日米のベースボールが、
終盤を迎えている。
ここシカゴでは、
ナショナルリーグで、
シカゴカブスが決勝に進んで、
大ブレーク。
しかしロサンゼルスドジャースに、
1勝3敗で追い込まれている。
ドジャースには、
マエケンとダルビッシュがいて、
とくに3連勝目のダルビッシュは、
評価が高い。
ピッチングはもちろんだが、
打者として押し出し四球を選んだ
そのプレーをマスコミもファンも絶賛。
日本では高校野球でよくやる、
投手をけん制して四球を奪う、あれ。
ダルビッシュがそれをやって、
勝利をつかみ取った。
カブスは窮地に立つ。
こちらにはウエハラがいるが、
怪我で出場していない。
一方のアメリカンリーグは、
ヒューストンアストロズと、
ニューヨークヤンキース。
ヤンキースのマー君は、
第5戦7回無失点の好投で勝利。
ヤンキースの3勝2敗。
このままワールドシリーズが、
ドジャース対ヤンキースになれば、
日本シリーズ以上に盛り上がりそうだ。
日本のプロ野球は、
クライマックスシリーズ。
広島と楽天が先勝して、これから。
そして第48回衆議院総選挙も終盤。
小池新党が失速して、
枝野立憲民主党が躍進。
しかし自民党・公明党の与党が、
どうやら圧勝しそうだ。
終盤戦の大逆転は、
総選挙では起こりそうもない。
日本にとっても大事な局面だ。
だから、
選挙に行こう!
投票しよう!!
期日前投票しよう!
さて、商人舎specialコース。
シカゴの2日目は、
早朝講義から。
コングレスホテルの階段ルームは、
大学の教室のようで気分がいい。
トップ・幹部の研修会でもあるので、
初めから高度な内容となって、
テキストのあっちこっちに飛びながら、
最新戦略分析を試みる。
私はむしろ自分で考えていることを、
そのまま綴っていく形で講義するのは、
自分でも面白いし、語りやすい。
リアルからバーチャルへの大移行期。
その移行期のパラダイムを、
どのようにとらえ、
どう戦略化していくか。
あくまでも経営戦略視点で講義した。
講義が終わると、
すぐに視察。
まずはマリアーノス。
この店はかつてのドミニクスの店舗を、
買い取って改装したもの。
ドミニクスはシカゴエリアの、
結構、名の知れたローカルチェーンだった。
しかし1999年にセーフウェイに買収され、
その後、店舗はラウンディーズに売却。
その改装店でも上出来の店づくり。
このマリアーノスは、
ラウンディーズが経営している。
ミルウォーキーに本拠を持ち、
ウィスコンシン州とイリノイ州で、
スーパーマーケット150店舗を展開。
そしてこのラウンディーズが、
2015年に、クローガーに買収された。
ややこしい。
しかしマリアーノスは、いまや、
全米第1位のスーパーマーケット、
クローガー傘下にある。
マリアーノスは、ラウンディーズの、
サービス&クオリティタイプの店舗。
見事な青果売場。
惣菜やプリペイドフードと、
生鮮食品がマッチしている。
この店はマリアーノスの標準店だが、
生鮮と惣菜、そして、
グロサリーの売場がいい。
つまり買いやすい店でもある。
クローガー傘下になって
ラウンディーズでも
クリックリストを展開。
顧客からオンラインで注文を受けて、
そのリストに沿って商品をピックアップ。
ドライブスルー方式で引き渡す。
顧客は車から降りずに、
商品を受け取ることができる。
店舗左翼はショップ形式の
デリサービス部門。
フードサービス部門という。
ガラス張りのチーズショップ。
チーズの匂いを閉じ込める仕組み。
シカゴ市内のmarketを模した売場。
いわばローカル。
一方、「グローバルクイジーン」と、
ネーミングされたアイル。
もちろん世界の食品が集められている。
ケース単位で販売するアイル。
「ビッグ・バーゲン・バイス」
マリアーノスはクローガーの傘下に入り、
グロサリーのコモディティ商品を、
エブリデーロープライスで販売し始めた。
クローガーの11兆円にもなる規模が、
エブリデーロープライスを可能にさせる。
それから、
クローガーのプライベートブランドを、
扱い始めた。
「Simple Truth」
大々的に売っている。
それがマリアーノスの弱点を補って、
強いフォーマットに変身させてきた。
ニューヨーク州のウェグマンズの強さを、
マリアーノスが持ち始めた。
