結城義晴のBlog[毎日更新宣言]
すべての知識商人にエブリデー・メッセージを発信します。

2017年04月20日(木曜日)

NHK「ニュースチェック11」出演とダラスの競争「続けること」

昨夜のNHK番組
「ニュースチェック11」

成田空港のサクララウンジで、
突然、電話インタビューされた件が、
番組で放送された。

流通業界に詳しい結城義晴さん。
「高品質のサービスはお金を払ってでも」
20170418_nhk
「少し上質なものには、
お金を払ってでも、という人が、
増えていくと見ている」

「結城さん」によると、
「日本ではまだ店舗で買う人が多いので、
ネットで注文できて、
しかも最短1時間で配達されるとなると、
さまざまな世代の人が、
利用するようになるかもしれない」

まあ、当たり前のことを言っている。

私は、
価値あるサービスは、
当然のことながら、
有料化する、と話した。

アマゾン・プライム・ナウが、
価値あるサービスならば、
高額化していく。

だから有店舗の側はこれまた、
わざわざ店に来てもらうような、
価値あるサービスを、
用意せねばならない。

テキサス州ダラスに着いて、
一晩が明けると、本当に気分爽快。

そこで朝から2時間の講義。DSCN7273.JPG-7
講義でも、冒頭で、このことを話した。

そのための方針、方向性。

テキサス・ダラスのマーケット情勢、
そして今日、訪れる企業群、
後半はフォーマット戦略と、
ポジショニング戦略。

平和堂のこの6年ほどの政策に絡めて、
ていねいに話した。

この13団は、7年目に入った。

平和堂はピカピカ実現運動と、
アメリカ研修を両輪として、
このところ成果を挙げてきた。

しかし、まだまだ。

これからです。

講義が終わると視察研修へ。

企業規模の大きい順に並べて紹介しよう。

到着初日の昨日はまず、
ウォルマートを訪れた。

今日はクローガーから。
このダラス・フォートワース地区でも、
マーケットシェアはウォルマートが31.0%。

クローガーは17.2%。

そのクローガーの大型フォーマット。
「マーケットプレイス」DSCN7468.JPG-7
非食品強化タイプのフォーマットで、
ウォルマートスーパーセンター対向型。

この1年ほど非食品を、
アパレルに切り替えて奮闘中。

クローガーの認識は、
「ホームファニシングよりも、
アパレルの方が、
フードとの親和性が高い」

しかし、まだまだうまくいってはいない。

クローガーの2017年1月期決算。
売上高は1153億3700万ドル。
円換算(100円)で11兆5337億円。
伸び率も5.0%。
純利益は19億7500万ドル、1975億円。
こちらはマイナス3.1%。
総店舗数3899。

既存店伸び率の更新記録が、
51四半期で止まったが、
店の状態はとてもいい。

続いてフレッシュフェア。DSCN7365.JPG-7
この店はいい。

都市型のやや小型店。
小型といっても1200坪はある。

生鮮食品、デリを強化して、
グロサリー、調剤薬局を上手に配置。

ここでは店長interview。DSCN7360.JPG-7

次々に質問が飛んで、
しかもグッドクェッションばかりで、
私も頼もしく感じた。DSCN7356.JPG-7

ジェシー店長は31歳。
16歳からクローガーで働き始めて、
その間大学を卒業しつつ、15年間。DSCN7347.JPG-7
三つのAの話をしてくれた。
大切にしているキーワード。

第1のAは、
Acknowledge。
認めること。見つけること。
認識すること。

第2はAssist。
手伝うこと。

そして第3は、
Appreciate。
感謝すること。

いいねえ。

全員で写真。
DSCN7363.JPG-7

三番目の企業は、
ターゲット。
ウォルマートと同じ業態の二番手。DSCN7338.JPG-7
2017年1月期決算で、
売上高694億9500万ドル。
6兆9495億円。
伸び率はマイナス5.8%の減収。
それも大きい数値。

純利益は27億3700万ドル、2737億円。
こちらはマイナス18.6%で、減収減益。
総店舗数 1802店。

2015年に、インストア・ファーマシーと、
クリニック部門を、
19億ドルでCVSヘルスに売却。DSCN7325.JPG-7
だからターゲットの店内に、
CVSファーマシーがある。

