結城義晴のBlog[毎日更新宣言]
すべての知識商人にエブリデー・メッセージを発信します。

2017年06月08日(木曜日)

アルディ・リドル・ネットーの三すくみ小型ディスカウンター競争

短夜や旅の枕の頼りなく
〈朝日俳壇より 今治市  横田青天子〉
ヨーロッパの6月は、夜が短い。

つまり昼が長い。

それでも私は、
「枕の頼りなく」などといった感じはない。

熟睡、爆睡。
起きたら枕は、
床に落ちていたりする。

ベトナムの旅から数えて、9日目。
疲れがピークに来ているかもしれない。

日本では様々な会合が開かれている。

昨日は全国セルコグループトップ会。
佐伯行彦理事長の白いハット。
今回も話題をさらったらしい。
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この模様は、
「流通SuperNews」で速報。
セルコニュース|
創立55周年、全国セルコグループトップ会開催

そして今日は、
AJS第55回定時総会。
オール日本スーパーマーケット協会。
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第55回ということは、
AJS創設55周年を意味する。

まことにめでたいし、
懐かしい。

私は20周年の前後くらいから、
この総会にはずっと出席してきた。

本来ならば当然、
55周年総会には参加する。
今年はこんな状況で、失礼した。

11月14日~16日に、
沖縄で記念大会が催される。
すでに1000名参加が決まっている。

今日の55回定時総会では
役員改選が行われた。

田尻一会長と荒井伸也名誉会長が再選。
松本光雄専務理事から、
前田伸司常務理事への交代が決まった。
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こちらはコプロ㈱の役員。
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田尻会長は今日、サミット顧問を退任し、
AJS会長職とコプロ(株)代表取締役社長に、
専念することになった。
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AJSも新たな体制で、船出した。

その後、夕食懇親会。

乾杯の発声は、
㈱日本ハム社長の末澤壽一さん。
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カンパーイ。
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中央で杯を上げているのは
㈱セイミヤ社長の加藤勝正さん。

私は今、ヨーロッパ。
参加できずに残念。

サミットの新旧のお二人。
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元サミット社長・会長の荒井伸也さんと、
現サミット社長の竹野浩樹さん。
左は荒井夫人恭子さん。

こちらも新旧の二人。
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田尻一AJS会長・前サミット社長と、
服部哲也取締役常務執行役員。
服部さんは間もなく、
専務取締役に就任する。

最後は、松本光雄前専務理事を囲んで、
AJS事務局の皆さん。
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松本さん、8年間の専務理事、
本当にお疲れさまでした、
そしてありがとうございました。

といったところで話は、
フランクフルトに戻る。
万代ドライデイリー会の欧州研修。

初日はアルディを訪問した。

そして二日目は朝から講義。
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前田仁事務局長の朝の仕切り。DSCN9527.JPG-7

まずはヨーロッパとドイツの概要、
そしてフランクフルトの動静。
鳥の目、魚の目で見る。DSCN9529.JPG-7

みんな、長旅の疲れも見せず、
真剣に聴講してくれる。
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私も熱が入る。
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米国の小売業トップはウォルマートで、
総合スーパーのスーパーセンターが最強。
つまり最大級の店舗。

日本の実質的な単体企業トップは、
セブン-イレブンのコンビニで小型店。

そしてドイツはアルディやリドルが最強。
こちらも小型店のディスカウンター。

米国、ドイツ、日本、
どこが進んでいるといえるのか。

なぜドイツは小型ディスカウンターで、
日本は小型高付加価値コンビニなのか。

その違いはなぜ生まれたのか。
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ヨーロッパのオーガニックはBIOという。
後半は商品問題を語って、
2時間ちょっとの講義を終えた。
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講義が終わると、すぐに視察。

まず、エデカ・シティ。
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エデカはドイツ最大の、
スーパーマーケットチェーン。
ただしボランタリーチェーンだから、
厳密なランキングはつけにくい。
1万1492店。

エデカ・マルクト、エデカ・センター、
マルクト・カーフ、ネットー、
そしてエデカ・シティなど、
マルチ・フォーマットを展開する。
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売場にはBIOとマークの付いた商品が並ぶ。DSCN9577.JPG-7

店舗の奥には対面売場。
精肉、加工肉、チーズ、
そしてちょっとだけの惣菜。DSCN9575.JPG-7

ドイツはPBだらけの国だが、
エデカのグロサリーは比較的、
ナショナルブランドが多い。
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そしてレジ担当者は座って応対する。DSCN9591.JPG-7
最も普通のスーパーマーケットを見た。

次に再びアルディ。
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ご覧のリミテッドアソートメント。
そして純化したローコスト経営。
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もちろんパンはこの売り方。DSCN9691.JPG-7

そして店舗中央に平ケースの非食品。DSCN9689.JPG-7

青果物の鮮度も格段にアップ。
BIOも急速に増えた。-DSCN9692

クレート陳列で、産地直行。
産地で詰め込んで、
そのままセンター経由で店に届く。
一切手を付けずに販売して、売り切る。
ドイツの食品小売業の共通点。
全体で効率を追究し、省力化を進める。
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冷凍食品は蓋のついた平ケースで販売。DSCN9700.JPG-7
これもドイツ全体の共通項。