ここで、昼食は、
オイスターバーで、
オイスターランチ。
地元のハイパーマーケットで
ウォルマートと同じビジネスモデル。
1962年からこの総合スーパーを展開。
ウォルマートよりも歴史を持っている。
もともとスーパーマーケットだったから、
生鮮はウォルマートに負けない。
10個10ドルのエンド。
EDLPのウォルマートとは、
異なる価格の出し方をする。
卵は2ダースで1ドル99セント。
できる限りの価格訴求をする。
ウォルマートの島陳列のように、
主通路に特売品を並べる。
これはウォルマートから学習した。
ペット売場では、
ウォルマートではあまり見かけない、
大型の水槽で鑑賞魚を売る。
ハロウィンの商品の中に、
ドナルド・トランプ大統領のマスク。
シーゾナル売場の入れ替え中。
多分、ウォルマートに倣って、
クリスマスの「早仕掛け」
ハロウィンのプロモーション。
リージョナルチェーンとして、
ハイパーマーケットを展開する。
そのライバルはもちろん、
ウォルマート。
だから道を挟んで、
ウォルマートがある。
このエリアの競合を見るために、
急きょ、視察。
この店はディスカウントストア。
非食品中心の総合ストア。
生鮮とデリを扱わない。
しかしその方が実は生産性が高い。
クリスマスショップ。
この時期にこれだけの展開をする。
ウォルマートの早仕掛け。
生鮮食品とデリを削ってはあるが、
それがもともとのウォルマート。
この片肺飛行でマイヤーと渡り合う。
さらにウォルマートとマイヤーが、
激しく競合するこの地で、
ホールフーズはどんな状態か。
5分ほどの至近距離にある店を訪問。
1980年創業時のジョン・マッケイCEO。
ホールフーズがアマゾンに買収されて、
店の状態が落ちているのではないか。
そんな懸念があるが、
この店に関してはまったく心配はない。
このシカゴ地区で、
トップシェアをもつのが、
ジュエルオスコー。
現在はアルバートソンの傘下。
ジュエルオスコーは、
セーフウェイの子会社だった。
そのセーフウェイが、
アルバートソンと統合。
社名はアルバートソンとなった。
しかしいわゆるコンベンショナル型。
古いタイプで競争力はない。
入口にチーズとデリの売場があるが、
精彩はない。
青果売場も平均的。
そして肉売場は、
セーフウェイお得意の売り方。
1個買ったら1個タダ。
バルーンを多用しているが、
顧客がいないので空しく揺れる。
地域一番のシェアでも、
平均的でポジショニングがない店は、
年寄りの顧客がわずかに訪れるのみ。
厳しい競争のなかで、
展望はない。
一方、元気印の小規模企業。
23店舗を展開するローカルチェーン、
ハイネンズ。
床に縞模様を配した青果部門。
クォリティの高い商品を、
美しくプレゼンテーションする。
ベーカリーから惣菜、精肉売場が、
奥に一列に並ぶ。
作業員は横に動いて協力し合えるし、
顧客も横に動いて、買物できる。
コーヒーからワイン売場へ。
湾曲した売場が高級感を創り出す。
そして自慢のワイン売場。
ショットでワインを購買できる。
グラスに入れて、
買物しながら飲めるし、
イートインコーナーで飲むこともできる。
小企業は固定客をつかんで、
確かな存在感を示す。
店舗数や売り上げ規模は大きくても、
個性のない店の集合体では、
生き残れない。
それがアメリカの競争だ。
最後に、
フレッシュファーム。
たった4店舗の支店経営。
しかし強烈な個性を持つ。
店の前にハロウィーンの演出。
シカゴの店で一番のスケール。
まず青果部門のボリュームと価格に、
心底、驚かされる。
この陳列。この鮮度、この価格。
青果の力は、
店全体の力となる。
青果の右わきにはデリ。
奥主通路に魚と肉の売場。
鮮魚の鮮度と価格はピカ一。
今回の視察店舗でナンバー1。
グロサリーは積み上げ陳列。
これは青果部門と同じ考え方。
天井はスケルトンで、最新型。
べ―カリーも充実。
そしてレジを出てくると、
このハロウィーンプレゼンテーションに、
突き当たる。
企業規模は小さくても、
個性豊かで、その個性が、
顧客を感動させることができたら、
店は輝く。
勝負は大小では決まらない。
もちろん世界最大のウォルマートも、
個性ある企業としての強みを持っている。
(つづきます)
〈結城義晴〉