三が日は年賀状。
ありきたりな言い方だけれど、
今年も、よろしくお願いします。
さて、朝日新聞『折々のことば』625。
個性的な作品を
作りたいと思う作者は
個性の弱い人です。
(映画監督・山田洋次)
「個性的であるとは、
競争をたくましく勝ち抜いて
目立つことではない」
「か弱く傷つきやすい人たちを
あらゆる暴力からかばい、
その命を深く愛おしみ、
守り抜くところに、
人の個性とその強靱さが
おのずと表れる」
ポジショニング戦略の中で、
ユニークであれ、個性的であれ、
というけれど、
それは目立つことだけではない。
もちろん他との違いを鮮明にして、
目立つ場合もある。
しかし山田さんが言うのは、
弱い人、貧しい人を、
守り抜くことから、
その人や組織の個性が、
自然に表れるということ。
難しいけれど、
それが個性だ。
自然に表れるものを持たない者が、
「個性的な作品」、例えば、
店や売場や商品を作りたがる。
命を深く愛おしみ、
守り抜く強靭さ。
そこから個性は生まれてくる。
正しいと思う。
さて、2017年の「初売り」
日経新聞が取材した。
前年を上回る集客は、いい滑り出し。
年末年始の曜日の巡り合わせで、
まとまった休みを取りにくかった。
それに天候にも恵まれた。
1日からの初売りは、
イオンリテール。
1日の客数は前年比1割前後の増加。
売上高は前年並み。
「人混みを嫌う人の予約が毎年増えており、
その分を含めれば好調」
百貨店は2日から。
三越伊勢丹ホールディングスは、
グループの大半が初売りを3日に遅らせた。
ただし三越日本橋本店は例年通りの2日。
開店前に5150人が行列。
これは前年を約500人上回った。
福袋は5万5300個、前年より3%増、
売上高は前年比2%以上の伸び。
高島屋日本橋店でも、
5000人以上が開店前に行列。
前年を8%上回る。
多くの福袋が午前中に売り切れ、
売上高は前年を1%上回った。
阪急うめだ本店には、
午前6時半から約7000人が行列。
しかし前年より1000人ほど少なかった。
婦人服や化粧品といった人気商品の福袋を、
インターネットの事前受注に切り替えた。
果たして意味があるのか。
福袋を買いに行く行為そのものが、
このプロモーションの意味だと思うが。
しかし売上高は前年を15%上回った。
三越伊勢丹の大西洋社長。
「福袋に関心が集まるのは
足元の消費が弱含んでいることの表れ」
だから日常消費に関しては、
やや悲観的。
その大西社長、
朝日新聞のインタビューに答えている。
「2018年から主要店舗で
正月三が日は休業」
現在は、元旦に休み、
一部店舗(日本橋三越本店)は2日から、
多くは3日から営業している。
「三が日に休めれば、
地方出身の従業員は、
正月に帰省することができる」
この方針が実現すれば、
休日はさらに増える。
働き方改革の一つでもある。
「最高の状態で働いていれば、
最高のおもてなしができる」
大西さんの見解は正しい。
ただし2017年の消費動向には、
「厳しい状況が続く」
爆買いバブルに浮かれたことを、
自覚し、反省もしているようだ。
日経新聞恒例の特集。
「主要30業種の天気図」1月~3月。
各業種の生産、販売、操業率、収益などから、
担当記者が判断したもの。
小売流通業。
百貨店は小雨、
スーパーは曇り、
コンビニエンスストアも曇り、
ドラッグストアは曇りのち晴れ。
ネットサービスも曇りのち晴れ、
外食は曇り。
当たるも八卦当たらぬも八卦、
担当記者の予想だから、
そう見たほうがいい。
それに業種業態全体の動向よりも、
自社自店の、それこそ個性を出して、
自分のカスタマーをつかむことが大事だ。
だから山田洋次の言葉が味わい深い。
「個性的であるとは、
競争をたくましく勝ち抜いて
目立つことではない」
「か弱く傷つきやすい人たちを
あらゆる暴力からかばい、
その命を深く愛おしみ、
守り抜くところに、
人の個性とその強靱さが
おのずと表れる」
個性とその強靭さは、
おのずと表れるものだ。
今年もその個性を、
真摯に追い求めたい。
〈結城義晴〉