閑話休題、日曜漫歩。
天地創造の物語。
主語を神にすると、
1日目に昼と夜をつくった。
2日目に天をつくった。
3日目に海と地をつくり、植物を生えさせた。
4日目には太陽と月と星をつくった。
5日目には魚と鳥をつくった。
6日目には動物をつくり、
自分に似せて男と女を創造した。
そして7日目に神は、休んだ。
こちらは土曜日だけれど、
日本では日曜日。
そこで、シカゴで、
ベースボールパークを日曜漫歩。
ギャランティード・レート・フィールド。
Guaranteed Rate Field。
通称は「シャイソックス (CHISOX)」
こちらの方がなんとなくいい。
メジャーリーグの名門、
シカゴ・ホワイトソックス。
そのホーム球場。
1901年創立。
アメリカンリーグ創設当時から、
最古参として存在感を示す老舗球団。
ワールドシリーズ優勝は3回、
リーグ優勝は6回、
地区優勝は5回。
ただし、人気はいまいち。
シカゴではナショナルリーグのカブスが、
7対3で人気を誇る。
アメリカンリーグでは、
ニューヨークヤンキースが、
圧倒的な人気球団。
その陰に隠れてしまった感があるが、
それでもを3度のワールドシリーズ制覇。
初めは1906年、
次が1917年。
今から100年前。
その後、1919年に、
「ブラックソックス事件」が起こって、
90年間の長きにわたって低迷。
いわゆる「八百長事件」。
しかし、2005年、
「スモールベースボール」を標榜して、
つなぎ野球に徹した結果、
三度目のワールドチャンピオンとなった。
この時、日本人大リーガー井口資仁が、
実にいい働きをした。
メインスタンドの裏側のゲートから、
チケットのバーコードチェックを受けて、
胸躍らせて入場。
プレゼントのソックスの袋が配られる。
グッズショップに寄ってから、
視界が広がるフィールドへ。
緑の天然芝が敷き詰められている。
天井なしで爽快な空気がある。
そしてソックスの専用球場。
それがいい。
ただし今夜は寒い。
外野フェンスの外側に、
ブルペンがある。
ピッチャーの練習場。
投手はここから歩いて、
マウンドに向かう。
7時10分、プレイボール。
ソックスの先発投手は、
ホセ・キンタナ(Jose Quintana)。
昨年はオールスターに選ばれ、
オールスターゲームに出場したエース。
コロンビア出身の28歳。
私たちは早速、
ビールとホットドック。
対戦相手は、
クリーブランドインディアンズ。
ホセが好投するも、
3点を先取され、
寒い試合が続く。
ビールでは寒さはしのげない。
そこで今度はワイン。
ホワイトソックスは、
得意の「スモールベースボール」で、
バントなど使って攻めるも、
点が取れない。
ゲームが7回になると、
酢板殿の観客が全員立ち上がって、
大合唱。
「私を野球に連れてって」
Take me out to the ball game.
私を野球に連れてって。
Take me out with the crowd.
観客席へ連れてって。
Buy me some peanuts and Cracker Jack.
ピーナッツとクラッカージャックを買って。
I don’t care if I never get back.
うちに帰れなくたってかまわない。
Let me root, root, root for Socks.
さあホワイトソックスを応援しよう。
If they don’t win, it’s a shame.
勝てないなんて許せない。
For it’s one, two, three strikes
ワン、ツー、スリーストライクで、
your’re out,
アウト!
at the old ball game.
昔からのゲームスタイルだけど。
ソックスの二番手投手は、
その7回からアンソニー・スウォーザック。
しかし、そのまま試合は、
淡々と進む。
9時30分になって、
あまりの寒さに、
球場を後にした。
それでも鳴り物のないスタジアム。
ボールを打つと「カツッ」と音がして、
観客から「ワーッ」という声が上がる。
それが主役のオールド・ボール・ゲーム。
これがベースボール。
忙しいシカゴの日曜漫歩。
ありがとう。
〈結城義晴〉