帰国しました。
雨のサンフランシスコから。
サンフランシスコ国際空港。
チェックインが終わってロビーで、
「やるぞー!!」
朝から、ずっと雨。
ホテルから空港までのフリーウェイは、
その雨が大量に流れを作って、大渋滞。
そこで1時間近くの車内講義。
「ロイヤルカスタマー論」
ちょうどよかった。
最後に強調しておきたかった。
研修団はユナイテッド航空35便で、
関西国際空港へ。
私はひとり全日空7便で、
成田国際空港へ。
乗り込んでも雨。
ベイエリア上空も、
厚い雲に覆われていた。
その後、アラスカ周りの太平洋航路も、
真っ白な雲に覆われていた。
11時間20分。
私は食事の時間以外、
ずっとパソコンに向かって仕事した。
この太平洋航路は、
昼間の時間帯を飛び続ける。
そして夕日が少し傾くと、
千葉県上空。
水面に夕日が移って、
美しい日本。
視界に霞ヶ浦が入ってきた。
ちょっと先を行くJAL便。
成田上空には少し空が見えた。
今年最後の海外出張。
最後の最後に風邪をひいて、
みんなに迷惑をかけた。
風邪をうつしてしまったかもしれないと、
自戒しつつ、感謝。
改めて指折り数えてみると、
今年は13の海外視察研修を行った。
アメリカが11回。
ヨーロッパが1回、
アジアが1回。
初めてアメリカを訪れたのは、
1978年だった。
故渥美俊一先生にご招待いただいて、
ロサンゼルスとサンフランシスコを訪問。
9月の10日間だった。
その直後の11月に、
今度は高山邦輔先生と、
商業界の研修で全米を旅した。
こちらは2週間だった。
私は総責任者として、
大量の現金を持って行った。
ウェストコーストから、
マウンテン地区、セントラル地区、
そしてイーストコースト。
さらにウェストコーストに戻った。
このときに、カンザスシティで、
1980年代対策店舗以前の、
まだ安売り屋だったウォルマートを見た。
シカゴでは、
アルディのアメリカ第1号店を取材した。
オフプライスストアのマーシャルズは、
TJXの傘下に入る前の単独企業だった。
メイシーズもブルーミングデールも、
マーシャルフィールドも、
いずれも元気だった。
当時のチェーンストアランキングは、
1 Sears(シアーズ)
2 Safeway(セーフウェイ)
3 Kmart(ケーマート)
4 JCPenny(ペニー)
5 Kroger(クローガー)
6 Woolworth(ウールワース)
7 A&P(エー・アンド・ピー)
8 Lucky Stores(ラッキー)
9 Federated Department Store(フェデレーテッド)
10 American Stores(アメリカン)
1位のシアーズはその後、業績が悪化して、
当時3位のKマートと企業統合されて現在、
シアーズホールディングスとなった。
Kマートはディスカウントストアとして、
先陣を切るニューモデルの企業だった。
2位のセーフウェイも業績が悪化して、
同じく倒産寸前で3分割されていた、
アルバートソンと統合。
いま、サーベラス傘下で、
社名はアルバートソン。
ウールワースはバラエティストア。
現在のダラーストアの原型だが、
オーストラリアやイギリスにも進出した。
現在のアメリカには会社はないし、
イギリスのウールワースも、
2008年に倒産した。
フェデレーテッドは現在のメイシーズで、
当時、合併で大きくなった百貨店連合。
やがてニューヨークのブルーミングデール、
シカゴのマーシャルフィールドなど、
ほとんどのデパートメントストアが糾合された。
ラッキーは当時、
流行のコンビネーションストアで、
日本でも山本浩史先生が指導して、
同タイプの企業が全国にあった。
北雄ラッキー、チバヤク、
キミサワ、ユース、ハラトクなどなど。
その後アメリカのラッキーは、
アメリカンストアーズと統合し、
さらに躍進したアルバートソンに併合され、
現在、セーフウェイと合併。
こうしてみると、当時からずっと、
ベスト10に入り続けて、
企業組織の改革を図っているのは、
クローガーだけということになる。
そしてこれらをすべて打倒してきたのが、
ウォルマート・ストアーズであり、
新しい業態の企業群である。
2017年の米国内ベスト10社。
1 Wal-Mart Stores
2 The Kroger Co.
3 Costco
4 The Home Depot
5 CVS Health
6 Walgreens Boots Alliance
7 Amazon.com
8 Target
9 Lowe’s Companies
10 Albertsons Companies
断トツのウォルマートに、
クローガーが正面から対抗し、
コストコとアマゾンが、
異次元の競争を仕掛ける。
ホームセンター、ドラッグストアは、
それぞれに両雄が対峙している。
そしてこれらすべてを、
アマゾンがじわりじわりと侵食している。
この40年の歴史を振り返りつつ、
これからの20年、30年を、
私は見続けていく。
その決意は変わらない。
何よりも重視するのは、
「虫の目」であり、
「魚の目」であり、
「鳥の目」である。
帰国してみると、
2つのニュースが、
商人舎流通SuperNewsに。
ウォルマートNews|
第3四半期決算発表/eコマース5割増
この8月~10月の総収入は、
1231億7900万ドルで、
前年同期比4.2%増と好調。
米国以内のオンライン売上高は50%プラスで、
アマゾンを急追。
アマゾンnews|
ホリデーシーズンに向けホールフーズで値下げ実施
ホリデーシーズンに向けて、
オーガニック・抗生物質不使用の七面鳥。
オーガニックのチキンや生エビ、
ブロッコリー、カボチャ缶、さつまいも、
豆、卵、牛乳、ヨーグルトなど、
感謝祭とクリスマスのディナーに、
必須の食材が中心になる。
このホリデーシーズンの値下げは、
特別のシーズンのディスカウントだから、
良しとしよう。
しかし、ホールフーズの安売りは、
ほんとうに慎重にしなければいけない。
ホールフーズのPositioningが、
棄損されてしまっては元も子もない。
規模と量の競争の時代から、
Positioningの時代に変わった。
もちろん規模も量も、
Positioningを形成する一要件である。
ウォルマートの48兆円の年商規模は、
模倣困難なPositioningなのである。
(このシリーズ、おわります。ご愛読感謝します)
〈結城義晴〉