会長に就任して、
協会をリードするのは、
とてもいい。

このボランタリーチェーン協会、
設立は早い。

小売業関係の協会で一番古いのは、
1948年設立の日本百貨店協会。
次が1952年の日本専門店会連盟。

そして1958年の、
日本セルフ・サービス協会。
現在は全国スーパーマーケット協会と、
合併したうえで名称を変えて、
新日本スーパーマーケット協会。

その次の四番目が、
日本ボランタリーチェーン協会。

それから1967年、
日本チェーンストア協会が生まれた。

ボランタリーチェーンの対極にあるのが、
日本フランチャイズチェーン協会で、
1972年の設立。

日本スーパーマーケット協会は、
1999年に清水信次さんがつくった。

ボランタリーチェーンの定義。
「異なる経営主体同士が結合して、
販売機能を多数の店舗において
展開すると同時に、
情報等を本部に集中することによって
組織の統合を図り、
強力な管理のもとで、
仕入れ・販売等に関する戦略が
集中的にプログラム化される
仕組みとその運営」

少々長いが、
私も講義をする時には、
この定義を使っている。

1962年に、
『流通革命』を書いたとき、
林周二先生はチェーンストアを、
どうもボランタリーだと、
想定していたようだ。

同年、倉本長治先生が書いたのが、
『チェーンストアへの道』という本。
こちらのチェーンストアへの軌道は、
明らかにボランタリーチェーンで、
ケーススタディとして述べられている。