非食品の品揃えが多くて、
それはアメリカのアルディと異なる。
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アルディは補完機能ではなく、
生活のメイン機能を果たしている。
だから日本やアメリカの、
スーパーマーケットの機能を果たす。
そこで生活必需品のノンフードが、
多くなってくる。
その意味でマーケットリーダーなのだ。

ガラスケースの売場。
上段はパソコン、
下段はコーヒーメーカー。 DSCN9711.JPG-7

出口にペットボトルの回収機。
これに入れると25セントが、
キャッシュバックされる。DSCN9714.JPG-7
環境対応はここまでしなければいけない。
そして徹底するのがドイツの国民性だ。

純化したローコスト経営だが、最近は、
新聞折り込みのチラシをまき始めた。
レジの前にもチラシの山。
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そして出口にはこの女性のおすすめ。DSCN9721.JPG-7
アルディもリドルに追い上げられて、
プロモーションを変えてきている。

チラシ、テレビコマーシャル。
この変化はすごい。

そのアルディを変えさせているのが、
シュワルツグループのリドル。
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アルディと同じ、
900㎡の小型ディスカウンター。
ボックスストアとも呼ばれる。

しかし入り口に青果をもってきて、
鮮度を強調。
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しかもアルディよりも、
BIOが多い。
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パンはインストアベーカリーで、
しかもシースルー。
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この火かき棒のような道具を使って、
パンをサイドに取り出す。
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(株)万代の阿部秀行社長が実演。
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アルディよりも鮮度感とQuality感がある。

冷凍食品はアルディと同じ。
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そしてそして、非食品は、
アルディを圧倒する。DSCN9756.JPG-7

アパレルも平ケースに投げ込み陳列。
しかし購買する顧客が多い。DSCN9757.JPG-7

ホワイトアスパラの瓶詰は、
アルディよりも安い99セント。
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そしてパスタの量販の仕方が面白い。
三つの大きな段ボールケースで、
順に段ボールカットして売っていく。
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この売り方の詳細は、
Weekly商人舎で紹介する。

奥主通路のノンフードも、
品揃えが豊富だ。
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レジは実にすっきりしたデザイン。
そしてホスピタリティがある。DSCN9787.JPG-7
リドルは6月15日に、
アメリカに進出して、新店を開く。

アルディと互角に闘えるという、
自信がついた証拠だ。

それは同じ業態ボックスストアで、
アルディと異なるポジショニングを、
構築した証拠である。

すごい。

そしてネットー・マルケン・ディスカウント。
エデカグループのボックスストア。
つまりアルディ、リドルに、
もう一つ加わった小型低価格店。
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店舗入り口右手に、
ベーカリーショップ。DSCN9799.JPG-7
これがなかなかいい。
アルディのパンの売り方、
リドルの革新。
さらにその上を行くショップ。

上位寡占のドイツだが、
その上位企業が革新に次ぐ革新。

ネット—は入り口に広い青果部門を配置。
斜めの什器にクレート陳列。
アルディ、リドルを圧倒する。
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そして正面にパン売場。IMG_1596.JPG-7

こちらも火かき棒のようなもので、
手前に引き寄せてパンを取る。IMG_1601.JPG-7
それぞれに工夫をして、
自分らしさを出す。

冷凍食品は平ケース。
ただし品揃えは、
アルディ、リドルにかなわない。
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店舗奥の壁面は、
外が見えて気分がいい。

多段ケースで乳製品を売る。
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こちらもホワイトアスパラの瓶詰。
1.29ユーロで一番高い。
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このアイテムに限ると、
リドル⇒アルディ⇒ネットーの順に安い。

アクションと題したエンド。
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ワインはクォリティ感のある売り方。
これもアルディ、リドルとは異なる。IMG_1628.JPG-7

そして、レジのデザインも、斬新。IMG_1620.JPG-7
4年前にドイツに来た時には、
ボックスストアに関して、
アルディ、リドル、ネットーの順だった。
これははっきりしていて、
アルディが切り拓いた業態であることが、
実にはっきりしていた。

アルディを猛追しているのが、
シュワルツのリドルだった。

そしてネットーは遅れていた。

アルディがマーケットリーダー、
リドルがマーケットチャレンジャー。
そしてネットーがフォロワーだった。

いまは、それぞれに、
異なるポジショニングを築いている。

三者三様のポジショニングを確保すると、
その業態が他の業態を圧する。

アメリカのオーガニックマーケットで、
ホールフーズ、トレーダー・ジョーに、
スプラウツファーマーズマーケットが、
割って入ったような形だ。

かくて、小型ディスカウンター隆盛の、
ドイツ食品小売業である。

しかしこのあと、まだまだ、
ドイツの奥の深さを、
思い知らされることになるが、
それは明日のブログへ。

今回もドライデイリー会は、
5つの班に分かれて行動し、
それぞれに調査、研究を重ねて、
帰国後、発表する。

今夜は第2班と一緒に、食事。
場所はウェスティングランドホテルの、
和食の店。
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私にとっては、ベトナム、ドイツと、
渡り歩いているのでありがたい。

日本料理はやっぱりいい。

お酒も飲んで、懇親は深まった。
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自分たちのマリティムに戻っても、
勢いは止まらない。
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ドイツの小売業に多くを学んだ。
その高揚感が私たちを興奮させていた。
(つづきます)

〈結城義晴〉

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