日経新聞一面トップ記事。
「小売り8割、今期増益」
今期というのは2018年2月期会計年度、
すなわち2017年度のこと。
2月期決算の上場小売企業57社。
日経新聞が決算発表の来期予想を集計。
今、盛んに決算発表されているのが、
2017年2月期だが、
その57社の純利益は集計してみると、
平均3%の減益だった。
ところが2018年2月期の予想は、
一転して26%の増益となる見通し。
43社が増益を見込んでいる。
イオンは純利益33%増の150億円。
セブン&アイ・ホールディングスは、
4期ぶりに純利益最高を見込む。
ローソンは、
店舗設備への投資が増えて、減益。
高島屋とJフロントリテイリングも、
売上高5%程度の減収見通し。
これも日経新聞のアンケート調査。
小売業・外食業50社に聞くと、
7割の企業が「横ばいが続く」と見る。
個人消費が「強含む」と答えたのは、
「わずか5社」だ。
「小売り8割、今期増益」
この根拠は記事だけではわからない。
同じ日経新聞社説。
「流通業は3つの逆風に
どう立ち向かうか」
日経はつまり一面トップと社説で、
小売流通業を取り上げた。
主要流通業の2017年2月期決算は好調。
ただし3つの逆風がある。
第1は「ネット通販の広がり」
第2は「人手不足」
これが人件費や物流費の高騰要因となる。
第3は「消費者の節約志向」
そのうえ、「外国人観光客の買物」に、
一時の勢いはない。
そこで必要になるのが、
①経営の構造改革
②消費者の求める商品の開発
当たり前すぎるが、
これはあくまでも、
日経新聞社説の指摘。
第1に、ネット通販が扱いにくい、
「生鮮品や総菜は有力な柱」
つまりは、
「安さ以外の価値を高めた食品の提供」
第2に、人手不足に対しては、
自動化物流センターを建設したニトリ、
無人レジの実験を始めたローソン。
前者はいいだろうが、
後者はまだまだ夢物語。
「流通・外食業界はこれまで、
安い労働力が豊富にある前提で
ビジネスモデルを組み立ててきた」
そうとも言えるが、
そうでないとも言える。
「店舗運営や物流に、
無駄な動きや人員がないか、
厳しく点検したい」
これはどんな産業の企業も、
経営活動として当たり前にやっている。
「そのうえで、従業員に
過重労働を強いるのではなく、
ITの活用や仕事の簡素化により、
人手をなるべく使わない運営手法を
編み出すべき時ではないか」
論説委員の誰が書いたかは知らないが、
ちょっと表面的すぎるなぁ。
小売業の8割が増益を見込むには、
根拠があるはずだ。
そのあたりを熟考してほしかった。
さて、昨日の滋賀県野洲市。
平和堂のピカピカ実現活動全社発表大会。
上半期にピカピカ改善活動は、
1400近くも展開された。
その中から厳選に厳選が重ねられ、
栄えある最優秀賞8チームが選ばれた。
アルプラザ近江八幡店、
平和堂今津店、
アルプラザ城陽店、
フレンドマート八幡上田店、
アルプラザ富山店、
フレンドマートくずは店、
フレンドマート石山寺辺店、
平和堂グリーンプラザ店。
部門チーフとパート社員の皆さん。
その彼女彼らが3人1チームで発表を行う。
それぞれの店舗や地区から、
大挙、応援団が駆け付け、
趣向を凝らしての大声援。
1チーム15分の発表。
取り組み視点、実施内容、結果、
さらに発表力、チーム力などが、
審査される。
北陸・富山の応援団は、
早朝にバスで出発。
この野洲市の会場までやってきた 。
3人が改善のプロセスを
パワーポイントを使いながら、
様々な演出を加えながら、
役柄に応じて演じる。
そうしてこのInnovationの中身が、
明らかになっていく。
そして私の講評。
まず、感銘を受け、感動した。
そのことを冒頭で話した。
「通常、Innovationは、
『何を、どうするか』に焦点が当たる。
つまりWhatとHow。
しかし、今回の発表を見ていると、
人と人々が改革・改善を起こすとわかる。
つまりWhoが大事だということ」
「そして発表の舞台では、
そのWhoたちの全人格が、
見る者、聞く者を感動させる。
お店でも日々、
Whoたちがお客様を感動させる」
「ピカピカ実現活動発表大会は、
そんなWhoたちが磨かれ、
組織風土を変えるための、
ダイナミズムを生み出す」
そんなメッセージを贈った。
そしていよいよ、
1位、2位、3位の発表。
会場の全員がコイン1枚ずつ投函し、
そのコインの数の集計で、順位が決まる。
ドラマティックな発表の瞬間には、
平和堂の歴史をたどる映像が流れた。
3位受賞者の封筒を手にして現れたのは
80年代のバブル女子、平野ノラ?
