いざ行(ゆか)む雪見にころぶ所まで
毎日新聞『余禄』が松尾芭蕉の句を紹介。
「雪が降れば雪見へと繰り出した
江戸の粋人」
昨日はそんな雪だった。
一転、今日は、最後の秋晴れ。
商人舎オフィス裏の遊歩道も紅葉。
訃報です。
安島祐司さん、享年80。
マルトグループ会長。
11月23日午前0時19分、永眠。
「働くこと」を大切にした人が、
勤労感謝の日に逝った。
訃報にある。
「お客様を愛し、社を愛し、
全力で仕事に打ち込んだ生涯でした」
2011年3月11日の東日本大震災。
故安島祐司さんに、
最後の難題が降りかかった。
しかし震災発生後の3月12日から、
マルトグループは一日も休まず、
地域のお客さまのために、
奉仕し続けた。
福島第一原子力発電所が水素爆発。
しかしマルトは店を開け続けた。
マルトは市民のライフラインとなって、
営業を継続した。
安島祐司さんが、
そのマルトファミリーと、
全従業員の支柱だった。
私は評した。
「マルトは日本商業の誇りだ」
通夜と葬儀告別式は近親者のみで、
執り行われた。
「お別れの会」は、
来2017年1月31日午前11時から、
パレスいわきで行われる。
心から哀悼の意を表し、
ご冥福を祈りたい。
横浜商人舎オフィスに出社すると、
『流通問題』が届いていた。
一般社団法人流通問題研究協会の機関誌。
通巻190号。
巻頭言は三村優美子さんの筆。
「社会の危機に備える流通の役割について」
青山学院大学教授。
「流通は空気のような存在である。
流通が安全と安心を支える
社会的共通資本であることを
危機が教えてくれる」
マルトは空気のような存在である。
マルトが安全と安心を支えている。
私はこの号で、講演録を掲載した。
「流通革命とチェーンストア」
最後は「自ら軛を断て」
あなたは今も
縛られていないか。
会社に,上司に,組織に。
あるいは観念に,慣習に,
古い理論に。
さて今日は、商人舎オフィスに、
第一屋製パン㈱の幹部たちが、
やってきてくれた。
左から前川智範さん・代表取締役社長。
船戸謙治さん・常務取締役。
米田歩さん・執行役員商品本部長。
私は2年前から社外取締役。
今回は、中長期経営計画の、
中間報告と相談。
いい会社にしたい。
頑張りましょう。
さて今日からイオンが、
「ブラックフライデー・セール」を開始。
アメリカでは、すでに、
24日のサンクスギビングデーから、
ホリデーシーズンが始まった。
これまでは感謝祭の翌日の金曜日に、
一斉にセールが始まることが恒例だった。
「黒字の金曜日」
だからブラック・フライデー。
日本人にはこの「黒」が、
ちょっと違和感があるかもしれないが。
しかし近年、
アメリカ小売業界では、
感謝祭当日に、
「早仕掛け」する傾向が顕著。
ウォルマートが先鞭をつけ、
今ではメイシーズなど百貨店まで、
24日夕方に前倒しセールを展開する。
全米小売業協会の予測では、
24~27日の4日間で、
約1億3400万人が買物する。
前年比1.17%増。
日本では今年初めて、
アメリカに倣ってイオンが、
この「ブラックフライデー」を導入。
イオングループの全国約500店舗で、
25日から3日間のセール展開。
黒いパネルを全店に掲示して、
年末までの商戦をリードする心づもり。
今日25日の午前0時から、
セールを始めた店舗もある。
「1000円のTシャツを100円」などで訴求。
イオンは一定の成果を収めるだろう。
そして来年から、
「ブラックフライデー」は、
日本中で展開されるだろう。
これも考えてみれば、
ハロウィンのように、
社会の慣習やインフラとなるだろう。
昨日の朝日新聞『折々のことば587』
鷲田清一さん編著。
「おわりよければすべてよし」
(言い習わし)
「結果さえよければ、
途中どんなやり方でもよい、
というわけではないと思う」
これは大事な指摘だ。
「目的が達成されれば
その手段も追って正当化される
というのでもないと思う」
その通り。
ブラックフライデー・セールも。
「子育てでも介護でも仕事でも、
人生に、誰にも通じる正しいやり方が
あるわけではない」
だから単なる物真似は通じない。
「誰もが正解が見えないまま、
必死でそれに取り組む。
そして『ああ、終わった』と
さらりと言えたときは
うまくいったのだ。たぶん」
安島祐司さんも、
きっとそうだったに違いない。
「おわりよければすべてよし」
合掌。
〈結城義晴〉