「サムサノナツハオロオロアルキ」
宮沢賢治の「雨ニモマケズ」の一節。
毎日新聞巻頭コラム「余禄」が取り上げた。
賢治は岩手県の農業技術者だった。
その「賢治にとって、寒い夏は、
実らぬ稲と飢饉の到来を意味していた」
「グスコーブドリの伝記」
「サムサノナツ」を描く賢治の童話。
「青空文庫」で誰でも読める。
東京は16日間だが、
仙台市は26日間連続の雨。
今月は気温が30度を超えた日がない。
日照時間も12時間余り。
原因は「やませ」
寒流の親潮の上を通って来る、
冷たく湿った東風。
今回の低温と日照不足は、
農業への影響が避けられそうにない。
もちろん商業への影響も甚大だろう。
さかづきを置きぬ冷夏かもしれず
〈星野麥丘人(ほしの・ばくきゅうじん)〉
「ふと冷夏を予感して不安になり、
酒杯を置いた」
農の民の予感か。
余禄の結語。
「時代変われど、天の気まぐれの下で
『オロオロアルキ』するしかない人間だ」
最近の「余禄」、なかなかよろしい。
少なくとも「天声人語」より、いい。
しかしその朝日新聞「折々のことば」
鷲田清一編著。
こちらは、すごくいい。
その第846回。
必要なのは
激越なオリジナリティではなく、
微妙な変化だ。
(鴨下信一)
鴨下はテレビドラマの演出家。
「ふぞろいの林檎たち」が代表作品。
「『本歌どり』こそ、
芸術創造の原点だ」
落語や歌舞伎、映画を例にとりつつ、
鴨下は説明する。
「まず型があり、
さらにそれをずらすから、
観客もどこがどう変わったかが
きちんと掴める」
「暮らしも日々、
その型の手入れを続け、
かつ少しずつ手直ししてゆくことで
保たれるのだろう」
これはクレイトン・クリステンセンの、
持続的な小さなイノベーションである。
日経新聞「ニュース一言」
岡崎双一さん登場。
イオンリテール(株)社長。
「ここデリ」という言葉を
はやらせたい。
「スーパーで総菜を買い、
その場で食べることだ。
需要は確実にある。
それができる店がある、
という認知を広げたい」
イオンスタイルは、
店内に大型イートインを設ける。
100席以上の巨大なイートインだ。
さらに外食型売場を強化する。
これは注文後に調理するスタイル。
地球イータリー化現象、
Grocerant。
「買う場所」から、
「食べる場所」へ。
岡崎さんの「脱皮への意気込み」は、
イータリーやウェグマンズの、
本歌どりである。
それが総合スーパー業態を、
「オロオロアルキ」から、
脱皮させる。
〈結城義晴〉