ダラス・フォートワース空港を発って、
ニューヨークに向かう。
北米大陸は大きい。
3時間ちょっと。
草原の大地から、
海の見える国へ。
そして超のつく大都会。
その平原の国と超大都会で、
人々の生活を支える小売業。
スーパーマーケット。
まず、全米第一の、
クローガー。
最大フォーマットは、
マーケットプレース。
オーガニックからナチュラルへ、
連動された売場。
年間3割の伸びを示して、
ホールフーズを追い越した。
ハロウィンの平台。
こちらもハロウィンのグロサリー島陳列。
簡素な店づくりだけれど、
天井はスケルトンで開放的。
非食品強化型スーパーマーケットだが、
アパレルと食品の親和性の高さを実証しようとする。
そしてウォルマートに対抗して、
ロープライス・エブリデー。
ワインショップのところで、
ミーティングをやっていた。
クローガーは唯一の健全な、
ナショナルチェーン。
ウォルマートのスーパーマーケットが、
ネイバーフッドマーケット。
入口のハロウィン・プレゼンテーション。
入口は左にサービスデリ、
右が青果部門。
青果部門は見違えるほどよくなった。
牛乳は1ガロン2.28ドル。
ウォルマートは店ごとに、
価格が違う。
競争環境に応じて、
売価を変える。
しかしそれは店の判断ではない。
地区の売価決定チームによる。
もちろんハロウィン全面展開。
しかしネイバーフッドマーケットは、
菓子や小物中心で、
業態対応している。
チェックスタンドはセルフレジが増えてきた。
そしていつも変わらない店。
トレーダー・ジョー。
ダラス・サウスレイクタウンスクエア。
そのトレーダー・ジョーは、
店内サインがとりわけ素晴らしい。
商品は95%がプライベートブランド。
店内プレゼンテーションも楽しい。
エンドにはフィアレスフライヤーの、
トップ商品が展示される。
フィアレスフライヤーはトレーダー・ジョーの、
チラシのような商品情報誌。
ワインのメインは、
チャールズショー。
ダラス随一のトレーダー・ジョーの次は、
ニューヨーク・ブルックリンの店。
銀行の建物跡をそのまま利用。
入口には、
パンプキンパッチ。
そして高い天井と明るい店内。
すごい客数、すごい売上げ。
山積みの冷凍食品も、
見る見る売れていく。
トレーダー・ジョーの商売は変わらない。
しかし商品はどんどん変わる。
それが顧客たちから拍手喝さいを浴びる。
しあわせな小売業だ。
そのニューヨーク・ブルックリン。
環境対応の風車。
屋上菜園のある、
ホールフーズ。
エントランススペースには、
ハロウィン・グロサリー。
アボカドとりんごの平台は、
アマゾン+ホールフーズのディスカウント。
バナナは吊り下げ陳列。
シーフード部門が独立している。
そんなスーパーマーケットは、
アメリカではホールフーズだけだ。
精肉売り場の対面コーナー。
グラスフェッド中心の品揃え。
そして精肉コーナーには、
フックで吊るされた枝肉が、
顧客に見えるように配置されている。
これも環境対応だと主張している。
バルクの考え方だ。
そのバルク売場も、
当然ながら環境対応。
チーズから惣菜デリ売場へ。
対面のデリ売場が秀逸。
ここにはO157事件はない。
ベーカリーの最初は、
焼き立てピザのコーナー。
そしてニューヨークのチョップドサラダ。
イオンスタイル碑文谷店で採用した。
クッキーの島陳列。
この什器に似たものも碑文谷店では、
揚物惣菜に使った。
クッキーはマンハッタンやブルックリンの、
人気店から取り寄せる。
そしてアレグロコーヒー。
レジは独特のホスピタリティを提供する。
フレンドリーというか、それ以上の、
やり取りを感じさせる。
屋上へ。
バルコニーで夕食を食べる。
気持ちいい。
ビールバーでラガービールを注文。
このチームはイートインコーナーで食べる。
屋上には菜園がある。
ゴッサム・グリーン。
その商品は1階の青果売場で、
販売される。
究極の地産地消だ。
日が暮れてきた。
美しいホールフーズ。
「元気でいてくれよ」
そんな声をかけたくなる。
一方、テキサスの、
スプラウツ。
最新年度も12.4%の成長率。
年商は40億4600万ドル。
1ドル100円換算で4046億円。
いまや253店。
ほぼ真四角の店舗のど真ん中に、
青果部門が座る。
それはこの店が大型八百屋だから。
そしてベジタリアンに、
強くシンパシーを持つ顧客の店だから。
オーガニックの青果は、
今日、193アイテム。
青果部門のレジ側には、
これも大きなバルク売場。
アメリカの小売業は今、
特徴を競っている。
つまり他との違いを争う。
「特徴がないことが特長です」
などという言い訳はない。
実際にかつてのエクセレントカンパニーも、
まったく特徴のない、
そして進化のない店になると、
あっという間に凋落してしまう。
アルバートソンだ。
駐車場はたっぷりとってある。
適正面積の1500坪。
レイアウトはオーソドックスな逆L字型。
奥主通路には、
プリベアードフードの対面コーナー。
しかしコンコースの最後のところに、
売れ残り品売場。
それも雑然としていて、
整理という概念がない。
シアーズ、JCペニーに次いで、
死にそうな店。
あのエクセレントカンパニーも、
自ら変わろうとしない限り、
あっという間にリングから退場させられる。
特徴を出すには、
顧客ターゲットを絞る。
そしてそのターゲットの心の中に、
どっかりと位置を占める。
それをポジショニングという。
そう、ポジショニングを喪失した店が、
滅びていく。
たとえ5兆円を超える大企業と言えど。
それがアメリカの競争だ。
(つづきます)
〈結城義晴〉