アメリカでは、
フランチャイズが発達している。
一方、ヨーロッパでは、
ボランタリーチェーンが発展した。

日本のボランタリーチェーンは、
商業の現代化の中で、
これから第二弾、第三弾の、
重要な役割を果たすことになる。

齋藤さんの見識と経験、
そしてリーダーシップに、
大いなる期待がかかる。

よろしくお願いします。

さて、今日は午前中に、
米国大統領候補テレビ討論会。DSCN9832-6
横浜商人舎オフィスで、
パソコンのYouTubeで観た。

民主党候補のヒラリー・クリントン、
共和党候補のドナルド・トランプ。

アメリカ国内では、
猫も杓子もテレビ観戦。

日本でも大注目の、
第1回テレビ討論会。

場所はニューヨーク郊外ヘンプステッド。

今回のテーマは三つ。
①アメリカ合衆国の針路
②繁栄への道筋
③安全保障問題

はじめは国民大衆にとって、
もっともリアリティのある雇用問題。

ヒラリーは、
「良質の雇用を創出し、
最低賃金を引き上げる。
男女平等の賃金を実現する」

トランプは、中国やメキシコから、
「盗まれた米国の雇用を取り戻す」

この発言にも、
両者の考え方の違いは表れた。

朝日新聞デジタルで、
海野素央明治大学教授が語る。
「一言が流れを変えた」

海野教授は、米国大統領選の研究者。

「勝敗の分かれ目は
開始から50分ほどが過ぎた時の
クリントン氏の発言だったと思う」

ヒラリーの質問。
「あなたは、この討論会で
私を批判する準備をしてきたのでしょう。
私も準備してきました。
それは何か知っていますか?」

「大統領になる準備をしたのです」

討論会では拍手は禁じられている。
しかし会場から、
思わず拍手が上がった。

ここで流れが変わった。

この発言までは、トランプは、
ヒラリーを「国務長官」と呼びかけた。
英語で「Secretary of State

「嘘つきヒラリー」
これがトランプの常套句だが、
それも封印していた。

大統領らしさをアピールする戦法。

礼儀正しく、落ち着いた様子で、
前半戦の議論をリード。

しかし、この一言で流れが変わった。
「大統領になる準備をしたのです」

それに大統領らしさの演出も、
全体を通してみれば、
トランプの特徴を奪った。

どう見てもトランプは、
米国のバイキンマンだ。

しかしバイキンマンも、
逆の意味で人気者。

それが正義の味方のように振る舞うと、
バイキンマンらしくなくなって、
精彩を欠き、人気は落ちる。

これを「バイキンマンのジレンマ」と、
表現しておこう。

ヒラリー68歳が、
トランプ70歳を諫める、
母親のように見えた。

もちろんヒラリーにも弱点はあるし、
かつてのケネディとニクソンのような、
大差がつくものではないだろう。

アメリカ人はプロレスでも、
ヒールが大好きだ。
heelは英語で踵の意味。

プロレスでは悪役のことで、
ヒールにはヒールの戦い方がある。

そのヒールが、
善玉のベビーフェイスを演じると、
これはどうもいただけない。

そのヒールに対して、
マザー(mother)からの、
毅然とした一言。

その意味でもやはり、
この討論会は、
面白いショーだった。

討論会直後のインターネット調査。
CNNのアンケート回答分析では、
ヒラリーの勝利は62%、
トランプは27%。

ダウ平均株価も、
ヒラリー優勢を受けて、
84ドル上がった。

大統領候補の今後の討論会は、
10月9日のミズーリ州セントルイス、
19日のネバダ州ラスベガス。

私はその間、アメリカ本土で、
このショーをリアルに楽しむことになる。

〈結城義晴〉

2016年09月26日(月曜日)

初優勝豪栄道とSMAP中居正広・ロピア高木勇輔の明日

Everbody! Good Monday!
[2016vol39]

2016年第40週。
9月最後の週で、
今週土曜日から10月。

あとは一気呵成に、
年末までなだれ込む。

私は10月、11月と、
半月ずつアメリカ出張。

その間に、
米国大統領選挙は、
最大の盛り上がりを見せ、
11月8日が投開票日。

それまでにテレビ討論会が、
三度開催される。その第1回討論は今夜。
日本時間で明日27日の午前。
ニューヨーク市郊外。
ヘンプステッドのホフストラ大学。

民主党候補ヒラリー・クリントン、
共和党候補ドナルド・トランプ。
その直接対決。

第1回テーマは三つ。
①米国の進路
②繁栄
③安全保障

司会者を挟んで、
それぞれのテーマを、
30分間ずつ。

合計90分で議論する。

今回は面白いショーかもしれないが、
何かを生み出す議論にはならない。

合衆国大統領候補の討論ならば、
次の時代が見えてくるような、
夢とビジョンと実のある、
ディスカッションを望みたいが。

それにしても、
大関豪栄道豪太郎。
大相撲秋場所で全勝優勝。

大阪府寝屋川市出身境川部屋。
本名・澤井豪太郎、30歳。

カド番からの全勝優勝。
涙の初賜杯、見事。

日本人力士としては、
20年ぶりの全勝制覇。
1996年秋場所の横綱貴乃花以来。

身長183cm、体重160kg。
右四つからの寄りは正攻法。
しかし今場所でも、
横綱日馬富士を破った一番のように、
首投げも鋭い。

日経新聞・吉野浩一郎記者。
相撲界の「乱世」を、
予見して、鋭い。

31歳の大横綱白鵬は、
休場して「違ってきた」と発言。

今年の初場所で大関琴奨菊が、
日本人として10年ぶりの初賜杯。

春場所からは大関稀勢の里が、
3場所連続優勝争い。

新旧勢力が入り交じっった移行期を、
記者は「乱世の土俵」と評する。

大横綱千代の富士時代と、
次の大横綱貴乃花時代の合間。

大関霧島が生涯唯一の優勝、
琴富士、琴錦、水戸泉らは、
平幕優勝。

貴乃花時代から横綱朝青龍時代の間、
出島、武双山、貴闘力、そして琴光喜が、
ただ一度の優勝を飾った。

今、その状況に酷似している。

照ノ富士、逸ノ城らモンゴルの大器。
高安、御嶽海、遠藤ら日本のホープ。

「はたまたまだ見ぬ新星か。
ゆっくりではあっても
時計の針は前にのみ進み、
戻ることはない」

こんなときが、
大相撲は一番面白い。

さて、秋は深まる。

善人と察して停る赤蜻蛉
〈朝日俳壇より さいたま市・町田蚕子〉

豪太郎の肩には赤とんぼが、
とまりそうだ。

指揮棒の先より秋の広がりぬ
〈同 塩尻市・古厩林生〉

さわやかな旋律が聴こえてくる。

久しぶりに日経俳壇にいい句があった。
秋蟬のひと節鳴いて風となり
〈東京都・野上卓〉

そんな昨日は、
神奈川県大磯。
レイクウッドゴルフクラブ。IMG_9298-6

雲の切れ間に、富士の姿。IMG_9297-6

前のパーティは、
中居正広くんのグループ。
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といってもSMAPのメンバーではない。

