大晦日さだめなき世の定(さだめ)哉
〈井原西鶴〉
2016年の、その大晦日。
東京・横浜は、
ほんとうに穏やかな一日。
朝日新聞『経済気象台』
コラムニスト昴さんは、
過去60年あまり、
米国にかかわってきた。
そのアメリカ分析。
「米国の偉大さは、
核でもドルでもありません。
国際社会が米国を畏敬してきたのは、
世界中から集まった移民が、
自由と平等を国是に
50の国(州)をつくり、
人種のるつぼという多様性を
生かした創意工夫で、
世界に通用する文物、文明を、
築いてきたからです」
「米国は人類の未来の姿、
いま様にいえばグローバリゼーションを
シミュレーションして、
見せてくれてきたのです」
納得・賛成。
米国チェーンストアも、
この自由と平等、
多様性を生かした
創意工夫から、
人類の未来を、
シミュレートしてくれた。
だから私たちは、
アメリカから学んできた。
しかし、昴さん。
「私は、トランプ現象を、
民主主義の機能不全とする悲観論には
くみしません。
米国の民主主義は、
多民族国家ゆえの復元力があります」
そうそう。
「トランプ登場は後世の歴史には
『草の根のあだ花』と一言
残るだけだと思います」
昴さんほどの人の見解に、
ちょっと安心。
「民主主義なしの米国は
あり得ません」
チェーンストアも、
民主主義を、
その根本思想とする。
今日は、夕方のピークに向けて、
イオンスタイル碑文谷へ。
この40年ほどの間、
私自身も、勉強させてもらったし、
たいへんお世話にもなった店。
大晦日になって、
どうしても気になった。
東横線学芸大学駅を降りて、
店に近づくと、ドキドキしてきた。
店舗入り口では、
今日だけの限定で、
「ときめきポイント5倍」セールを、
展開していた。
その1階入り口の青果部門。
すごい顧客数。
マグロづくしは大好評。
奥主通路が長くて変形の売り場だが、
そこに顧客がごった返していると、
妙な迫力がある。
エビの天ぷらも、
このボリューム。
今年の12月16日。
かつてのダイエー碑文谷店が、
イオンスタイル碑文谷として、
完全リニューアルオープン。
そして大晦日のこの客数。
うれしいことこの上ない。
2階に上がると、
ギフト&スウィーツコーナー。
この売り場も碑文谷仕様だが、
大成功。
1階から4階まで、
くまなく売り場を歩いて、
その出来栄えと顧客の状態を観察した。
3階の化粧品売り場は、
大晦日のこの時間だから、
閑散としていたが、
正月明けには賑わうだろう。
最新の品ぞろえと売場づくりに、
顧客の側が反応していた。
店に迷惑がかかるので、
一顧客として訪れたが、
町野弘幸店長が姿を見つけて、
時間を割いてやってきてくれた。
その町野さんと、
南関東カンパニーで、
広報を担当する大島さん。
大島さんは今日、
本部から応援にやってきた。
町野さんとは、
今秋の第6回アメリカ視察に、
ご一緒した。
昨日の売上げは、
イオンリテール全店で第3位だった。
5階から7階までは、
来年3月31日オープンで、
いまだ片肺飛行。
それで3位という成果は、やはり、
ダイエーの遺産が残っているのだろうし、
もちろん現在の店の人たちの、
努力の結果でもある。
今日は、トップを狙う。
その心意気やよし。
「今日はこの調子で、
午後10時まで営業します。
そして明日は8時に初売りです」
町野さんは、元気に語った。
再び、言おう。
「初心忘るべからず」
年末や大晦日には、
日本のチェーンストアでは、
本部の人たちが、
全員、店舗現場に、
応援に駆け付ける。
これは実にいい仕組みだ。
店では人手が増えて、
大いに助かる。
本部は店の実態、現場の状況が、
よくわかる。
相互理解が深まる。
そして何よりも、
顧客にじかに接して、
商業の仕事を、
全社的に実感することができる。
これこそチェーンストアや商業が、
民主主義を根幹とすることを示すものだ。
こういったデモクラティックな制度こそ、
四半期に1回くらいは、
実施すべきだろうと思う。
「神は現場にあり」
なのだから。
今年も現場を巡った。
昨年も一昨年も、
そして来年も再来年も。
その現場で、
私を迎えてくれた、
すべての知識商人に、
お礼申し上げたい。
では、結城義晴のブログ[毎日更新宣言]
これにて終了。
長い長いご愛読、
こころから感謝します。
ただひとり風の音聞く大晦日
〈渥美 清〉
〈結城義晴〉