ドナルド・トランプ大統領が、
アメリカ小売業団体と会談した。
小売業リーダーズ協会(RILA)。
Retail Industry Leaders Association。
場所はワシントンDCのホワイトハウス。
会談冒頭のあいさつで大統領。
「税制改革は
経済成長を加速させる絶好の機会」
法人税や所得税の引き下げを主張。
「税制改革は大規模で
中間層と法人に有益なものになる」
雇用を増やす。
規制を減らす。
税制は簡素にする。
トランプの政策は、
わかりやすい。
しかしRILAは、2月1日に、
トランプが検討する「国境税」には、
反対の声明を発表している。
「国境調整」は、
米国の輸出への課税を減らし、
輸入に対する課税を強化する。
つまり輸出企業には追い風となるが、
輸入に頼る小売業にとっては痛手となる。
これに対してRILAは訴えている。
「国境税は実験されていない有害な制度で、
米国小売業の雇用をリスクにさらし、
生活必需品などが20%も高くなり、
その分を消費者に負担させることになる」
RILAには200以上の小売企業が参加する。
その主なメンバー企業。
7-Eleven, Inc.
Abercrombie & Fitch, Co.
Advance Auto Parts, Inc.
American Eagle Outfitters, Inc.
Apple, Inc.
AutoZone, Inc.
Belk, Inc.
Best Buy Co., Inc.
Big Lots Stores, Inc.Blain’s
Burlington Stores, Inc.
CarMax, Inc.
Chico’s FAS, Inc.
Costco Wholesale Corporation
Crate & Barrel (Euromarket Designs, Inc.)
Delhaize America Shared Services Group, LLC
DICK’S Sporting Goods, Inc.
Dillard’s, Inc.
Dollar General Corporation
Dollar Tree, Inc.
Express, LLC
Foot Locker, Inc.
GameStopCorp.
Gap Inc.
Giant Eagle, Inc.
H-E-B
Hy-Vee, Inc.
IKEA North America Services, LLC
J.C. Penney Company, Inc.
J.Crew Group, Inc.
Kohl’s Corporation
L Brands, Inc.
Lowe’s Companies, Inc.
Meijer, Inc.
NIKE, Inc.
Petco Holdings, Inc.
PetSmart, Inc.
Publix Super Markets, Inc.
QVC, Inc.
Recreational Equipment, Inc. (REI)
Rite Aid Corporation
Rooms To Go, Inc.
Ross Stores Inc.
Sears Holdings Corporation
Signet Jewelers
Staples, Inc.
Starbucks Coffee Company
Target Corporation
The Home Depot, Inc.
The Kroger Co.
The Michaels Companies, Inc.
The Pep Boys -Manny, Moe & Jack
The Save Mart Companies
The TJX Companies, Inc.
The William Carter Company
T-Mobile, USA Inc.
ULTA Salon, Cosmetics & Fragrance, Inc.
VF Corporation
Walgreen Co.
Wal-Mart Stores, Inc.
Wegmans Food Markets, Inc.
Whole Foods Market, Inc.
ウォルマート・ストアーズ、
クローガー、コストコ。
もちろんHEBやホールフーズも、
ウォルグリーンやホームデポ、ロウズも。
入っていないのは、
CVSヘルスくらいだろうか。
このRILAの主張は、
「国境税は消費者を著しく
痛めつけることになる」
そして反対の意思を鮮明にしている。
ほとんどの有力企業が参加する団体。
だから、その主張は無視できなくなる。
さらに時の大統領に対しても、
決然と反対する。
私の言うポリティカルマーチャントだ。
今回のトランプ大統領との会合の後、
RILAはビル・ローズ会長名で、
声明を発表した。
オートゾーン会長兼社長兼CEO。
オートゾーンは自動車部品販売チェーン。
「今日、私たちは、小売業界が、
国民経済において果たしている、
重要な役割について、
トランプ大統領と、
積極的かつ生産的な会話をした」
「私たちは、個人と企業の両方に対して、
税制改革を図ることの重要性を強調した」
「小売業界は、
米国最大の民間セクター雇用者であり、
4200万人以上の雇用を実現している。
国内投資の拡大につながる、
成長促進政策を支援する」
「私たちは、
大統領や彼のスタッフと同様に、
私たちの業界、私たちの従業員、
そして数多の顧客である働く世帯にとって、
重要な問題(国境税)の在り方に対して、
期待している」
一方、この主張と、
反対の団体が設立されている。
「アメリカン・メイド・コアリション」
ゼネラル・エレクトリック、ボーイング、
ファイザー、ダウ・ケミカルなど、
超有力製造業25社が、
国境調整や国境税を支持する。
アメリカ産業界は、
事業構造が輸出型か輸入型かで、
二つに割れている。
昨日から幕張メッセで、
2017スーパーマーケットトレードショーが、
開催されている。
食品展示会として、
アジア第一。
ドイツ・ケルンのアヌーガや、
フランス・パリのシアルには、
いまだ及ばないが、
大きな展示会ではある。
このスーパーマーケットトレードショー。
主催するのが、
新日本スーパーマーケット協会。
旧セルフサービス協会と、
旧全国スーパーマーケット協会が、
統合して誕生した協会。
しかしこの協会は、
日本スーパーマーケット協会との、
合併に合意していたが、
それが破談になってしまった。
もったいないと思う。
アメリカのRILA。
そして食品マーケティング協会のFMI。
RILAが日本チェーンストア協会なら、
FMIはスーパーマーケットの統合協会。
そして彼らは、
ポリティカルマーチャントの集まりだ。
政治的にも大統領と会談して、
直接、意志を表明する。
それが必要な時代であることは、
間違いないのだが。
〈結城義晴〉