最近の心労を癒すために、
ごく親しい仲間たちが、
プレゼントしたラウンドらしい。

若い人たちのように、
サインをもらったり、
一緒に写真を撮ったりはしない。

遠くから、その心労を察しつつ、
静かにラウンドした。

中居くんも44歳になった。
芸能界の乱世が彼を待っている。
神奈川県藤沢市出身。

私はその藤沢に本部を置く、
㈱ロピアの会長・社長とラウンド。

高木秀雄さんは73歳、
高木勇輔さんは34歳。

私は勇輔さんが高校生の頃から、
秀雄さんとはながい付き合い。

昨年度小売業ランキングで、
133位のロピア。
年間売上高は819億1600万円、
前年比116.8%。
経常利益は34億5300万円、
こちらは114.1%。

会社は絶好調だし、
戦略は間違っていないし、
実にいい親子関係だし、
人財も集まっているし、
そのうえ、お二人とも、
ゴルフもいい線を行っている。

少なくとも傷心の中居くんよりも。

1年に二度ほど一緒に、
ゴルフプレイを楽しむ。
私もいい気分になる。

アメリカ出張など、
超多忙な中、
実に爽快なひと時だった。
ありがたい。

そういえばSMAPの1998年の名曲。
「夜空ノムコウ」

あれからぼくたちは
なにかを信じられたかなぁ
夜空のむこうには
明日がもうまっている
〈作詞・スガシカオ、作曲・川村結花〉

豪栄道豪太郎にも、
高木勇輔にも、
中居正広にも、
明日が待っている。

時計の針は
前にのみ進み、

戻ることはない。

なにかを信じられたなら。

もちろん、
高木秀雄さんにも、
結城義晴にも。

みなさんにも。
では、今週も、
Good Monday!

〈結城義晴〉

2016年09月25日(日曜日)

