ウォルマートとグーグルの提携。
そして開発されたのが、
音声による注文システム。
一昨日の10月4日から販売開始。
ウォルマートのネット上の品揃えは、
200万アイテム以上もある。
それらの商品をグーグル・ホームで、
音声注文できるようになった。
さらに今回、グーグル・ホーム・ミニを、
新規開発して49ドルで販売開始。
“ヘイ、グーグル!”
こう話しかけるだけで、
注文がスタートする。
実に簡単。
スタートに当たって、
来2018年1月15日まで、
グーグル・ホームまたは、
グーグル・ホーム・ミニを、
ウォルマートで購入すると、
最大25ドルの割引が、
商品購入に適用される。
顧客はウォルマートと、
グーグル・エクスプレスの、
それぞれのアカウントをリンクさせる。
するとウォルマートでの購入履歴が、
商品提案などに活用される。
いわゆるリコメンデーションである。
この音声注文は、明らかに、
「アマゾン・エコー」の真似。
急成長するアマゾンに対抗して、
ウォルマートとグーグルが連携する。
敵の敵は味方。
それがこの3社の関係の中で成立して、
音声注文システムが開発された。
アメリカの競争は、
こんな連携を生み出すところまできた。
日本にもこういった現象が起こるのか。
生まれるに違いない。
安穏としてはいられない。
さてイオンリテールの米国研修。
ダラス商勢圏の2日目。
朝8時から、最初の講義。
もうすでに日本で事前講義を2時間半、
それから到着初日に車内講義を、
半日しているので、
いきなり最重要課題に入る。
米国商業統計から、
総合スーパーの正体を明らかにする。
そしてイオンリテールは、
どんなルートを取るべきか。
それを私なりの理論で提案する。
後半は現代の商品問題と、
それに対するポストモダンの商品政策を、
これも理論的に解明する。
アメリカの産業社会には、
極めて規制が少ない。
市場競争原理が働いている。
だから現象の理論化がしやすい。
その理論を整理し、学習する。
そして競争の実態を、
自分の目で見る。
すると、頭に理論が入って来る。
この理論を帰国してから、
問題解決に役立てる。
アメリカの表層的なトレンドを、
日本にそのまま持ってきても、
うまくはいかない。
むしろ害にさえなる。
大きな潮流を捉えることは、
もちろん大事だ。
この大きな潮流や理論は、
虫の目、鳥の目、魚の目で、
アメリカの小売産業を見続けなければ、
読み取ったり、確立したりすることは、
絶対にできない。
講義が終わると、
今日は2つのジャンルの視察。
第1は百貨店と総合スーパー。
第2はスーパーマーケット。
今日のブログは第1部。
まず、ストーンブライアセンターへ。
スーパーリージョナルショッピングセンター。
3層の巨大商業施設で、
3階にシネマコンプレックスが入る。
月刊商人舎8月号で特集した。
「内食・外食」主役のHuge SC Age。
それがここにも表れている。
6つの核店舗の一つは、
シアーズ。
一般にはGMSと言われているが、
ディスカウントデパートメントストアである。
私はそう、捉え直している。
惨憺たる状況。
最低!!
死んだ店。
視察した全員が落ち込むほど。
そしてJCペニー。
こちらもディスカウントデパートメントストア。
ファサードの前で、写真。
これもひどい営業状態。
しかし少しだけ持ち直した。
そしてディラードは、
ノーマルデパートメントストア。
さらに全米最大のメイシーズ。
こちらもノーマルデパートメントストア。
ディラードはもちろん、
メイシーズも辛い商売をしている。
それでもショッピングセンターには、
顧客が押し寄せている。
ただ一つ、気を吐いているのが、
ノードストローム。
当然のように、
店舗入り口で写真。
かわいいマネキン。
優雅なマネキン。
そして妖艶なマネキン。
マネキンと陳列商品が一体化されて、
アートのようだ。
店頭在庫を極端に少なくして、
顧客には美的な空間を提供する。
他のすべての百貨店が、
在庫過多で、売らんかなの姿勢。
それでは売れない。
百貨店に求められているのは、
最高の買い物体験だ。
そしてノードストロームだけが、
「食」の重要性を知っている。
専用のカフェを併設しているのだ。
このショッピングセンターの、
最後の核店舗は、
ディックススポーティンググッズ。
全米最大の大型スポーツ用品店チェーン。
ノードストローム以外の百貨店は、
同質化のレッドオーシャンに沈む。
しかしディックスは、
スポーツという専門性を高めて、
しかも鮮明なポジショニングを確立した。
これがポストモダンの闘い方である。
もうひとつ、
コールズ。
ジュニアデパートメントストア。
しかしこれはシアーズとメイシーズの、
中間のフォーマットだ。
電子棚札を採用。
しかしセールのための電子棚札では、
意味が薄い。
そして残念ながら、
顧客は少ない。
アメリカのゼネラルマーチャンダイズストア。
百貨店と総合スーパー。
実はどちらもデパートメントストア。
その競争の現実から、
イオンリテールの将来は見えたか。
ランチは、
インアウトバーガー。
ドライブスルー方式だから、
車の行列のところで、
注文を受ける。
暑いのにご苦労さん。
40名がおのおの注文すると、
店側は一斉に製造に入る。
しかし一糸乱れぬオペレーション。
見事。
ハンバーガーやフライドポテトもうまい。
けれどこのオペレーションを見るのも、
大いに価値があるし、意味がある。
ダラス2日目は、
大きな成果と収穫があった。
私はそう思ったが。
(つづきます)
〈結城義晴〉