苦しい2年間だったが、
この店を見るかぎり、
復調の兆しがある。

ターゲットにはぜひとも、
復活してほしいものだ。
そして日本の総合スーパー企業の、
モデルになってもらいたい。

ウォルマートはスケールが巨大過ぎて、
モデルにはならない。
そのうえウォルマートには西友がある。

ターゲットこそ、重要なモデル企業だ。

四番目は、
ホールフーズ。DSCN7315.JPG-7
ご存知、オーガニックスーパーマーケットの世界最高峰。

2016年9月期決算で、
売上高157億2400万ドル。
1兆5724億。
伸び率は2.2%。
ただし既存店伸び率はマイナス2.6%。
純利益は5億0700万ドル、507億円。
こちらはマイナス5.4%の減益。
期末店舗数 456。

この店もちょっと客数が減った。
そして店員も減った。DSCN7284.JPG-7
もちろん最高峰であることとと、
最高の売場レベルであること、
そして最新の改装が行われていることは、
さすがにホールフーズと評価できる。

五番目が、
トレーダー・ジョー。IMG_1058.JPG-7
決算は発表されていない。

しかし絶好調は変わらない。

メイトのセスさんにインタビュー。DSCN7370.JPG-7

何しろ誇りを持っている。
この店、この会社で働くことに。DSCN7377.JPG-7

途中から参加してくれたのは、
アーティストのアートさん。
店内装飾、パネル、POPなど、
すべて手描きでつくる。
DSCN7382.JPG-7
名前がArtさん。

彼もプライドを持っている。

一緒に写真。
DSCN7383.JPG-7
大満足。

そして六番目が、
スプラウツ・ファーマーズマーケット。DSCN7536.JPG-7
2016年12月決算で、
売上高40億4600万ドル、4046億円。
伸び率はなんと12.6%。既存店も2.7%増。
純利益は1億2400万ドル、124億円。
こちらはマイナス3.9%。
期末店舗数はもう 253店になった。

売場中央に青果部門を置くユニークな店。
ホールフーズの商品を「for less」で売る。
そのうえ、見事なポジショニング。

ディスカウントタイプの企業を2社。

まずアルディ。
DSCN7477.JPG-7
ドイツのアルブレヒトファミリーが、
アメリカで展開してもう1900店。

圧倒的な安さの1300アイテム。

安いから悪い、
安いから汚い、
安いから不愛想。

それがかつてのディスカウンターだった。

しかしアルディは、
安くて良い。
安くてきれい。
安くてスピーディ、
それなりにフレンドリー。

ウォルマートにとって、
目の上のたん瘤だ。

もう1社、
ウィンコフーズ。DSCN7505.JPG-7
2013年にテキサスに進出してきた。

非上場企業で2016年3月期の、
推定売上高は62億ドル、6200億円。

全株式を従業員約1万4000人が保有する。
つまり従業員持株制度を特徴とする。

だからモチベーションも高い。

店頭に掲げられているのが、
「非雇用者が保有する会社」DSCN7507.JPG-7
この会社は、
ウォルマートの100分の1の規模で、
ウォルマートより安い商品を、
大量に販売する。

驚異の企業だ。

そして最後は、
クィックトリップDSCN7521.JPG-7
テキサスのコンビニエンスストア。
もう1000店ほどになった。

Fortuneの働き甲斐のある企業100に、
必ず顔を見せる優良企業。

コンビニとは思えないほどの、
フレンドリーさで、
ホットドック・グリルを特徴とする。

アメリカのセブン-イレブン・インクも、
クィックトリップをモデルとするほど。

すばらしい企業を次々に訪れ、
そのユニークさを学んだ。

まさにレース型競争力と、
コンテスト型競争力を、
どちらも持ち合わせていなければ、
アメリカ小売業では、
生き残ってはいけない。

そして常に、
価値あるサービスを、
模索し続けねばならない。

立ち止まったとたん、
その企業は衰退への道を歩む。

朝日新聞「折々のことば」
鷲田清一さん編著の730回。

続けるという行為は、
得てして、
新しいことに
取り組むよりも

エネルギーのいること
なのかも知れない。
(山中隆太)
〈手記集「阪神・淡路大震災 わたしたちの20年目」〉

「災害に備える。体験を伝える。
世間や自分の中の『引き潮』に
抗(あらが)ってそれを続けるにも、
根気がいる。それに、
湯気の残るスープを
温め直すのは容易だが、
冷えたスープを加熱するには
何倍もの熱量が必要だ。
それを覚悟で被災者の一人は
手記を再開した」

一度立ち止まると、
そしてスープが冷えてしまうと、
温め直すには何倍もの熱量が必要。

平和堂アメリカ研修13団。

温め直す必要などまったくない。
熱いです。
(つづきます)

〈結城義晴〉

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