結城義晴のBlog[毎日更新宣言]
すべての知識商人にエブリデー・メッセージを発信します。

2016年11月02日(水曜日)

11月標語「売上高は人材に比例する」と「市場のような組織」

11月に入って今日は、
横浜でも12月並みの寒さ。

一気に晩秋の趣き。

「秋の歌(落葉)」
ポール・ヴェルレーヌ
(Paul Verlaine)

Chanson d’automne  

Les sanglots longs
Des violons
De l’automne
Blessent mon coeur
D’une langueur
Monotone.

Tout suffoquant
Et blême, quand
Sonne l’heure,
Je me souviens
Des jours anciens
Et je pleure.

Et je m’en vais
Au vent mauvais
Qui m’emporte
Deçà, delà,
Pareil à la
Feuille morte.

上田敏の翻訳が素晴らしい。
「落葉」     

秋の日の
ヰ゛オロンの
ためいきの
ひたぶるに
身にしみて
うら悲し。

鐘のおとに
胸ふたぎ
色かへて
涙ぐむ
過ぎし日の
おもひでや。

げにわれは
うらぶれて
ここかしこ
さだめなく
とび散らふ
落葉かな。
(『海潮音』より)

 紅葉 6
堀口大學の翻訳もいいし、
金子光晴や窪田般彌もいい。

けれど私は断じて、
上田敏を支持する。
この「落葉」に関しては、
上田の前に上田なく、
上田の後に上田なし。

味わいたい。

さて、11月の商人舎標語は、
[Message of November]
売上高は人材に比例する。

人手が足りない。
店が回らない。
猫の手も借りたい。

人が辞める。
人は集まらない。
派遣の手も借りねばならない。

しかし小手先の細工で、
人を募集しようとしても、
思うような成果はあがらない。

ここは安倍晋三に先駆けて、
「働き方改革」を進めねばなるまい。
人材マネジメントを確立せねばならない。

働きがいのある店に人は集まる。
良い職場に人は定着する。
最良の会社で人は育つ。

かつてのチェーンストアでは、
売上高は売場面積に比例した。
企業規模は店の数によって評価された。

しかし現在の小売りサービス業では、
売上高は人材に比例する。
企業価値は人材の数と質によって決まる。

だからこそ、急がば回れ。
一歩一歩、働き方を改革する。
その改革のスピードを上げていく。

それが企業存続の唯一絶対の条件となる。
いま、小売りサービス業を救うのは、
戦略的に人的資源をマネジメントすることだ。

未来を築く力を生み出すのは、
明日をつくるために今日、
何をなすべきかを決めることである。
〈結城義晴〉

渥美俊一先生は、
標語のようなものは残さない人だった。

それよりも論理性と情報量で、
圧倒しながら説得するタイプ。

たいていの学者やコンサルタントは、
そちら側の人だ。

一方、倉本長治先生は、
たくさんの言葉を残した。
一つひとつの言葉が、
人々の心を揺さぶった。

ヴェルレーヌや上田敏のように。

ピーター・ドラッカーは、
どちらもできる人だった。

その理論派の渥美先生が、
珍しく残したスローガン。
「売上高は売場面積に比例する」

それが間違っているわけではない。
完全な時代錯誤というわけでもない。
しかし今は、
「売上高は人材に比例する」

私はそう思う。

時代は変わった。

今日はその月刊商人舎11月号の大詰め。
IMG_9836-6
頑張ります。

さて、今日の糸井重里の『ほぼ日』
作家・塩野米松さんが、
「ほぼ日」のオフィスにやってきて、
ドアを開けた瞬間の感想を述べた。

「ここは市場みたいだと
思いました」

この市場は「いちば」

糸井はこの言葉に、
ひどく喜ぶ。

「だれかに
使われているという感じでなく、
ひとりひとりの人たちが、
じぶんの頭とからだを使って、
くるくると動き回っている、
そんな印象なのだ、と」

「そういう仕事場、
ぼくの理想かもしれない」

まったくの同感。

「山の人は山のものを、
海の人は海のものを、
その場に持ち寄って、
交換をするのが市です」

「煮たり焼いたり練ったりして
市に参加する人もいる。
編んだり織ったり磨いたり
削ったりの人もいる。
やり手もいるし、
どこか覚束ない動きの人もいる。
大声があったり、
ひそひそ声があったりもする。
なにやら相談もあるし、
言い争いだってあります」

市場の表現が的確だ。

「ぼくのイメージする
市場のようすは、
生きものが動き、
ぶつかりあう場面そのものです」
DSCN8971-6

「ほぼ日」の社内の感じが、
市場に似ていると聞いて、
「まず光栄ですし、
やったねという気持ちになりました」

本当にうれしそう。

商人舎オフィスも、
そうありたいなあ。

「いま、会社をはじめとする
組織のあり方や、
働き方についての考えが、
大きな変わり目にあります」

それが月刊商人舎11月号の特集テーマ。

「変化していくべきところ、
安定が望まれているところ、
主観、客観、規則、自由、
競争、平等、利益、貢献、
いろんな要素が複雑に入り混じって、
考え方の満員電車みたいな
状態にあるんじゃないかな」

糸井は言う。
「市場の創造」を実現する
「市場」を創造していく‥‥?

みなさんの組織やオフィスや店も、
「市場」のような雰囲気であってほしい。

市場のような組織風土が、
実際の市場たる店を高める。

それでいい。

十分に詩的でもあります。

〈結城義晴〉

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