2月3日の節分。
節を分ける日。
暦の上でのことだが、
今日までが冬。
明日からが春。
だから明日は立春。
春が立つ日。
横綱になった稀勢の里は、
千葉県成田市の成田山新勝寺で、
午前11時から恒例の豆まき。
稀勢の里は午後6時から、
今度は東京都府中市の大國魂神社で、
またまた豆まき。
大忙し。
その合間に、
恵方巻も食すのだろう。
その恵方巻。
商売上は今や、節分の主役。
新宿伊勢丹限定、
旭鮨総本店の恵方巻は、
「縁起金箔巻 旭」
税抜き5000円也。
話題になっている。
旭鮨総本店は今年2月に創業90周年。
テーマは、
“究極の縁起の良さと極上の味わい”
金箔を巻いた高級恵方巻。
悪いけれど、
私は好みではない。
しかしスーパーマーケットもコンビニも、
総合スーパーや百貨店も、
予約販売が増え続けている。
それはそれでいいけれど、
予約販売となると、
従業員や業者への押し付け販売が、
顔を出してくる。
これは、いけない。
売れない商品、売れ残りそうな商品を、
関係者に押し付けるのは、
これは、けしからん。
従業員がまず、
欲しがるような商品でなければ。
あなたの会社、あなたの店は、
いかが?
さて今月の商人舎標語。
[Message of February]
仕事の垣根を越えよう!
仕事の垣根を越えよう。
自分の仕事の枠組みを広げよう。
隣の仕事と結び付こう。
何のために?
顧客を喜ばせるために。
新しい価値を生み出すために。
他の追随を許さぬ事業を創造するために。
例えばコストコホールセール。
小売業と卸売業の垣根を超えて、
圧倒的な低価格を実現させた。
例えばユニクロ。
アパレルリテイラーが製造機能を獲得して
SPAの新しい世界を切り拓いた。
そしてイータリー。
食品小売業と外食業を融合させて、
「食べる・買う・学ぶ」店を生み出した。
業界の慣習を乗り越えよう。
自分の壁を壊して新しい船に乗り込もう。
隣の世界と結び付こう。
何のために?
シュンペーターは読み切った。
イノベーションは、
「ニュー・コンビネーション」である。
それが新しい価値を生み出す。
模倣困難なビジネスを創造する。
そしてこの現象は地球上に広がりつつある。
〈結城義晴〉
クロスマーチャンダイジングは、
部門の垣根を乗り越える仕事だ。
関連販売も同じだ。
カテゴリーや部門を超え、
顧客の期待を超越すると、
効果は飛躍する。
2月に入って、球春到来。
たとえばプロ野球の大谷翔平。
投手で一流、打者で一流。
だからアスリートとして超一流。
プロ野球界の常識を超えた。
ファイターズ監督の栗山英樹も、
垣根を越えることに賛同した。
新しい年度に向けて、
仕事の垣根を越えよう。
ほぼ日の糸井重里。
巻頭エッセイは「今日のダーリン」
「今日やっていることって、
今日の前にやってきたことの上に
乗っかってるんだよね」
今日の節分は、
昨日までの上に乗っかっている。
明日の立春は、
冬の上の乗っかっている。
「昨日まで、なんにも
やってなかったことは、
今日初めてやることになるんだけど、
初めてだから、
なにをやっていいのか考えることから、
始めなきゃならないわけで、
つまり、ほとんどなんにも
やってないも同然というわけだ」
すべては考えることから始まる。
「ほんとうに、今日の前に
なにもやってない場合には、
実りどころか、苗もないんだよね」
「その前の、
苗つくるのに蒔く種さえもない。
買いに行くのか、
買える場所を調べるのか、
種を手に入れるための
お金を準備するのか、
まるで空気を
かきまぜるようなことを始めるのが、
ほんとうの初めてということになる」
新しいこと、初めてのことって、
見つけ出すのが難しいくらいだ。
「それでも、
初めての日がなかったら、
次の日もないわけだから、なんにせよ、
初めての日があるというのは
すばらしいことだ」
「次の日があるのは、
初めての日のおかげだからね」
だから初心忘るべからず。
「今日、ぼくらはなにかやっている。
それは、前の日までの
積み重ねの続きをやってるんだ」
その通り。
「過去にやってきたことが、
いまにつながってるわけで、
今日っていうのは、
過去のかたまりみたいなものだ」
「今日は過去のかたまり」
いい表現だ。
「初めての日から、
やめなかった連日の続きが、
今日だ」
「まだ来てない明日のことは、
わからないけれど、
今日が昨日の続きだということは、
よくわかる」
立春のことはわからないけれど、
節分が冬の続きだということは、
よくわかる。
矢沢永吉が言った。
「30代のパスポートは、
20代にがんばってきたやつだけが
もらえるんだ」
「いつでも、始めるのに遅くない。
始めないよりは、ましだ」
何かを始めたくなる。
それが春だ。
それが立春の、
もう一つの意義だ。
〈結城義晴〉