台風3号。
日本列島の南を通過したが、
私はその前に、成田空港を飛び立って、
11時間で、北アメリカ大陸。
フライト中もずっとパソコンに向かって、
原稿のチェックと原稿執筆。
こんなに短い11時間は、
久しぶりだ。
しかし眼下にはテキサス州。
意外な印象かもしれないが、
緑と湖のダラス・フォートワース圏。
空港に到着したらすぐに視察。
イオンリテール米国視察研修。
ウォルマート・スーパーセンター。
左に星条旗、右にテキサス州旗。
今日は合衆国の独立記念日。
だからスイカ畑にも星条旗。
トウモロコシ売場にも星条旗。
コンコースも赤・青・白で、
星条旗風プレゼンテーション。
ウォルマートはこのあたり、
実に上手いし、丁寧だし、徹底している。
店舗右翼の精肉売り場の前の平ケース。
ロールバックの強力価格訴求。
店舗左翼の非食品コンコース。
このアクションアレーの企画商品が、
実によく季節性をとらえていて、
実際によく売れる。
バイヤーはこれだけで1年、飯を食う。
上出来のウォルマート。
一方、ライバルのスーパーターゲット。
残念ながら店頭の星条旗はない。
店舗右側の入口には青果売り場。
広いけれど品薄、しかも鮮度感がない。
店舗奥コンコース沿いで、
バック・トゥ・スクール売場に変更中。
アパレルはちょっとだけ、
売場の状態が回復してきた。
この3年、ターゲットは、
顧客離れに苦しんだ。
夏休み向けの島陳列。
これなど上手だ。
そしてドラッグストアは、
CVSファーマシー。
レジの後ろにワイン&ビアーのショップを新設。
これはなかなかいい。
ウォルマートと同業態のライバル。
ずいぶん引き離されたけれど、
ちょっとだけ復活の気配を見せる。
そしてスーパーマーケットの雄。
クローガー・マーケットプレイス。
60歳のティム・プレス店長。
ロサンゼルスの人。
15歳からスーパーマーケットで、
ボックスボーイとして働き始めた。
それから19歳で店長になった。
ラルフに転職し、そのラルフが、
クローガーに買収されて、
ずっと店長。
テキサスに転勤して、ここでも店長。
つまり超ベテランの切り札店長。
隣にHEBプラスとターゲット、
近隣にウォルマート・スーパーセンター。
激戦中の激戦区で奮闘する。
インタビューに丁寧に答えてくれた。
一番に考えるのはフォー・ザ・カスタマー。
HEBプラスが週販140万ドルだが、
クローガーは85万ドル。
向こうは72億8000万円、
こっちは44億2000万円。
追いつかねばならない。
そして全員で元気づけの写真。
そのHEBプラス。
青果部門が圧倒的に強い。
野菜果物の洪水のような、
ワンウェイコントロールの青果部門。
HEBでも今は、スイカ畑。
そしてトウモロコシ畑。
入口正面に寿司コーナー。
奥壁面は長い長い多段冷蔵ケース。
グルテンフリー商品は、
1カ所に集めること。
その方が便利だからだ。
そして牛乳最安値は、
1ガロン1.18ドル。
3.8リットル118円として、
1リットル31円也。
HEBのレギュラー店は、
フード&ドラッグだが、
HEBプラスは非食品強化型。
当然ながら、ウォルマート対策。
そのウォルマートのアパレルは、
安くて品揃えが豊富。
このHEBプラスの目の前のターゲットは、
さらに品質が高くて充実。
その競争の中でHEBプラスのアパレル。
ホットファッションに徹し始めた。
たとえばこのスパッツ。
ヨガ専用のスパッツもある。
いつもいつも工夫し、
新しいものを求める。
HEBのアップスケールフォーマット、
セントラルマーケット。
入口にはアイス・オブ・ウォール。
「氷の壁」。
そしてトウモロコシ畑。
HEBプラスでは、
クレート陳列だったが、
こちらはシャワー陳列。
お見事。
そしてトマト畑。
さらに右の精肉、左の鮮魚。
2013年オープンのヤオコー東大和店も、
このスタイルを実験した。
突き当りはワイン売場。
この後もワンウェイコントロールで、
全部門を楽しませてくれる。
その一つがバルク売場。
アルディ。
ドイツ人経営の店らしく、
いつも変わらない。
簡素な売場、95%のPB。
しかしオーガニックはどんどん増やす。
そして牛乳は1ガロン1.15ドル。
ウォルマートとHEBプラスは1.18ドル。
必ず、彼らをくぐる。
それがアルディの矜持。
クィック・トリップ。
ダラスのコンビニ。
働きたい企業ランキングで、
毎年毎年100位以内。
今年度は68位。
ノードストローム百貨店が98位だから、
すごいコンビニだ。
ホットドックグリルが売り物。
そしてレジはいつもスマイル。
いい店だ。
コンテナストア。
収納用品のコンセプトショップ。
こちらも働きたい企業ランキング常連。
今年は49位で小売業では5番目。
すごい。
独立記念日セール中。
とにかく店員が声をかける。
ロス・ドレス。
オフプライスストア業態で第2位。
店頭ウィンドーでBack To Schoolを打ち出す。
百貨店などの売れ残り品を、
集めて整理して陳列。
だからブランド品が6割引きから2割引き。
店内でもBack To School。
最後はマーシャルズ&ホームグッズ。
面白いコンビネーションの店。
右がアパレルのマーシャルズ。
通路を挟んで左が、
住関連のホームグッズ。
どちらもオフプライスストア業界第1位の、
TJX傘下のフォーマット。
ブランド品の本物が、
圧倒的に安い。
だから本物の百貨店に、
顧客は行かなくなった。
いや金があって時間のない人は、
ノーマル百貨店やステータスショップへ。
金はないけれど暇のある者が、
オフプライスストアへ。
世の中、金のない人が、
圧倒的に多い。
だからTJXもロス・ドレスも、
1年間に8%の伸びを示す。
その反動で今年の売上高。
メイシーズはマイナス4.8%、
シアーズホールディングスは11.9%激減。
コールズはマイナス2.7%、
JCペニーはマイナス0.9%。
ノードストロームだけプラス2.8%。
ノーマルデパートメントストアと、
ディスカウントデパートメントストアは、
eコマースとオフプライスストアに食われ、
悲惨な状況を呈している。
アメリカの競争は、
激しい、厳しい。
しかし面白い。
11時間のフライトではあったが、
疲れも見せず弾丸ツアー。
まずは独立記念日の、
初日が終わった。
一挙11店。
日本列島は、
台風一過だった。
(つづきます)
〈結城義晴〉