【日曜版・猫の目博物誌 その19】彼岸花

猫の目で見る博物誌――。
DSCN8963-2016-4-10-66666
猫の目は夜にも見える。
光のないところでも見える。
日陰者さえ見える。

そんな猫の目で見る博物誌――。

彼岸の明けには彼岸花。IMG_3800-6
秋の彼岸の頃に咲くから、
彼岸花。

学名Lycoris radiata。
ヒガンバナ科ヒガンバナ属の多年生。
IMG_3803-6
真ん中がツボミ。
両サイドが開花。

花弁は6枚で、
放射状につく。

そこで学名のradiataは、
「放射状」という意味。
Lycorisは、
ラテン語のヒガンバナ属。

鱗茎はデンプンに富むが、
有毒な球根性植物。

鱗茎の毒の主成分は、
アルカロイド。

食べると吐き気や下痢を起こす。
死に至る場合もある。
原因は中枢神経の麻痺。

群生する。

夏の終わりから秋の初め、
高さ30~50cmの花茎が、
地上に出てきて、
その先端に苞(ほう)に包まれて、
花序がひとつ付く。
枝も葉も節もない。

苞はつぼみを包んだ葉。

その苞が破れると、
数個の赤い花が顔を出す。
9月中旬のこと。

花には短い柄があって、
写真のように横を向いて開く。
すべての花は、
輪生状に外向きに並ぶ。

しかも花弁は細長く、
大きく反り返っている。

開花すると、
晩秋には線形の細い葉が、
バラの花のように、
ロゼット状に出てくる。

葉は冬の間、姿を見せるが、
翌春になると枯れる。

そして再び、
晩夏から初秋に、
地上に花茎を出す。

日本では水田の畦などに多く咲く。IMG_9478
〈photo by Huminori Kanaya〉

畦に植える目的は、
ネズミ、モグラ、虫など、
田を荒らす動物を、
鱗茎の毒で忌避させるため。IMG_9477

稲と彼岸花。
救荒作物として、
田畑の草取りのついでに、
植えられ、栽培される。IMG_9476

別名が多い。

曼珠沙華は「マンジュシャゲ」
サンスクリット語のmanjusaka。IMG_3802-6

死人花は「しびとばな」
地獄花「じごくばな」
幽霊花「ゆうれいばな」
剃刀花「かみそりばな」
狐花「きつねばな」
捨子花「すてごばな」
「はっかけばばあ」

日本での別名・方言は、
1000以上だという。

花と葉が同時に出ない。
だから「葉見ず花見ず」ともいう。

ひどい命名ばかり。

それでも、
日本の秋の彼岸には、
必須の花で、
それがこの花の
「ポジショニング」なのだと、
猫は思う。

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彼岸から、
猫はこの花を、
見ている。

(『猫の目博物誌』〈未刊〉より by yuuki)

2016年09月24日(土曜日)

老子24章「自ら伐むる者は功無く、自ら矜る者は長しからず」

土曜日は『老子』
小川環樹訳注の中公文庫から。
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老子は中国の春秋戦国時代の人。
諸子百家のうちの代表的な哲学者。
「道家」は老子を始祖とする思想。

そしてその道家の思想による宗教を、
「道教」という。
ちなみに中国三大宗教は、
儒教・仏教・道教。

歴史家・司馬遷が紀元前100年頃に、
『史記』を著したが、
その中に「老子韓非列伝」があって、
老子のことが記されている。

その「老子」第二十四章は、
有名だ。

(つまだ)つ者は立たず、
(また)ぐ者は行かず。
つま先で立つものは、
立ち尽くすことができない。
大股で歩くものは、
長く歩くことはできない。

自ら見る者は
明らかならず、

自ら是とする者は
(あらわ)れず。

自分を見せびらかす者には、
なにもよく見えない。
みずから正しいとする者は、
他人より際立って見えることはない。

自ら伐(ほ)むる者は
功無く、

自ら矜(ほこ)る者は
(ひさ)しからず。
自分でほめる者は、
何も成功しない。
自分の仕事ばかり、
誇りにする者は、

長続きしない。

つま先立ちをすること、
大股で歩くこと。

つまり、自分を大きく見せること。
誇大広告のような人間。

自分を見せびらかすこと、
自ら正しいとすること、
自分で自分をほめること、
自分の仕事を誇りにすることすら。

老子は「道」の立場から、
余分なものとした。

還暦を過ぎると、
「道」も少しはわかってくる。

しかし、いつになっても、
以て自戒とすべし。

老子は宮澤賢治に通じる。
「雨ニモ負ケズ、
風ニモ負ケズ」

「アラユルコトヲ
ジブンヲカンジョウニ入レズニ
ヨクミキキシワカリ
ソシテワスレズ」

「ミンナニデクノボートヨバレ
ホメラレモセズ
クニモサレズ
サウイフモノニ
ワタシハナリタイ」

だから老子は、
商人に語りかけている。

ありがたい。

今日も朝日新聞一面から、
『折々のことば』

芸がないようだけれど、
いいものはいい。

編著者の鷲田清一さんと、
どうも波長が合いすぎて、
怖いくらいだ。

今日は天気がいいね。
鶴見俊輔『思い出袋』から、
ある小学校長の言葉。

鶴見は昨年7月20日に没した、
哲学者、評論家。
1922年に生まれた大正人。
米国プラグマティズムの紹介者のひとり。

その鶴見が小学生の時、
校長が朝礼でこう挨拶した。

「今日は天気がいいね。」
それだけ言って壇を降りた。

「代わりに、陰で
相当努力していたのだろう、
児童とすれ違った時は名で呼び、
少し長めの話をした」

「語りかけは個々の誰かにするもので、
不特定多数を相手にすれば
演説になると考えたのだろう」

「高い位置に
昇ったことのある人の話は長いのに、
この人は違った」

この校長先生、
もしかしたら「老子」を読んでいた。

来週月曜日の朝礼の言葉。
あなたはどう考えるか。

陰の努力こそ、
必須だけれど。

横浜商人舎横の新田間川。
IMG_9196-6

雨模様。
IMG_9192-6

明日は秋晴れ。
IMG_9197-6

みなさんも、
充実した週末を。

アラユルコトヲ
ジブンヲカンジョウニ入レズニ

自ら伐むる者は功無く、
自ら矜る者は長しからず。

〈結城義晴〉

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