そのパフォーマンスに会場は大爆笑。
カスタマーリレーション部長。
平和堂初の女性部長の演技に、
大爆笑。
2位のパフォーマーは、
ガングロ、ルーズソックス女子3人。
こちらもカスタマーリレーション部社員。
最後に1位の発表。
取締役の捨て身のパフォーマンスに、
夏原さんも大笑い。
会場の人たちには、一目でわかった。
店舗改装を機に、
デリカとインストアベーカリーが、
部門の壁を超えてコラボして、
ピカピカ売場認定を目指した。
その改善活動が見事だった。
実に良い発表だった。
おめでとう!
最後の最後は夏原社長の講評。
講評というよりも、
感謝いっぱいのメッセージだった。
エンディングは役員、営業部長、
それに発表店店長も登壇。
平和堂マスコット「ハトッピー」も。
会場が声を揃えて
ガンバロー!
がんばろー!!
ガンバロー!!!
記念撮影には私も特別に、
参加させていただいた。
1位のフレンドマート八幡上田店の皆さん。
ハトッピーの決めポーズがかわいい。
平和堂ピカピカ実現発表大会。
感動的で、暖かいイベントだった。
分刻みのスケジュールで、
無事に時間通りに閉会。
事務局の運営もよかった。
平和堂らしさが、
とりわけよかった。
Innovationや改善の活動は、
どんな場合にも、
自社の方針や基準に沿って、
挑戦され、展開される。
だからこれは、
それぞれの会社ごとに、
行われるべきものだ。
他人が評価してはならない。
他人に評価されてはならない。
会社の人々自身が票を投じて、
決定され、表彰される。
それが組織文化をつくる。
その組織のカルチャーが、
地域や顧客から支持される。
WhatやHowももちろん大事だ。
しかし何よりもWhoこそ、
大切なのだ。
Whoが組織文化をつくり上げるからだ。
ポジショニングに直結するからだ。
私も参加させてもらった。
ほとんど全員が、
アメリカに一緒に行った仲間たちだ。
ここでも最初に挨拶。
専務の平松正嗣さんが、
乾杯の発声。
5月の株主総会で、
社長兼COOへの就任が決まっている。
ピカピカ実現活動は6年前に始まった。
私が指導するアメリカ視察ツアーも、
やはり6年前からスタートした。
この2つの取り組みが、
平和堂の人々の、
目線合わせになり、
その結果が花開いてきている。
それは実際に店や売場に表れ、
働くWhoたちの、
心合わせになっている。
つまり組織文化になっている。
事務局の皆さん、
お疲れ様でした。
名残惜しい楽しい会だったが、
横浜に戻らなければならない。
見送りの中締めは福嶋繁さん。
店舗営業本部長、
コーネル大学ジャパン第3期生。
そして、ピコ太郎。
平和堂創業60周年を記念し、
ちゃ、ちゃ、ちゃん、
ちゃ、ちゃ、ちゃん、
まる~。
最後の最後まで、
楽しませてもらった。
皆さん、ありがとう。
組織文化こそ、
最大の武器だ。
そして2018年2月期会計年度の、
利益の源泉となるものである。
〈結城義晴〉