イタリアのミラノ。
首都ローマに次ぐ商都。
近郊を含む都市圏人口は約526万人で、
こちらはイタリア最大。
したがって商売のイノベーションも、
ミラノで一番、顕著に展開される。
そのミラノで、
驚くべき店に遭遇した。
中心部から車で40分。
郊外型ショッピングセンター。
イルセントロ。
核店舗は右手の、
イーペル・デ・グランデ。
核店舗側の入り口を入ると、
八角形の広場。
ここで店長たちが待っていてくれた。
レクチャーと質疑応答。
イタリア人は話好きだ。
ショッピングセンターの開発の経緯から、
世界最高の賞をとったこと、
スイスやドイツからも顧客が訪れること、
自分のキャリアなどまで、
延々と語ってくれた。
そして記念写真。
固い握手。
そして月刊商人舎に、
掲載することの了解をもらった。
(株)万代社長の阿部秀行さんも写真。
それから写真を撮りながら視察。
333枚分もシャッターをきってしまった。
核店舗はイーペル・デ・グランデ。
8000㎡の巨大スーパーマーケット。
年商は6500万ユーロ。
一言で言えば、
イータリーの巨大版。
そしてイータリーのディスカウント版。
ここはイートインスペース。
右が充実した青果部門、
左が加工肉、チーズ、乳製品部門。
精肉部門も広大で、
インストア加工場がシースルーで見える。
中2階には、
ビールのマイクロブロワリーもある。
もちろんバルも併設している。
ショッピングセンターは木目調で、
リージョナルクラスの巨大さ。
限られた時間の中で、
くまなく走り回った。
感動した。
久しぶりに。
イータリーを初めて、
ニューヨークで見たとき。
バルセロナで初めて、
メルカドーナを訪れたとき。
上海で初めて、
アリババ進化版リアル店舗を見たとき。
2005年、テキサス州オースティンで、
初めてホールフーズ本社下の店を、
取材したとき。
スチュー・レオナードを、
初めて訪れたとき。
パリ郊外のモンテッソンで初めて、
世界最大のハイパーマーケット、
カルフール・プラネットに遭遇した時。
1992年、ロンドンケンジントンで初めて、
テスコの進化版を見たとき。
そして1978年、
初めてアルバートソンを視察した時、
同年、初めて、
ウォルマートを訪れたとき。
そんなことが走馬灯のように蘇った。
イーペル・デ・グランデ。
確かに私たちに未来を見せてくれた。
続いて、コープへ。
郊外ショッピングセンターは、
アメリカやイギリスと変わらない。
その中にスーパーマーケットとして出店。
ズバリ、コンセプトを掲げる。
「未来のスーパーマーケット」
マーケティング担当、
バレンティーナさんが店内ツアー。
そして質疑応答。
ミラノ万博のときに、ミラノ生協は、
未来のスーパーマーケットを開発し、
博覧会で展示した。
それをこの店で継続させて、
なおかつ日々、営業している。
右上のパネルは、
アクセンチュアと開発したもの。
顧客が商品を指さすと、
その顧客の体調を、
骸骨レベルまで読み取って、
数値を出しつつ食の提案をしてくれる。
私もやってみた。
みんな、次々にやってみる。
そして説明を受ける。
未来店舗は、
なによりも個人の健康を、
第一に考える。
阿部さん、バレンティーナさんと、
ここでも写真。
入口の青果部門はクレート陳列。
什器の高さを低くして、
見通し良くするのが、
未来店舗だ。
天井は高くて、
快適だ。
精肉部門では、
試食を展開している。
店舗の奥壁面にパネル。
随時、顧客に、
有益な最新情報を提供してくれる。
コープのクォリティブランド。
紫色のパッケージが斬新。
そして未来店舗のレジは、
すべて人がタッチしない。
つまりセルフレジ。
未来とはなにか。
それを考えさせてくれる。
そしてイータリー。
ミラノ店は2014年のオープン。
おしゃれ。
もともとここは劇場だった。
それを改装して店にした。
だからせり出しのところは、
レストランになっている。
3層の店舗で、
劇場の客席が全部レストラン。
舞台に売場がある。
今日は3階のクッキング教室で、
我々を歓迎するランチ。
歓迎される側がちょっと戸惑った。
シャンパンもご用意。
イータリーと三井物産の全面協力で、
今日の研修がある。
そしてプレゼンテーション。
詳細は月刊商人舎2月号をどうぞ。
特集「地球イータリー化現象」
そしてみんなで食事。
その後、丁寧な店内ツアー。
3階ワイン売場では、バルク販売の実演。
パスタづくりは直接、指導を受けた。
万代人事部マネジャーの東尾里江さん。
チョコレート売場のプレゼンテーション。
そしてジェラートの売場。
いただきました。
イータリーがミラノの食品産業に、
大きくインパクトを与えた。
それがイーペルにもつながっている。
最後はエッセルンガ。
ミラノを本拠地に60年の歴史を持つ。
実質的なマーケットリーダー。
だから実にオーソドックスな店づくり。
通路は広く、回遊しやすいレイアウト。
奥壁面沿いに対面売場。
精肉の対面コーナーには、
背景にハムが吊るされている。
島型の冷蔵ケースには、
惣菜がずらり。
そしてベーカリーは緑色。
このセンスはミラノの店の特長、
エッセルンガの真骨頂。
ゴンドラは直線で
奥コンコースとレジを結ぶ。
そして上段両面にフック陳列で、
非食品が販売されている。
レジもすっきりして、
エッセルンガがイタリアで
最も、オーソドックスな
スーパーマーケットであることがわかる。
オーソドックスがあるから、
イータリーが輝く。
イーペルがきらめく。
そして、
コープの未来店舗が映える。
ミラノの食品小売業。
本当に素晴らしい。
(つづきます)
〈結城義晴〉